『ヴァルキューレの騎行』を聴く
子どもが、急に『ヴァルキューレの騎行』を聴きたいというので、家にあるCD4種類を取り出して聞き比べをしてみた。結構楽しめた。
一番左の画像は、ヴァーグナー入門用のコンピレーションCD。以前記事にしたようにユニバーサルの演奏家陣大集合という趣で、ベーム、カラヤン、ヨッフム、クーベリック、ブーレーズ、シノーポリという指揮者たち。ここで、ヴァルキューレの騎行を演奏しているのは、カラヤン/BPO。
前回も聞いたはずだが、今回改めて聞きなおすと、これが非常に切れ味がよく、緻密なアンサンブルの自分好みの演奏で驚かされた。CD評などでカラヤンのヴァーグナーは室内楽的と評されるが、カラヤンの指揮の力だろうか、歌手陣もよくオーケストラと合っているので、このようなショーピース的な音楽であったも豪放だけでないヴァーグナーの緻密な構成力を味わうことができた。カラヤンの録音ならこの四日に渡る長丁場の超巨大な舞台音楽も聴きとおせそうな気がした。
次は、ヴァーグナーのCDの中で最も古く入手したもの。指環入門としてヴァルキューレがいいと聴いていたので、四枚組みを大枚1万円以上払ってもとめたものだ。これまでこのCDを最も数多く聴きデフォルト的な存在なのだが、カラヤンを聴いた後に聴くと、ビルギッテ・ニルソンの超弩級の歌唱は別にして、結構粗い演奏に聞こえた。ヴィーンフィルながらオケも金管が前面に出て、木管の細かいアンサンブルなどは完全にマスクされてしまっているようだ。確かに迫力はあるし、録音もデッカの社運を賭けただけのことはあり、未だに凄みがあるが、私にとって刷り込みながら、どうもここだけ取り出すと聞きおとりがした。
三番目に、同じショルティ/VPOによる指環管弦楽曲集で、ディジタル録音。これも以前記事にしたことがあるが、このCD自体おざなりの仕事という雰囲気で、歌手も入らないこともあり、結構残念なできになっている。やはりオケのバランスはブラス偏重で解釈は全曲録音と同じものだ。
最後は、14枚組みで1800円の超廉価盤のノイホルトの指揮のもの。これも以前記事にしたが、さすがにベルリンフィル、ヴィーンフィルの二大オケに比べると、オケの魅力には乏しい。特に弦が響かず、金管群もフルメンバーがいないかのような弱弱しさを感じる。ただ、その反面、普段あまり聴けない木管の装飾的な対旋律が結構前面に出てきており、その点が面白かった。ライヴを編集したものだと思うが、そのせいか次第に音楽的に集中度が高まっていくように聞こえた。ショルティに比べると別の音楽かのようにメリハリがないが、かえって誇張がないことで、通して聴くのには疲れずに長丁場をこなせるものになっている。
部分を取り出しての聴き比べはあまりしたことがないのだが、結構面白かった。
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