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2006年11月10日 (金)

ブラームス 弦楽四重奏曲 第1番、第2番 ABQ

Brahms_sq12_abq

ブラームス (1833-1897)
 弦楽四重奏曲 第1番ハ短調 Op.51-1(1865-1866,1873年)
                              8:00/7:07/8:53/5:58
           第2番イ短調 Op.51-2(1869-1872,1873年)
                              8:30/9:42/4:50/6:48

アルバン・ベルク四重奏団(ピヒラー、メッツル、バイエルレ、エルベン:最初期メンバー) 
〔第1番:1976年6月、第2番1977年2月、ヴィーンテルデックスタジオ〕


どうも秋には内省的になるのか、夏にはほとんど聞く気の起こらない室内楽も聴きたくなる。

ブラームスは、偉大なベートーヴェンを尊敬し、意識して、ベートーヴェンが不滅の業績を残したピアノソナタ、弦楽四重奏曲、交響曲で挑戦を試みたが、ピアノソナタと弦楽四重奏曲ではベートーヴェンと伍するような傑作を結局生むことができなかったようだ。ただ、このCDの浅里公三氏ノライナーノートによるとこの2曲の作品51の前に20曲以上も弦楽四重奏曲を書いたがすべて破棄してしまったという。むしろ彼の室内楽における個性は、五重奏曲、六重奏曲やクラリネットなどを伴うアンサンブル曲に発揮されたとも言われている。

ブラームスの弦楽四重奏曲の三曲と言えば、彼の多くの室内楽作品の中でも上記の意味で最も奥の院に属しており、なかなか親しみにくい作品だという評判がある。それに挑戦してみようと、数年前にこのCDを入手して聞いてみたが、敢え無く降参してしまった。やはり弦楽五重奏曲、弦楽六重奏曲の方が面白く聞けるなという感想だった。

ところが、最近久しぶりに第1番を聴いてみたところ、結構すんなり耳に入ってきたのには驚いた。昨年来、ブラームスのピアノソナタや晩年のクラリネット系のアンサンブル曲やドイツ・レクィエムなどを続けて聴いており、ブラームスの書法の癖のようなものに慣れたことが、ブラームスの四重奏曲を少しは享受できるような耳ができたたことに影響しているのかも知れない。自分の耳も次第に熟成が進むのだろうか?

それまで楽しめなかったり、分からなかったり、親しめなかったりしていた曲が、ある日突然楽しめるようになることがあるが、それは今回のような時間の経過などにより聞き手である自分に要因がある場合もあるし、同じ曲を別の演奏者で聴いたり、別の装置で聞いたり、別の環境で聞いたりと、外部的な要因のある場合もある。今回の場合は、ブラームスの語法というのだろうか、音楽の癖を受け取るだけの用意が自分の側にできたということではないかと想像する。(もっとも「楽しめた」という程度で、理解できたというレベルにはほど遠いのだが。)

この2曲は、作品51ということで、先日のワルツ『愛の歌』作品52やその後続く『アルト・ラプソディ』など声楽作品群の直前の作品番号になっている。また、同じ作品50番台には、『ハイドンの主題による変奏曲』作品56a,bが控えている。晦渋な印象が強いのは、こちらの意識のせいかも知れない。それでも、第1番のフィナーレなどは、くどい感じがするのだが・・・。

ところで、オーケストラが色彩的とは言うが、むしろ色彩的でないオーケストラはあまりないので、感覚的に当然のものとして受けとめている。例えば、華やかで色彩的な例としてはレスピーギの『ローマの松』の冒頭など原色的で多彩な音の洪水で目もくらむようで効果的とは思うが、音楽の実質的な色彩・陰影とは違うように感じている。むしろ、弦楽四重奏曲のような同質の楽器の合奏で地味だと思われているものの方に、音楽そのものの微妙なニュアンスを表現する陰影的な色彩を感じることがある。美麗なカラー写真を見ても、それを当たり前だと見る場合色彩自体それほど意味を持たないが、白黒の濃淡だけの白黒写真を見て微妙な諧調と造形を堪能するとき、見えない色彩が見えてくるようなものだろうか。

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