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2005年5月 5日 (木)

一夜城と地球博物館

P5040080この黄金週間は、2日と6日が通常の出勤日と登校日のため、我が家では最長10連休の可能性はまったくなく、実家への里帰りもできなかった。

ちなみに、中国本土は労働節(メーデー)を起点にした7連休が数年前から国の制度となっている。これは日本のゴールデンウィークを真似て内需拡大を図ったものだという。しかし、香港、台湾はメーデーは休日だが、それ以外は休まない。韓国は5月5日が日本と同様子どもの日の休日になっている。つまり、日本と中国本土以外は世界的にこの期間は特別な連休になっていないため、輸出入の関係する製造業、貿易関係ではさまざまな支障が出る。なお、台湾企業は猛烈に中国本土に進出しているが、相当高い休日割増しを払って工場を操業している企業も多いという。閑話休題。

さて、5月4日は国民の祝日で休み。以前から計画していた小田原市にある「神奈川県立 生命の星・地球博物館」に行くことにしたが、五月晴れになりそうだとの天気予報を聞き、室内ばかりでは惜しいと、そのすぐ近くに位置する豊臣秀吉の小田原攻めに使われた石垣山(通称 「一夜城」)までハイキングで往復した後に、博物館に立ち寄り、帰路鈴廣の蒲鉾博物館を見物し、最寄の地ビール工場に併設のビヤホールで食事をしてから帰るというスケジュールにした。

小田急も大山、丹沢、箱根方面への観光客で相当混んでいた。箱根登山鉄道へは箱根湯本まで小田急が乗り入れており、その入生田(いりうだ)という小さい駅で降り、歩道橋を渡るとすぐに立派な博物館の建物が目に入る。早川を隔ててその向こうに箱根方面から海岸に向けて伸びている尾根の一番海際の小さいピークが一夜城の旧跡で、入生田駅から約3kmで1時間の道のりとのこと(なお、歩道橋で跨いだ国道1号線は非常に込み合っており、小田原始発の箱根行きのバスは交通渋滞のため、箱根湯本からの始発に急遽変更とのアナウンスが電車内で流れていたほどだった)。

博物館で用を足し、早川にかかる太閤橋という古いコンクリート製の橋を渡る。その先にも舗装道路は続くが、工事中とのことでクルマの進入は禁止されていた。途中まで立派な舗装道路が続くがクルマを気にすることがないので非常にのんびりと歩くことができた。しかし、いずれ工事完成後にはこののどかな山道も車のガスと騒音にまみれるのだろうと思うと少々憂鬱になる。尾根の急斜面はこの土地の先人達の築いた立派な段々畑の石垣があり、主に蜜柑畑が営まれていた。蜜柑輸送用の農業モノレールが珍しく、子ども達は興味津々だった。途中に茶畑もあった。それにしても、この山奥にまで立派な道路を通し、山肌にがけ崩れ防止の巨大な胸壁が設けられているのは、いわゆる公共工事による税金の無駄遣いではなかろうか?途中、箱根ターンパイクをまたぐあたりで橋梁工事中でハイカー用に工事用の歩道が設けられていたが、なぜあんな立派な橋梁が必要なのだろう?

非常に好天で日差しが強く、子どもに合わせて10分歩き5分休みというペースだったので、標準時間のほぼ2倍の所要時間でお昼頃ようやく一夜城の城跡に着いた。展望台からは相模湾から相模灘と小田原市方面が望め、海浜に白い波が打ち寄せ、漁船がいくつか漂っていた。絶景だったが、この城の狙いだった小田原城跡は、ちょうどその方向に木が生い茂り、肉眼では見通せなかったのは残念だった。

本丸には木造の神社や相当古い石塔などもあった。小田原攻めの後は廃城になったのだろう。昔の栄華いまいずこ。本丸のはずれには天守台という小高い丘もあったが、天守閣が建造されていたにしては狭いもので、周囲の木々により展望は利かなかった。

本丸から一段小田原側に下ったところにある二の丸は結構広い芝生の広場になっていて、家族連れや若者が結構訪れて来て、昼食を取り、遊びに興じていた。我が家でもここで昼食にした。ゴムボールを持参してきていたので、子ども達とハンドベースボールごっこをやって楽しんだ。なお、この城跡には東海道線の早川駅方面からはクルマで登ってくることも可能で、結構広い駐車場があり、小田原周遊バスなどという100円で乗れるバスのルートにも入っているようだった。

秀吉はここに布陣している100日間、京都からの勅使を迎えたり、大坂から淀君や千利休を呼び寄せたり、仙台から秀吉に和を講じにやってきた伊達正宗に面会し、その威に服させたというような逸話があるという。

このような山城ゆえ水はどうしたのだろうと思っていたが、場内の案内札に井戸曲輪(いど くるわ)というものがあり、直接見には行かなかったが、後で調べてみると相当立派なもので今でも水が湧き出しているという。この山城は独立峰ではなく、箱根の方からの山の稜線にあるため、恐らく地下水が出やすいのだろう。(帰路、子ども達とあのような山で生活するのに苦労するのは何だろうと問答してみたがすぐには分からなかった。)

参考:いしがき‐やま【石垣山】 神奈川県小田原市内南西方にある山。明応四年北条早雲、天正一八年に小田原征伐の豊臣秀吉が陣を置いた。標高二四一メートル。笠懸山。(国語大辞典(新装版)ゥ小学館 1988)

国の史跡であり、この辺一帯は富士箱根伊豆国立公園に含まれるのだという。

下山にはそれほど時間を要さなかったが、登りには気がつかなかった山の荒れが目についた。ヒノキ林なのだが、細い倒木が結構目立つ。また風水害による倒木もあるようだ。ターンパイクを走るバイクなどの爆音がなければ、ヒノキの森林浴もでき、空気も新鮮でまったくの別天地なのだが。なお、下山前に駐車場のそばに近隣の農家の人が夏みかんなどの売店を出していた。新茶が安く売っていたので求めたが、帰宅後淹れると淡い色だが香りが爽やかで美味だった。

県立地球博物館は、もともと横浜の馬車道にあった県立博物館の科学部を1995年にここ移転させたものだという。ホームページからは想像もつかないような立派な建物と展示内容(検索したら詳しい感想が見つかった。視覚障害のある人にも触感により実感できるユニバーサル方式で有名なのだという。)だった。なお、科学部移転後の県立博物館は、県立歴史博物館という名称になった。

数ヶ月前、昨年の秋に新装なった国立科学博物館の新館(最大のティラノサウルス・レックス スーが来日している恐竜博2005にも前売り券があるので行く予定だが、結構混んでいそうだ)にも行って来たが、この生命の星・地球博物館の展示はそれに比べて規模は小さいとはいえ工夫が凝らされ充実している。特に、地質時代関係の標本はほとんどが手で触れることができ、2トンもある巨大鉄隕石や、39億年前の地球最古の岩石に触れることはもとより、その後に控える動物の剥製類にも触ることのできるものが多い。その他の展示もコンパクトだが工夫されており、あえて言うならば、国立科学博物館よりも優れている。ディプロドクス、ティラノサウルス、マンモスなどの骨格標本もあり、オオカミなどの哺乳類、海獣類、霊長類の剥製もあった。子ども達も大はしゃぎだったし、巨大な水晶、アメジスト、トルコ石、砂漠のバラなどの標本には妻もうっとりしていた。昆虫類も国立科学博物館同様、多様性という視点でまとめられていたが、巨大昆虫のコレクションが面白かった。また、映像室では短編映画が上映されているが、コンパクトではあるが質の高い映画館になっていた。

3階(2階は実際は中2階でライブラリがある)には神奈川県にゆかりのある展示がされており、地質学的な展示から動植物の展示が結構充実している。アケボノゾウやナウマンゾウの骨格レプリカもあった。現在では北極圏に住むヘラジカがかつてこの神奈川にも生息していたというのが面白かった。日本オオカミの頭骨は丹沢山地の民家にいくつか伝わっており、丹沢にかつて生息していたのだが、残念ながら剥製展示は「模造剥製」というもので、恐らく柴犬などを元に作られたものだと思われ、絶滅動物のコーナーに展示されていた。長男は現在ニホンオオカミに非常に関心があり、ミュージアムショップに1998年にオオカミの特別展が開かれた際の図録があるのを見つけ、購入した。

なお、入場券を購入しなくても、3階の巨大図鑑の部屋や映像室、レストラン、ミュージアムショップ、トイレなどは利用可能のようだった。(2階はミュージアムライブラリ)

連休の中日なので非常に混雑するかと思っていたが、場所が辺鄙なせいもあり、訪問客があまり多くないのは、これだけ充実した(要するに税金を多く費やしている)博物館としてはもったいないものだと思った。

隣駅の風祭駅で降り(風祭駅はプラットフォームが非常に短く、箱根湯本方面の一両分のドアしか開かないので注意が必要)、近くにある蒲鉾博物館を閉館前の5分程度駆け込みで見学し(残念ながら蒲鉾作りの実習は次回以降に持ち越し)、道の向かいにある蒲鉾屋直営の大きなビアホールで夕食にした。ほとんどがクルマでの来客だったようだが、当然といったように皆さんビールを召し上がっていた。箱根コースというのをオーダーしたが、結構珍しい料理なども出たし、地ビールも旨かった。ただ、連休中で多忙なのだろうが、コースの料理が順番通りではなかったのと、料理のサービスの間が開き過ぎたようで、少々残念だった。

帰路の小田急も行楽帰りの人たちで混雑しており、ずっと立ち通しで疲れた。

このようなハイキングは、適度に身体に刺激を与えてくれるので、たまにはいいものだ。

【追記】
国語で擬人法というのを習っているというので、歩きながらその話をしたところ、山の木々が風に揺れているのを見て、「木が手を振って見送ってくれている」とか言っていたのを思い出した。

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