« 2006年2月 | トップページ | 2006年4月 »

2006年3月の32件の記事

2006年3月31日 (金)

アレグリ「ミゼレレ」 タリス・スコラーズ 

Allegri_miserere◎アレグリ ミゼレレ(憐れみ給え)
ムンディ Vox Patris caelestis (天なる父の声)
パレストリーナ 教皇マルチェルスのミサ曲

ピーター・フィリップ指揮ザ・タリス・スコラーズ

イギリスルネサンスの音楽家 「エレミアの哀歌」で有名なトマス・タリス(1505年頃- 1585年)の学者たち(弟子たち?)という名称を持つコーラス団体 ザ・タリス・スコラーズのベスト・セラー盤。

モーツァルトが父レオポルトとのイタリア旅行の際に、ローマはヴァチカンのシスティナ礼拝堂で一度聴いて、記憶し、宿に帰ってから譜面を書き上げたという伝説のある、ヴァチカンの「秘曲」アレグリの「ミゼレレ」と、ローマンカトリックの「トレント公会議」でのポリフォニー否定派を抑えたという伝説を持つパレストリーナの有名なミサ曲などを収録している。

タリス・スコラーズによる「ミゼレレ」は、実際にヴァチカンで歌われたライヴ録音も聴くことができるが、1980年に録音されたこのCDの魅力は失せるものではないと思う。

すべてローマ・カトリックの典礼の音楽だが、無宗教の自分にとっても、人の声だけによるいわゆるア・カペラの素晴らしさを充分に味わうことができる。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006年3月29日 (水)

シューベルト 弦楽五重奏曲を聴く

シューベルト 弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956 (op.post. 163) (2Vn,1Va, 2Vcのための)

bergq_schubert_quintet ◎アルバン・ベルク四重奏団、ハインリヒ・シフ(Vc)


bylsma_schubert_quintet◎スミソニアン協会のストラディヴァリウス楽器(五重奏団)
アンナー・ビルスマ(Vc)を含む
 併録 シューベルト Vn&String Quartet(3Vn, 1Va, 1Vcのための)ロンド イ長調 D.438(弦楽五重奏によるロンド)


シューベルトの最晩年、ハ長調の大交響曲に続いて完成されたやはりハ長調が主調の弦楽五重奏曲。

モーツァルトの有名なハ長調やト短調などの弦楽五重奏曲群は、弦楽四重奏にヴィオラを加えたものだが、シューベルトの唯一の弦楽五重奏曲は、これとは異なり、弦楽四重奏にチェロを加えたもの。この先駆としては、ボッケリーニが数多くの作品を残している(「ボッケリーニのメヌエット」として知られるポオピュラーな小曲もこの編成が原曲らしい)ので、影響を受けたのだろうか?

チェロを一本加えたため重厚な音響を響かせるが、伸びやかでシューベルト的な旋律が多く登場する曲ではある。しかし、突然深淵を覗き込むような暗い楽想がところどころに登場する。これが非常に若くして晩年を迎えたシューベルトの、死への想いを表現したものだといわれるようだ。

モーツァルトにとって死は「親しい友達」だったという(リート K.523 『ラウラに寄せる夕べの想い』などに見られる諦観)。また、ベートーヴェンは「死への想い」を会話帖に残しているのか不明にして知らないが、「喜劇は終わった」という少々シニカルな言葉を残して逝去していることもあり、死への強い恐怖は感じられない。しかし、シューベルトの場合、死の影が若い頃から纏わりついているように思う。あの傑作「魔王」にしても「野薔薇」にしても。

シューベルトの死因ははっきりは分からないようだが、その若い晩年に、身体の不調を訴えていたことは確からしい。最晩年とは言え、わずか31歳、現代で言えば「青年」期の彼の器楽での「白鳥の歌」がこのように完成した形で残されたのは、痛切な感情を抱かせられるためそう頻繁に聞ける曲だとは言えないが、それでもありがたいことだと思う。

CDは、現代ヴィーンの代表格である、アルバン・ベルク四重奏団とハインリッヒ・シフの演奏は、非常にスケールの大きい演奏になっている。録音にもよるが、弦楽合奏風の広がりを感じさせる演奏になっている。

一方、ピリオド楽器と当時のものと考えられる奏法による ビルスマたちのピリオド・アプローチによる演奏は、スケール感はないものの親密な対話を聞かせてくれる。痛切な感情を抱かせるのは、どちらかといえば前者だろうか?

p.s. 2007/06/09 

 電網郊外散歩道の『シューベルト「弦楽五重奏曲ハ長調」を聴く』にトラックバックさせてもらった。

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2006年3月28日 (火)

有料cocolog ようやくバージョンアップ

昨年フリーが登場して有料版より高機能だったため揉めたが、ようやく今日無事バージョンアップが行われた。

これまでとそう大きい違いはなく、他のブログ運営サイトに比較してようやく追いついたという面が多いので、なぜcocologで続けるかについては、あまり引きにはなっていないと思う。

ただ、これで無法なスパムトラックバックからは逃れられそうだ。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2006年3月27日 (月)

横浜「丘の手」!?  ドビュッシーのソナタ集

昨日投票が行なわれた横浜市市長選挙は、今日開票が行なわれ(人件費抑制のための翌日開票は中田市長のアイデアらしい)、当然のごとく現職の中田宏氏が再選された。次点は、共産党が推薦(?)した海洋学者。4年前には当時の現職と前衆議院議員で新人の中田氏の一騎打ちで、まさか中田氏が当選するとは思っていなかったが、横浜市北部の数地区で多くの得票を獲得した中田氏が、他の多くの区で中田氏を上回った現職を破り、まさかの当選をして今にいたっている。激戦と言われてマスコミの注目度も高かった前回選挙でも30%台という低投票率だったが、無風選挙の今回はさらにそれを下回ったという。ひどいものだ。

人口300万人を越す日本でも有数の政令指定都市の市長と言えば、横浜市が属している神奈川県の県知事よりもある面では行政的な権力が大きいほどで、この中田市政によって4年間にこれまでにない大規模な行政改革が行なわれているにも関わらず、市民の関心は低いままだった。

この低投票率では、信任投票にもならないのではないかと危ぶまれるのだが、今回も前回も棄権した有権者はそれについてどうも思わないのだろうか?特に20歳台の若者の投票率が極端に低いと言われているが、サイレント・マジョリティーとなった彼等は一体身近な政治について何を考えているのだろうか?単なる掛け声では変わらない問題で、ここに現代日本の特徴が見て取れるように思う。若者が将来に希望をもてない社会。

ところで、この盛り上がらない選挙の選挙前特集の朝日新聞の神奈川版にこのような記事があるのを見つけた。

横浜市西北部の青葉、緑、都筑、港北の4区を「横浜 丘の手」と呼ぶ人々がいるらしい。4年前は、この地区の有権者の得票数の多さによって、中田市政の誕生の原因となった地区で、旧来の岡と平地が入り組んだ「谷戸」地形が、東京、横浜のベッドタウンとして造成されて出来上がった地区で、横浜の新興住宅地である。

さて、上記の記事で驚いたのは、「全国消費実態調査(サンプル調査)によると、青葉区の1世帯の平均年間収入は1千万円を超す。」というところだ。他の3区も軒並み高額所得世帯が多いという。

この記事の元になったのは、平成16年全国消費実態調査家計収支結果表 というものらしい。URLはこれ
ほとんどの資料がエクセルで作成されており、その多いため、記事に該当する市町村レベルのデータは発見できなかった。

中田氏を4年前横浜市長に押し上げたのが、これらの地区の有権者であり、それらは、ヤング・リッチで東京志向が強いという。これらの地区でも今回は投票率は低かったようだ。今回の記事のような不満を西北部地区の住民が感じているのなら、いっそ、伝統的な「港・横浜」から戦後合併してくっついた「丘の手」市は独立した方がいいのではないかと、咲き始めた桜を見ながら考えてしまった。

閑話休題。

春になるとなぜかフランス音楽が聴きたくなるが、その中でも極め付きはこれ。

暑さ寒さも彼岸までというが、寒暖の差はまだ大きい。冬の寒さに耐えてきた体は急激な温かさには弱い。それで体調も崩れてしまい、物憂げな気分になる。特に、ヴィオラとフルートとハープのためのソナタは、「牧神の午後」への前奏曲より、気だるく聞こえる。

debussy_3sonates◎ドビュッシー
神聖な舞曲と世俗的な舞曲(ハープと弦楽合奏のための)
フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ
チェロとピアノのためのソナタ
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ

ハープ:リリー・ラスキーヌ、フルート:ジャン=ピエール・ランパル、ヴィオラ:ピエール・パスキエ、チェロ:ポール・トルトゥリエ、ヴァイオリン:シャルル・シルーニック、ピアノ:ジャン・ユボー

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006年3月26日 (日)

ベートーヴェンの命日に聞く C.クライバー/バイエルン国立管弦楽団による ベートーヴェン交響曲第4番

kleiber_s


同じORFEOのライブ録音で、カルロス・クライバー指揮バイエルン・シュターツ・オルケスター(バイエルン国立管弦楽団、バイエルンの場合にはドレスデンやベルリンのようにシュターツカペレを名乗らないらしい)のこの演奏会での第7番が発売され話題になっているようだ。ネットでレビューを読むと、VPOとのスタジオ録音盤に輪をかけた猛烈な演奏らしい。(このライブ録音は1982年5月2、3日に行われたカール・ベーム追悼演奏会のものだという)

カルロス・クライバーは生前この7番の録音の発売を許可しなかったようなのだが、4番の方は例のVPOの5番、7番に続いて発売されたもので、ライヴ録音の発売を許可するということは彼にとっても会心の出来だったのだろう。「英雄」と「運命」に挟まれたシューマンによる「ギリシャの乙女」というレッテルをはがして、曲の通念を変えてしまったものすごい演奏の記録だと思う。

今日は、ベートーヴェンの命日。ベートーヴェンもこのような演奏をされればうれしいことだろう。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2006年3月25日 (土)

バルトーク 生誕125年、ドビュッシー没後88年

今日3月25日は、二人の大音楽家の記念日だ。

3/25/1881 バルトーク(Bartok.Bela) 誕生 ハンガリーの作曲家
3/25/1918 ドビュッシー(Debussy.Claude Achille)没55歳(誕生:1862/08/22)フランスの作曲家

この二人の記念日にぴったりのCDがある。1940年4月13日にUSAのワシントン国立図書館で行われた演奏会を録音したもの。
bartok_szigeti_washington_recital
ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調 作品47「クロイツェル」
バルトーク ラプソディ第1番 Sz.86, BB94a
ドビュッシー ヴァイオリン・ソナタ L.140
バルトーク ヴァイオリン・ソナタ 第2番 Sz.76, BB85
ヨゼフ・シゲティ(Vn), ベラ・バルトーク(P)

このCDは、購入したときにこのBLOGに簡単な記事を書いたが、こうして、改めて二人の大作曲家の記念日に聞いてみると感慨もひとしおだ。それも、ここで演奏されるバルトークの2作品に深いかかわりのあり、バルトークの盟友であり続けたハンガリー出身の大ヴァイオリニスト シゲティとの共演だ。バルトークのピアノは、文献などからその優れた演奏ぶりは伝えられていたというが、このCDではまとめてその楽曲解釈と腕前を、超有名曲である「クロイツェル」から、彼より少し先輩であるドビュッシーの(最後の)ソナタ、そして彼の自作2曲で味わえるのは望外の幸せだと思う。

録音は、1940年のアセテート盤に記録されたものなので、もちろんモノーラルで、針音も絶え間なく続き、高域もカットされてはいる。しかし、バルトークの2曲など、ヴァイオリンの多彩な奏法の駆使もよく聞き取れる。ピアノは、少し後ろに引っ込み気味で音色にも鮮度がないが、それでも音は十分聞き分けられる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

シュミードルのクラリネット、カニーノのピアノによるクラリネット作品集

brahms_schmidl◎ブラームス クラリネット・ソナタ第1番ヘ短調作品120-1、同第2番変ホ長調 作品120-2
シューマン クラリネットとピアノのための幻想小曲集 作品73
ベルク クラリネットとピアノのための4つの小品 作品5

ペーター・シュミードル(Cl), ブルーノ・カニーノ(P)
1995年12月20日、21日 ヴィーンでの録音

昨日のクラリネットトリオの記事でも登場したペーター・シュミードルによるクラリネット作品集。別記事のプリンツの後継者にあたり、ヴィーンフィルの第一首席奏者に1983年に就任した。日本のカメラータ・トウキョウによる1995年ヴィーンでの録音。

ライナーノートによると、ブラームスのクラリネットソナタは、シュミードルにとっての初録音だという。

ピアノは、イタリア出身のブルーノ・カニーノ。シューマンとベルクの珍しい作品も収録されている。

参考
No.1                    No.2
今井     7:38/4:51/4:19/4:46   8:17/5:03/7:04
プリンツ   7:56/4:46/4:58/5:09   7:54/5:37/7:16
シュミードル 7:20/4:37/4:24/4:44   7:42/5:11/7:03

追記 2008/01/13  シューマン クラリネットとピアノのための幻想小曲集 作品73 についての narkejpさんの記事を拝見し、この記事はこの曲がメインのエントリーではないが、珍しい曲なのでトラックバックさせていただいた。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006年3月24日 (金)

ブラームス クラリネットトリオ、ホルントリオ シフ(p), シュミードル(Cl), ヘーグナー(Hrn)、他

brahms_clhrn_trioブラームス
クラリネット・トリオ イ長調 作品114 シュミードル(Cl), ドレツァル(Vc), シフ(p)

ホルン・トリオ 変ホ長調 作品40 ヘーグナー(Hrn), ビンダー(Vn), シフ(p)

1982年ヴィーン ゾフィエンザールでの録音

昨秋「クラシックのひとりごと」で読ませてもらってから聴きたいと思っていたブラームスのクラリネット・トリオをようやく聴くことができた。

ブラームスの室内楽が一挙に入手できるブリリアントの全集ではないが、ヴィーン系の奏者とピアノのアンドラーシュ・シフのアンサンブルによるもの。

クラリネットトリオ(クラリネット三重奏曲)は、通常のピアノトリオのヴァイオリンをクラリネットに交換した編成。

これでブラームス晩年のクラリネットによる室内楽が全部聴けるようになった。

このクラリネット・トリオ作品114、クラリネット五重奏曲作品115、クラリネット・ソナタ作品120の2曲だ。

クラリネット五重奏曲は、LP時代からモーツァルトによる同じ編成の傑作とたいていカップリングされているので聴く機会が多く、現在CDでは、ウラッハ、プリンツの盤を、LPではライスターによるものを手持ちで持っていて親しい曲だ。しかし、このトリオについては、先に紹介したBLOGを拝見しなければ聴く機会がなかったものだと思う。トリオはちょうどソナタとクインテットの中間で、管楽器、弦楽器、ピアノの三種類の楽器のアンサンブルになっているのが面白い。

ホルン・トリオ(ホルン三重奏曲)は、かつてLP時代に購入した、パールマンとアシュケナージによる フランクのヴァイオリンソナタのカップリングとして、タックウェルのホルンによるものが収録されていて、それなりになじみのある作品だ。タックウェルも今回のヘーグナーもヴァルトホルンではないが、ホルン、角笛は、森の象徴の楽器。管楽器、弦楽器、ピアノの編成としては、クラリネットトリオの先駆となるものだ。

新ヴィーン八重奏団(ヴィーン室内楽の名人たち)のアンサンブルに、ピアニストのアンドラーシュ・シフが加わる。

シフのブラームスは以前N響アワーで、第2協奏曲を聴いたときも感じたが、明晰さが特徴だ。いわゆる通念としてのブラームス的ではないかも知れないが、風通しのよさが面白い。

シュミードルのクラリネットは、最近クラリネットソナタ集も入手できた。ヘーグナーは、ベーム/VPOでのモーツァルトのホルン協奏曲集を入れていた奏者ではないだろうか?

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2006年3月22日 (水)

ホームズと機械文明とクラシック音楽

子どもたちが、学校図書館でアニメ版(宮崎駿など)の「名探偵シャーロック・ホームズ」のアニメ絵本を借りてきて、それがきっかけで6巻発売されているビデオを一巻ずつレンタルして見ている。そのアニメーションには、原作には登場しない、飛行船、蒸気自動車(スチームカー)、ガソリンエンジン車(「ベンツプロトタイプ」)などの機械類が活躍しており、それがこのアニメの魅力のひとつとなっているのだが、ホームズの時代にはそれらの発明品が本当にあったのかどうか教えてほしいというので、少し調べてみた。

シャーロック・ホームズの年表によるとホームズの活躍期間は、1881年ごろから1927年ごろまでとなっている。これは、原作者サー・コナン・ドイルの生没年 1857年-1930年にちょうど含まれる。

また、これは、英国のビクトリア女王の在位期間 1837-1901とほぼ時代を同じくしている。

蒸気自動車「蒸気自動車の研究で大きな成果を上げたのは イギリスのトレビシックで、そのころ進化していた蒸気機関を使用し、1801年12月、に試作車を製作した。 その後、ガーニー、ハンコックらによって乗合自動車として実用化され、馬なし馬車と呼ばれるようになった。」とあり、19世紀にはスチームカーが用いられていたようだ。

また、飛行船は、 1852 フランス ジファールの蒸気機関付き飛行船
    1900 ツェッペリンの飛行
    1937 ヒンデンブルク号の爆発 とあるので、19世紀後半には実用化されていたようだ。

飛行機 1903年のライト兄弟による動力付き飛行機初飛行から、目覚しい勢いで実用化されている。アニメのホームズにも飛行船と並んで複葉機が活躍している。

潜水艦も、1900年ごろ実用的な潜水艦が発明されたという。  

自動車 1886 ベンツ 最初の実用的な自動車発明特許取得 とあり、「プロトタイプ」とアニメで銘打たれているので、まったくの時代考証無視ではない。

シャーロック・ホームズは自身ヴァイオリン演奏を趣味としており、名手のリサイタルを楽しんだことが書かれているが、パブロ・サラサーテを聞いたことになっている。その サラサーテは、 1844-1908の生没年なので、ちょうど時代的には合っている。ちなみにブラームス 1833-1897など多くのロマン派の作曲家と同時代だ。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2006年3月21日 (火)

J.S.バッハ フーガの技法の余白に

今日3月21日は彼岸の中日、春分の日で、先週末から日曜日にかけての荒れ模様の天気もおさまり、春らしい天候になった。

時折応募する新聞店の行楽チケット(美術館や博物館、遊園地など)が当たったので、自分にとっては満40年ぶりに東京タワー見物に行ってきた。子どもたちは今回が初めて。妻は中学校の時の修学旅行でも訪れたことがあるという。第二東京タワーの計画が本決まりになった昨今だが、それでもそれなりの観光客を集めており、欧米系や、アジア諸国の観光客の姿も目立った。

彼岸の中日ということもあり、浜松町駅方面から東京タワーに向う途中にある大寺院「芝の増上寺」にも参詣やお墓参りの人も多く見かけられた。境内の染井吉野の桜もこの陽気に誘われて開花し始めていた。

150メートルの展望台から東京の風景を眺め、はるかかなたに横浜のみなとみらいや、新横浜の国際競技場(日産スタジアム)が確認できたが、あいにくの春霞のため富士山は拝めなかった。東京にも、例の六本木ヒルズをはじめとして、奇矯な形態のビルが増えてきた。(東京都庁舎も一風変わった外観だが、雨漏りなどが激しく、またメンテナンスが困難で、金がかかって仕方がないと、過日の新聞が伝えていたが、現在のような斬新な形態の高層ビルはさらにメンテナンスが大変ではなかろうか)。展望の後は、トリックアートやホログラム展示館、蝋人形館などを見物し、子どもたちはお目当ての水族館を見ることができた。

それにしても、芝の増上寺は、法然上人の浄土宗の大本山で、徳川家康の菩提寺だったというが、現在その周囲をプリンスホテルに大規模に囲まれてしまっているのが、東京タワーから眺めおろすとよく分かって、歴史の有為転変をまざまざと突きつけられる思いだった。帰路ちょうど17時に境内を通ったとき、上野、芝の鐘と併称された増上寺の鐘つきを満開の枝垂桜の傍らで見物することができた。

さて、春分の日は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの誕生日で、1685年の今日が生誕の日だ。昨年のBLOGでもいろいろ書いたが、今年は、リステンパルトの「フーガの技法」の余白に収められている、BWV1038(Fl,Vn&Basso Continuo)のソナタ ト長調と、BWV1037 (2Vn&Basso Continuo)のソナタ ハ長調を聞いてこの記念日を祝おうと思う。

ただ、ライナーノートによるといずれも現在ではJ.S.バッハの真作ではないかも知れないとされているようだ。(しかし、当時の作曲家にはこれほどの実力を備えていて無名もしくは大作曲家の陰に隠れた人物がいたのだと思うと古典というものの偶然性の厳しさを感じさせる)

◎マクサンス・ラリュー(Fl), ゲオルク=フリートリヒ・ヘンデル(Vn), クラウス・シュルップ(第2Vn), ベティ・ヒンドリクス(Vc), ルート・クリステンセン(Cem)
 ERATOレーベル リステンパルト指揮ザールブリュッケン室内管弦楽団 ヴィンシャーマン(Ob.)などの余白

| | コメント (0) | トラックバック (0)

アラウ ジュリーニ/POのブラームス ピアノ協奏曲第2番

arrau_brahms◎ブラームス ピアノ協奏曲第2番
クラウディオ・アラウ(p) カルロ=マリア・ジュリーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団

先日入手したポリーニ&アバド/VPOによる同曲のCDの演奏を、エアチェックしたテープで学生時代に一番数多く聞いたので、この演奏が私にとっては一番耳馴染みになっている。ギレリス&ヨッフム/BPO, バックハウス&ベーム/VPOのLPは学生時代に買ったもので、長い休みに実家に帰省したときに聞く習慣だったので、残念ながら耳はそれほど覚えていない。ただ、一番好きなのはいまだにギレリス盤ではあるが。

さて、これも最近入手した、アラウのピアノとジュリーニ指揮のフィルハーモニア管弦楽団のCDは、そのギレリス盤に匹敵するほどの感動をもたらしてくれた。 

手持ちのCDのタイミング比較
アラウ (c.1963) 19:12/9:17/12:06/9:57
ブレンデル(1973) 17:57/9:22/12:14/9:19
ポリーニ (1976) 17:06/8:49/12:40/9:26

BLOGOUTさんも同じ組み合わせの1番の協奏曲のレビューを最近アップされているが、録音の特徴はその記事に詳しく的確に書かれているものとほとんど同じ感想だ。この時期のEMIの録音は、クレンペラーとフィルハーモニア管弦楽団のブラームス、メンデルスゾーンやマーラーの「大地の歌」もそうだが、いわゆる分厚く塗りつぶされた響きよりも各パートの音がよく拾えているという感じだ。スケルツォの部分では、他の演奏では気が付かなかったようなクラリネットの合いの手が聞こえる。ただこの演奏は細かい部分まで聞き取れながら、ガツンと来る低音にも欠けていない。オーケストラとピアノがずっしりとした手ごたえのある低音を出してくれると、そこに雄大さや逞しさが生まれてくる。

タイミング比較で分かるようにこの録音の所要時間は非常に長い。トータルで50分を超える。特に遅いのが第一楽章。ポリーニ盤からは2分も遅いのだからすごい。しかし、これがこの演奏に魅力を加えているのだから不思議だ。アラウのCDは、このほかには、晩年の録音の「ディアベリ」変奏曲を聴いた程度なのだが、このブラームスは、これまで読んだ評判も頷けるガッチリしたものだ。これがいわゆる「ドイツ的」と呼べるものなのだろう。すでにドイツ人が気恥ずかしくて出せないような「ドイツ」的な音をチリ人のアラウが出せる不思議。中央の文化の「辺境」での受容の特徴だろうか?しかし、野太い音で、がっしりと鳴る重厚な和音にはしびれる。ジュリーニの指揮も冒頭のホルンからオーケストラをたっぷりとなめらかに鳴らしてはいるが、形式感を失わない。

第二楽章のスケルツォもところどころ溜めを作り、聴き応えがある。第三楽章はまさにカンタビーレの音楽だ。第四楽章は、ブラームスのイタリアへの憧れが詰まったと評される楽章で、ジュリーニとアラウというラテン系の音楽家の面目躍如ととするところ(ポリーニもアバドもラテン系だが)と評されてきたところだが、私にはどの演奏を聴いてもどうもこの楽章がこれまでの三楽章を受けるものとしては軽すぎるようなイメージがある。ちょうど「エロイカ」のフィナーレにそのような意見があるように。

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2006年3月19日 (日)

モーツァルトが実際に使ったヴィオリンとハンマークラフィーアで演奏されたモーツァルト

Mozart_violin_sonata ◎モーツァルト
1.クラフィーアとヴァイオリンのための ソナタ ト長調 K.379(373a)
2.クラフィーアとヴァイオリンのためのソナタ ホ短調 K.304(300c)
3.クラフィーアとヴァイオリンのためのフランス歌曲「ああ、私は恋人をなくした」による6つの変奏曲ト短調 K.360(374b)
4.クラフィーアとヴァイオリンのためのソナタ 変ロ長調 K.454

(いわゆる ヴァイオリンソナタ集)

妻の友人が数年前にザルツブルク詣でしたときにお土産に買ってきてくれたCD。いわゆる「究極のピリオド楽器」による演奏といえるものだろう。

アンドラーシュ・シフと塩川悠子夫妻が、モーツァルトが生前に実際に使用した Hammerklavier(Fortepiano) と Konzertgeige(Concert violin) の現物(国宝級!?)を実際に用いて、モーツァルトのザルツブルクの生家で、1992年のモーツァルトの生誕日1/27から1/29にかけて録音したもの。

以前は現地でしか買えなかったようだが、現在はザルツブルク国際モーツァルテウム財団のサイトでも販売している。(ただ、このサイトでは詳しい収録曲目が見つからない少々不親切だと思う。)CDにはデッカのPマークと L'oiseau-lyre EDITION と記されている。

現代の演奏を経験してきた耳には、ヴァイオリンは、モーツァルトの好んだという「バターのヴァイオリン」の音色はしているだろうか?ハンマークラフィーアは、油のようなレガートではなくクレメンティ張りに少々choppyではないか?という疑問文が付いてしまう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月18日 (土)

ドホナーニ/VPOの「ペトルーシカ」「マンダリン」

stravinsky_petrushka_bartok_mandarin_dohnanyi◎ストラヴィンスキー 「ペトルーシカ」(1947年版)
バルトーク 「中国の不思議な役人」(The Miraculous Mandarin complete ballet)
クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮 ヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ヴィーン国立歌劇場合唱団(ヘルムート・フロシャウアー指導):バルトーク
録音:1977年12月 ヴィーン ゾフィエンザール

1929年生まれで今年77歳になる指揮者クリストフ・フォン・ドホナーニは、祖父の作曲家エルンストがハンガリー出身のためハンガリー出身だと思っていたが、父(作曲家エルンストの息子)はヴァイマール共和国、第三帝国で著名な法学者であり、指揮者であるクリストフはベルリンで生まれ、ドイツで教育を受けて育ったので、血統は別にしても、ドイツの指揮者として位置づけられるようだ(文春新書「クラシックCDの名盤 演奏家篇で、中野雄氏は、ドホナーニを「ハンガリー系」指揮者に分類しているが)。

2000年ごろまでクリーヴランド管弦楽団の指揮者を務めており、結構録音をリリースしていたので、その名前を見る機会は多かったが、これまで手持ちの音盤は一枚もなく、今回初めてドホナーニの音楽をじっくり聴く機会を得たことになる。今回ドホナーニがすでに80歳を目前にしていることを知り、若い指揮者のイメージがあったので驚いた。

さて、この「ペトルーシカ」「中国の不思議な役人」は、後者を聞くために購入した。

◆1918-19年 M.レンジェルのパントマイム「中国の不思議な役人」Op.19 

組曲版は結構CDでも出ているようなのだが(A. フィッシャーのBrilliantレーベルのオーケストラ曲集は残念ながら組曲版)、全曲版はなかなか最寄のCD店では見つからなかった。最近思いがけずに、現在のHMVのカタログにもないこの珍しいが結構豪華なCDが入手できた。

バルトークは、非常に高潔な人格の持ち主のように想像しているのだが(もっとも非常に人付き合いがよくなかったという)、「青髭」伝説に基づく「青ひげ公の城」やこの「超自然的な中華帝国役人」のような少々グロテスクなストーリーを題材に作曲しているのは面白い。

このドホナーニ盤のライナーノートによると、この曲は、バルトークの舞台用作品としては三作目で最後の作品になるという。(「かかし(木彫り)王子」、「青ひげ公」の次)

ピアノスコアの完成が1919年5月。オーケストレーション完成は1924年。1926年ケルンで初演されたが、M.レンジェルによる恐ろしい台本が聴衆に非常に衝撃を与えたため、この初演で打ち切られたという。この録音の演奏については、何しろ初めて耳にするものであり、強烈な不協和音やおどろおどろしい雰囲気は感じるが、まだ何も言う手がかりがない。

◆「ペトルーシカ」は、LP時代には音盤を持っていなかったが、ドラティとC.デイヴィスの「春の祭典」のフィルアップに入っていたので、このドホナーニ盤で3枚目になる。ドラティのものは"based on 1947 version"とされ、解釈によっては1947年版のスコアをそのまま使用しているのではなく、「基づく」のだが少々1911年版も参照しているとも捉えることもできるのだが、どうなのだろうか?耳で分かったわけではないが。またC.デイヴィス盤は、"1947 version"と単純に書かれている。今回のドホナーニ盤は "revised 1947 version" つまり「1947年改訂版」となっており、録音データとしてPublisher: Boosey & Hawkes Inc.と出版社名が表示されている。

タイミング比較   第1場/第2場/第3場/第4場
◎C.デイヴィス(1977年10月)  9:44/4:16/6:29/13:17
◎ドホナーニ(1977年12月)  10:06/4:32/7:02/14:20
◎ドラティ(1980年6月) 9:45/4:27/6:38/13:18

ドホナーニの録音は、デッカの解像度が高い録音により、ヴィーンフィルの音色が鮮烈に捉えれられており、色彩的な印象が非常に強い。タイミング的にも分かるように比較的ゆっくり目のテンポで、非常に克明な演奏になっている。少々冷静な雰囲気でもあるが、他の2つの演奏とは使用楽譜が違うのではと思わせるほど多彩で面白い音響の演奏だ。

なお、ドホナーニ/VPOはこの録音のほかに、同じ作曲家の組み合わせで、「火の鳥」「2つの肖像」を1979年に録音していたようだ。この録音についてHMVサイトでは「収録の時期がちょうどLPからCDへ、アナログ録音からデジタルへの移行期と重なったためか、わずかな期間で市場から消えてしまった」とあり、この「ペトルーシカ」「マンダリン」も同じ運命だったのかも知れない。

P.S. 海外サイトでの同じCDの情報、レビュー
http://www.cduniverse.com/search/xx/music/pid/6871685/a/Stravinsky:+Petrushka%2FBartok:+The+Miraculous+Mandarin.htm

http://www.musicweb.uk.net/classrev/2005/July05/Stravinsky_Bartok_4762686.htm

http://www.classicstoday.com/digest/pdigest.asp?perfidx=3498

追記:2006/10/14
YAHOO BLOG検索で、これと同じ音源のCDの紹介記事( 『takの音楽』)を発見してトラックバックを送らせてもらった。今では、オーストラリア(豪州)のデッカからのみ発売されているのだという。豪州もイギリス連邦の一員だけあり、HMVなどでときおりオーストラリアの交響楽団の演奏などを含んだこのようなシリーズが企画されるようで、なかなか面白い。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

ハイドン交響曲全集 鑑賞メモ その2

2005年6月21日 (火)ハイドン交響曲全集 鑑賞メモ その1 に続くもの。コメントが短すぎるし全作品ではないので、あまり意味がないが、聴いたメモとして。

2002年4月8日(水)(続き)
No.14 古典派的な四楽章形式。
No.15 第1楽章 Adagio-Presto-Adagio
No.16 三楽章形式

4/9(木)
No.17-No.20 やや生硬な感じ。初期の作品か?しかし、楽器法の練達さのようなものを感じる。透明なソノリティ。

No.21-No.24
No.21とNo.22は、Adagio-Presto という第1、2楽章の構成が変わっている。

4/10(金)No.21-No.24再度聴きなおし。 
No.21のメヌエットが「アイネ・クライネ」に似る。
No.22は「哲学者」と言うニックネーム。第1楽章Adagio のホルンがおもしろい。トリルなど。
No.24 のAdagio はFl協奏曲。第4楽章はちょっとジュピター音型が出る。

No.25-No.29
No.25 三楽章。緩徐楽章なし。第1楽章の序奏は充実したもの。主部も充実。第3楽章これまたフガート的なフィナーレ。ハイドン愛好家は知っていたのか!
No.26 初めて登場した短調作品。「ラメンダツィオーネ」とは「悲しみ」のことか?モーツァルトの小ト短調的な作品。モーツァルトはこの作品を耳にするか楽譜を入手していたのではないかと憶測。第2楽章は長調。(No.27,No.28,No.29はコメントなし)


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月17日 (金)

シューベルト アルペジオーネ・ソナタ ロストロポーヴィチ、ブリテンの共演で

rostropovich_britten_schubert
◎1.アルペジオーネ・ソナタ イ短調D.821(シューベルト)
録音 1968年7月, Snape Maltings, Adeburgh, England
2.民謡風5つの小品op.102(シューマン)
3.チェロ・ソナタ ニ短調(ドビュッシー)
録音1961年7月, Kingsway Hall, London, England

ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ:Vc,(エドワード・)ベンジャミン・ブリテン Britten(1913-1976):p

昨年のシューベルトの誕生日の記事に書いたことだが、このアルペジオーネ・ソナタの第1楽章の冒頭からチェロで奏でられる第1主題の冒頭部の4つの音は、「未完成」第1楽章のやはり冒頭に現れる序的な「地の底から」の主題によく似ている。「未完成」の方はこれが静まった後新たな第1主題が始まるのだが、アルペジオーネの方は同じ出だしから憂いに満ちたシューベルト的な美しいメロディーが延々とチェロで奏でられる。この旋律はMy favouritesの一つかも知れない。

アルペジオーネは、今は廃れてしまった楽器で、名曲解説事典などには、ギターとチェロを合わせたような楽器というように解説されている。シューベルトの時代に発明されたものらしく、彼はこの楽器とピアノのためにこのアルペジオーネソナタを作曲したのだが、現在ではチェロ(ヴィオラ)とピアノで演奏される。チェロで演奏する場合には、高い音が多いため、相当の難曲なのだという(それではアルペジオーネでは難曲ではなかったのだろうか?)。

Wikipedia によるとこの録音の当時、ロストロポーヴィチはまだソ連在住で、「1970年、社会主義を批判した作家ソルジェニーツィンを擁護したことによりソビエト当局から「反体制」とみなされ、以降、国内演奏活動を停止させられ、外国での出演契約も一方的に破棄される 」の直前だったようだ。

ブリテンは、20世紀イギリス(The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)を代表する作曲家で、この録音のようにピアニストとしても、また自作のシンプル・シンフォニーや「青少年のためのオーケストラ入門」やカーゾンとのモーツァルトの協奏曲などで、素晴らしい指揮の才能を発揮している。

ロストロポーヴィチとブリテンの邂逅の経緯は知らないが、それによりこの名盤が誕生した。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月16日 (木)

ホルショフスキー、ブダペストQの鱒五重奏曲

horszowski_budapestq_forellequintet◎シューベルト ピアノ五重奏曲イ長調D.667  Op. 114「鱒」 ミエチスラフ・ホルショフスキー(p) Horszowski, Mieczyslaw  ブダペスト弦楽四重奏団員 Budapest String Quartet(第2Vnを除く、ロイスマン:Vn, クロイト:Va, シュナイダー:Vc), ジュリアス・レヴァイン(Cb)
1962年1月録音

モーツァルト クラリネット五重奏曲イ長調 K.581 ハロルド・ライト(Cl), シュナイダー(Vn), コーエン(Vn), ローズ(Va),パルナス(Vc)
1968年8月録音

ホルショフスキーについては、このCDを購入したときには、ほとんど知らなかった。

1993年101歳の誕生日目前で亡くなったが、95歳で初来日したときにはそのような高齢をまったく感じさせない素晴らしい演奏を披露してくれたと、石井宏の暴露的な「帝王から音楽マフィアまで」(学研M文庫、新潮45という雑誌連載をまとめたもの)に「百歳のピアニスト」という題で非常に好意的に書かれていたので、初めて詳しく知った次第。

ブダペスト弦楽四重奏団は、今ではほとんど名前を聞くこともなくなっているが、アメリカで活躍した往年の名四重奏団で、LP期にはベートーヴェンの四重奏曲と言えば第一に名前があがったほどだった。LPでは、ブラームスの弦楽五重奏曲2曲をこの団体とトランプラーのヴィオラによる録音でよく聞いたが、それほど親しい団体ではなかった。

弦楽三重奏にコントラバスを加え、それにピアノを加えるという珍しい編成のピアノ五重奏曲だが、モーツァルトとベートーヴェンは、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンの管楽四重奏団にピアノが加わったPiano Quintetを作曲したので、このような珍しい編成は有名な作品としては音楽史上ほとんどないのではなかろうか?

この曲は、ピアノが華やかに駆け回り、演奏効果も大変高いので、アマチュアの演奏で一度生演奏を聴いたことがあったが、結構楽しめた。

さて、このCDの演奏は、特にこの曲のニックネームとなったリート Die Forelle D.550 (鱒)のテーマによる変奏曲の第四楽章などは、相当質朴な感じだ。全体を通して、コントラバスの低音がよく聞こえ、この楽章でもコントラバスが音程よくテーマ奏でるのが楽しい。よく聞くと、必ずしもチェロとオクターブで重ねるだけでないのか、コントラバスにもいわゆるベース声部だけでなく、旋律も割り振られているのが聞こえてくる。

ホルショフスキーのピアノは、ブレンデル(クリーヴランド四重奏団)、リヒテル(ボロディン四重奏団)などに比べて、非常に慎ましく、ピアノ協奏曲的にならず、アンサンブルの一角をしっかり占めているという演奏だ。弦楽アンサンブルとしては、第一ヴァイオリン主導の比較的旧式なスタイルだと感じるが、それでも親密な雰囲気が伝わる。「シューベルティアーデ」の開かれた広間で聞いているかのような雰囲気だ。

なお、コントラバスのジュリアン・レヴァインは、アメリカの奏者らしく、この「ます」のほかに、ルドルフ・ゼルキン、その息子のピーター・ゼルキン(16歳!)とも共演して、「ます」を録音していることが分かった。

p.s. 2006/11/10 同じCDについての記事を発見し、トラックバックを送らせてもらった。「ます」五重奏曲を聴き比べされている凄いブログだ。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2006年3月15日 (水)

ポリーニとアバド/VPOのブラームス ピアノ協奏曲第2番

pollini_brahms_no◎ブラームス ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.83 マウリツィオ・ポリーニ (Piano), クラウディオ・アバド指揮ヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1976年録音 

Pollini という靴メーカーがあるが、このピアニストのPolliniとは何か関係はないのだろうか? 

閑話休題。ピアニスト Pollini が、ショパンコンクール後の「修行」?から1971年に復帰?してDGからストラヴィンスキーの「ペトルーシカ」からの3楽章とプロコフィエフのピアノ・ソナタ第7番で鮮烈な実質的デビューを飾り、1972年ショパン「エチュード」、1973年シューベルト「さすらい人」幻想曲、1974年ショパン「プレリュード」、1975年ベートーヴェン後期ピアノソナタ集、同じ年にショパンの「ポロネーズ集」などと、未だに名演の誉れ高い録音を次々にリリースして、快進撃を続けていた頃の録音になる。

同じ1976年にはベーム/VPOとモーツァルトのピアノ協奏曲第19番、23番も録音している。また1977年には同じくベーム/VPOとベートーヴェンのピアノ協奏曲を録音、アバド/シカゴSOとバルトークの1番と2番、そして1979年にはやはりベーム/VPOとブラームスの1番も録音しているし、イタリアSQとブラームスのピアノ五重奏曲も録音している。

こうして改めて眺めてみると、ポリーニの70年代はまさに壮観だ。このうち、LPを実際に購入したのは、ショパンの「プレリュード」(盤面に反りがあり、雑音が出るのが悲しかった)、「エチュード」、モーツァルトのピアノ協奏曲だけだったが、まだ手持ちの盤が少なかったこともあり、「プレリュード」はそれこそ擦り切れるほど聞いた。後に「プレリュード」「エチュード」はCDで買い直したが、LPの時の感激はよみがえらなかった。しかし2枚とも自分にとってはかけがえのない音盤だ。

(このほか、今ではカタログにあるのか分からないが、イタリアの現代作曲家ルイジ・ノーノの「力と光の波のように」 "Como una ola de fuerza y lus" をアバドとポリーニがDGに録音していたのを覚えている。また、1974年にはシェーンベルクの「3つのピアノ曲」、1976年にはヴェーベルンのOp.27の変奏曲と、超がつく難曲ブーレーズの第2ピアノソナタを録音している。ブーレーズの作品など、いまだに聞き通せたことがない)。

この録音は、まさにポリーニ最盛期の録音だ。1995年にアバド/ベルリンフィルとのライブ録音をリリースしてはいるが、ポリーニならではの演奏を求めるならばやはりこの1976年のものだろうか。このCDに収められている演奏は、かつてエアチェックしてラジカセでよく聞いていたものだ。磐石のメカニックにささえられ、輝くような音色のピアノが、明るいブラームスを奏でる。第2楽章のスケルツォでは、響きが濁らないために非常に豪快かつ鋭利な音楽を作り出しているのもこの演奏録音の特徴だ。

さらにアバド/VPOの少々細身の音のオケをバックにしているため、余計ブラームスとしては明瞭さが際立っている。ブラームスらしからぬブラームスと言えるだろうか。

LP時代では、バックハウスとベーム/VPO, ギレリスとヨッフム/BPOをよく聞いた。前者は、演奏者から言っても最高の名盤の誉れの高いものだったが、自分としては後者のギレリスのガッチリと安定した揺るぎのないピアノと、さらにそれを支えるヨッフム/BPOの雄大で猛進する強烈なオーケストラが好きだった。

(CDでは、ブレンデルとハイティンク/ACOを聞き、最近ではこのポリーニ盤と、アラウ,ジュリーニ/PO盤を聞き始めた)

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2006年3月14日 (火)

カルロス・クライバー指揮ヴィーンフィルによるシューベルトの交響曲第3番と第8(7)番「未完成」

kleiber_schubert_38◎シューベルト
交響曲第3番ニ長調 D.200 
交響曲第8番 ロ短調 D.759 「未完成」
カルロス・クライバー指揮 ヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1978年9月11日-15日 ムジークフェラインザール (番号は、CDの表示による)

参考:ベートーヴェン 5番 1974年3月,4月   7番 1975年11月、1976年1月 録音

昨日、ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団によるシューベルトの交響曲第8番、第9番を聞き、それについて書いた。ケルテスとVPOによるアクセントの強い録音について、mozart1889さんからトラックバックをいただき、指揮者岩城宏之のエッセイ「楽譜の風景」(岩波新書)のシューベルトの楽譜のことを思い出し、最近購入したカルロス・クライバーの録音も強いアクセント(アタック)に溢れていたように記憶していたので、聴きなおして見た。

第一楽章は、まとまりのある表現になっている。まずは、VPOらしからぬ(これはベートーヴェンの第5のときにもよく使われた形容句だが)強烈な荒々しい音響に驚かされる。やはりアクセントは強烈だ。ただ、全体的に雄雄しく壮麗な表現になっているために、分裂した印象がなく、これはこれで男性的なシューベルトとして悪くない。

カルロス・クライバーが逝去したときに、彼の音楽について、徹底的に形而下的なところに特徴があると思うと書いたが、この「未完成」の演奏についても、いわゆる彼岸的な、あの世的な表現にならず、非常に人間的であり、この世ならぬ不気味さはない。そういう点で世俗的な親しみやすさを覚える。

第二楽章は、穏やかな曲想に、突然トゥッティの強奏で襲う音楽にこれまで非常に辛い感覚を味わってきたのだが、この演奏は、全体的に響きが明るく前向きのためか、陰々滅滅とした雰囲気で威嚇するかのように訪れるのではなく、ずっと健康的に響く。威圧感がないのが救われる感じだ。

交響曲第3番はこのCDで初めて聞いた曲。作曲者18歳のときの作品だという。序奏部を持つ古典的な交響曲。ベートヴェンは45歳であり、第7、第8交響曲を発表してからのしばらくの停滞期にあたっていたのではなかったか?この年、チェロソナタの4、5番を完成している。その同じヴィーンで、若者シューベルトがベートーヴェンへの敬意を胸に、このような若々しい希望と歌の溢れるシンフォニーを書いていたというのはなんともいえない情景だ。

若書きの作品とは言え、木管楽器の歌うような楽器法や音色の微妙な混ぜ具合など、なかなか素晴らしい。とは言え、クライバーはなぜこの3番を録音したのだろう?曲の再評価を求めていたのか?

p.s. 2006/03/14 「未完成」のアクセントについて、mozart1889さんのケルテス/VPOの記事にトラックバックさせてもらった。

p.s. 2007/09/05 mozart1889さんの同じ音源(LP)の記事にトラックバックさせてもらった。

| | コメント (4) | トラックバック (1)

ハイティンク/ACO のシューベルト交響曲

haitink_schubert_s◎シューベルト 交響曲第7(8)番「未完成」、第8(9)番ハ長調
ベルナルト・ハイティンク指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1975年録音

シューベルトの「未完成」は苦手な曲だった。バーンスタイン/NYP(別記事参照)のLP,ワルター/NYPのLP,ベーム./VPOのNHKホールライヴLP、ライナー/CSO、C.クライバー/VPOのCDというように聞いてきたが、一番しっくりくるのが、このハイティンク/ACOの録音だ。

先日、許光俊「クラシックを聴け!」という題名のクラシック音楽入門書を購入して読んで見た。著者は洋泉社MOOKなどで名前を見かけていたが、あまりいい印象をもっていなかった。題名も装丁も悪乗りの開き直りのように感じたが、ペラペラページを繰ってみると、この「未完成」に言及しているようなので、苦手な著者が苦手な曲についてどう語っているか怖いものみたさで読むことに決めた^^;

この評論家(現在は、慶応大学の教授だという)は、物言いはあまり品がないようだが、こと「未完成」に関しては自分の感じと相当似たものを感じる。初めて買ったLPのバーンスタイン/NYPのライナーノートにしても、音楽之友社の名曲解説事典にしても、属啓成の「名曲解説事典」にしても、古い解説には、なべてこの曲が美しく、夢見心地な曲のように書かれている。

最初、バーンスタインのLPを聴いて以来、「未完成」は自分にとってはどうも違和感の強い「名曲」だった(このことは昨年のシューベルトの誕生日の時にも書いた)。第一楽章の地の底からわきあがるような不気味な冒頭は何だ?不安定な第一主題は何だ?唐突に現れる威嚇するようなトゥッティは何だ?美しくも、素晴らしくもなんともないではないか、というのは少年時代の印象だ。

許氏も、この本で少年時代この曲を聴いて、非常に恐怖を感じたと書いている。それが私が感じた違和感とは相当違うものだとしても、いわゆる普通の楽曲解説に疑問を抱いた点では共通しているようだ。

そんな中で、ハイティンク/ACOの1975年の録音は、素直に美しいと感じた演奏だった。

以前のメモ(ときどきメモしてCDと一緒に保存しておく習慣が以前はあった。最近はもっぱらBLOGだが)より。今とは多少考えが異なってはいるが。

1993.6.29(火)
S.8 未完成
この曲を聴き始めた時から、いつも違和感を覚える。果たして、それほどの名曲なのだろうか、と。二楽章で終わっていることもさることながら、第一楽章がAllegro moderato でテンポが遅く、形式に固められすぎ、第二楽章はAndanteで緩徐楽章としては早めのため、第一楽章とのコントラストが弱い。第一、第二楽章ともシューベルトが完全に推敲し終えたとは言えないのではないか?楽想間にブリッジ的なパッセージがなく、つながりが唐突過ぎる点も違和感を持たせるゆえんだ。
 
このハイティンク/ACOの演奏は、オーケストラの音色がまろやかで、品がよく、しとやかである。各パートとも確実に音を出しており、あいまいなところもない。好きな曲ではないが、よい演奏である。

1996.7.25(木)
S.9 強い個性がない(アクや隈取)がないけれど、響きは非常に美しい。オーケストラの奏でる和声が透明で豊かである。倍音が多く含まれているのだろうか。各パートとも安定してつややかな音を持っている。しっとりとした良い音だ。「いぶし銀」と評されるがそんなことはない。個性はないが、隠れた名盤だと思う。

p.s. 2006/03/14 「未完成」「グレート」について、3件にトラックバックさせてもらった。

ケルテスの未完成
ハイティンクのグレート
ハイティンクのシューベルト交響曲第5番

| | コメント (2) | トラックバック (2)

2006年3月12日 (日)

映画ドラえもん のび太の恐竜2006

子どもたちと ドラえもん映画の新作を見てきた。今回の「のび太の恐竜2006」は、ドラえもん長編映画シリーズの初回作のリメーク版だという。

1980年以来毎年恒例だったドラえもん映画は、原作者の藤子・F・不二雄氏が死去してからは原作の長編ストーリーが供給されなくなったこともあり、2004年の「のび太のワンニャン時空伝」を最後に、それ以降の継続が心配されていた。残された藤子プロのスタッフにより、原作者の逝去以降、オリジナルの長編アニメは数編続けれてきたが、2005年はついにストップしてしまっていた。その辺の事情は新聞でも報じられていた。今回はリメーク版として、放送アニメの新声優陣により制作されたという。

子どもたちは、レンタルビデオやロードショーの映画で、この長編映画シリーズをほとんど見ているが、今回のリメーク版もぜひ見たいということで、見に行った次第。

2004年の作品までは、非常に細かく丁寧に描きこまれている印象だったが、今回の作品は恐竜の質感が結構貧弱だったり、ギャグ調の表現が多く含まれたり(満員の観客だったが子どもたちには非常に受けていた)、これまでの路線からの若干の転換があるようだ。来年も新作(リメークかどうか分からないが)が公開されるらしい。

なお、最近映画界では「お涙頂戴もの」がヒットしているようだが、これも大人が見るとお涙ものかも知れない^^;

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月11日 (土)

村上春樹「海辺のカフカ」とシューベルトのニ長調ソナタ

しばらく前に話題になった「海辺のカフカ」という小説を読んでみた。作者は、村上春樹。彼の小説は、20年ほど前だったか「ノルウェイの森」がやはり話題になった頃に数編読んでみたことがあった。それらは当時の私の趣味には合わず、それ以来手に取ることはなかった。ただ、彼の「アンダーグラウンド」やこの小説が世間で話題になっていることは知っており、気にはなっていた。

先日、丸谷才一・永川玲二・高松雄一訳のジェイムズ・ジョイス「ユリシーズ」(三分冊のうちの)Ⅰを入手し、ダブリン空港の書店で、ディレッタントを気取って、分厚いペーパーバックの James Joyce "Ulysses"を購入して以来おそらく初めてその内容に触れることを始めた。「ダブリン市民」「若い芸術家の肖像」は文庫本で入手して読めたのだが、大作の「ユリシーズ」と「フィネガンズ・ウェイク」はこれからだ。この集英社の「ユリシーズ」には、下段に注釈が施されているほど親切なのだが、内容はさすがに手ごわい。(以前、ブルームズデイのことを記事にしたことがあったが、この作品のファンはいったいどこまで読み込んでいるのだろうか?)

そんなおり、以前から気にはなっていた「海辺のカフカ」を見かけ、古典だけではなく、現代小説もたまにはいいかと買って読んで見た。そして今日ようやく読み終えた。作品そのものは、これまで読んでことのある村上春樹作品の中で自分にもっともしっくり来るものだった。

ところで、上巻のP.189からP.194のドライブミュージックのエピソードで、「シューベルトのピアノ・ソナタ ニ長調」の作品論が繰り広げられていたのには驚いた。もちろんこのところ自分が、シューベルト付いているからだ。

しかし、曲についてはすぐにピンとは来なかった。シューベルトの番号付のピアノソナタは21曲あるようだが、ニ長調のものは、

ピアノ・ソナタ第17番ニ長調D.850,Op.53(1825)[4楽章]

だけだ。

「フランツ・シューベルトのピアノ・ソナタを完璧に演奏することは、世界でいちばんむずかしい作業のひとつだからさ。とくにこのニ長調のソナタはそうだ。とびっきりの難物なんだ。・・・ 統一性ということを念頭に置いて聴いてみると、僕の知るかぎり、満足のいく演奏はひとつとしてない。これまで様々な名ピアニストがこの曲に挑んだけれど、そのどれもが目に見える欠陥を持っている。・・・」 「曲そのものが不完全だからだ。ロベルト・シューマンはシューベルトのピアノ音楽の良き理解者だったけど、それでもこの曲を『天国的に冗長』と評した」(P.190)

「一般的にいえば、演奏としてもっともよくまとまっているのは、たぶんブレンデルとアシュケナージだろう。でも僕は正直なところ彼らの演奏を、個人的にはあまり愛好しない。・・・」 「シューベルトは訓練によって理解できる音楽なんだ。・・・」(P.193)

最近シュナーベルの録音を聞いたばかりだった。ほとんど記憶に残っていなかったので、聞きなおしてみた。なるほど、結構風変わりな作品ではある。ただ、このソナタだけが不完全な曲だろうか?不完全さというなら、シューベルトの作品の場合、その仕上げや推敲の点では多くがトルソ的な素朴な風合いを感じさせるので、これを取り立てて特別視するのが適切なのかよく分からない。

ちなみに シュナーベルのピアノだと、第1楽章 Allegro vivace 8:21, 第2楽章 Con moto 13:16, 第3楽章 Scherzo(Allegro vivace) 7:57, 第4楽章 Rondo(Allegro moderato) 7:38 というタイミングになる。

また、シューマンが「天国的な長さ(天上的な長さ)」と評したのは、彼がその未発表のシューベルトの自筆稿を発見して、それを自分の音楽評論誌に発表する際に昨日の記事で書いた「交響曲ハ長調(現行番号第8番、過去には7番とも9番とも呼ばれた、通称ザ・グレート)に対して用いた評言ではなかったろうか?ちょっとネットをあたってみたのだが、このソナタに対してのものは見つからなかった。(吉田秀和訳・編の岩波文庫シューマン「音楽と音楽家」や、音楽解説全集などに当たってみれば出ているかも知れない)。

なお、交響曲ハ長調(現行番号第8番、過去には7番とも9番とも呼ばれた、通称ザ・グレート) について、GOOGLEで興味深い論考を発見した。 シューベルトの「大ハ長調交響曲」と“歓喜の主題”

これは、「ようこそシューベルトのページへ!」に含まれている。

p.s. 「海辺のカフカ」にはこのシューベルトのソナタのほかに、ロックやジャズの曲名もいくつか使われている。また、ベートーヴェンの生涯への言及がまとめてあり、超有名曲のベートーヴェンの「大公」トリオは、やはり先日記した「百万ドル」トリオの録音への絶賛(第34章)のほかに、私がLPで持っているスーク・トリオオイストラフトリオの録音も取り上げられていた。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

asahi.com : be between の アンケート クラシック音楽について

現在、朝日新聞は、相当以前から別刷りの日曜版が、土曜版(ビジネス、エンターテインメント)と日曜版(サイエンス)の三種類に分化している。

土曜版のビジネスに、登録会員によるテーマごとのアンケートが掲載されているが、今週は、「クラシック音楽」がテーマとなっていた。 URLは以下の通り。

http://www.be.asahi.com/20060311/W17/20060305TBEH0002A.html

漫画「のだめカンタービレ」のヒットやモーツァルト生誕250周年がアンケートのきっかけのようだ。

好きな作曲家(3名まで回答)のアンケート結果はそれなりに面白かった。

普通の小中学校の音楽の授業に出てくる作曲家が多いが、ラフマニノフ、マーラー、ブルックナーなどの名前もあがっていた。また、その他の中には含まれるのだろうが、ヘンデルやヴィヴァルディの名前がなかった。人気投票的にはモーツァルトの圧勝だった。

普段聞く人と聞かない人の割合は若干聞く人の方が多いようだ。

相変わらずの作曲家名の表記だが、Verdi はヴェルディだが、Beethoven、Ravel 、Dvorak はベートーベン、ラベル,ドボルザーク。朝日新聞などマスコミでは、固有名詞の表記は社内ルールで決まっているようだが、通称にしたがっているようだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月10日 (金)

セル/クリーヴランド管弦楽団によるシューベルトの大ハ長調

szell_schubert_die_grosse◎シューベルト 交響曲第8(9)番 ハ長調 (The great, Die Grosse)
ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団 1970年4月27日、29日録音

セルの最後の年の録音のひとつ。大阪の万国博覧会を記念して、1970年の5月に初来日する直前の録音。初来日してからは空前の名演を日本各地で繰り広げ(この模様は1970東京ライヴで聞くことができる)てから、帰国後、セルは亡くなった。来日時にはすでに不治の病にかかっていることを本人は自覚していたとも言われていて、その精神力に畏敬の念と痛ましさを覚える。

セルは、1960年代終りに、それまでのEPIC(CBSの子会社)からEMIに録音するようになっており、ギレリスとのベートーヴェンのピアノ協奏曲全集や、オイストラフ、ロストロポーヴィチとのブラームスのドッペルコンツェルトや、名盤の誉れ高いドヴォルザークの交響曲第8番の録音などを入れていた。このシューベルトの「大きい(方の)ハ長調」交響曲もそのひとつ。なぜか以前から、ドヴォルザークはレギュラープライス、看板シリーズに収録されていたが、こちらは廉価盤シリーズに入ったいた。

この録音は、一度聞き始めると一気呵成に最後まで聞けてしまうという、非常に乗りのよいものなのだが、残念ながら、1970年のステレオ録音だというのに、マスターテープ起因なのか音質が悪い。前記のドッペルコンツェルトにも聞かれるのだが、強奏部でビリつきが聞こえてしまう。それだけクリーヴランド管弦楽団の音響エネルギーが強烈だったともいえるのだろうが、ただしかし、ソニーから発売された前記の同じ年の東京ライヴはNHKの録音陣による放送録音だが、そのような初歩的な「録音レベル」設定ミスであると思われるビリつきはなく、爽快で広がりもボリュームもあり、精緻で輝かしい音響が捉えられているのだから、この一連のEMI録音の悪さは惜しんでもあまりあるものだと慨嘆する。第1楽章の途中では、マイクにコツコツと何かが当たる音も収録されている。セルの急逝で、十分な編集作業ができなかったのかもしれない。

しかし、この交響曲の演奏は、クールなCBSでのスタジオ録音よりもホットさが感じられるもので、音質の悪さに躊躇を覚えながらも、一度聞き始めるとこの長大な曲を最後まで聞いてしまうのが常という、素晴らしい演奏だと思う。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

ようやくcocolog復旧

昨日3月9日9時から続いていたメンテナンスと、その後22時頃からのログインできない障害は今日3月10日の午後4時頃まで続いていたようだが、先ほど試してみたところ、このようにログインでき、記事の投稿もできるようになった。

http://info.cocolog-nifty.com/info/info/index.html

お知らせココログ:infoメンテナンス情報
2006.03.02【メンテナンス内容変更】メンテナンス実施のお知らせ:2006年03月09日(木)10:00-15:00
2006年03月09日(木)10:00-15:00の5時間、DBサーバーレスポンス改善のため、メンテナンスを行います。
(※)フリーのメンテナンス内容に変更がありますので、ご注意ください。
========================================================
 詳細情報
========================================================

◇日時:2006年03月09日(木)10:00-15:00の5時間

◇ご利用いただけなくなるサービス:

 ○ベーシック・プラス・プロ
   ・管理画面、トラックバック、コメント
   ・ココログの新規登録、解除
   ・ココログ出版
   ・ココログデザイン

 ○フリー
   ・管理画面、トラックバック、コメント(※)
   ・ココログの新規登録、解除(※)
   ・ココログデザイン

 (※)当初、ココログデザインのみと告知をしておりましたが、管理画面の操作、ならびに新規登録・解除などもできなくなりますので、ご注意ください。

◇目的:DBサーバーレスポンス改善

========================================================

ご利用のお客様にはご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

info, メンテナンス情報 | 固定リンク

http://cocolog2006.typepad.jp/blog/2006/03/1610_f4bb.html

第2報 16:10時点でのご報告をいたします。 3/9 より発生しております障害につきまして、下記の通りご報告いたします。

擬似的に負荷をかけ状況のデータを解析しながら、併せてデータベースの最適化を行いました。
その結果、ココログをご利用いただける状態になったと判断したため、3/10 16:00 より、一部制限をかけて再開いたしました。

上記「一部制限」は管理ページへの同時ログイン数の制限です。
今後、負荷状況を監視しながら、徐々に通常のログイン数に戻していく予定です。

現在、レスポンスが遅くなる場合が発生する可能性があります。
また、負荷状況によっては再度メンテナンスを行う可能性がありますことを
ご了承いただきますようどうぞよろしくお願い申し上げます。

なお、「ココログのデータが消えないのか」というお問い合わせをいただいておりますが、データは消えることはございません。

引き続き完全復旧に向けて鋭意対応を実施しております。

ご利用のみなさまには大変ご迷惑をおかけいたしており、深くお詫び申し上げます。

この障害報告blogには、数百の非難、批判、困惑等のコメント、トラックバックがついている。

今回の障害は、有料ユーザーのココログに影響があり、例のフリーの方は障害の影響はほとんどなかったことに特徴がある。有料ユーザーとしては、非常に腹立たしいものがある。

また、今回の騒動で、blogへの書き込みが、精神衛生上のバランスを取るのに相当の比重を占めていることに気が付かされた。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月 8日 (水)

クリフォード・カーゾンの「さすらい人」幻想曲

curzon_schubert_◎シューベルト 幻想曲ハ長調「さすらい人」 D.760 クリフォード・カーゾン1949年録音
ピアノ三重奏曲 変ロ長調 D.899 ルービンシュタイン(p),ハイフェッツ(Vn),フォイアマン(Vc) 1941年録音

リート「さすらい人」 Der Wanderer D.489の歌詞第二連"Die Sonne duenkt mich hier so kalt,・・・"の部分のメロディーを第二楽章の変奏曲のテーマに用いているこの4楽章のピアノソナタに近い形式の幻想曲は、昨日の記事でシューベルト演奏の達人、ブレンデルの1970年代の録音で触れたが、HISTORY 10BOX「シューベルティアーデ」には、イギリスの名ピアニスト クリフォード・カーゾンの古い録音で収録されている。

カーゾンのピアノは、作曲家ベンジャミン・ブリテンの指揮によるモーツァルトのピアノ協奏曲第20番と27番のCDで聞き、その端正で上品なピアノに、ブリテンの指揮ともども感銘を受けたのだが、このまだ戦後の混乱期にあった年代の録音は、モーツァルトで聞かれた端正さに加えて、上記のさすらい人による第二楽章で聞かれるクレッシェンド効果の目覚しい弾き方やフガート的に開始される終楽章の乗りに乗った演奏などカーゾンの意外な感情発露やSP期らしい一発録りの魅力を聞くことができる。

なお、併録は、ルービンシュタイン、ハイフェッツ、フォイアマンによるトリオ、いわゆる「百万ドルトリオ」によるもの。ピアノ三重奏曲第1番作品99で、同じ組み合わせによるベートーヴェンの「大公」トリオと同じディスクに収録されているものとおそらく同じものだろう。ここでもハイフェッツの音楽は、非常に冷静である。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

こんなところに居た「トゥーランドット」

先日Blog"電網郊外散歩道"の「これはすごい~WikiPediaの「トゥーランドット」解説」 という記事に感心してコメントさせてもらっていた。

旬のトピックではあるが、リンク先のWikipediaの「トゥーランドット」が非常に詳しい解説記事になっている。その中に、W.A. モーツァルトの妻、コンスタンツェ(旧姓ヴェーバー)の実の従弟、Carl Maria von Weber による歌劇「トゥーランドット」のことも書かれており、ヘーッという感じだった。

義理の従兄、モーツァルトの歌劇(ジングシュピール)「魔笛」のト書きでは、王子タミーノは、日本の公家が着用した狩衣(かりぎぬ)を着ていることになっており、モーツァルトの脳裏にもはるか極東の国Japan(ヤーパン)の文字があっただろうことに何だか不思議な面白さを感じたものだが、ヴェーバーは、中国を舞台にした「トゥーランドット」を歌劇化していたとは!

ところで、今日何の気なしに(3月8日はウォルトンの命日)、セル没後30周年のおりに求めたウォルトンの交響曲第2番を聞こうとCDを取り出してみたところ、ヒンデミットの「ヴェーバーの主題による交響的変容」が入っており、なんと第二曲目にこのヴェーバーの「トゥーランドット」からのメロディーが変奏曲のテーマとして用いられており、ビックリした。
szell_hindemth_walton◎Paul Hindemith
Symphonic Metamorphoses on Themes of Carl Maria von Weber
Ⅱ. "Turandot, Scherzo" Moderato-Lebhaft

なんとこんなところにも「トゥーランドット」が隠れていた! 

p.s. もういちどよく読むと、Wikipediaの解説には、ヴェーバーの歌劇の項に、しっかりこのヒンデミットのオーケストラ曲のことも書かれていた。脱帽!

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006年3月 7日 (火)

ブレンデルのシューベルト ソナタ21番、さすらい人幻想曲

brendel_schubert_piano◎シューベルト
ピアノソナタ第21番変ロ長調 D.960
幻想曲 ハ長調 作品15 D.760 「さすらい人」
アルフレート・ブレンデル 1971年11月13日~17日 モーツァルテウム、ザルツブルク、オーストリアでの録音

28CD-5008 輸入・発売元日本フォノグラム株式会社 ということで、購入した1987年にはこの2800円のCDが廉価盤だった。レギュラープライスは3500円ほどした。一枚もので高いものといったら、グールドの1981年録音のゴルトベルクが3800円だった。ほんの20年ほどで、音盤の価値がまったく違ってしまったことに驚かされる。何しろ、昨年購入したアンナー・ビルスマの70歳記念盤11枚組みがなんと3000円ちょっとで、そのいずれもが高水準の演奏と録音なのだから。

だから聴き方も相当変わってしまった。当時は聞きたい曲や演奏をレコード藝術などを参考に慎重に選び、購入したらそれこそ何度も聞いたものだった。このブレンデルのシューベルトは、楽興の時や即興曲、軍隊行進曲などの小品は別にして、初めて聴くシューベルトのピアノの大曲だった。「さすらい人」は、リートのメロディーが下敷きになっていることもあり、全体に親しみ易い楽曲だと感じたが、変ロ長調の大ソナタの方は、悠揚迫らぬMolto Moderato の第一楽章からいかにも茫洋としていて初めはなじめないものだった。ベートーヴェンの後期ソナタや後期の四重奏曲にはなじみ始めていたが、シューベルトの後期の作品はどうもつかみ所がなかった。それでも最近、ケンプやシュナーベルの同じ曲と聞き比べることにより、どうにかこの曲、この演奏の特徴が把握できるようになってきた。非常に神経を細かく張り巡らせて、音色を研ぎ澄ませた演奏だと思う。

ブレンデル   14:38/8:54/3:57/8:30
ケンプ      21:12/9:19/4:49/8:01
シュナーベル  13:50/11:21/4:09/7:12

なお、このブレンデルのソナタの録音、発表当時その他のソナタは軒並み高い評判だったというが、これだけは、第一楽章の提示部の繰り返しを行わず、つなぎの数小節を演奏しなかったことで、日本では評判がよくなかったという。先日ブレンデルのことを調べたときにあるサイトの記事で知り驚いた。

なお、ブレンデルは1988年にもこの曲を録音している。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月 6日 (月)

アバド指揮ヴィーンフィルによるブラームスのハンガリー舞曲集 全21曲

brahms_hungarian_danceアバド指揮ヴィーンフィルによるブラームスのハンガリー舞曲集 全21曲 1982年録音

ブラームスのハンガリー舞曲、ハンガリアン・ダンスといえば、よく人口に膾炙している音楽だが、意外にオーケストラ版の全曲録音は多くない。有名な数曲が、交響曲や協奏曲などの穴埋め(フィルアップ)用に録音されるケースが多いようだ。そんななかで、これはアバドがヴィーンフィルを指揮して全21曲を録音したもので、スイトナーやマズアの全曲盤とならんで資料的価値もあるだろう。

演奏の特徴は、ハンガリー(ジプシー、ロマ)音楽、ブラームスというイメージとは少々離れ、軽快である。思い切ってテンポを動かし詠嘆調、絶叫調になる演奏が多い中、アバドの指揮、解釈とヴィーンフィルの演奏は洗練されている。

この曲集はもともとピアノ連弾用に作曲され、かつてブラームス自身の蝋管録音が再現されたテレビ番組を見たことがあったほどブラームスのヒット曲的な代表作のひとつでもある。ブラームスと楽譜出版社はこの曲集のヒットで相当利益を得たという。ハンガリーの音楽という題名がつけられているが、実際は漂泊の民ジプシーの音楽を元にしたものだといい、原曲の作曲者から著作権的な訴訟をおこされたこともあったようだ。

東欧・中欧、南欧に定着したジプシーの音楽は、リストの「ハンガリーラプソディー」、サラサーテの「ツィゴイネル・ヴァイゼン」(まさに「ジプシーの旋律」という意味)聴かれるように、激しいテンポとダイナミズムが特徴だが、その意味でアバドのこの「ハンガリアン・ダンス」の解釈は、上品過ぎるのかも知れない。シノーポリがVPOとのリストのハンガリーラプソディー第2番の演奏で見せたような強烈な味付けの方が自分の好みかもしれない。


| | コメント (2) | トラックバック (1)

2006年3月 5日 (日)

エトヴィン・フィッシャーのシューベルト即興曲集

fischer_schubert◎シューベルト
即興曲集 作品90(D.899)
即興曲集 作品142(D.935)
ピアノ: エトヴィン・フィッシャー Edwin Fischer 1938年録音 
History Box シューベルティアーデ より

エトヴィン・フィッシャーといえば、スイス生まれながら独墺音楽の権威として主に今世紀前半に活躍したピアニストで、2006年の現在ではあまり録音が聴かれることもなく、ブレンデルやバレンボイムの師として彼らのプロフィールに登場することの方が多いかも知れない。私も、このシューベルティアーデで聞くまでは、おそらくFM放送で懐かしの巨匠などというタイトルで聴いたことがある程度で、まともに聴いたことがなかった。

先日は、現代のピアニスト ツィメルマンの録音で、この二つの曲集を聴いてみたが、今日は、フィッシャーの1938年という大昔の録音のディジタル・リマスター盤を聴いた。もちろんモノーラルではあるが、音質は少し篭もり気味ではあるが、高域の伸びもあり、またSPの針音もまったく消えていて大変聴きやすいものだった。

演奏では、作品142の方が感心した。特に、三曲目の「ロザムンデ」のバリエーションの多彩さと、四曲目の溌剌としたリズムを楽しめた。前のめりのテンポではないのだが、演奏に勢いがある。ブレンデルやツィメルマンにはシューベルトの音楽と少々距離を置いているのではないかと思われる節があるが、フィッシャーはその距離を感じさせず、ムジチーレンしている感覚を感じる。シューベルトの深遠さの再発見が20世紀後半の演奏史の上では重要なのだと思うが、musizieren音楽する感覚を少々失っているのかも知れないと思わせる録音だった。

p.s. 2007/09/12 バレンボイムのヨーロッパでのピアノの師匠はフィッシャーだと思っていたのだが、どうやら違うらしい。誰か有名なピアニストだったと思うのだが。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月 4日 (土)

3月4日はヴィヴァルディの誕生日

imusici_ayo_vivaldi_quatro_stagione◎ヴィヴァルディ ヴァイオリンと弦楽合奏、通奏低音のための協奏曲集「四季」 Le quattro stagioni
作品8の1から4(Vittorio Negri 校訂)
第1番ホ長調RV269「春」 La primavera
第2番ト長調RV315「夏」 L'estate
第3番ヘ長調RV293「秋」 L'autunno
第4番ヘ短調RV297「冬」 L'inverno

 1959年4月29日から5月6日 ヴィーンでの録音

協奏曲ホ長調RV271 「恋びと」 L'amoroso (Michelangelo Abbado 校訂)
 1957年12月27日から1958年1月10日 ミラノでの録音

イ・ムジチ、フェリックス・アーヨ(独奏ヴァイオリン)

今日3月4日は、ヴィヴァルディの誕生日。
 1678/3/4 イタリアの作曲家ヴィヴァルディ(Vivaldi.Antonio)がヴェネツィアに誕生

ヴィヴァルディといえば「四季」、「四季」といえばイ・ムジチ。イ・ムジチは、本当に何度もこの曲を録音しているが、大ベストセラー&ロングセラーとなったものがこの独奏ヴァイオリンがアーヨの1959年ステレオ録音盤。いわゆるバロックブームの先鞭をつけた名盤とされる。LPでは、この次に録音された、ミケルッチ独奏ヴァイオリンによる同じフィリップスのものを愛聴してきたが、名盤とされるアーヨ盤を聴いてみたくて、このレギュラープライス盤を購入した(現在では廉価盤が出ている)。演奏については、今更云々することはないが、昨今のピリオドアプローチによる刺激的なものとは異なり、またミケルッチ盤のアンチ・アーヨ盤的なマルカート的なリズミカルさとも違い、上品なレガートが特徴だ。

誕生日だということで、詳しく書誌的な情報をこのBLOGに書き写してみたところ、面白いことにいくつか気がついた。まずは、この四季の四曲は、RV番号的には連番になっていない。

RV番号は、「ヴィヴァルディ研究の最新の成果であるリオムRyomによる作品目録」の番号だという。

また、「恋びと」の校訂者にミケランジェロ・アバドとあるのを見てさてはと思い調べて見たところ、やはりあの指揮者クラウディオ・アバドの父にあたる人のようだ。(曲目のところにオランダ語のリンクをはったがwikipedia italiaにも項目があった)ミラノの音楽一族アバド家!

また、逸話としては、あのジャン=ジャック・ルソーが、この「春」を、フルート独奏用!に編曲した楽譜が、フランスで自費出版されていたとの話が、海老沢敏氏の「巨匠の肖像」バッハからショパンへ(中公文庫)に出ていた。海老沢氏がパリの国立図書館でルソーの楽譜に当たっていたときに発見したのだという。録音はないものだろうか?

| | コメント (4) | トラックバック (3)

2006年3月 3日 (金)

パレストリーナ ミサ・ブレヴィス タリス・スコラーズ

palestrina_brevis◎パレストリーナ Missa Brevisミサ・ブレヴィス
プリマヴェーラ Nasce la gioja mia (私の喜びが生まれるのは My joy is born)
パレストリーナ Missa Nasce la gioja mia
 ピーター・フィリップス Peter Phillips 指揮 タリス・スコラーズ The Tallis scholars
 1986年録音

ミサ・ブレヴィスには、短いミサという意味もあるらしい。日本でもカワイ出版から昭和46年に楽譜が発行されるなど、合唱人には早くから親しまれてきた曲のようだ。この楽譜の巻末の解説には、このミサ曲が欧米でも教会の外でも演奏され親しまれてきた経緯などが詳しく記されている。以前、地域の合唱グループに入っていた折に、このミサ・ブレヴィスの第一曲、Kyrieのバスパートを歌ったことがあるが、稚拙な素人が歌ってもそれなりに聴けるのが楽しかった。

タリス・スコラーズの合唱は、アレグリのミゼレレでもそうだが、無伴奏の人の声とその合唱の素晴らしさを典型的に示してくれている。アルトパートは、男声のカウンターテナーが歌うが、ソプラノは女声が歌うため、無理がなくすっきりと透明な音色になっている。同声の溶け合いという点では、すべて男声で歌っている Pro Cantione Antiqua の合唱も素晴らしいが、タリス・スコラーズの方が聴いていて楽しい。

なお、このCDには、プリマヴェーラ 日本語で 春 という名前の作曲家の世俗曲が取り上げられている。この旋律が、パレストリーナによってミサ曲の定旋律に取り上げられているので、その原曲として紹介されているようだ。なお、このCDのジャケットは、サンドロ・ボッティチェルリの PRIMAVERA 春 の 一場面だ。 

12年前の新婚旅行で、イタリア、フランスをめぐった際、オプショナル・ツアーでフィレンツェを訪れ、自由時間を利用して、駆け足で、ウフィツィ美術館を見て回った。ボッティチェルリの間で、この「春」と「ヴィーナスの誕生」をゆっくりと見る幸せに恵まれた。ボッティチェルリの描く女性は、非常に繊細で可憐だが、少々バランスが悪いとされているようだ。しかし、実物の大画面を見るとそのアンバランスさはあまり気にならない。フィレンツェのメディチ家の別荘を飾ったといわれている装飾画に近いものらしいが、その細緻な自然観察と繊細な色彩、人間の裸体の賛美は、まさにあの時代の精神を伝えてくれる。フィレンツェは、短い滞在だったが、本当に見るものが沢山あった。また行ってみたいところだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月 2日 (木)

ツィメルマンのシューベルト即興曲集

zimerman_scubertポーランド出身でショパンコンクール優勝のクリスティアン・ツィメルマンのシューベルトの録音。作品90(D.899)と作品142(D.935)の二つの即興曲集。1990年録音で、発売された1991年に購入した。

ツィメルマンを実演で聴いたのは、1993年だったと思うが、ちょうどその生演奏のすばらしさ。特に音の多彩さと透明感のある響きに感動した頃のメモだと思うが、CDにはさんであったのを書き写しておく。

1993年7月12日(月)の鑑賞メモ。(①は第1番をあらわす。)
D.899①ブレンデルの録音を以前聴いていたが、それに比べてずっと劇的な表現。ベートーヴェン的である。うっとりするメロディーの歌わせ方ではない。クールだ。
②レガートだが、一音一音がくっきりして、ふるえるほど美しい。音がキラキラ輝いている。ワンテイクで録っているのか、ライヴの乗りがある。
③あまり精彩のない演奏。音が冴えないせいか?いや、意識的に丸い音を作っているのだ。
④弟がよく練習していた曲。ツィメルマンの演奏は伸びやかさが不足している。伸びやかさと緊張感。シューベルトには前者の方が似合っている。

D.935は、調構成からもテンポ、形式構成からもピアノソナタ的な作品。①フラット4つの短調。②フラット4つの長調。③フラット2つの長調。④フラット4つの短調。

①構成的な曲。②アレグレットだがのんびりした気分。③有名なロザムンデのバリエーション。④流れるような音階のパッセージ。時々唸り声も聞こえる。劇的。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

« 2006年2月 | トップページ | 2006年4月 »