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2005年2月23日 (水)

「のだめカンタービレ」第9巻から第11巻(最新刊)

のだめが参加したマラドーナコンクール。どうやら作者は有名サッカー選手名をコンクール名につけるのが好きらしい。千秋が参加した、フランスのプラティニコンクールとか。これは、フランスのブザンソンの指揮者コンクール(小澤征爾を初め、多くの日本人優勝者を輩出)をモデルにしているのだろう。

Sebastiano Viella のセバスチアーノはイタリア人の男性名。(だが、よく見ると Sevastiano と b が v になっていた。ドニゼッティのオペラに Don Sevastiano というのがあるらしい)。Viellaはイタリア語で中世のヴィオラのことで、英語ではfiddleにあたるのだという。 ただ、原作の綴りは Viera。パナソニックの薄型テレビの名前がVieraだが、family name としては ポルトガル アゾレス諸島のピコ島出身者に見られるとUSA系のSURNAMEサイトにあった。

またFranz von Stresemann だが、実際にドイツ人にグスタフ・シュトレーゼマンという歴史上の人物(ナチドイツ前のワイマール共和国時代の首相で1926年にノーベル平和賞を受けている)がいる。vonはドイツ貴族を表す姓の一部。正式には von Stresemannと呼ばねばならない。Karajanも von Karajan と呼ばれないと機嫌が悪かったそうである。

楽しく買いつづけたこのコミックも、とうとう最新刊まで来てしまった。

第9巻。のだめ マラドーナコンクール 本選へ。

P.11 ベートーヴェン ピアノソナタ第23番 ヘ短調 OP.57「熱情」

ベートーヴェンのピアノソナタの中期の傑作とされる(ロマン・ロランの傑作の森)。 同じハリセンの生徒が弾く。千秋に去られる以前のハリセンは第3楽章を速く強く弾くように指導したが、解釈を変え重厚に弾かせたようだ。ところで、この第3楽章の激情的な音楽は意外にも Allegro ma non troppo で 適度な(度を越さない)アレグロ。けれど、コーダが Presto でいきなりトップスピードになる。この部分、いろんなピアニストの演奏を聞いてみたが、なぜか和声が崩れたようになるのが気になる。

P.20 モーツァルト ピアノソナタ 第8番イ短調 K.310(300d)
モーツァルトの数少ない短調のピアノソナタ。このほかにはハ短調があるのみ。多くのピアニストが録音、演奏しているが、ディヌ・リパッティの古い録音が名演の誉れが高い。

P.23 シューマン ピアノソナタ第2番ト短調 未聴。
第1番のソナタはCDでも所有し実演でも聴いたことがあるが、難曲。執拗なシンコペーションというと、第2番はどんな曲だろう。

P.31 ストラヴィンスキー バレエ音楽「ペトルーシュカ」からの三楽章
オーケストラで演奏される原曲のバレエ音楽の方が有名だが、その中から作曲者自身がピアノ独奏用に編曲したもの。マウリツィオ・ポリーニのDGデビュー盤に収録されており、有名になった。

P.84 ドビュッシー 「牧神の午後」への前奏曲
フランス象徴派の詩人マラルメの難解な詩「牧神の午後」にインスピレーションを得て作曲されたドビュッシーの傑作。牧神パン(ファヌス)がまどろんでいると、コケットなニンフの幻影が現れ、パンを誘惑する。パンはニンフたちを追いまわすが思いを遂げることはできず、牧神は物憂い倦怠を感じるというような筋書き。当時、舞台にも掛けられたことがあるようだが、相当スキャンダラスなものだったらしい。なお、フルート独奏でいかにもパンの笛という雰囲気の「シランクス」という作品がある。

P.93 サラサーテ カルメン幻想曲 CD所有せず。
名ヴァイオリニスト サラサーテ(1844-1908)の名前は 現代では「ツィゴイネルヴァイゼン」の作曲者としての方が名が高い。ちょうどブラームス(1833-1897)などと同時代人。この曲の元になったビゼー(1838-1875)よりは少し年下。ちなみにフィクションの登場人物だが、あのシャーロック・ホームズはヴァイオリン演奏が趣味で、サラサーテのコンサートにも出かけたことになっている。他の有名ヴァイオリニストの名前も作品中に登場する。

P.99 R.シュトラウス 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
ドイツで中世から親しまれてきた民話による交響詩。リヒャルト・シュトラウスは、「自分に音楽で表現できないことはない」と豪語した作曲家で、数多くの標題音楽を作曲している。「ドン・ファン」「ドン・キホーテ」「英雄の生涯」「ツァラトストラはこう語った」「アルプス交響曲」「家庭交響曲」「死と変容」などなど。また、幅広い題材と技法を駆使した多くのオペラ、楽劇も作曲している。

P.162 ショパン 「24の前奏曲」より第21番

日本では、前奏曲「太田胃散」という名前で知られる曲や、雨だれのプレリュードのニックネームで知られる曲を含む。24曲になったのは、J.S.バッハが「平均律クラヴィーア曲集」のプレリュードとフーガを、12音上の長調、短調すべてを使って作曲したことに影響を受けている。つまり全ての長調、短調を使用している。

第10巻

P.26 ヴェルディ 歌劇「オテロ」
原作は、シェークスピアの「オセロ」。ヴェルディはこのほかに「マクベス」「ファルスタッフ」をオペラ化している。

P.52 ラヴェル 鏡
1.蛾 2.悲しい鳥 3.海原の小舟 4.道化師の朝の歌 5.鐘の谷
印象派と呼ばれるラヴェルだが、スイス人を祖先に持つためか、時計細工のような非常に精緻な音楽を作曲した。しかし、若き日のホロヴィッツがパリでラヴェルのある曲を演奏したとき、小柄な男が近づいてきて「君はリストを弾くようにラヴェルを弾いたね。しかしそれでいいんだよ。」と話し掛けたと言う。その小男こそ、ラヴェルその人だったというエピソードあり。ゆえにリスト風のラヴェルを弾くピアニストと言ったらホロヴィッツなのだろうが、SP時代の録音しかないようだ。

P.129 ベルリオーズ 序曲「ローマの謝肉祭」
初代オーケストラの魔術師 ベルリオーズ。音楽の革命家 ベルリオーズ。偉大なるアマチュア ベルリオーズ。「幻想交響曲」、「イタリアのハロルド」、巨大な「レクィエム」などが著名。歌劇「ヴェンヴェヌート・チェリーニ」序曲と並び、颯爽とした音楽。

P.131 ハイドン 交響曲第104番ニ長調「ロンドン」

ハイドンの交響曲の最後を飾る傑作。モーツァルトの最晩年1791年、ロンドンから招かれて海峡を渡ろうとするハイドンに対して、モーツァルトは年上のハイドンの健康を気遣ってはなむけの挨拶をするが、ハイドンがロンドン滞在中にモーツァルトは短い一生を終えてしまった。

ハイドンの最後の交響曲12曲のロンドンセット(ザロモンセット)は、モーツァルトの傑作三大交響曲より後に、その影響下に作曲されたものと言える。ハイドンのメロディーは素朴で単純。また、ソナタ形式の完成者、主題展開、動機労作の創始者で、楽器法は達人、構成は明解でごまかしようがない。むしろモーツァルトの演奏よりも難しいと言われている。その意味で、ハイドンの演奏は、指揮者、オーケストラの試金石と言えるかも知れない。セル クリーヴランド管の演奏するハイドンを聴いて、ロビンス・ランドンがハイドン学者を目指したといわれている。その水準を推して知るべし。

P.147 ドヴォルザーク 交響曲第8番 ト長調
有名な「新世界」交響曲は、アメリカ滞在中に作曲されたが、この曲は故郷のチェコで作曲されたもの。第3楽章が非常に美しいスラブ舞曲になっている。この曲もセルが最晩年にクリーヴランド管と録音したEMI盤が名盤とされている。

P.162 ラヴェル 管弦楽曲「道化師の朝の歌」
 ピアノ曲「鏡」第4曲からの編曲
ラヴェルは、三代目オーケストラの魔術師だろうか(初代はベルリオーズ、2代目はリムスキー=コルサコフ?)。自作のピアノ曲のオーケストラ編曲が多い。なお、ムソルグスキーのピアノ組曲「展覧会の絵」のオーケストラ編曲で最も有名なのがラヴェル編曲版である。

P.165 R.シュトラウス 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」

P.172 ラヴェル 亡き王女のためのパヴァーヌ
 同名のピアノ曲のオーケストラ編曲版。
この曲も原曲は、ピアノ曲。オーケストラでは、メロディーが与えられたホルンが非常に印象的。ラヴェルの先輩のフォーレも「パヴァーヌ」を作曲している。

第11巻
P.19 ラロ ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調「スペイン交響曲」
スペイン交響曲という題名の付けられたヴァイオリン協奏曲。通常の協奏曲は三楽章形式だが、この曲はなんと五楽章。かつては、冗長だとされ、中間楽章がカットされて録音、演奏されたこともあった(有名なフランチェスカッティ盤など)。スペイン風の物悲しいメロディーが聞ける大変魅力的な曲。

P.20 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲とのカップリングで、メンチャイと呼ばれる。有名なピアノ協奏曲第1番と同様、誕生時には周囲の無理解に晒されたが、その後理解者による辛抱強い再演により、いまやヴァイオリニストのレパートリーとして欠かせない名曲と評価されている。但し、第3楽章には慣例的なカットが多く、一時代前の演奏家の録音はほとんどがカットされており、有名なハイフェッツ盤もカット版による。

P.21 ドヴォルザーク チェロ協奏曲 ロ短調
言うまでもなく最も有名なチェロ協奏曲。ただ、コンクールでの協奏曲指揮だが、それぞれそれなりの長さがあるので、全曲を演奏したのではないと思うが。

P.32 R.シュトラウス 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」

P.42 バルトーク 「舞踏組曲」(舞踊組曲と呼ばれる場合もある)
ピアノ版もあるが、ここでは指揮のコンクールなので、オーケストラ版。

P.128 ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第3番
千秋が世界デビュー。中国人の女性ピアニストとの共演。なお、中国系のピアニストでこの曲を軽々と曲芸のように弾くランラン(朗朗)という男性ピアニストがいる。

P.153 ロッシーニ 歌劇「セヴィリャの理髪師」より「私は町の何でも屋」
「フィガロの結婚」の前日談(後日談ではなく)のオペラ。そのフィガロが歌うアリア。

P.166 ブラームス 交響曲 第3番 第3楽章
先年なくなったサガンの小説「ブラームスはお好き」を原作にした映画「さよならをもう一度」(イングリッド・バーグマン、アンソニー・パーキンス他)のBGMとして使われた。ブラームス自身メロディーメーカーとしてはコンプレックスを持っていたらしく、チャイコフスキーあたりにはその旋律的な要素の欠如を批判されたらしい。また、ヨハン・シュトラウス二世の優美な旋律にはあこがれを持っていたとされる。そんなブラームスが作曲した非常にロマンチックな音楽。特に主旋律が再現する際に、ホルンにより対旋律が寂しげに奏される部分は聴き所。

P.172 D.スカルラッティ ソナタ ヘ長調K.525(L.188)
ホロヴィッツによる有名な録音で聞くことができる。 K.はカークパトリク番号、L.はロンゴ番号のこと。ものすごい数のソナタ(古典派のソナタとは異なり単一楽章)を書いた。バッハ、ヘンデルと同じ1685年生まれ。父は同じく作曲家のアレッサンドロ。

P.186 リスト 超絶技巧練習曲S.139  第1曲「前奏曲」第2曲、第5曲「鬼火」第10曲
Etudes d'execution transcendante というのが原題。のだめがこの曲集をぶっ続けで弾けるというのはそのテクニックの高度さを証明しているが、オークレール師には認められない。

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受信: 2005年10月 8日 (土) 18:59

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