ハイフェッツのShowpieces(ツィゴイナーヴァイゼン)
ツィゴイネルワイゼン~ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリン ハイフェッツ
(Jascha Heifetz Zigeunerweisen "Violin Showpieces with Orchestra")
〔1946年、1951年、1952年、1953年録音、モノーラル〕
1.サラサーテ 『ツィゴイナーヴァイゼン』
2.サン=サーンス 『ハバネラ』
3.同上 序奏とロンド・カプリチオーソ
4.ショーソン 『詩曲』
5. ベートーヴェン ロマンス第1番
6. 同上 ロマンス第2番
7.ブラームス 『ハンガリー舞曲』第7番
8.ワックスマン 『カルメン幻想曲』
まだ、枯葉の季節ではないが、「秋の日のヴィオロンの・・・」を思い出すほどこのところヴァイオリンづいている。ミドリのエルガー、ハーンのパガニーニと来て、彼女達ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリニストとしての系譜上の(直接、間接は別にして)先達になるハイフェッツの古くから知られた曲集のCDを聴いてみた。
この中の『ツィゴイナーヴァイゼン』(直訳すると「ジプシーのメロディー」)は、ハイフェッツの超絶的な演奏の典型として古くから有名なもので、このRCAの赤盤シリーズとしてリマスタリングされたCDで聴いても、この前のハーンが注意深く避けていた胸がムカムカするようなヴィルトゥオーゾの妙技の誇示を聴く事ができる。ハイフェッツは、冷たく燃えないというような先入観をついもってしまうが、このツィゴイナーヴァイゼンは恐るべきアゴーギクを伴い縦横無尽に妙技を尽くしている。終楽章の部分などスタインバーグ指揮のオケが追いつけないということでも知られていたが、じっくり聴いてみるとそれほどひどくはなかった。(ただ、これを聴くと、先の『百万ドル』トリオが、このハイフェッツとわがままなルービンシュタインを組ませただけでも破天荒な企画だったことがよく分かる。)
冒頭でちょっと触れたヴェルレーヌの詩「秋の歌」(上田敏訳の『海潮音』所収では「落葉」)の「秋風のヴァイオリンの物悲しい単調な音」とは違うのだが、ハイフェッツの『ツィゴイナーヴァイゼン』のUn poco piu lento の物悲しさは独特のものがある
(この有名な詩をこのサイトで読むことができる。また様々な翻訳(解釈)も楽しめる。なお、BGMは画面からは切れないようなのでご注意を。)
この有名な曲・演奏の他、『のだめ』原作にも登場したサン=サーンスやショーソンの名ヴァイオリン曲も収録されている。『ハバネラ』や『序奏とロンド・カプリチオーソ』などは爽快とも言える演奏だ。(『のだめカンタービレ』の原作では、千秋真一の祖父が、60枚(実際には65枚)組みのハイフェッツ大全集を持っていたことになっていた。)ただ、ベートーヴェンになるといくばくかの違和感がぬぐえない。
音質は、聞きやすいものになっている。それでも1950年代のモノーラル録音だけあり、ハイフェッツの細身で切れのいいヴァイオリンの音(フラジオレットの高音も)は捉えられてはいるが、音だけの魅力で楽しめるものではないと思う。また、オーケストラもハイフェッツのヴァイオリンの引き立て役としての収録であるので、がっぷり四つに組んだ演奏とは言えないのが少々残念だ。
ワックスマンの『カルメン幻想曲』は、アメリカの映画音楽作曲家の作品とのこと。サラサーテの同名曲とコンセプトは同じだが、下記ムターのサラサーテの曲の方が面白かった。
◆Zigeunerweisen
ハイフェッツ(Vn)、スタインバーグ/RCAso 8:12 (0:57+3:39+1:51+1:45)
グリュミオー(Vn)、ハイデュ(p) 8:07 (実測 1:02+3:23+1:47+1:53)
ムター(Vn)、レヴァイン/VPO 8:39 (実測 1:02+3:35+2:09+1:44)
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