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2008年3月 9日 (日)

ポリーニのショパン『練習曲集』Op.10&25全曲

Chopin_etudes_polliniフレデリック・フランソワ・ショパン(1810-1849)
 12の練習曲作品10
 12の練習曲作品25

マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)

1972年1月、5月 ミュンヘン(ヘラクレスザールのはず)




前日聴いたアシュケナージのショパンが結構面白く、またこのところショパンからは離れていたので、ショパン飢餓感とでも言おうか、また次々に聴いてみたくなり、恐らく現代のショパン演奏の中で最も有名な録音の一つだろうと思われるCDを取り出して聴いた。

このCDは、名曲ベストシリーズもの(再発もの)ゆえに、LPのライナーノートで書かれたあの吉田秀和氏の有名なひとこと「これは、この曲に関する、最高のレコードに属する」という文章は別の評論家のものと差し替えられてしまっているのが残念だが、吉田氏の評論は、そのまま『世界のピアニスト』の『ポリーニ』の項の『ショパンのエチュード』で読むことができる。(手持ちのポリーニの『前奏曲集』のCDは、LPと同じ萩原秋彦氏のライナーが読める。)

その文章は、そこに書かれていることに尽きてしまうほど、この演奏、録音の本質を衝いているので、今更屋上屋を重ねることもないのだが、吉田氏はアシュケナージの同じ曲の録音と並べて論じており、相当アシュケナージの演奏については好意的であるのが意外だ。

前日聴いたアシュケナージの『前奏曲集』とポリーニのそれとの違いは相当大きいと感じているので、アシュケナージによる『練習曲集』も聴きたいと思っている。今日聴いて印象に残ったのは、作品25の第2 ヘ短調の即興曲的な曲。憂愁を含んだ曲で、規模を大きくすればあの『幻想即興曲』につながるような曲だと思った。

今日CDによるこの曲集を聴きなおしてみて、やはり思うのは、LPで聴く音楽の鮮度や訴求力のことだ。

以前も書いたが、実家の古いコンポーネントステレオで、LPの冒頭の燦然たる第1番ハ長調の音階の練習曲を聴いてみると歴然としており、妻も同じ意見だった。そのときは、ためしに聴いてみようと、針を下ろしソファに腰掛けて聴き始めたところ、あまりの感動に、ついA面を聴きとおしてしまった。音の立ち上がりや安定感、雑音の少なさはCDが優れていることは確かで、ヘッドフォンで聴いてもまったく雑音に悩まされることがないのはすごいことだが、これはどうしようもない差のように感じてしまう。(ただ、耳は音の違いを識別することに長けてはいても、同じ音を聴き続けるとそれに順応しやすく、こうしてCDでも十分音楽を楽しめているのは確かではあるのだが。)

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ディスク音楽04 独奏」カテゴリの記事

コメント

この録音は聞いていなくても、誉れ高く、少なくともポリーニのピアニズムを幾らかでも知っている限り、そうだろうなと予測されるものが強いですね。

アシュケナージのショパンも定番でしたね。それで結局私は、この辺りの曲はポゴレヴィッチを聞きます。全く天邪鬼なショパン受容ですが、それは上で視聴前から予測されるものとは全く正反対のものへの興味でしかないのかもしれません。

演奏の問題というよりショパンの特性なのかもしれません。CD・LPの比較で言えば、ポゴレヴィッチの録音はもともとアナログのイメージがないのでそれ以外には考えられないと言う感じのかなり良い録音です。

投稿: pfaelzerwein | 2008年3月 9日 (日) 18:58

こんばんは。
練習曲の全曲を初めて聴いたのがポリーニ盤でした。もうこれ以上の演奏はないだろうという完成度の高さに参りましたが、しばらく後にアシュケナージ盤を聴いて、これにも軽いショックを受けました。解釈の深さを思い知らされました。
両者は、ほとんど同時期に録音しているのですが、レコード会社の思惑だとしても、よく同じ頃にこれだけの演奏が出揃ったものだと思います。

投稿: 吉田 | 2008年3月 9日 (日) 21:00

pfaelzerweinさん、コメントありがとうございます。ポゴレリッチの演奏は予測のつかない演奏という意味では、ショパン演奏の伝統を伝えようとするショパンコンクールの趣旨からは遠いものですが、現代のピアニストとして面白いものだろうと想像します。

より伝統に忠実ながらやはり現代的なピアニストツィメルマンはディジタル録音への懐疑をかつてレコード芸術で読んだことがありますが、録音に慎重なようで、練習曲集、前奏曲集など聴きたいのですが、まだ発表にいたっていないようです。

アシュケナージの録音へはこれまで不平不満が多かったのですが、是非聴いてみたいと思っております。

投稿: 望 岳人 | 2008年3月 9日 (日) 22:23

吉田さん、コメントありがとうございます。このポリーニ盤で満足してしまい、他のディスクをあまり聴こうという気が長いことなかったので、今更ながらですが、是非アシュケナージ盤を聴いてみたいですね。

確かに、同時期に同じ曲の録音をぶつけるというのは、レコード会社の思惑もあるのでしょうが、その頃の演奏家達の自負心の強さややる気がうかがわれるようで、興味深いですね。当然、比較されることは覚悟の上なのでしょうから。

投稿: 望 岳人 | 2008年3月 9日 (日) 22:27

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