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2006年6月 5日 (月)

「風のジャクリーヌ」 

日曜日は読書にいそしんだ。

原題: "A genius in the family"

ブック・オフで目に留まり、購入。おそらく映画「本当のジャクリーヌ・デュプレ」の原作として興味をもった人が購入してから売ったものだろう。

ジャクリーヌ・デュプレ Jacqueline du Pre (eにアクサンテギュが付く)の姉と弟による回想録。

この回想録によるとデュプレ家は「英王室領のチャネル諸島」ジャージー島出身とされる。Wikipedia  によると、「オルダニー島(英国系)以外のジャージー島やガーンジ-島の住民はノルマン系フランス人で、今なお農村部ではフランス語ノルマン方言を話す。」とのことで、フランス系の姓 du Pre やフランス系の名前Jacquelineも出身地に由来するのだろう。アイルランドを訪れた際に、ヒースローでアイルランドに乗り換えするのに、英国のパスポートチェックがあって不愉快さを覚えたが、そのときに channel island という看板があり、どういう場所だろうと不思議に思っていたが、ようやくどのような場所かが分かった。

デュ・プレは英国生まれの弦楽器奏者では例外的にワールドクラスの名声を勝ち得た音楽家だったが、その出自からすると、多くの世界的チェリストを生み出したフランス、スペインに近い血統を持っているのではなかろうか?

デュプレの多発性硬化症(Multiple sclerosis, MSと略される)の悲劇はつとに聞き知っていたし、バレンボイムへのデュプレのファン側からの批判記事はいくつか読んでいたので、その点ではこの回想録の内容はショックではなかったが、ビショップ=コワセビッチ、リチャード・グードとの交際は知らなかった。

またカザルスのマスタークラスに参加し、パリでトルトリエ、モスクワでロストロポーヴィチに師事した。カザルスに対しては手厳しいしトルトリエも同様。チェロの音や弾き易さのために楽器に相当手を入れるということも初めて知った。ソ連留学では忌まわしい事件にも遭遇したという。

ジャクリーヌや姉弟が遭遇したイギリスの小中学校での「いじめ」についても言及されている。このような事例を読むと、いわゆる変わり者を「いじめる」というのは洋の東西を問わず、ヒト集団の特性なのではないかと思ってしまう。

非常にスキャンダラスな告白もあるが、全体としてジャクリーヌ・デュプレやバレンボイムのイメージを傷つけるような内容ではなかった。人間デュプレの赤裸々な姿が描かれていた。また、バレンボイムについては、比較的好意的に描かれていたのは意外だった。

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