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2008年2月 1日 (金)

クーベリックの『ハフナー』『リンツ』

Kubelikmozart3536

モーツァルト

交響曲第35番ニ長調 K.385 『ハフナー』
 5:45/9:04/3:13/4:03

交響曲第36番ハ長調 K.425『リンツ』
 10:50/7:34/3:27/5:34

ラファエル・クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団

「スタジオ録音では」穏健派だったクーベリックがCBSに残したモーツァルトの後期の交響曲集は、私の読ませてもらっているいくつかのBLOGでの評判がすごくいい。

ト短調K.550をいろいろ聴き比べていたころ、ちょうどクーベリックの交響曲選集がLPで発売され、その頃は話題盤はすぐにFM放送で放送されたので、エアチェックして楽しんだ。先日のクリップスの録音と同様、せかせかしたものではなかった。

上記の曲目とは違うが、当時ト短調K.550第1楽章のみを実際に計測した記録がポケットスコアに書き付けてあるので、ちょっと書き写してみようと思う。 タイミング表示は、第1楽章トータル(提示部)。提示部反復有りは有、無しは無。初版:①、第2版:②(クラリネット入り)。分からないのもあり。

フルトヴェングラー/VPO<1951>  6:44(1:40)①有
ケルテス/VPO                        7:48(1:56)②有
ワルター/コロンビア響             6:30(2:08)②無
カラヤン/VPO                        7:32(1:53)?有
ベーム/VPO                          8:44(2:13)①有
セル/クリーヴランド管            8:04(2:00)②有
クーベリック/バイエルン放送響 8:38(2:09)②有
スイトナー/NHK響(放送録音) 5:34(1:49)?無 とにかく速い演奏だった
マリナー/ASMIF                     7:43(1:55)①有
アバド/LSO                           8:38(2:11)①有
アーノンクール/ACO               6:40(1:38)?有
バーンスタイン/VPO               8:00(2:02) ②有

ここまでがスコアに書いてあった1980年代ごろの記録。

以下は手持ちのCDの表記による。
トスカニーニ/NBC響      7:20(1:50) 有
ワルター/VPO<1952>            7:10だが拍手0:53を除き実測6:02(1:59)無
ベーム/BPO<1961>               8:27(2:09)有
カラヤン/BPO(DG)                7:20(1:48)有
セル/クリーヴランド管<1970>  8:15(1:56)有
スイトナー/SKD                    8:07(2:01) 有
ホグウッド/AAM                   7:03(1:45) ①有
クリップス/ACO                    9:31(2:23)②有

クリップスのゆっくりさはこれだけの数の演奏の中でも際立つ。クーベリックやベームがこれに継ぐテンポのようだ。カラヤンのテンポ感はトスカニーニそっくりでVPOとBPOでも同じくらい。ベームも若い頃のBPOと晩年のVPOでも同じだ。ワルターもセルもスタジオ録音とライヴとでほとんど変わらない。

キビキビした軽快なピリオドアプローチ全盛の現在、否、トスカニーニ、フルトヴェングラー、ワルターの三大巨匠の時代においても、モーツァルトにおいてゆったりとしたアレグロはあまり主流ではなかったようだ。

しかし、のんびり派とは言わないまでも、テンポを遅めにとり音楽の緊張感を持続し、アンサンブルを整えるのは至難の業だと言われる。クリップスの40番では有名なヴィオラの刻みが実に正確に冒頭からコーダまで奏でられているのも凄い。

クーベリックから相当話がずれてしまった。クーベリックが晩年1991年にプラハでチェコフィルと「新世界」と一緒に生演奏した「プラハ」を先日聞いたが、こちらは熱気溢れる実演型のクーベリックの演奏だった。しかしこのスタジオ録音のクーベリックは、曲目は違うが、音楽を慈しむように、丁寧に指揮しオーケストラを導いていく。録音の関係か、同じゆっくり系でもクリップスほど鮮烈さは少ないが、「疾走する悲しみ」という固定観念に囚われないアプローチとして、このような滋味溢れるモーツァルトもいいものだと思う。

追記:「私の読ませてもらっているいくつかのBLOGでの評判がすごくいい。」と書かかせてもらったmoart1889さん御本人からコメントとトラックバックをいただき、トラックバックをお返しした。

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コメント

クーベリックのモーツァルトは素晴らしいですね。
後期交響曲集3枚組のセットは、僕が初めて買ったCDのモーツァルトでした。欲しくてたまらなかった(でも当時は高価で・・・)ものでした。
バイエルン放送響のふっくらした響きも素晴らしく、CBSとしては上々の録音と思います。
愛聴盤です。特に「リンツ」は、数ある演奏の中で僕のベストです。大好きな演奏です。

投稿: mozart1889 | 2008年2月 2日 (土) 05:49

mozart1889さん、コメント、トラックバックいただきありがとうございます。『ハフナー』『リンツ』についてはあまり詳述しませんでしたが、その素晴らしさはmozart1889さんの記事につきているように思います。

トラックバックを送らせていただきました。

投稿: 望 岳人 | 2008年2月 2日 (土) 17:09

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» クーベリックの「リンツ」 /バイエルン放送響 [クラシック音楽のひとりごと]
ああ、クーベリック。ああ、「リンツ」! モーツァルトの交響曲では、36番「リンツ」が一番好きです。 このCDはクーベリックのモーツアルト後期交響曲集として3枚組で発売されたもの。CDが出始めた初期の頃、SONYが「3枚組7500円」という戦略的な価格で出したもの。1985年のこと。当時はもちろん「特別限定盤」・・・・(^^ゞ。今では、巷間ありふれているクーベリックのモーツアルトだが、この価格で全部揃うなら買わなくちゃならないと、薄給の中の小遣いを倹約しながら購入した。初出のLP時代、レコード... [続きを読む]

受信: 2008年2月 2日 (土) 05:50

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