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2006年11月13日 (月)

J.S.バッハ クラヴィア協奏曲第3番ニ長調

J.S.Bach ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750) クラヴィア協奏曲第3番ニ長調 BWV1054

Jsbach_klavierconcerto_fugueグレン・グールド Glenn Gould (ピアノ)

ヴラディミール・ゴルシュマン Vradimir Golschmann 指揮
 コロンビア交響楽団
   7:46/5:51/2:46
  〔1967年、ニューヨーク市30番街スタジオでの録音〕
Jsbach_konzert_1トレヴァー・ピノック Trevor Pinnock チェンバロ・指揮
イングリッシュ・コンサート The English Concert
   7:39/6:47/2:35
〔1980年2月、ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホールでの録音〕

11月13日(月)『のだめカンタービレ』Lesson5のTVドラマでは割愛されるようだが、定期演奏会の巻と学園祭の巻の間の原作第4巻のエピソードに、新潟での海水浴と長野のニナ・ルッツ音楽祭(1988年から10回を数え1997年に一段落したNagano-Aspen 長野アスペン音楽祭/ミュージックフェスティバルがモデル)がはさまれており、千秋や峰、真澄ちゃんが三木清良と知り合うのはこの音楽祭でのオーケストラ講習会だった。またこのとき、のだめは、ニナ・ルッツ(第16巻でパリ在住のピアニストということが分かる)の講習会でバルトークの「組曲」の課題を満足に演奏できず苦しむというエピソードが描かれていた。また千秋が「クラシック・ライフ」という音楽誌の記者の河野けえ子さんに発見されたのは、二日酔いのシュトレーゼマンの代役としてドヴォルザークの交響曲第5番という比較的珍しい曲で講習会のオーケストラの指導をしたときだった。夏のエピソードのため晩秋放映のドラマの脚本としてはカットされたのだろうし、ロケも必要なので仕方がなかったんだろうとは思うが、少々惜しい。

さて、この音楽祭の打ち上げコンサートで、ニナ・ルッツが演奏したのが、J.S.バッハの『ピアノ(クラヴィア)協奏曲』第3番ニ長調だった。(原作では第5巻30頁に、音楽祭の模様を紹介している音楽雑誌の記事の写真キャプションに、非常に小さい活字で書かれているのを、以前のだめサイトで指摘されているのを見て知った。)

この曲は、バッハ自身が、ホ長調のヴァイオリン協奏曲第2番BWV1042をクラヴィア用に編曲したもの。

さて、すっかりピリオドアプローチ全盛のバッハの曲を、いまどきピアノで演奏するピアニストは数少ないが、はたしてニナは、ソ連時代のバッハ弾きニコラーエワのようなタイプなのだろうか?そして異国の日本で名前付きの音楽祭を開くとは、別府アルゲリッチ音楽祭のアルゲリッチ並みの大物なのか?謎は深まる?

この曲をCDで持っているグールドとピノックの演奏で聴いてみた。

グールドは、もちろんピアノによる演奏。この当時、カール・リヒター、レオンハルト、ヴェイロン=ラクロワなどバッハ演奏の主流派は、チェンバロ/ハープシコード/クラヴサンにより演奏をしていた時代だ。オケはこの録音のための臨時編成だと思うが、このゴルシュマンはCBSではバロック音楽を任されていたようだ。グールドの弾き振りも可能だったと思うのだが、どういうものだろう。楽器編成的には、二部のヴァイオリンとヴィオラ、通奏低音にクラヴィア(チェンバロ)というもの。

この演奏では、通奏低音としての役割もクラヴィアは果たすのだろうが、このグールドのピアノ協奏曲としての演奏では、あまり通奏低音としての動きが明確ではないようで、ピアノがずっと前景で弾きっぱなしの古典派協奏曲のような演奏になっているのが、今の耳からは少々奇異に感じないではない。しかし、グールドの自由な装飾を伴うテンポのいいピアノと(のりのりの鼻歌)、ゴルシュマンも結構三声部の弦のバランスを工夫してユニークな演奏をしてくれている。録音は、少々風通しが悪く、若干の濁りが感じられる。美しいロ短調のアダージョは、非常にロマンチックな音楽になっている。

ピノックは、1980年代のいわゆるピリオド・アプローチによる演奏で、ハープシコードを弾きながら、自分の楽団イングリッシュ・コンサートの指揮も行っている。恐らくJ.S.バッハが自作自演をしたのはそのようなスタイルだったのだろう。ピノック指揮のイングリッシュ・コンサートは、いかにもピリオド楽器ですという演奏の癖がなくもっとも穏やかなピリオド派ではなかろうか。

録音の違いとチェンパロの音色のせいもあるが、こちらの方がグールド盤よりも風通しがよく聞こえる。また、ソロ楽器として活躍する場面と、トゥッティで弦楽合奏として演奏される部分の描き分けでは、こちらにさすがに一日の長があるようだ。ピノックのチェンバロは、非常に達者なもので、まったく不安なく、やはりこちらも様々な装飾を加えての演奏を満喫できる。第2楽章でのピノックの装飾は目覚しい。またテンポもゆったりと遅い。

ちなみにこのバッハの協奏曲集には、同じピノック指揮、サイモン・スタンデイジのヴァイオリンで原曲のヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調が収録されている。タイミングは、7:34/6:35/2:33となっている。さすがに指揮が同じなのでほとんど同じテンポだ!

普段、ヴァイオリン協奏曲第2番として聞く機会が多い曲だが、改めてクラヴィア協奏曲として聴いてみるのもなかなか面白い。ベト7ではないが、これも「のだめ」効果か!?

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コメント

望さん、おはようございます。
コメントとTBを有り難うございました。
ピノックのチェンバロ協奏曲集は、聴いていて爽快で明るく気持ちいいです。当時のピノックは絶好調、イングリッシュ・コンサートと発売するレコード・CDはどれも颯爽として格好良く、録音も上々でした。
あの時期の演奏、今も我が家に沢山あるんですが、今はどうしているんでしょう。この頃あまり名前を聞かなくなったような気もします。

投稿: mozart1889 | 2007年7月26日 (木) 05:53

mozart1889さん おはようございます。

トレヴァー・ピノックやクリストファー・ホグウッドなど「古楽器」演奏家たちの新譜が目白押しで大活躍だった1980年代が懐かしいですが、本当に今はどうしているのか私も気になっております。ピノックの『水上の音楽』やホグウッドのモーツァルト、ベートーヴェンなどその頃入手して愛聴しているんですが。

投稿: 望 岳人 | 2007年7月26日 (木) 06:38

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