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2004年10月の3件の記事

2004年10月29日 (金)

ブリテンの指揮に感激

久しぶりにブックオフに入ったら、クラシックCDに何点か入荷があったようで、いくつか入手したいものがあった。

(1)カーゾン(P)ブリテン指揮イギリス室内管弦楽団によるモーツァルトのピアノ協奏曲第20番と第27番が250円。

イギリス生まれのサー・クリフォード・カーゾンのピアノは、ラジオでは聞いたことがあるかもしれないが、これまでセルとのブラームスやこのモーツァルトの録音で名前を目にするだけで聞いたことがなかった。一聴して、紳士的という形容詞がすぐに思い浮かぶ。けばけばしさや粗さとは無縁のピアノ。丁寧で誠実で、しかしソロモン・カットナーのような厳格さとか硬直さはない。吉田秀和氏は「世界のピアニスト」で、ベルリンで彼の実演を聞いたことがあり、「変わったモーツァルトの協奏曲」と評しただけの冷淡振りが不思議だ。(レコ芸の2000年版のCD300選では、どちらの曲目も上位で、27番は第一位だった。)それにもましてすばらしいのが、ブリテンの指揮が創り出すオーケストラの演奏。20番は、ハスキルとのマルケヴィッチ、グルダとのアバドなど、27番はグルダとのスワロフスキーおよびアバドの指揮など、また全集のマリナーなどでこれまでいろいろな演奏で聴いてきたが、ブリテンの指揮による音楽は、楽器のバランスの微妙な調整、フレージングの指示、楽器が交わし合うモチーフ同志の対話、ピアノとオケとの協奏(27番のラルゴでの木管とピアノの室内楽的な効果のすばらしさ)などなど、目から鱗の演奏だった。才能のある作曲家が指揮(やピアノ:ロストロポーヴィチとのドビュッシーのソナタなどが聞ける)の才能にも恵まれるというのがどういうことなのかがよく分かる。よく作曲家としての才能で、曲を再構築して、その曲がまさに今誕生したかのように演奏するという評言があるけれども、それともちょっと違う。即興的ではなく、非常によく練られた演奏だ。

カーゾン 

カーゾンによる後期ピアノ協奏曲集 

(2)もう1枚は、ヘンデルの作品1からヴァイオリンソナタ集で、グリュミオーとラクロワによるもの。ずっと前ARCHIIVレーベルから出ていたカセットテープで、ヘンデルの作品1の抜粋があり、ヴァイオリンとフルートによる録音を愛聴していたが、そのテープが手元にないので、ずっと聞きたかった曲。ネットで検索したが、見つからなかった。バロックバイオリン使用とかで、ピリオド楽器の走りの演奏だったと記憶する。刷り込み演奏なのでそう感じるのだが、今回のグリュミオーの演奏を聞くともっと「ヘンデルらしい」少し硬めの演奏だったと思う。

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2004年10月12日 (火)

Harry Potter and the Order of Phoenix

9/1の日本語訳発売前8月上旬に、英語版のペーパーバックを購入したのだが、10月中旬の今ようやく大団円を読んでいるところ。
"Harry Potter and the Order of the Phoenix"原書読書感想日記というサイトを見つけて、ときどき内容確認しながら、毎日一章以下のペースで読んでいる。子供向けの英語だといえ、これだけまとめて英文を読むのは初めてなので、その影響でときどき自分の文章が英語風のおかしなものになることがある。いい年をした大人が恥ずかしい話だが、まだ初歩的な単語やフレーズ、高校レベルの仮定法が身についていないため、意味がとりにくいところが結構ある。細部を味わうというより、五里霧中的に筋を追っているのが関の山だ。まあ、小学校低学年の子どもが、この本の日本語訳を読んでいて、分からない言葉や慣用句や漢字がありながらも筋を追って楽しむ程度のレベルだろう。TOEIC的な実力なんてこんなものだ。英語の読解力、会話力、文章力は、恐らくネイティブの口達者な小学生にも劣るだろう。(日本の小学生は結構なレベルの文章を読み、漢字を書いているのだ。)

さて、以下は8月頃、各章の要旨をまとめておこうとした試みで、途中で挫折したもの。恥じの上塗りだが、敢えて公開してみる。 ネタバレに備えて白フォントにしておきます。

第1章 ホグワーツの夏休み。ハリーはまたプリヴェットドライブのダズリー家(伯母宅)に戻っていた。従兄弟のダドリーはボクシングを始め地区チャンピオンになり、近所の悪がきどもを引き連れていたずらを繰り返しているが、伯父伯母は悪さを全く知らない。ハリーが花壇で寝転んでいると異様な音がした。夕暮れの通りに出てみるとダドリーに出くわし、喧嘩を始めると、なんとそこにディメンターがあらわれ、あわやダドリーが魂を抜かれそうになるが、ハリーのパトローナスの呪文により撃退した。近所に住む猫好きのフィッグ夫人がハリーの見守り役でもう一人の男性の見張り役のことを非常に怒っていた。

第2章 何とかダドリーをかついで帰宅すると、伯父と伯母から散々にとっちめられる。その内にふくろう便がやってきて、魔法省からの手紙を運んできた。マグル界での魔法使用により、ハリーをホグワーツから放校にし、その杖を折るというものだった。ダドリーは、ハリーが自分をこんな目に遭わせたと両親に訴える。ハリーは、魔法界にはアズカバンの刑務所というものがあり、ディメンターはそこの看守で、それがなぜか分からないが、自分を襲ってきて、一緒にいたダドリーが被害に遭ったと一生懸命弁明する。すると、ハリーの亡くなった母リリーの姉、ペチュニア伯母がその言葉に強く反応した。伯母はディメンターの存在を知っていたのである。ハリーは伯母のその反応を見逃さなかった。ふくろう便がまたやってきて、ハリーは即放校ではなく、魔法省の聴聞にかけられることになったと知らせる。ダンブルドア、ウィーズリーからもふくろう便が届き、ハリーは何があっても伯母の家を出てはいけない、そこに留まれという指示だけで、理由は明かされない。伯父は怒り狂い、自分の家族がハリーのために犠牲になるのは御免だと、ハリーに家から出て行くように指示するが、そこにまたふくろう便が吠えメールを伯母名指しで届き、最後の約束だからハリーを家に置けと命じたため、伯母は伯父を説得し、ハリーを家にとどめた。初めての伯母らしい行動だった。

第3章 ハリーは自分の部屋に閉じ込められて数日過ごした。ある日、ハリーを家に残し、ダズリー一家が外出したところ、階下で物音がした。ハリーが恐る恐る階段を下りていったところ、マッドアイ・ムーディやルーピンなど既知の魔法使いたちがやってきていた。ハリーを護衛してある場所に連れていこうとやってきたのだ。ハリーは急いで荷造りした。トンクという魔女が手助けをした。ポートキーの使用は危険なので、ハリーに姿隠しの呪文をかけ、箒に乗り、それを魔法使い、魔女が護衛して空中を飛ぶ方法が選ばれた。しかし、それはムーディに言わせると決死行だということだが、楽天的なトンクはそれを笑い飛ばした。途中雷雨に遭い凍えながら着いたところは、ロンドンの街中。不死鳥騎士団の名前が告げられる。

第4章 11番地と13番地の間に見えない12番地があり、闇の魔法使いにふさわしいようなその非常に古い建物の中で不死鳥騎士団の会合が開かれる。ロンの母親がなぜか建物の中におり、ハリーを暖かく出迎える。ハリーを迎えに行った一団の魔法使いたちも、ロンの母親モリーも騎士団のメンバーなのだ。ハーマイオニーとロンもそこに来ていた。そして夏休み中ダンブルドアの指示で何が起こっていたのかをハリーに知らすことができなかったことをわびる。ハリーはつんぼさじきに置かれ、その上ディメンターに襲われるというひどいめにあったことを思い出しフツフツと怒りが湧き、友人たちに当り散らす。意外にもハリーを嫌いハリーも嫌うスネイプ先生もメンバーだ。ハリーの名付け親シリウスが現れる。彼もメンバーの一人なのだ。  

以上

原書を読み終えた後、妻が購入した日本語訳を読み始めた。英語で読んで記憶している内容は大筋では間違っていなかったが、やはり細部の描写やニュアンス(特に感情表現)が読み取れていなかったことがよく分かった。当然のことだが、やはり自分の母語は情報量が違う。

10/18  先週来、英語版を読み終えた余勢を駆って、以前購入してそのままになっていた、"Harry Potter and Secret chamber"の英語版にも着手した。騎士団を読んだせいもあり、秘密の部屋の方が英語的にもずっと簡単だと感じる。主人公のハリー・ポッター少年がイギリスの全寮制の学校の1年生から7年生(10歳から17歳だっけ?)のシリーズもので、1学年=1巻でまとめられている。これは仮定なのだが、もしかしたら、ハリーと同じ年代のネイティブの子ども達が読むのに適した英語のレベルで書かれているということはないだろうか?騎士団などは、日本語訳を読むと(英語では意味が取れなかった部分ではあるが)、結構難しい言葉も書かれているようだから。

ところで、J.K.Rowling Official Site - Harry Potter and more 及びテキスト版があることを、yahooの掲示板から知った。結構面白い。またしてもところでだが、ニンファドーラという名前、ニンフから来ていることは分かるのだが、nymphの語で始まる単語には、あまり子ども向けでない上品ではない単語が多い。それで、トンクス嬢はこの名前を嫌っているのではなかろうか?ある意味マンダンガスの  dung よりもひどい。 しかし、この物語、「糞爆弾」だとか少々お下品な物や名前が登場する。鼻糞味のビーンズだとか。これは、イギリス風の joke なのだろうか?それとも作者の ローリングさんの趣味か?

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2004年10月 3日 (日)

ネットでCDを買う

先日、ラヴェルのピアノ協奏曲を急に聞きたくなり、ぐぐっていたら、HMVのサイトフランソワによるラヴェルとドビュッシーのピアノ作品集が発売されるという情報が出ていて、初めてネットで購入することにしてしまった。発売日が9/21から延期され10/1となったため、ようやく到着したのが10/3日曜日の昼過ぎだった。

全6枚組で、3890円。 早速 ラヴェルのピアノ協奏曲、左手のための同、マメールロワを聞いてみた。「左手の」雄弁さはすごい。なお、前奏曲集第2巻の第11曲は、フランソワ逝去により録音できなかったという。また、「練習曲集」前半6曲は入っていないが、後半(第2巻)の6曲は収録されている。

ドビュッシー

CD1
■前奏曲集第1巻
■前奏曲集第2巻(第11曲交互3度を欠く)

CD2
■映像第1集
■映像第2集
■夢
■アラベスク第1番
■アラベスク第2番
■レントより尚遅く
■練習曲集より第7曲から第12曲
■仮面
■喜びの島
■英雄的な子守歌

CD3
■子供の領分
■版画
■ベルガマスク組曲
■ピアノのために

ラヴェル
CD4
■ピアノ協奏曲ト長調
■左手のためのピアノ協奏曲
■マ・メール・ロワ(&ピエール・バルビゼ)

CD5
■亡き王女のためのパヴァーヌ
■高雅で感傷的なワルツ
■前奏曲
■水の戯れ
■ハイドンの名によるメヌエット
■鏡
■シャブリエ風に
■ボロディン風に

CD6
■夜のギャスパール
■ソナチネ
■クープランの墓
■古風なメヌエット

サンソン・フランソワ(P)
アンドレ・クリュイタンス(指揮)パリ音楽院管弦楽団

1959~1970年、ステレオ録音

しかし、残念なことに CDの品質管理が非常に悪いようで、2枚のCDに深い傷が入っており、内一枚は傷の部分の再生が不可能だった。すぐにネットショップへクレームメールを入れたところ、返信され、ようやく今日10/6郵パックの着払で返品してきた。ショップへ届き次第、代替品を送ってくれるとのことだが、また同じような傷が入っているのではないかと不安だ。演奏・録音自体は非常に面白くて、フランソワの他の録音(ショパン)も聞いてみたくなったほど。

10/14追記。10/12の夜に代替品が届いた。今度は目立った傷もなかった。(EU製のようだが、矢張りこれも盤質は悪い。文字印刷側の印刷にむらがあったり、信号面に凹凸があったり、周囲にスタンプ整形した際のくずがついていたり) ラヴェルがどれもすばらしい。クリュイタンス盤でオーケストラ曲を聴いているが、マメール・ロワやクープランの墓など、どれもオーケストラ盤よりピアノ曲の方が集中して聞ける。

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