« 最近買ったCD | トップページ | 夏休み後半に訪れたミュージアム »

2005年8月22日 (月)

実家でLPを聞く

PATHE

BR2 MA9 SHOS5 BR4 BEE9-2 BEE9
TCHAI1 BR1 WINTER MENTCHAI MO4041pathe_karajan BEE5
お盆明けに夏休みが取れたので実家に帰省した。家族とは向こうで落ち合った。それまでレコード針の磨耗でLPが聞けなかったが、一昨年、シェル付きカートリッジを購入し、LPが聞けるようになったので、懐かしいLPを何枚か聞くことができた。

上段の左隅は、トスカニーニ/NBC響によるチャイコフスキーの「悲愴」のSP。父が1950年代に当時の大枚をはたいて買ったもの。これは立派なケース入りだが、同じトスカニーニ指揮、ハイフェッツによるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、袋入りのバラ売りで買ったらしい。現在プレーヤーが78回転対応ではないので、しばらく聞けていない。

その左からに、先日亡くなったジュリーニ指揮ロスフィルによるブラームスの2番、ジュリーニ指揮シカゴ響によるマーラーの9番、先日フィリップスの1000円シリーズでも出たMr.Sことスクロヴァチェフスキとミネソタ管(ミネアポリス響)によるショスタコの5番、セルのブラームス4番。

順に左から、珍盤とされるクリップスの第9の帯とジャケット。次はリヒテルとカラヤンのチャイコフスキーの1番、ベームのブラームス1番、先日ワルターの「大地の歌」で触れたテナーのパツァークとピアノのデムスによる「冬の旅」(プライザーというレコード会社が原盤らしい)。

同じく左から、フランチェスカッティとミトロプーロス,ニューヨークフィルハーモニックによるメンチャイ。フランチェスカッティの音がすこぶるつきの美くしさ。ベーム/ベルリンフィルのモーツァルトの40番、41番。カラヤン/ベルリンフィルの悲愴。バーンスタインとニューヨークフィルハーモニックによるベートーヴェン5番とシューベルト8(7)番(未完成)。

これはホームページや以前にこのブログでも書いたような気がするのだが、実家のステレオは古い割に非常に分解能がよく、定位もよく決まり、ホールの残響が消えていく様子などもよく聞き取れるほどだ。音色的な魅力はそれほどないが、携帯電話のカメラで撮ってきたこれらのLPジャケット写真以外のLPでも非常に明晰な音楽を堪能できた。

中で非常に感心したのは、フェドセーエフ/モスクワ放送響による「春の祭典」だった(これはかつてレコ芸の特選盤読者プレゼントであたったものであまり聞き込んだ記憶のないもの)。長男がハルサイマニアなので、わが青春のC.デイヴィスのハルサイと聞き比べたのだが、C.デイヴィスの録音が重厚なルーベンス的な絵画だとするとフェドセーエフのものは、フォービズムのごとき色彩の乱舞だった。野蛮であり、生々しく、下品という言い方もできるが、ここまで原色的な演奏はこれまで聞いたことがなかった。刺激が強い演奏だが、長男も満足していた。

クーベリックによるマーラーの第4もくっきりと締まった演奏に聞こえ、聞き応えが十分だった。

これらを聞くと、現在の微温的な表情のCDでの音楽鑑賞に疑問が生じてしまう。音楽情報の量と質が格段に違うのだから。

|

« 最近買ったCD | トップページ | 夏休み後半に訪れたミュージアム »

コメント

望さま こんばんは。
何か懐かしいジャケット写真ですね。私も、お盆休みに実家の自室で、20年ぶりにLPレコードを段ボール箱から出して、眺めておりました。(写真撮ればよかった。。。)
 中に全く記憶にない(多少はあるけど)LPも数枚あり、「このレコード買ったかな?」と驚くこともありました。レコードなんて何枚も無いのですが、記憶が曖昧で。そう言えば、小沢・ボストン響の「ハルサイ」もありました。これも記憶無しでした。
 私も望さまと同じくC.デイヴィス氏の演奏が好きで(当時LPでは購入できず、友人にテープにして貰いました)、数年前にやっとCDで購入したのですが、LPで聴かせて貰ったときの方が、もっと衝撃的な印象が強かったです。(再生環境も違いますが、汗)
 今、9月に再販されるジュリーニ氏のブラ2を、楽しみに待っております。(これも当時、高くて買えませんでした、涙)

投稿: みー太 | 2005年8月22日 (月) 22:19

お久しぶりです。いや良いですね。写真だけでも。LPで持っていないものは全てターンテーブルに乗せて聞いてみたい。SPも貴重品ですね。割らないようにお願いします。

フェドセーエフ/モスクワ放送響は、モススタジオ録音でしょうか、それともチャイコフスキーホール?因みに前者は、黒澤の名作映画が撮られたスタジオです。

「音楽情報の量と質」。何時もながら考えさせられるご指摘です。

投稿: pfaelzerwein | 2005年8月23日 (火) 08:20

みー太さん、pfaelzerweinさん コメントありがとうございます。

「音楽情報の量と質」という点については、極私的な比較でして、現在私がCDを聞くのに使っているオーディオ装置の癖や調子、部屋の音響に相当寄りかかった表現で、決してデジタルの利点も認めていないわけではありません。実家は高燥の地にあり夏でも乾燥気味なのも効いていると思います。ただ、今回聞いたLPの音が、最近買った安いカートリッジで30年近く前の装置なのに鮮烈だったのには驚きます。

C.デイヴィスの「ハルサイ」は、先日CDで買ったばかりだったのですが、特にパーカッションが素晴らしいと思いました。

フェドセーエフのは、確かスタジオ録音だったと思います。ジャケットの裏表紙には、録音風景の写真が掲載されていましたが、チャイコフスキーホールではなかったようです。JVC(日本ビクター)のデジタルモスクワ録音シリーズの第一弾とのことです。あまりの生々しさにしばらくあっけに取られました。

当時、父は月給の何ヶ月分をつぎ込んだらしいのですが、そのSPが掛けられるターンテーブルをいつか買いたいものだと思っています。NAXOSやRCAレーベルのCDでは同じ音源が入手できるようですが。

投稿: 望 岳人 | 2005年8月23日 (火) 18:52

「コンポーザーXの怒涛のCD批評〜ブラームス 交響曲第1番(ベーム&ウイーンフィル) (コンポーザーXの怒涛のクラシックCD批評) 」というトラックバックをいただいたので、トラックバックを返信しました。

ベーム/VPOのブラームス全集は、私の高校の頃LPで発売されたものだと思います。当時独墺系の音楽でのベームの人気、権威は、アンチカラヤンの傾向を下地にして他をはるかに圧倒するものだったと記憶しています。彼らの初来日公演は、高校の音楽の教師がNHKホールまで聞きに行ったとのことで、授業でうれしそうに話してくれました。(そう言えば、この先生もセルが好きで、セルとギレリスのベートーヴェンを聞かせてくれました)

LPジャケット集で挙げたベームのブラームスは、1960年代のベームとベルリンフィルとのものです。ベームはベルリンフィルとは結局全集を残しませんでしたが、この第一番は、私にとっては、ザンデルリンクとドレスデンシュターツカペレの録音と並んで双璧です。少なからぬ録音を聞いて来た中で、集中力の高さ、剛毅朴訥で構成的な北ドイツ気質がよく出た演奏だと思います。今でもCDで入手できるようです。ベーム/VPOの来日公演でのブラ1はLPで所有しております。これを生で聞けたらさぞすごいと思いますが、集中力という点では少々BPOとの録音に遅れをとるという印象があります。

投稿: 望 岳人 | 2005年9月 1日 (木) 09:28

TBありがとうございました。
 ベームの話、興味深く読ませていただきました。そうか、アンチカラヤンだったな・・と納得。
なにかものすごい人気だったのはおぼろげながら覚えております。

 BPOの演奏は興味ありますねぇ。モーッァルトのVPOとBPOの演奏の違いを重ね合わせると大体イメージできそうですが、趣味的にはVPOをとりたいです。でもベームらしさでいっぱいなのはBPOなのでしょうね。
(聞いてみなkれば本当のところはわかりませんが・・・)

上記LP、我が家にもセルのブラームス、カラヤン&リヒテルのチャイコフスキーがありました。
ジャケットがちょっと懐かしいです。

投稿: コンポーザーX | 2005年9月 3日 (土) 01:17

コンポーザーXさん、コメントありがとうございます。

ベーム/BPOの録音は私にとってこの曲の入門、いわゆる「刷り込み」的なものなので、他の演奏や録音を聞く際に、これをリファレンスとして聞いてしまう傾向がありますが、この曲に柔軟性よりも剛毅さ、頑固一徹さを求める人にお奨めだと思います。セルのブラームスの1番も同じ傾向かと思っていたのですが、意外にも違いました。

投稿: 望 岳人 | 2005年9月 5日 (月) 13:03

望 岳人-san
こんばんは〜! そして、初めまして!
mozart1889-san のムターのコメント欄から飛んできました。
こちらのサイトのどの記事にコメントしたら良いかを探している内に、私も持っている〈ベームのブラ1〉のレコードが目に入り、ここに留まって記しています。

ところで、望 岳人-san がムターのCDの音質についてコメントしていましたが、私も同じようなことを感じています。
グラムフォンの音質は、デジタル、アナログを問わず、自然な感じでとても好きです。4Dにしてもそれは当てはまり、件のムター盤などは上半身が左右に振られた時のヴァイオリンの動きさえも感じられる程です。

ところが、ソニーのデジタル盤の音質は、かなり違和感を覚えるので聴く気が失せてしまいます。不思議なのは、同じDDDでも五嶋みどりや水戸室内楽団の盤は美しい音で鳴ってくれます。
ですから、ソニーにはスタンダードと言うものがないのでは?と、思ってしまう程バラつきを感じます。
すみません、長くなって!
ソニーの件については、前橋汀子の〈チゴイネルワイゼン〉の記事でこき下ろしていますので、是非、拙ブログにもお寄り下さい。お待ちしております。

投稿: yuhoto | 2005年12月20日 (火) 22:01

yuhotoさん 初めまして。コメントありがとうございます。

blog拝見しました。エントランスにアナログプレーヤーの画像があるのがうらやましいです。

ムター盤の録音の克明さはDGのポリシーでしょうか。「ヴァイオリンの低音と高音で、音像が左右に少し動く感じがする。」というのは珍しい録音だと思いました。

前橋汀子盤の世評は高いようですが、これまで残念ながら聴いたことがありません。(指揮の小泉さんといえば、群馬交響楽団と第九を歌ったことがありました。結構妥協を許さない指揮者でした。)

SONY CLASSICALになってからの録音はそう言えばあまり持っていないですね。五嶋みどりのカプリスは自分も記事に書きましたが、結構いい音だと感じています。

またよろしくお願いします。

投稿: 望 岳人 | 2005年12月21日 (水) 18:21

望 岳人-san

またまた、お邪魔します。
私の固定ページにある GIF アニメ画像は、レコード・プレーヤーとCDプレーヤーの2つを1週置きに入替える積もりでデザインしたのですが、このところそれが出来ていません。
次のCDレビューの時に入替えますので、また、遊びに来て下さいね!

投稿: yuhoto | 2005年12月23日 (金) 11:20

yuhotoさん、時々おじゃまさせていただきますので、よろしくお願いします。楽しみにしています。

投稿: 望 岳人 | 2005年12月25日 (日) 15:11

こんばんは!
今年も色々ありました。
来年も音楽に限らず、素敵な交流が出来ることを願っております。どうぞよろしくお願い致します。
それでは、良いお年をお迎え下さい。

投稿: yuhoto | 2005年12月31日 (土) 23:05

yuhotoさん コメントありがとうございます。

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

投稿: 望 岳人 | 2006年1月 3日 (火) 22:44

望 岳人-san

おはようございま〜す!
元日から6日まで、ブログを休んでいました。
お邪魔するのが少し遅れてしまいましたが、7日に私の固定ページの GIF アニメをCDプレーヤーに変更しました。時間が取れましたら、また、お越し下さい!

投稿: yuhoto | 2006年1月13日 (金) 08:58

こんにちは。

CDプレーヤーの楽しい画像拝見しました。

投稿: 望 岳人 | 2006年1月15日 (日) 10:48

沢山のコメントですね。SPのトスカニーニ、私は知人から
借りていたベートーヴェンの第7番が懐かしいです。
ブラームスの4番はワルターでしたが、すっかり夢中になったものです。確かウィン・フィルだったと思うのですが。
ベームもカラヤンも若い顔してますね。
それと、ブラームス4番の葉巻きをくわえ 眼鏡姿の黒い人はセル氏なのですか? ユニークな画像ですね。

投稿: | 2006年5月 2日 (火) 11:38

丘さん、こちらにもコメントありがとうございます。

SPや特に初期のLP期の録音は、現在のCD時代の録音に比べて真剣勝負的な演奏が多いように思います。また、音楽の聞こえ方も音響特性の上ではCDの方が優れているのでしょうが、どうも実在感のある音はLPの方にまだ一日の長があるように思います。LPが常時聞ける状態にある皆さんはうらやましいです。

さて、セルのブラームスの4番のジャケットは、高校生時代に求めた1300円の廉価盤シリーズのものでして、影絵の図像はブラームスのカリカチュアだそうです。ヴィーンに「赤いはりねずみ」なるレストラン(ホイリゲ?カフェ?)があり、そこの常連だったブラームスとはりねずみとを一緒に散歩させているそうです。

投稿: 望 岳人 | 2006年5月 2日 (火) 12:39

こんばんは。黒い人物はブラームスでしたか。セルでは太過ぎますね。(^。^)
ブラームスとはりねずみとはユーモラスです。
LPの方が一日の長、確かにそう感じます。ご実家でじっくり
LPの音をお楽しみ下さい。お返事有難うございました。

投稿: | 2006年5月 2日 (火) 18:59

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 実家でLPを聞く:

» コンポーザーXの怒涛のCD批評〜ブラームス 交響曲第1番(ベーム&ウイーンフィル) [コンポーザーXの怒涛のクラシックCD批評]
ブラームス 交響曲第1番 ハ短調 op68          〜初演は1876年 ブラームス 交響曲第1番最初の2枚はベーム&ウイーンフィル。 ベームと息の合ったウイーンフィルとののブラームス交響曲第1番。録音は75年。 ■ ブラームス 交響曲第1番 1...... [続きを読む]

受信: 2005年8月31日 (水) 18:06

» C・デイヴィス/コンセルトヘボウ管のストラヴィンスキー バレエ「春の祭典」 [クラシック音楽のひとりごと]
元巨人軍監督の藤田元司さんが亡くなりました。 当地、伊予西条は藤田さんの故郷。出身は隣町の新居浜ですが、西条高校での大活躍が、のちの藤田さんの球歴の原点でした。 当時はノーコンの剛球投手。「四球を4つ出す前に、三振を3つ取れば零点や」というピッチャーだったそうです。(と、西条のオールド・ファンたる父は言っております) 地元の愛媛新聞は、その訃報に大きく記事を割いております。愛媛や西条の野球熱を支えた野球人の一人でありました。僕等夫婦の結婚披露宴には主賓でおいで下さいました。増上寺での葬儀、地元からも... [続きを読む]

受信: 2006年2月12日 (日) 04:11

« 最近買ったCD | トップページ | 夏休み後半に訪れたミュージアム »