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2005年1月11日 (火)

「羊たちの沈黙」の訳文

アクセス数でこの記事が上位に来ているので、調べてみたら、故・菊池光訳の文庫本http://amzn.to/y6Wz0s に代わって、2012年1月に高見浩訳の新訳文庫(上下二分冊)http://amzn.to/xquZSx が発売されたとのことだ。店頭でパラパラ見てみたが、読みやすくなっているようだ。

--以下原文-------

年末年始に時間つぶし気味にあまり正月に似つかわしくない「ハンニバル」を読んだ余勢を駆って、タイトルの文庫本も本棚にあったので読み返してみた。内容は、ハンニバルの前編だけあって、ハンニバルを読んでいたとき記憶があいまいになっていた諸設定、諸事件が明確になった。

ただ、残念なのはその訳文の不自然さだった。大手の出版社の文庫本で、世界的ベストセラーなのに、これほどよみにくい訳文も珍しい。第一原因は菊池光という訳者であろうが、編集者もその責めを負うべきだろう。

学生が試験で意味がよく取れないときにやむを得ず書き付けるようなおかしな直訳が方々に現れるし、いわゆる日本語となった外来語のカタカナ表記があまりにも不自然だ。

バッハの「GOLDBERG変奏曲」を「ゴールドベルク変奏曲」と英独混在表記にするのはまあ許せるとして、サラバンドという舞曲名がなぜ不自然なサラブランドなどという表記になるのか。

そういう変な表記がある一方原語的な発音のこだわりがあるようで、FBI行動科学課の課長の Crawford も クロフォードという日本での一般的な表記ではなく、英語のアクセントに忠実にクローフォドという表記になっている。ハンニバル Hannibal も 英語風では ハナバルとなるが、これをハニバルと表し、あのカルタゴの将軍ハンニバルと同じ綴りの名前だということがすぐにはピンと来なくなっている。

どうも出版期日に追われてのやっつけ仕事ではないか、と憶測したくなってしまう。もしくは、ざらざらした訳文の不快さも、原文(読んだことはないが)の味を表しているのかという深読みもある。

ただ、この菊池光氏、ディック・フランシスシリーズの翻訳を多く手がけている売れっ子ではあるらしい。

なお、前作の「レッドドラゴン」(ハヤカワ文庫)は、小倉多加志、 次作の「ハンニバル」は高見浩が担当しているが、菊池光の翻訳に比べて日本語として読みにくくはない。

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