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2006年2月 3日 (金)

小澤征爾氏 4~5ヶ月療養のため指揮活動中止

ヴィーン国立歌劇場の音楽監督としての仕事を2006年一杯休むということで、回復が見込まれる8、9月のサイトウ・キネンフェスティバル松本には参加の予定とのこと。

1/16共同通信ニュースで、「ウィーン国立歌劇場(オペラ座)の報道担当者は16日、同劇場音楽監督の小沢征爾氏がモーツァルト生誕250周年を記念して27日からウィーン市内のアン・デア・ウィーン劇場で予定していたオペラ「イドメネオ」の指揮を「体調不良」を理由に辞退したことを明らかにした。」ということで、その後2/1付けで、「【フランクフルト1日時事】ウィーン国立歌劇場は1日、音楽監督を務める指揮者、小澤征爾氏(70)が病気療養のため、年末までの全公演の指揮をキャンセルすると発表した。」というのが、発表としては正確のようだ。

USAのタングルウッド音楽祭では2/1の発表に関わらず、この夏の小澤の参加を期待しているという。(Boston Herald)

(少々事情通ぶって書けば、ヴィーン国立歌劇場といえば、以前、ベーム、カラヤン、マゼールという大物を辞任に追いやった「伏魔殿」のイメージが強いので、そちらの方面でも心配なニュースではある。)

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Wiener Staatsoperの公式ページより

Ioan Holender Direktor der Wiener Staatsoper Director of the Vienna State Opera  Director

Seiji Ozawa   Seit der Saison 2002/2003 Musikdirektor der Wiener Staatsoper Principal conductor of the Vienna State Opera since the 2002/2003 season  Music Director 

小澤氏のポストの英語名が首席指揮者というのがどうかと思う。

----2/2深夜投稿-----------------
「小澤征爾氏 今年いっぱい療養のため指揮活動中止」

朝のラジオで、「ウィーン国立歌劇場音楽監督の指揮者小澤征爾氏が、病気療養のため、今年いっぱい指揮活動を中止するとのことです。」という短いニュースが読み上げられ驚いた。普段少々批判的なことを書いてはいるが、素人のこのようなたわ言などではまったく影響のないバイタリティのある人物として、失礼は承知の上で、磐石な岩に向かっているように安心して言わせてもらっていたので、その人物が一年もの長い間、指揮を休まざるを得ないというのは正直ショックだ。

万年青年的な小澤征爾氏もすでに70歳の古希を迎えたのだから、いくら精神的には若々しくても、体力的には相当きつくなっているのではないかと危惧してしまう。若い頃からジェット機で世界中を飛び回り、世界一流のオーケストラ、ソリストと音楽を作り上げることは、それこそ超人的な体力が必要だろう。

先般、ゲルギエフとマリンスキー歌劇場(旧キーロフ : ソ連時代の名称で、セルゲイ・キーロフという人物に由来するらしい)歌劇場が、日本で「ニーベルングの指環」を全四夜、ほとんど連続で公演したというが、プロの音楽家はまさに超人しかなれないのかも知れない。

小澤氏の指揮は、二度生演奏に接したことがある。

一度目は、1980年ごろだったと思うが(ちょうど東京国立博物館では正倉院展が開かれておりそれを見てから、激しい秋雨の中、文化会館に行ったことを覚えている)、ボストン交響楽団の来日公演を東京文化会館で聴くことができた。ヴェーベルンの短いオーケストラ曲と、シューベルトの未完成、バルトークのオケコンだった。今から20年以上も前で、自分もまだ学生だったし、小澤氏も50代でまだ指揮者としては若い部類で、颯爽とした演奏が魅力的だった。後に、初版の短いほうのフィナーレのコーダにより(クーセヴィツキーのライブもこれだが)CDでも発売されたが、このときのオケコンはどうだったのだろうか?ちょうどその頃は、オケコンの録音や演奏会ライブ放送が多く、オーマンディ、ショルティ、マゼールなどのエアチェックテープで盛んに聞き比べを楽しんだ頃だった。小澤氏のオケコンは特にフィナーレの爽快でアクロバティックな運動性が魅力だった。金管も(その後、暴露本で読んだ小澤とボストンのブラスとの軋轢をよそに)非常に透明で輝かしいアンサンブルを聞かせてくれた。未完成は、弦楽器の柔らかい音色が耳に残っている。ヴェーベルンはそのときに初めて聞いた曲で、それ以来耳にしていないのでなんとも言えないのだが。このときの公演では、確か「春の祭典」も別のプログラムにあったようだ、朝日新聞で吉田秀和氏が賞賛していたのを覚えている。

追記:海外オーケストラ来日公演記録抄で改めて確認したところ下記の通りだった。

1981年11月2日:東京文化会館 ウェーベルン/五つの小品 シューベルト/交響曲第7番「未完成」 バルトーク/管弦楽の為の協奏曲

二度目は、1993年9月の、松本市で行われた斎藤記念フェスティバル第二回のオペラ公演。オネゲルの劇的オラトリオ「火刑台上のジャンヌ・ダルク」だった。徹夜でチケット売り場に並び、ようやく手に入れたチケットで、結婚前の妻と観に行った。松本は残暑で暑かったのを思い出す。ロビーでは、ヘネシー?か何かの協賛で、ブランディーを振舞っており、少し試飲したせいかそのアルコールに少々火照りながらの鑑賞だったように記憶している。

この独特のオラトリオをオペラ的に舞台化して、衣装をつけたジャンヌや主要人物、ソリスト、黒子的な合唱団のコーラスによって演奏された。オケは、ホルンが確か登場せず(代わりにサキソフォーンの独特の響きが珍しい)、サイトウキネンオケの水野氏の姿を見られないのは残念だった。演奏については、予習もできず、まったくの初物だったので云々できないが、飽きることはなかった。

ジャンヌ役のマルテ・ケラーがやはりジャンヌを演じるCDがDGから発売されており、この公演後ロビーで求めた。このCDはフランス革命200年の記念演奏会のライブレコーディングということで、小澤以外はフランス国立管弦楽団などフランス人で固められている。このような演奏会に、いくらブザンソンの優勝者でフランスに縁があるとは言え、小澤を指揮者に起用するというのはフランス人も太っ腹だと思った。(なお、小澤は古くはCBSに英語版のこの曲を録音しており、個人的にも得意な曲なのだろう)

ozawa_jeanne

その超人的な体力で、ぜひ早く回復して、また活躍してもらいたいものだ。

 

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コメント

初めて書きこさせて頂きます。私はクラシックって詳しくないんだけど、サイトウ記念フェスティバルは、初めて音を聞いた時から日本人がこんな世界レベルの演奏をするなんて凄いな!って思って、せっかく毎年長野で聞く事ができるんだし、一度は生で聞いてみたいなと思っていました。でも、お病気と言うことは、今年のサイトウ記念はどうなるんですか?その頃には元気な姿を見られるんですか?そして私は京都に住んでいるんですが、サイトウ記念フェスティバルのチケットはどこで購入できますか?よろしくお願いします。

投稿: マーライオン | 2006年4月15日 (土) 06:30

マーライオンさん、コメントありがとうございます。

サイトウキネンの情報は、オフィシャルサイトのここで見られるようです。http://www.saito-kinen.com/j/

また、チケットも同サイト内にアナウンスがあるようです。
http://www.saito-kinen.com/j/news/detail.php?view=25

私が長野県に住んでいた当時は、チケットを徹夜で並んで買うこともできましたが、今はどうなのでしょうか。

お役に立てれば幸いです。

投稿: 望 岳人 | 2006年4月15日 (土) 18:32

望様
お返事有難うございます。オフィシャルサイトがあるとは知らず失礼しました。でも、以前テレビで見た時は海外からも沢山来られていたようなので、やはり徹夜で並ぶくらいでないと無理なのかな?私も関西エリアでの演奏会には徹夜でチケットを取って聴きに行く事があるんですが、クラシックの演奏会って、スボンサー会社の社員だか、コネのある金持ちだか知らないけど、興味無いけど、付き合いで来てるだけ、みたいな人がいい席で寝てたりして、徹夜でチケット取ったような人や、勉強に来ている音大の学生さんは後ろの方で聞いているというのが残念に思います。声楽など聴きにいくと、喉の調子が悪いのか、聴きどころの高い音で歌うところを歌わなかった時なども、音大の学生さんは不満気に拍手しているに、前列で立ってブラボーと言うばかりか意味も解ってないのに、ブラビー、ブラバー、ブラベーとイタリア語の四段活用まで言ってる人がいて、唖然とした事もあります。私が演奏者なら日本人を馬鹿にし、単にお金儲けする為だけの国だと思うようになると思いました。余談になりましてすみません。

投稿: マーライオン | 2006年4月16日 (日) 01:49

マーライオンさん、コメントありがとうございました。

日本人が西洋音楽をどのように受け入れているかということは自分の身を振り返ってもなかなか複雑なものがあるように感じています。


サイトウキネンにしても、地元の有名なプリンタメーカーや地方自治体の財政補助は多大なものがあるようで、そのような団体の関係者の中には興味もないのに招待券を配られて迷惑な人もいることでしょう。ただ、もしそのような宣伝費や税金による支援を外してチケット代だけで公演をペイさせようとすると、おそらく今の10倍程度のチケット代になるのではないでしょうか?

しかしその一方で、ヨーロッパが自国発の芸術音楽の支援に税金を使うのは当然のことですが、西洋文化の影響が強く、経済大国とは言え東洋の国日本が、文化芸術振興の名目で西洋音楽に多大な援助をするのは、少々本末転倒かとは思います。自分が西洋音楽を愛好していながらそういうのはおかしいとは思いますが。

例の毒舌ながら優れたモーツァルト研究家の石井宏がマーライオンさんと同じ主旨を書かれているのを読んだことがありますが、仮に、日本に来日する演奏者が手抜きをしたとしたら、天網恢恢疎にして漏らさずで、その事実は、その演奏者のその後に必ず報いるはずだと思います。

>ブラビー、ブラバー、ブラベーとイタリア語の四段活用
これは面白いですね。本来ならBravo,Brava,Bravi ですか?

投稿: 望 岳人 | 2006年4月16日 (日) 17:51

望様
またまたお返事有難うございす。やはり人の意見を聞くのは自己中心的な思い込みに陥りそうな時に参考になります。私はすぐ血が上るタイプなので冷静なコメントは、なるほど納得です。しかし、聴衆が良い耳を持たないと、本当に芸術と呼べる演奏を本当に聴けなくなるようで怖いです。才能のある事と、お金の儲かる事はイコールでは無いと思うんです。確かにお金は掛るのでしょうが、例えばコンクールでも裏でお金のやりとりがあると聴きます。また、音大でも授業料が高い為に、才能があっても勉強できない人もいます。卒業する学生の多くは親に援助してもらっている苦労知らずばかり。それが悪いとは言いませんが、その人達の演奏は苦しい生活の中、音楽を心の支えとしている人達の心に届くのでしょうか?赤ん坊にとってプロの歌手の歌声よりも、たとえ下手でも本当の母親の子守り歌が必要なように。うーん、何が言いたいのか?ですね。ごめんなさい。

投稿: マーライオン | 2006年4月17日 (月) 01:58

マーライオンさん、再度コメントありがとうございます。

有名な演奏家のコンサート、リサイタルのチケットは高いですが、それは単に彼らのギャランティが高いからで、なぜ高いかというとそれは客寄せ力があるからのようです。人気、話題性、伝説・・・などが客寄せ力の要素ですが、必ずしも音楽の質とそれらが比例しないように、チケットの値段と音楽の質も比例しないのではないかと思います。作品の作り手(作曲家)と演奏者との間の幸福な誤解と理解、そして演奏者と聴衆との間の同じく幸福な誤解と理解のベクトルが上手く合致して、音楽の喜びが生まれるのかも知れないと思っております。どんな演奏でもCDでも、一期一会には変わりないですから、評判の高い著名な演奏家であろうと、なかろうと、虚心坦懐に耳を傾けたいというのが、ひとつの理想なのですが。

投稿: 望 岳人 | 2006年4月18日 (火) 00:13

小澤征爾氏のサイトウキネン出演が決まったようです。

長野県の地元新聞に詳しいチケット情報が出ておりましたので、ご紹介します。5/20チケット発売とのことで、以前のように徹夜でのチケット購入が県内各所で見られるようです。

>チケットの窓口販売は5月20日のみで、松本市総合体育館など県内5カ所。電話とインターネットによる販売は、20-26日までの7日間。

http://www.shinmai.co.jp/news/20060419/KT060418FUI090013000022.htm

投稿: 望 岳人 | 2006年4月26日 (水) 12:52

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小澤征爾さんがご病気の為、公演を降板、療養されているとの報道がありました。 昨年末から3~4回の急性気管支炎を繰り返し、白内障の手術も受け、帰国後検査したら右前額部に帯状疱疹を、同時に角膜炎も発症しているとか。 随分とストレスがたまっておられたのではないでし..... [続きを読む]

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