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2006年8月21日 (月)

アニメ映画『ゲド戦記』への原作者の公式見解が発表された

参加しているmixiのコミュニティをみていたら、こちらのblogでアニメ映画『ゲド戦記』に対する原作者のコメントが発表されたことを知り、原作者ル・グウィンのオフィシャルページを読んでみた。(そのオフィシャルサイトが何らかの理由で接続不能なときは、Gedo Senki でgoogle検索すれば、 キャッシュで読むことは可能だ。また、ネットでは邦訳も読むことができる。時々つながらないことがあるようだ。)

この映画については、映像化を知ったときと、鑑賞後の感想で懸念を書いていたが、この作者のコメントを読んで、「やはり」というのが初めの感想だった。英語的には微妙なニュアンスで書かれているため、真意がもう一つつかみにくい部分はあるのだが。anger and disappointment は率直な厳しい表現だ。

2006年8月 5日 (土) アニメ映画『ゲド戦記』を見てきて

2006年5月12日 (金)ファンタジー文学の映像化が相次ぐのは・・・ 「ゲド戦記」

mixiに投稿したのは、原作者に関する複雑な感想。

原作者のコメントを原文と様々な訳とで拝読しました。非常に複雑な思いです。

原作者が映像化に対してそれほど無力なものだと自覚していたならば、そもそも彼女及び彼女の息子はEarthseaシリーズのアニメ映像化権を誰にも与えるべきではなかったのではないかと思いました。今回のアニメ映画が彼女の原作を大幅に換骨奪胎したものだということには彼女自身には責任がないとしても、最初の部分で大きなミスがあったように思います。USA版のテレビシリーズの轍もあったわけですから。なにやら複雑な背景があるように勘繰ってしまいます。

ひとつ分からなかったのは、2009年まで「利己的で意地悪な」テレビ局との契約によりUSAでこのアニメ映画が見られないと書かれていることなのですが、これはどういう意味なのでしょうか?このアニメ映画は世界配給されるように思っていたのですが。

どうも今回の映像化についても、ビジネスがらみ、つまり金銭がらみの権利云々がつきまとっているようだ。高尚なファンタジーの世界がまたしても泥臭い人間模様に染められたようで、正直なところ少々不愉快な気分だ。単なる失敗作とだけ切り捨てることができない模様だ。


さて、この夏休みに、実家に置いておいたゲド戦記の第1巻と第2巻を、このアニメ映画のことを考えながら読み返してみた。第3巻の読み返しはこれからだが、この原作を丁寧に映像化することでも十分立派な映画になったのではなかろうか?

『影との戦い』にしても、ゴントでの幼いゲド、オジオン(オギオン)との出会い、影の誕生の予感、ロークでの修行、ヒスイへのライバル心、カラスノエンドウとの交友、死者の呼び出しと影の誕生、それによる大賢人の死、ゲド魔法使いとなった後の竜との戦い(これにより竜王?)、影からの逃亡、オジオンのアドバイス、影を追跡、第2巻につながる大砂州でのカルガドの王子王女との邂逅、カラスノエンドウとの再会、ノコギリソウとの淡い交流、最果ての東海域へ、影を取り入れて全きゲドへ。

映像的にもゴントでのカルガドとの戦い、オジオンの地震鎮め、ローク島の魔法学校、その後の竜との戦いの場面など、非常に手間のかかるものだろうが、それによって初めて『ゲド戦記』を正当に映像化したと言えるのではなかろうか?

原作者は、宮崎駿による『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』を大変評価していて、そのレベルでの映像化を期待していたらしいし、全五巻+別巻の完全映像化ではなく、第一巻と第ニ巻をつなぐ未知のエピソード(ゲドが大賢人と呼ばれるようになったいさおしなどを宮崎駿のオリジナルな脚本で)の映像化を提案もしていたようだ。

原作者のコメントが必ずしも絶対的なものではなく、換骨奪胎の手法が否定されるべきものではないことを認めたとしても、映像化として上記のようなものを望んでいた原作ファンとしては、返す返すも残念だ。

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yahooブログ検索などで拝見して共感しトラックバックを送らせてもらったブログ記事
*週刊明るい空 オタクなパート書店員の奇妙な空間
*yamaneko diary
*究極映像研究所
*リヴァイアさん、日々のわざ

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コメント

はじめまして。TB頂きましてありがとうございます。この件に関しましては私のBLOGにも書きましたが、どこまで契約書に記載されていたかわかりませんが、ジブリ側と原作者側に行き違いがあったようです。原作者は宮崎駿氏が責任を持って監修するのなら、原作をいじって良いという許可を与えたつもりが、実際はノータッチ。また変更の多くの部分が鈴木Pによるものと(推測されると)いう、原作者の意思をまったく踏みにじったものになっています。その上、宮崎吾郎氏の出した本は著作権法に触れる恐れもあり、問題はさらに大きくなっているように感じます。

ところでMixiではどちらでこの記事をご覧になられましたか?よろしければ教えて頂けたら嬉しく存じます。これを機会にどうぞBLOGを行き来させて頂けましたら幸いです。

投稿: 明るい空 | 2006年8月22日 (火) 16:08

明るい空さん、一方的にトラックバックを送らせていただいたにもかかわらず、丁寧なコメントをいただきまして恐縮です。

1980年代に原作の読者になって以来折りに触れて読み返しているものとして、今回の映画化の詳細を知ったとき以来相当危惧していたのですが、結局最も望ましくない事態になったようで残念に思っております。

明るい空さんの記事については、mixiのコミュニティで拝見したのではなく、yahooのブログ検索により見つけて読ませていただき、詳しい内容に感心してトラックバックさせていただいた次第です。

こちらこそそちらの書籍関係の話題が豊富なブログを拝見させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

投稿: 望 岳人 | 2006年8月22日 (火) 18:35

8/28本文補足:
ネットでは相当話題になっているが、マスメディアでは8月24日付けの朝日新聞(asahi.com)に原作者のコメントが紹介されたという話を聞いてネットで読んでみた。同日の紙媒体の新聞を朝刊、夕刊とも確認してみたが見当たらなかったのは探し方の問題だったのだろうか?また、今週発売の週刊現代が、「原作者が怒っている」という週刊誌らしい見出しで記事を書いているようだ。

また、この記事がアクセス解析からココログフラッシュのランキングからアクセスしてもらったことを知り参照してみたら、昨日のアクセスの書籍カテゴリー内で50位に入っていたのには驚いた。

投稿: 望 岳人 | 2006年8月28日 (月) 09:06

>ひとつ分からなかったのは、2009年まで「利己的で意地悪な」テレビ局との契約によりUSAでこのアニメ映画が見られないと書かれていることなのですが、これはどういう意味なのでしょうか?このアニメ映画は世界配給されるように思っていたのですが。

この件については、mixiの参加者の方から、「利己的で意地悪な」テレビ局というのは、『ゲド戦記』の実写版を制作したアメリカのテレビ局のことだという教示をいただいた。イタリアの映画祭でも公開されるようだが、アメリカだけは2009年まで公開されないということか!

投稿: 望 岳人 | 2006年8月30日 (水) 19:37

門外漢ですが、「利己的で意地悪な」テレビ局と言うのは契約上当然ある独占権で、これが無ければ投資する人はありません。

うがった見方をすれば、一度痛い目にあっても、今回高額の札束を積まれ目が眩んで、少々の譲歩をしても制作者を信用した契約内容になった。上記の制限を除くアニメ化の独占権を与えたのですね。しかし監督の交代などは考えてもいなかったので、騙されたとしか思わないでしょうね。今度は、実写において制限がつくような契約内容とは思われないが、他のアニメ化はこれで当分不可能になった。

制作者側も問題の起こることが判っていても、敢えて監督を変えた。もともとの戦略なのでしょう。原作者側がこの辺りの道義性をさらに突かないのは、莫大な原作権料の授受に対する譲歩の背景の道義的な後ろめたさがあるからでしょう。

投稿: pfaelzerwein | 2006年9月26日 (火) 17:02

こちらでもコメントありがとうございます。

アーシュラ・K・ルグウィンへの思い入れがあるため、あまり率直には書けなかったのですが、今回の騒動の歯切れの悪さにはやはり金銭的な要素は相当影響しているのではないかと愚考します。

ヴェネツィアではスタンディングオベーションを受け、日本ではロングランで上映されていますので、賛否かしましいとはいえこれだけの話題を呼んだことは興行的には大成功だったのでしょう。また、岩波の書籍も、映画化されるまで30年近くかけて売れた数と、映画化決定後のたった1年程度で売れた数がほぼ同数(後は、前の半数?)というほど宣伝効果はあったようです。

その意味でこの優れた小説が人口に膾炙したことで、小説のプロモーションが成功したという風に考えてもいいのかも知れません。

投稿: 望 岳人 | 2006年9月27日 (水) 00:11

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