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2006年10月 9日 (月)

横須賀で戦艦三笠を見学し鮪を食す

10/6(金)の低気圧は、台風以外の低気圧としては思いもよらぬ爪あとを東日本に残した。山では紅葉の時期に猛吹雪で遭難が多発し、海では大規模な海難事故も起きた。台風並みの低気圧だったにも関わらず、報道も一般人の受け止め方も、低気圧ならたいしたことがないという気分が多かったのかもしれないと思う。

さて、土曜日からは少し風が強かったが、晴天特異日の体育の日の近くらしく、抜けるような青空に恵まれた。子ども達は二学期制の前期が先週金曜日で終り、1週間もの秋休みに入った。授業時間を確保するための二学期制と聞いているのだが、なぜこの時期に1週間も休ませるのか意味が分からないのだが。

10月8日の日曜日は、学校で戦争のことを学び始めた子ども達も興味があるというので、司馬遼太郎『坂の上の雲』と『街道をゆく 三浦半島記』を読んで以来私が是非訪れたいと思っていた横須賀の三笠公園、戦艦三笠を見に行こうかと誘ったところ、家族で見に行くことになった。横浜駅から京急の快速特急に乗ると30分もかからずに横須賀中央駅に着く。そこで降りて、市街案内図に従って、大通りを歩く。途中、外人の家族連れが多い。国道16号に突き当たったところで右折し、その後10mほどで左折すると三笠公園のアーチをくぐる。そのまま進むと、そこは米軍の海軍基地で、外国人家族の多くは基地の米国人関係者だったようだ。ゲートを進む車には "Y"のナンバーが多い。そこを右に折れ歩道を行くと、前方にマストが見えてくる。

Pa080089 しばらく進むと大きな銅像が目に入る。東郷平八郎司令長官の銅像だ。そして、その後ろに戦艦 三笠が地面に固定されて保存されている。大人500円の入艦券を購入して、デッキにあがる。デッキから上に行ってもいいのだが、船室に下りて、多くの展示資料を見る。日本の開国から日露戦争にいたる世界情勢、この三笠が旗艦として戦った日本海海戦の詳細な解説、東郷元帥の衣服や、秋山真之参謀などの紹介日露戦争の講和条約であるポーツマス条約の写し(小村寿太郎のサイン入り)などの資料が見られた。また、艦前方の講堂では、日本海海戦を扱った『海ゆかば』のダイジェスト版で、この戦艦の戦いの模様を映していた。(映画中、海軍軍楽隊がドヴォルザークの交響曲第9番『新世界から』の第2楽章を演奏する場面があった。1905年の日本海海戦の時期にドヴォルザーク?と思ったが、帰って調べると1893年世界初演の曲なので、史実かどうかは知らないが三笠艦上で演奏されることは時代考証上は間違っていなかった。)艦後部には、司令官室や慰霊室などが残されていた。

Pa080111デッキに上がると、秋の晴天がまぶしく、後部ブリッジ、東郷司令長官等が指揮を取った前部ブリッジ(司馬遼太郎氏が訪れた際には整備があまり進んでいなかったのか、下が見えるようで高所恐怖症のものにはそこに立つだけで恐ろしいと書かれていたが)にも上ってみた。

全体的に、いわゆる軍国主義を鼓吹するような展示内容ではなく、至極客観的な歴史的事実を伝えてくれる展示内容になっていた。『ドクトルマンボウ航海記』だったと思うが、フィンランドには東郷ビールというものがあり、ロシアの圧迫を絶えず受け続けたかの国では、ロシアを破った東郷元帥は国民的に知られる英雄だったということが書かれていたように記憶している。帝政末期で、バルチック艦隊自体の地球を半周する大遠洋航海とその士気の低さにも大きな要因があるというが、大ロシア帝国を新興国日本が破ったことは世界史的なニュースであり、米国のニミッツ元帥が敵国日本のこの戦艦三笠の保存に協力した背景には、彼が東郷とその戦法を尊敬していたことも背景にあるのだという。黒船による開国からたった50年後に世界帝国ロシアと戦い、この日本海海戦の勝利もあり、かろうじて講和を結べたことは世界史的に見れば奇跡的なことだった。またそれが、その後の日本の針路に大きな影響を与え過ぎたということも言えるのだが。

旧日本海軍の横須賀基地(鎮守府)、そして今は在日米海軍司令部のある横須賀海軍施設の町であり、その海に向かって、三笠が鎮座しているという図は、なかなか興味深いものがある。

Pa080113 Pa080114 時間があれば、三崎まで出て本場の三崎の鮪を食べようと思っていたのだが、三崎にも本店があるという横須賀の店で、鮪寿司を食べた。少々値が張ったが大トロ寿司とジャンボ寿司を注文して、時間が時間だったので、お八つ代わりに食べた。

帰りにその店の小売部で鮪の柵とネギトロを買い、夕食は鮪丼にした。海尽くしの一日だった。

p.s. 2006/10/26 東郷ビール 後日談。うろ覚えで「フィンランドの東郷ビール」のことを書いたのだが、このように綿密に調査したウェブページがあった。これによるとアドミラル(提督)ビールのラベルの一つに東郷司令長官の肖像が使われていたというのが本当のところらしい。また、『ドクトルマンボウ航海記』にそのようなことが出ていたかどうかも未確認。

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