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2005年10月 9日 (日)

藤沢周平 「漆の実のみのる国」(上)

fujisawa_urusi1 映画「蝉しぐれ」が公開されたこともあり、藤沢周平の遺した作品への興味が再燃している。最初に読んだのは、学生時代父親の本棚で見つけた「用心棒日月抄」か「三屋清左衛門残日録」だったと思う。その後、評伝的な小説「一茶」を読んでみた。「蝉しぐれ」も読んだ。

先日来、司馬遼太郎の「関ヶ原」で、家康の会津の上杉攻めの前後、上杉景勝と直江兼続のことを読んでいたが、その関ヶ原の戦い後、上杉氏は、山形県の米沢に移封された。よく取り潰しに合わなかったものだと思う。この、「漆の実・・・」にあるように、120万石から30万石に大幅に減らされながら、家臣全員で国替えに応じたのも、いざとなれば戦に訴える気概があったことを示すのかもしれない、などと考えた。なお、その後、15万石までに減封されるのだから、ひどい。

さて、この小説だが、名君とされる上杉鷹山を描いた、藤沢周平の絶筆である。鷹山といえば、例のJ.F.Kが尊敬する人物としてインタビューで名前を挙げ、日本の人々が、Who is Yozan? と言ったエピソードがあったと思う。(藩政改革者としては、松代真田藩の「日暮硯」の恩田木工のことも思い出される。こちらは池波正太郎の小説で読むことができる)

また、確か数年前のNHKの正月時代劇で筒井道隆が上杉鷹山を主演したが、その原作がこれではなかったか?

司馬遼太郎の小説と違い、一行の文字数が非常に多いので気軽に読み進めるというふうには行かないが、それでも非常に面白く読み始めている。

今日は関東地方は秋雨前線のために朝から小雨で、せっかくの三連休も行楽には向かず家族ともどもごろごろして一日を過ごしたが、それとはまったく逆の内容の小説を読み進めるというのも面白い。

明日も天気はぐずつきそうだ。

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コメント

この3連休にようやく下巻の最後まで読み通した。そう言えば、かつて文芸春秋に連載中のこの作品を少し読んだ事を思い出した。

「英雄」鷹山を顕彰するというのではなく、その陰に多くの逡巡、挫折、後悔があることを細かく描き、それらを乗り越えて粘り強く、尊民的な藩政改革を継続していく姿を描いている。その持続的な気力はどこから生まれたものなのだろうか?素質、教育、環境・・・

ただ、作品としてはバッハやモーツァルトの絶筆のごとく、死の床につく直前まで執筆していたとのことで、痛ましさを覚えた。

普通に上杉鷹山の業績を追うのなら童門冬二の小説の方がいいのかも知れない。
http://www2.freejpn.com/~az1156/page171.html

投稿: 望 岳人 | 2005年10月13日 (木) 17:58

藤沢周平の愛読者としては読むのがつらくなる作品です。とくに、下巻になると、気力・体力ともに低下して、つらかったんだろうなぁ、と思える描写が多くなります。ほぼ絶筆に近い作品ですので、童門冬二の著書とくらべると、やや苦い味がします。

投稿: narkejp | 2005年10月16日 (日) 16:48

コメントありがとうございます。narkejpさんの藤沢周平についての記事を拝見しており、実は以前から気になっていた「漆の実・・・」を、最近の「蝉時雨」の記事に触発されて読んで見ようと思った次第です。

確かに、同じ鷹山を描いても童門冬二のものとは大いに異なりました。藤沢周平ならではの繊細な感情描写に読み応えを感じましたが、ところどころ本来なら単行本にまとめるにあたって推敲したかったのだろうと思う部分などがあり、読みながら辛さを感じた次第です。

投稿: 望 岳人 | 2005年10月16日 (日) 21:54

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» 「一茶」(藤沢周平)の人間くささ [Good Bye Internet .com]
藤沢周平の「一茶」を読みました。小林一茶といえば「やせ蛙 負けるな一茶 これにあり」などの句が有名で、どこか愛嬌のある句を読む俳人というイメージがあります。でも調べてみると、つねに貧しさと向かい合わせの暮らししかできず、果ては弟をだまして遺産を巻き上げた悪党、ということも語られています。 この本を読むと、つらくなります……。 幼いころの継母から受けた虐待、それを見かねた父親に江戸に奉公に出されたものの長続きせず、職を転々と変えていく一茶の姿は、江戸時代のそれでなく現代とも重なってきます。...... [続きを読む]

受信: 2005年11月19日 (土) 10:06

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受信: 2009年7月23日 (木) 23:46

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