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2006年4月12日 (水)

バルトーク ピアノ協奏曲全集 ブロンフマン(p) サロネン/LAPO

Bronfman_salonen_bartok_p_concertos◎バルトーク ピアノ協奏曲第1,2,3番
イェフィム・ブロンフマン(P), エサ=ペッカ・サロネン指揮ロサンゼルス・フィルハーモニック

録音 1994/10/17,18 California (1996年グラミー賞
(グラミー賞のサイトでクラシック部門をいろいろ検索してみると、Soltiの受賞の多さが目立つ。)

高校の音楽の授業で「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」を聞いたことはあったが、実質的なバルトーク入門は王道的(?)に「オケコン」と「ルーマニア民族舞曲(VnとP用編曲)」からだった。

傑作弦楽四重奏曲に惹かれてからは、いつのまにかバルトークのCDも増えてきた。とはいえ、バルトークの作品は、決して耳あたりがよかったり聴きやすかったり、いわゆるヒーリング的な癒しにつながる音楽はほとんどなく、アグレッシヴな不協和音や形式的・構成的にも難解な曲が多く、常に対決姿勢的な真剣さを要求され、聴くほうがエネルギー切れの場合には付いていけないこともあり、漫然とは聴けない。そういう意味での集中力の要求度は、ベートーヴェン以上だと思う。そうは言っても、オケコンのフィナーレや弦楽四重奏曲第4番のフィナーレなどの猛烈に疾走する音楽には一種の爽快感やカタルシスを感じるのも確かだし、若き日コダーイとともに東欧の民謡研究に没頭したことに由来があるのだろうが、ときにセンチメンタルとさえいえるような非常に魅力的なメロディーやテーマが聴かれることもあるのも彼の音楽に惹きつけられる理由だろうと自己分析している。

バルトークが名ピアニストだったことは、先日のシゲティとのワシントン・リサイタルのCDでも触れた(パリのルービンシュタインコンクールで、バックハウスに次ぐ第二位!)が、彼の傑作には弦楽器系の曲、ヴァイオリン協奏曲や弦楽四重奏曲などが多いのは不思議だ(ショスタコーヴィチもピアノ演奏をよくしたが、同じくピアノ協奏曲など取り立てての傑作とは言えずむしろヴァイオリン協奏曲の方がすごい曲だし、バルトークと同様に15曲の弦楽四重奏曲がある)。

今回のCDは、ピアノ協奏曲第3番を聴きたくて求めたもの。安定したメカニックを誇るブロンフマンと、天才指揮者サロネンの指揮のものが、一枚で全曲が揃うところが非常にお徳用だと思った。

しかし、バルトークのピアノ協奏曲といえば、私の年代としては、まずはポリーニとアバド/シカゴ交響楽団の録音を挙げることになる。1977年2月に録音された第1番と第2番は、まだバルトークの曲をあまり知らない自分にとっては、完璧なピアニストが、盟友アバドと世界一のヴィルトゥオーゾオーケストラ シカゴ交響楽団と入れた難曲ということで、その演奏のすごさが喧伝され、印象深かった。今聞いてもその迫力は失われていない。(しかし、アバド、ポリーニともこの曲以外のバルトークにはあまり熱心でないようで残念だ。)

第1番、第2番は、ポリーニ、アバドに軍配があがるように思う。決してブロンフマンやサロネンの演奏が悪いわけではないが、どうも漫然と聞けてしまうのが難点だ。ブロンフマンやサロネンにとっては、難曲バルトークも易しすぎるのだろうか。その点ポリーニ盤には全盛期だった70年代の彼の集中力により、ピアノが打楽器として使われたといわれるこれらの曲の迫力がすごい。原色的なピアノの音色やブラスの輝きと力強さもこちらの録音の方が勝っているようだ。

第3番は、アメリカ亡命後の最晩年に作曲され、最後の17小節を残して作曲者が亡くなってしまった作品で、ヴィオラ協奏曲(草稿段階で残されシェルリーにより補筆完成。息子ピーター・バルトークによる補筆完成版もある)と並んでバルトークの白鳥の歌となっている。晩年の特徴である美しいメロディーや分かりやすい新古典主義的な形式で、バルトークの中でも親しみやすい作品だと思う。特に第二楽章の宗教的な調べは印象的だ。ブロンフマンとサロネンの演奏もこの作品がもっとも適しているようだ。

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