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2008年2月10日 (日)

アバドの『プルチネルラ』と『西洋音楽史』

Abbado_pulcinella

イーゴル・ストラヴィンスキー(1882-1971)
 バレエ『プルチネルラ』(全曲)(1947年改訂版)

クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団
 テレサ・ベルガンサ(s), ライランド・デイヴィーズ(t),ジョン=シャーリー・カーク(b)

〔1978年3月,5月録音、イギリス〕

昨夜は、夕方から南海上を進む低気圧と立春明けとは思えぬ冷え込みにより、関東南部もまた大雪になっている。先週も、日曜日の降雪だったので、我が家の日常生活にはあまり影響がなかったが、雪に慣れないこの地方の人々にとっては大変なことではある。

さて、底冷えのするこの休日は、先日読んで大変啓蒙された岡田暁生『西洋音楽史』(「クラシック」の黄昏) の「第7章 20世紀に何が起きたのか」 の章のそれまでの章にも増して刺激的だった内容に示唆を受けて購入した上記のCDを聴いてみた。

この章は、ストラヴィンスキー等の新古典主義についてp.208-209あたりに書かれているが、ここで取り上げた『プルチネルラ』のようなペルゴレージの原曲をほとんどそのまま生かした「作曲」について面白く書かれている。「・・・冒頭の典雅な主題。最初のフレーズには一箇所だけ、18世紀には絶対ありえなかった不協和音が混入している。・・・」とあり、なかなか挑戦的な感じだ。楽譜が手元にないので確信はないのだが、敢て恥を忍んで書いてみると、第3小節目に最初の主題が反復される冒頭でヴィオラ?か何かが同音を弾き続けて不協和音になるところだろうか?

この時代のストラヴィンスキーの音楽については、2007年8月 7日 (火) ストラヴィンスキー 『兵士の物語』 指揮:マルケヴィッチ 語り:コクトー や 2006年4月 6日 (木)ストラヴィンスキー 詩篇交響曲、交響曲ハ長調 ネーメ・ヤルヴィ スイス・ロマンド管弦楽団2006年7月15日 (土)バルトーク ヴァイオリン協奏曲第2番 チョン(Vn) ショルティ/LPO(併録のストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲) のようなものを聴き、同趣向のものとしてシェーンベルクによるモンの原曲をチェロ協奏曲に編曲したマと小澤盤(R.シュトラウスの『ドン・キホーテ』の併録)を聴いたりした経験はある。プロコフィエフには、その名も『古典交響曲』とういう傑作があるが、全体として古典の換骨奪胎はそう楽しめた経験がないように思う。

それでも、この『プルチネルラ』には、原曲を作曲したジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージ(1710-1736)が、その傑作『スターバト・マーテル』(これもアバドとロンドン響の録音で愛聴している)で見せたような、天性の歌と劇的な魅力が備わっており、それをストラヴィンスキーが巧みにつなぎ合わせているので、結構楽しめる作品にはなっているように思う。

アバドのこのCDには、同じストラヴィンスキーの『火の鳥』組曲(1919年版)が収録されており、果たしてアバドが新古典主義的な作品としてこの『プルチネルラ』に対したのか、同郷の夭折の天才ペルゴレージの古典派初期の名作を演奏するように向き合ったのか、微妙なところは分からないが、オーケストレーションの天才でもあったストラヴィンスキーの室内楽的なオーケストラの妙技とベルガンサの艶やかなメゾ・ソプラノも楽しめる面白い聴き物になっていることは確かだ。

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