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2008年2月 2日 (土)

マタチッチの『シェヘラザード』

Matacic_scheherazade_2リムスキー=コルサコフ
交響組曲『シェヘラザード』作品35
 ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮フィルハーモニア管弦楽団

(1958年録音 Shinseido 1000Classics Angel1000 ⑯ SAN-16)

10:15/11:19/9:55/12:06

先日のクリップス/ACOも、新星堂の復刻的な廉価盤シリーズのものだったが、この珍しい組み合わせの録音もそのうちの一つだ。

ロシアの生んだオーケストレーションの天才で、彼の五人組の盟友たち、ボロディンやムソルグスキーの未完の作品に手を入れて(賛否両論はあるが)完成させたことでも知られる。海軍士官で、海上勤務も経験したというが、そのときの海の印象がこの曲に大きく反映しているようだ。特に第1曲の「海とシンドバッドの船」では、大きくうねる大洋を航海する船が自然に思い浮かばれる。

マタチッチは、ユーゴスラヴィア生まれの指揮者で、NHK交響楽団の名誉指揮者として楽団や聴衆から尊敬を集めた。経歴は、往年のハプスブルク帝国の残照であろうか、ウィーン少年合唱団員として活躍し、その後ヴィーン音楽大学でオルガン、ピアノ、指揮を学び、その後ドイツ、オーストリアを中心に活躍した。先日のクリップスも第二次大戦時には、ユダヤ系ということもあったのかヴィーンを追放され、ユーゴスラヴィアで辛うじて生活をたてていた時代もあったというが、意外にも中欧のオーストリアとハンガリー、チェコ・スロヴァキアはもちろんのこと、旧ユーゴスラヴィア諸国などもオーストリアの音楽文化圏として捉えることもできるようだ。

N響の団員のエッセイか何かに、マタチッチは巨体で、非常に不器用だったことが書かれていたが、彼の作り出す音楽は、そのような茫洋とした大きさがあったりするけれども、意外に繊細な面もある。この珍しいレパートリーの「シェヘラザード(シェエラザード)」だが、1950年代後半のフィルハーモニア管といえば、カラヤンやクレンペラーがよく振っていた時代で、あのデニス・ブレインなども在籍していた頃だと思う。

私の持っている音盤では、マゼール/BPOのマルチマイクの極致と呼ばれる録音のものや、チェリビダッケ指揮シュツットガルト放送響のライヴの精緻なモザイクのような「シェエラザード」もあるが、このマタチッチ盤は、それほど集中することなく、おおらかに音楽を楽しめるという利点がある。一部では大層評価の高い隠れた名盤という噂もあるようだが、どうだろうか?ただ、意外にも第3曲の「若き王子と王女」が繊細な表現で聞かせてくれる。

録音は、さすがに古いステレオ録音だが、それほど古さを感じさせない。

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