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2007年6月 8日 (金)

小澤征爾/ボストン響のマーラー交響曲第1番(DG盤)

Ozawa_mahler1_dg

マーラー 交響曲第1番 『巨人(タイタン)』(『花の章』付き)

小澤征爾指揮 ボストン交響楽団 

<1977年10月、ボストン> 

Ⅰ15:48、  Ⅱ5:53(花の章 Blumine)、Ⅲ7:31 Ⅳ11:11 Ⅴ19:53

すでに今日(5/18)入手したディスク で簡単にコメントしたが、この録音は小澤征爾がボストン響の音楽監督に就任して、名門ドイツ・グラモフォンと録音契約を結んだ比較的初期の録音の一つだ。後年、やはりオランダの名門フィリップスと契約してマーラーの交響曲全集(ただし、『大地の歌』の録音はなし)を録音した際にも再録音しており(『花の章』はなし)その録音もCDで所有している。

昨日の夕刊には、小澤征爾がヴィーン国立歌劇場の音楽監督を任期満了の2010年をもって退き、後任にはオーストリア人のヴェルザー=メストが就任するとの発表が出ていたが、このマーラーの録音の頃と隔世の感がある。

この録音の頃の小澤は、飛ぶ鳥を落とすような勢いのある欧米楽壇の寵児で、世界的なオーケストラを次々に指揮し、世界的なソリストと共演し、世界的なレーベルとも次々と録音するという活躍を始めた頃だった。この録音には、そのような初々しい若気が一杯詰まっているように聞こえる。マーラーのこの曲もいわゆる初期作品ではあるが、非常に完成度の高い作品で、ブラームス、ブルックナーの影響下にあるものの独創的なオーケストレーションや分かりやすいメロディー、形式感など、第2番以降とは違い肥大した形式でないこともあり、伝統的な音楽ではあり、比較的馴染みやすい。それだけに単に音化しただけではこの曲の魅力が伝わりにくいのだが、この録音は勢いといいしなやかさといい、ナイーブさといいこの曲の録音の中でも最も好ましいものの一つだ(もう一つが同じ日本人指揮者若杉弘が名門シュターツカペレ・ドレスデンを振った録音で、以前そのディスクへの賛辞を書いたことがあった。)

ところで、この交響曲の原曲が標題音楽(交響詩)として書かれたときにはこの『花の章』がここで聞かれるように挿入されており、全部で五各章形式だったのだが、後年標題を外し、純音楽的な四楽章に改訂されて今の第1番になっているというが、外して演奏するのは惜しい『花の章』という楽章だ。

この数年後、来日した小澤征爾ボストン響の演奏を東京文化会館で聴いたことがある。ヴェーベルン、シューベルト『未完成』、バルトーク『オケコン』というプログラムだったが、弦の響きはさらっとした手触りのような感触で滑らかで浮遊するように軽く、この録音のような実在感のある克明な立体感とは一味違った音色だったように記憶している。この頃までは、クーセヴィツキー、ミュンシュ、ラインスドルフ等に鍛えられた克明なアンサンブルが残っていたのかも知れない。

この10年後、フィリップスに入れた同じ曲は、自分のホームページにも書いたように、録音のせいもあるのかも知れない(ディレクター、エンジニア、プロデューサー)が、このDG盤に比べて非常に影の薄い低カロリーの音楽になってしまっているように聞こえ非常に残念なものだ。

小澤盤(DG)         15:48/(5:53)/7:31/11:11/19:53 <1977/10録音>

小澤盤(フィリップス)15:51/7:22/10:33/19:56 <1987/10録音>

テンシュテット盤  15:52/7:45/10:48/19:18<1977/10録音>

若杉盤       15:11/7:50/10:22/19:49<1986/8録音>

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