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2008年1月31日 (木)

オイストラフ&オボーリンの『クロイツェル』『春』

Oistrakh_beethoven_5_9_2 ベートーヴェン(1770-1827)

ヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調 作品47『クロイツェル』
 11:43/15:26/7:00

ヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 作品24『春』
 10:13/6:06/1:19/7:00

ダヴィッド・オイストラフ(Vn), レフ・オボーリン(p)  〔1962〕

そろそろ春の暖かさが恋しくなってきた。「春」を題材やテーマにした音楽は数多いが、このベートーヴェンの「春」は、作曲者本人があずかり知らぬものらしい。しかし、この第5番ヘ長調(田園と同じ調性)の全体に流れる暖かい情緒は、「春」という季節とそう遠くはないのかも知れない。

そこで、フィリップスのAn Excellence of Classic Music シリーズからの分売ものではあるが、古くから名盤と知られたダヴィッド・オイストラフとレフ・オボーリンによる少々古い時代の録音を取り上げてみた。

私の盤歴では、パールマンとアシュケナージによるデッカ録音LPの「春」と「クロイツェル」をまず聴き、その後、シェリングとヘブラーのベートヴェンのソナタ全集のLP(父が購入)で聴き、CDになってからクレーメルとアルゲリッチ(このコンビの「春」の生演奏を長野の県民文化会館という大きなスペースで隔靴掻痒なイメージだが聞いたことがあった)のCDを購入した。また、「クロイツェル」では、シゲティとバルトークによる歴史的な録音もCDとして求めて、以前記事にしたことがある。

また実演歴では、上記の超一流とは別に、長野の丸子町(現在の上田市)のかわいらしいホールで、男性のヴァイオリニストと女性のピアニストのデュオによる一日で全10曲をマラソンコンサートで演奏するというのにつきあったことがある。いろんな意味で大変な聞き物だった。

さて、ベートーヴェン時代のヴァイオリンとピアノのソナタの書法が、現代のグランドピアノの大音量を前提にしていたのかは議論の多いところで、どうしてもピアノのバランスが大きめになってしまう。モーツァルトの時代までは、ヴァイオリンのオブリガートが付いたピアノソナタという書法が主で、必ずしもヴァイオリン主体のヴァイオリンソナタではなかったというが、ベートーヴェン時代はちょうどその過渡期だったのかもしれない。後のブラームスやフランクによる素晴らしいヴァイオリンソナタを聴くとバランス面ではほとんど不満がないが、特にベートーヴェンでは、どうしてもピアノの音量がポイントだと思う。

この点、オイストラフとオボーリンのコンビは、初期のステレオ録音ということもあるのだろうが、ピアノがでしゃばりすぎることもなく、ヴァイオリンのバランスもよく、相当安心して楽しめるものになっている。特に「春」が、オイストラフの柔和で穏健な表情のヴァイオリンの演奏もあり、楽しめるように思う。「クロイツェル」は彼らの祖国の先輩であるトルストイが、ベートーヴェンの音楽から受けた衝撃への反発のような形でものした小説があるが、それほど激しい絡み合うような演奏ではなく、どちらかといえば「春」寄りの演奏のように聞こえる。

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