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2007年5月23日 (水)

セル/クリーヴランド管のハイドン

Szell_haydn94_96_98_1 長年欲しいと思っていたセルとクリーヴランド管のハイドンの交響曲集をようやく店頭で発見し、買い求めた。税込み924円也。背表紙には、セル/クリーヴランドの演奏ということはまったく書かれていないので、店頭で見つけられたのは、本当に偶然だった。

曲目は、第94番ト長調、96番ニ長調、98番変ロ長調の三曲。

見慣れたソニークラシカルのロゴがスキャンしたパンフレットに写ってはいるが、発売元は、ドイツらしく、SONY BMG MUSIC ENTERTAINMENT となっており、シリーズ名は esprit というものだ。ためつすがめつしてみて、ようやくこれが以前聞いたSony(旧CBS)とBMGが合併した会社のものだということが分かった。実物を手にしたのはこれが初めてだ。

曲名や簡単なコメントは、ドイツ語表記になっており、パンフレットの解説もドイツ語のみ。また、録音年や録音場所のデータ記載はどこにもない。その意味では、Made in EUとされているが、ドイツ国内向け仕様なのだろうか?

パンフレットの裏表紙には、同じ esprit シリーズに含まれるCDのパンフレット写真が12枚掲載され、それをめくるとシリーズのラインナップが並んでいる。Sony Clasical のほかに RCA, Arte Nova が含まれている。(この合併会社が例のベートーヴェン60枚組みを発売したので、ジンマンのベートーヴェンが含まれているわけが分かった。また面白いことに、RCAレーベルからあの名盤で日本ではDENONレーベルから何度も再発されているザンデルリングとドレスデンシュターツカペレのブラームスの1番が発売されているのが分かった。)

有名な94番『驚愕』(びっくり)は、"mit dem Paukenschlag" 「ティンパニの打音付き」となっている。解説には、英名"Surprise" となっているので、ドイツでこのように呼ばれているということだろう。おぼつかないドイツ語を読んでみると、どうも第四楽章でのティンパニの活躍を指し示しているようだ。 erste Satz(第1楽章)と書かれているのが疑問だが、やはり、第2楽章の変奏曲のティンパニの一撃を指してはいるようだ。

セル/クリーヴランドによるこの録音は、相当以前FM放送をエアチェックして何度も聞いたものだが、ところどころ微妙なテンポ操作があるがそれほど特徴がある演奏ではないので、懐かしさを感じることは無かった。それでも、さすがに引き締まった演奏だ。

ちなみに、日本でいわゆる『太鼓連打』と呼ばれるのは第103番の交響曲であり、アダム・フィッシャーの全集では、"Mit dem Paukenwirbel" (Drumroll)というふうに表記されている。

第96番は"The Miracle" という表記だが、以前どなたかからモントゥーのハイドンのときに御教示をうけた通り、この演奏は、いわゆるヴァイオリンを両翼配置(対抗配置)にしているのがはっきり聞き取れる。アダム・フィッシャー盤では、この『奇跡』はそれほど印象に残る曲ではなかったが、精緻で生き生きとしたアンサンブルがよく分かる。特に第2楽章の終盤などソロ楽器が絡み合う部分があるのだが、まさに室内楽である。こういう演奏でハイドンを聴けるのは耳の贅沢だ。ピリオド楽器派の演奏も悪くはないが、このように水準の高いモダンオーケストラを仮にハイドンが聴けたとしたら、自分の曲がここまで壮大であり、緻密であり、輝かしいのに驚くのではなかろうか?

第98番の変ロ長調も、アダム・フィッシャーの全集ではほとんど記憶にないものだが、短調の序奏に始まり、対位法を駆使した第一楽章は、ユーモラスな表情を見せながら、ハイドンの微笑みを垣間見せてくれる。

ハイドンの録音は、いわゆる生真面目・誠実系の指揮者の録音が結構自分としては好みだ。ヨッフムやC.デイヴィスのモダン楽器によるハイドンも素晴らしいが、セルのハイドンも生真面目・厳格なセルが(わざとらしくない)たくまざるユーモアを見せてくれるところが、ハイドンという作曲家の奥の深さを逆に照射しているのかも知れない。(アンサンブルが雑だったり、ただ整えただけのユーモアのない演奏は、すぐに飽きが来るのもハイドンの特徴だろう。)

録音年代は、手持ちの資料では、有名な94番が1967年だということが分かる程度。少々ヒスノイズといわゆる微妙な音の混濁があるが、ステレオプレゼンスには不自然さはない。乾き気味の音質だといわれることの多いセル/クリーヴランドのCBS録音だが、爽風が吹きぬけるかのような音質は決してきらいではない。

以前にも書いたことがあるが、音楽学者のロビンス・ランドンだったと思うが、彼はセルとクリーヴランド管の演奏を(生か録音かは知らないが)聞いて、音楽学者を志したのだという話が伝わっている。しかし、そのセルのハイドンは(ネットでの販売は別にして)店頭ではほとんど見たことがない。もったいないことだと思う。

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コメント

おはようございます。セルのハイドン、同様に「驚愕」をエアチェック・テープで聴いていました。響きがいかにも清潔で、いいですね~。おまけに、眠くなったところをドーンとびっくりさせる仕掛けをまじめにでかい音でやっていて、面白いと思いました。
当地の山響でも、ときどきハイドンを取り上げていますが、生演奏だと格別に面白いですね。

投稿: narkejp | 2007年5月24日 (木) 05:17

narkejpさん、こんばんは。いつもコメントをありがとうございます。そういえば、生のハイドンの交響曲を聞いた記憶がほとんどありません。ハイドンのピアノ三重奏曲だったかを生で聴いたことがありますが、これは結構楽しいものでした。最近生で聞く機会がないので、今注目の山形交響楽団を身近で聞けるのはうらやましいですね。

私の身近の神奈川フィルもシュナイトという合唱方面ではアルヒーフにも録音したことのある大家がシンフォニー指揮者として音楽監督?に就任し、先日の朝日の音楽会評にも出ましたが、まだ聞く機会がありません。

故岩城宏之さんのエッセイによると、ハイドンほど難しい作曲家はいないとヴィーンフィルのメンバーが語っていたということですが、素人の耳にも退屈に感じる演奏もありますが、さすがのセル/クリーヴランドだと思いました。愛聴盤がようやく一枚増えたという感じです。

投稿: 望 岳人 | 2007年5月24日 (木) 23:33

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