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2006年3月18日 (土)

ドホナーニ/VPOの「ペトルーシカ」「マンダリン」

stravinsky_petrushka_bartok_mandarin_dohnanyi◎ストラヴィンスキー 「ペトルーシカ」(1947年版)
バルトーク 「中国の不思議な役人」(The Miraculous Mandarin complete ballet)
クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮 ヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ヴィーン国立歌劇場合唱団(ヘルムート・フロシャウアー指導):バルトーク
録音:1977年12月 ヴィーン ゾフィエンザール

1929年生まれで今年77歳になる指揮者クリストフ・フォン・ドホナーニは、祖父の作曲家エルンストがハンガリー出身のためハンガリー出身だと思っていたが、父(作曲家エルンストの息子)はヴァイマール共和国、第三帝国で著名な法学者であり、指揮者であるクリストフはベルリンで生まれ、ドイツで教育を受けて育ったので、血統は別にしても、ドイツの指揮者として位置づけられるようだ(文春新書「クラシックCDの名盤 演奏家篇で、中野雄氏は、ドホナーニを「ハンガリー系」指揮者に分類しているが)。

2000年ごろまでクリーヴランド管弦楽団の指揮者を務めており、結構録音をリリースしていたので、その名前を見る機会は多かったが、これまで手持ちの音盤は一枚もなく、今回初めてドホナーニの音楽をじっくり聴く機会を得たことになる。今回ドホナーニがすでに80歳を目前にしていることを知り、若い指揮者のイメージがあったので驚いた。

さて、この「ペトルーシカ」「中国の不思議な役人」は、後者を聞くために購入した。

◆1918-19年 M.レンジェルのパントマイム「中国の不思議な役人」Op.19 

組曲版は結構CDでも出ているようなのだが(A. フィッシャーのBrilliantレーベルのオーケストラ曲集は残念ながら組曲版)、全曲版はなかなか最寄のCD店では見つからなかった。最近思いがけずに、現在のHMVのカタログにもないこの珍しいが結構豪華なCDが入手できた。

バルトークは、非常に高潔な人格の持ち主のように想像しているのだが(もっとも非常に人付き合いがよくなかったという)、「青髭」伝説に基づく「青ひげ公の城」やこの「超自然的な中華帝国役人」のような少々グロテスクなストーリーを題材に作曲しているのは面白い。

このドホナーニ盤のライナーノートによると、この曲は、バルトークの舞台用作品としては三作目で最後の作品になるという。(「かかし(木彫り)王子」、「青ひげ公」の次)

ピアノスコアの完成が1919年5月。オーケストレーション完成は1924年。1926年ケルンで初演されたが、M.レンジェルによる恐ろしい台本が聴衆に非常に衝撃を与えたため、この初演で打ち切られたという。この録音の演奏については、何しろ初めて耳にするものであり、強烈な不協和音やおどろおどろしい雰囲気は感じるが、まだ何も言う手がかりがない。

◆「ペトルーシカ」は、LP時代には音盤を持っていなかったが、ドラティとC.デイヴィスの「春の祭典」のフィルアップに入っていたので、このドホナーニ盤で3枚目になる。ドラティのものは"based on 1947 version"とされ、解釈によっては1947年版のスコアをそのまま使用しているのではなく、「基づく」のだが少々1911年版も参照しているとも捉えることもできるのだが、どうなのだろうか?耳で分かったわけではないが。またC.デイヴィス盤は、"1947 version"と単純に書かれている。今回のドホナーニ盤は "revised 1947 version" つまり「1947年改訂版」となっており、録音データとしてPublisher: Boosey & Hawkes Inc.と出版社名が表示されている。

タイミング比較   第1場/第2場/第3場/第4場
◎C.デイヴィス(1977年10月)  9:44/4:16/6:29/13:17
◎ドホナーニ(1977年12月)  10:06/4:32/7:02/14:20
◎ドラティ(1980年6月) 9:45/4:27/6:38/13:18

ドホナーニの録音は、デッカの解像度が高い録音により、ヴィーンフィルの音色が鮮烈に捉えれられており、色彩的な印象が非常に強い。タイミング的にも分かるように比較的ゆっくり目のテンポで、非常に克明な演奏になっている。少々冷静な雰囲気でもあるが、他の2つの演奏とは使用楽譜が違うのではと思わせるほど多彩で面白い音響の演奏だ。

なお、ドホナーニ/VPOはこの録音のほかに、同じ作曲家の組み合わせで、「火の鳥」「2つの肖像」を1979年に録音していたようだ。この録音についてHMVサイトでは「収録の時期がちょうどLPからCDへ、アナログ録音からデジタルへの移行期と重なったためか、わずかな期間で市場から消えてしまった」とあり、この「ペトルーシカ」「マンダリン」も同じ運命だったのかも知れない。

P.S. 海外サイトでの同じCDの情報、レビュー
http://www.cduniverse.com/search/xx/music/pid/6871685/a/Stravinsky:+Petrushka%2FBartok:+The+Miraculous+Mandarin.htm

http://www.musicweb.uk.net/classrev/2005/July05/Stravinsky_Bartok_4762686.htm

http://www.classicstoday.com/digest/pdigest.asp?perfidx=3498

追記:2006/10/14
YAHOO BLOG検索で、これと同じ音源のCDの紹介記事( 『takの音楽』)を発見してトラックバックを送らせてもらった。今では、オーストラリア(豪州)のデッカからのみ発売されているのだという。豪州もイギリス連邦の一員だけあり、HMVなどでときおりオーストラリアの交響楽団の演奏などを含んだこのようなシリーズが企画されるようで、なかなか面白い。

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今やオーストラリア・エロクアンスでしか手に入らないドホナーニとウィーン・フィルのストラヴィンスキーとバルトーク。 何せウィーン・フィルが演奏したこれらの曲はCDではほとんど出ていない。 「ペトルーシュカ」はこれとマゼールだけ、「中国の不思議な役人」は全曲盤..... [続きを読む]

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