ヨハネ・パウロ2世 逝去
4月3日(日)の早朝、夢現でラジオを聞いていたら、5時の定時ニュースで、ローマ法王の容態が危篤であると伝えるニュースの途中で、緊急ニュースが入り、日本時間午前4時20分頃息を引き取ったということを伝えていた。84歳、四半世紀を越える在位だったという。
音楽史の上でもローマ・カトリックの存在は抜きにして語れず、グレゴリウスやパレストリーナ、ビクトリア、天正遣欧使節のことを調べたいと思っていた矢先、7,8年前に、ちくま新書から「ローマ法王」(竹下節子)というコンパクトな概説書が発行されたので、すぐに購入した。今回の逝去にともない、一般向けとして注目される本になるだろう。この本では法王は当時9億の信者のトップに立つとされていたが、昨今の報道では10億人を超えるとされている。
宗教思想(キリスト教他宗派、イスラム教、ユダヤ教など)、科学思想(ガリレオ、ダーウィンなど)的には寛容、政治的には民主化を推し進めたヨハネ・パウロ2世の功績は歴史的にも大きな評価が与えられるだろう。今朝TBSラジオで、森本キャスターが毎日新聞の記者と話していたが、あの最後のソ連大統領ミハイル・ゴルバチョフが、歴史的なマルタ会談の直前か直後にヨハネ・パウロ2世と会談したことがあり、その際にゴルバチョフが「実は私は4歳の時にカトリックの幼児洗礼を受けています」と告白したところ、法王は「それはバチカンの記録にあります」と答えたというという秘話を披露していた。バチカンの記録には凄みがある。
「ローマ法王」で竹下女史は、バチカンを情報ネットワークを通じたバーチャル国家という指摘していたが、バチカンの情報収集力は巨大かつ綿密だ。冷戦の終結への動きの背後には常にヨハネ・パウロ2世がいたという。
また、この日本では、カトリック信者は決して多いとは言えないが、幼稚園から大学までカトリック系の教育機関に何らかの形で関係を持ち学んだ日本国民は相当な割合になるという。とりわけ、ミッション系の女子大には、いわゆる「お嬢様たち」が学ぶことが多く、それらの女性たちが、将来社会的に重要な地位を獲得する(予定の)男性と結婚する機会が多いことも指摘されている(日本国の皇后陛下もミッション系の大学を卒業されていることも書かれていた)。また、プロテスタントが建国したUSAでも、私立教育ではプロテスタント系より圧倒的にカトリック系の教育機関が多く、プロテスタントであっても多くはカトリック系の教育機関で学んでいるのだという。
ローマカトリックのプラス評価の反面、カトリックが神父の妻帯を認めず、女性聖職者も認めていないことにも原因があるのだろうが、数年前から北米を中心に、神父による児童の性的虐待などのスキャンダルが相次いで報道され、ヴァチカンが単なる遺憾の念を表明しただけだった(ように記憶している)のは、問題の根深さを想起させるものだった。器具による避妊(荻野式は認められているらしい)、人口中絶、同性愛など、性愛、生殖に関することについては、ヨハネ・パウロ2世はずっと保守的な立場を崩さなかったようだ。これが、カトリック教徒の多い開発途上国での人口爆発に通じていることをローマカトリックはどのように考えるのだろうか?
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