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2006年3月14日 (火)

ハイティンク/ACO のシューベルト交響曲

haitink_schubert_s◎シューベルト 交響曲第7(8)番「未完成」、第8(9)番ハ長調
ベルナルト・ハイティンク指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1975年録音

シューベルトの「未完成」は苦手な曲だった。バーンスタイン/NYP(別記事参照)のLP,ワルター/NYPのLP,ベーム./VPOのNHKホールライヴLP、ライナー/CSO、C.クライバー/VPOのCDというように聞いてきたが、一番しっくりくるのが、このハイティンク/ACOの録音だ。

先日、許光俊「クラシックを聴け!」という題名のクラシック音楽入門書を購入して読んで見た。著者は洋泉社MOOKなどで名前を見かけていたが、あまりいい印象をもっていなかった。題名も装丁も悪乗りの開き直りのように感じたが、ペラペラページを繰ってみると、この「未完成」に言及しているようなので、苦手な著者が苦手な曲についてどう語っているか怖いものみたさで読むことに決めた^^;

この評論家(現在は、慶応大学の教授だという)は、物言いはあまり品がないようだが、こと「未完成」に関しては自分の感じと相当似たものを感じる。初めて買ったLPのバーンスタイン/NYPのライナーノートにしても、音楽之友社の名曲解説事典にしても、属啓成の「名曲解説事典」にしても、古い解説には、なべてこの曲が美しく、夢見心地な曲のように書かれている。

最初、バーンスタインのLPを聴いて以来、「未完成」は自分にとってはどうも違和感の強い「名曲」だった(このことは昨年のシューベルトの誕生日の時にも書いた)。第一楽章の地の底からわきあがるような不気味な冒頭は何だ?不安定な第一主題は何だ?唐突に現れる威嚇するようなトゥッティは何だ?美しくも、素晴らしくもなんともないではないか、というのは少年時代の印象だ。

許氏も、この本で少年時代この曲を聴いて、非常に恐怖を感じたと書いている。それが私が感じた違和感とは相当違うものだとしても、いわゆる普通の楽曲解説に疑問を抱いた点では共通しているようだ。

そんな中で、ハイティンク/ACOの1975年の録音は、素直に美しいと感じた演奏だった。

以前のメモ(ときどきメモしてCDと一緒に保存しておく習慣が以前はあった。最近はもっぱらBLOGだが)より。今とは多少考えが異なってはいるが。

1993.6.29(火)
S.8 未完成
この曲を聴き始めた時から、いつも違和感を覚える。果たして、それほどの名曲なのだろうか、と。二楽章で終わっていることもさることながら、第一楽章がAllegro moderato でテンポが遅く、形式に固められすぎ、第二楽章はAndanteで緩徐楽章としては早めのため、第一楽章とのコントラストが弱い。第一、第二楽章ともシューベルトが完全に推敲し終えたとは言えないのではないか?楽想間にブリッジ的なパッセージがなく、つながりが唐突過ぎる点も違和感を持たせるゆえんだ。
 
このハイティンク/ACOの演奏は、オーケストラの音色がまろやかで、品がよく、しとやかである。各パートとも確実に音を出しており、あいまいなところもない。好きな曲ではないが、よい演奏である。

1996.7.25(木)
S.9 強い個性がない(アクや隈取)がないけれど、響きは非常に美しい。オーケストラの奏でる和声が透明で豊かである。倍音が多く含まれているのだろうか。各パートとも安定してつややかな音を持っている。しっとりとした良い音だ。「いぶし銀」と評されるがそんなことはない。個性はないが、隠れた名盤だと思う。

p.s. 2006/03/14 「未完成」「グレート」について、3件にトラックバックさせてもらった。

ケルテスの未完成
ハイティンクのグレート
ハイティンクのシューベルト交響曲第5番

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コメント

おはようございます。
許光俊は好きではありませんが、ボクも「未完成」を聴いて恐怖を感じたクチです。特にケルテス盤がボクにとっては恐ろしい1枚でして、今もゾクッとしてしまいます。

ハイティンクの「グレート」はLPで、5番・8番は先日購入し、今朝エントリーしました。偶然とはいえ、同好の方がいらしてくれて、大変嬉しく思います。
いくつかTBさせていただきます。
よろしくお願いします。

投稿: mozart1889 | 2006年3月14日 (火) 11:03

mozart1889さん、コメントとトラックバックありがとうございます。ケルテスの「未完成」とハイティンク/ACOの「グレート」、今朝の5番のエントリーをじっくり拝見しました。

ハイティンクのシューベルトは私も非常にしっくり来るので、是非全集を入れておいて貰いたかったですね。あまり評判がよくなかったのでしょうか。不思議です。

ところで、岩城宏之の岩波新書「楽譜の風景」に、シューベルトのアクセントとデクレッシェンドの書き方が似ているので区別が付けにくいとの話題が書かれていましたが、ケルテスはアクセント派だったのではないかと想像します。消えていくようなデクレッシェンドと、叩きつけるようなアクセントでは印象は大分変わるように思います。C.クライバーはどちらだったか。今日聴いてみようと思います。

シューベルトは苦手だったのですが、このところなぜかシューベルトに凝っています。しばらく続けたいと思っております。

投稿: 望 岳人 | 2006年3月14日 (火) 17:53

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