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2008年4月14日 (月)

ベーム/VPO ブラームス 交響曲第4番(1975年)

Brahms_symphonies_boemvpo ブラームス 

 交響曲第4番 ホ短調 作品98

  カール・ベーム指揮 
    ヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団

13:18/12:06/6:42/10:23

〔1975年5月、ヴィーン ムジークフェラインザール(交響曲第1番、第2番と同時期の録音)、第3番は同年6月〕

cf )C.クライバー〔1980〕12:45/11:49/6:04/9:12
ヴァント/NDR〔1985〕11:51/10:46/6:24/9:28
カラヤン/BPO 〔1977〕12:48/11:05/6:04/9:57

同じVPO、録音会場で、同じレーベルでの録音だが、カルロス・クライバー盤で感じた違和感はこちらにはない。

こうなると、自分はいわゆる伝統的、保守的なブラームス解釈の方に共感を覚えているとも言えようか。そのため、クライバーの方の少々強引なドライブによる斬新な演奏、解釈の新鮮さ・ユニークさは薄っすらとは感じつつ、新しいブラームス像というような評にある良さに共感できないということも考えられる、などとこのベームの録音を聴きながら思ったりした。

私のブラームスの「刷り込み」が、ベーム/BPOの第1番と、セル/クリーヴランド管の第4番というどちらかと言えば引き締まった職人肌のザッハリヒな演奏だということが相当影響しているのかも知れない。柔和でロマンチックと言われる演奏の典型とされるバルビローリとVPOの演奏を聴いたことがないので、なんとも言えないのだが。

ベームのこの全集は、ベーム初来日で人気が極致に達していた頃のもので、確かレコード芸術誌のレコード・アカデミー賞を受賞したのではなかったろうか。少々緩いという評も聴くのだが、私にとっては、このベームの指揮によるブラームスは充分満足の行くものだ。所要時間からは、少しユックリ目の演奏のようにも思えるが、遅すぎるという感じは受けない。

参考記事 2006年10月 4日 (水)ベーム/VPO ブラームス 交響曲第1番

バーンスタインとVPOによる交響曲全集は、1981年から1982年にかけてムジークフェラインザールで「ライヴ」収録されている。カルロス・クライバーによるブラームスの4番の録音の一年後だ。(2006年10月 9日 (月) バーンスタイン/VPO ブラームス 交響曲第1番 2005年9月30日 (金) バーンスタイン/VPO のブラームス交響曲第2番

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コメント

はじめまして.いつも楽しみにROMしております.

ベームのブラームス,大好きです.
ブラームスの交響曲は歌ったり煽ったりしすぎると古典的な格調の高さが損なわれるし,かといってあまりに即物的だと独特の味わいがなくなるし,そのさじ加減が微妙ですが,ベームの演奏はそのあたりのバランスが私にとってはぴったりきます.初めて買った第1番がこの全集からの分売LPだったのですり込み効果も大きいのでしょうが.

この全集では第2番の演奏もウィーンフィルの音が素晴らしく,気に入っています.

あと,少し前のブログで1984年にブラームスが沢山放送されたと書いてありましたが,これはおそらく83年のことで,この年が丁度ブラームス生誕150年(かつワーグナー没後100年)にあたっていたためと思います.望岳人様のお書きになっていたカラヤンの交響曲全曲やムターのヴァイオリンソナタは私も聴いた記憶があります.

投稿: たけ | 2008年4月15日 (火) 10:18

こんにちは。
ブラームスの交響曲ではベームの演奏を選ぶことが一番多いです。どこがいいのかと考えてみたら…たけ様が解答を出してくれました。
4番では1979年頃に同じコンビの演奏がFMでオンエアされたもの(ザルツブルク音楽祭だったかウィーン芸術週間だったかは忘れました、同じ頃の2番は前者でしたが)、それがマイ・ベスト・ワン
になっています。スタジオ録音にはない熱気がプラスされた一期一会的な名演と思っています。因みにタイミングは
13:17 12:15 6:32 10:15 です。
(CDに焼いたデータからです)

投稿: 天ぬき | 2008年4月15日 (火) 13:25

たけさん、コメントありがとうございます。

ベームのブラームスの特徴は本当にそのバランスのよさにあるようですね。この全集には、ヴィーンフィルの団長のシュトラッサーによる「ヴィーンフィルが持つブラームス演奏の伝統」という結構長文のエッセイが載せられていますが、晩年に近いベームが指揮台にいたからこそ、ヴィーンフィルも余裕と格調のある演奏ができたのだろうな、と思います。

カラヤンやムターのブラームスは、ブラームスの生誕150年でしたか。1833年生まれですから1983年がその年だったんですね。御教示ありがとうございました。

投稿: 望 岳人 | 2008年4月15日 (火) 23:28

天ぬきさん、コメントありがとうございます。

FM放送を聴かなくなってから相当時間が経ちますが、今のようにディスク(当時はLPでしたが)が気軽に買え無かった頃はFMが音楽の窓でした。当時は、NHKでよくヨーロッパの音楽祭のライヴ録音を放送してくれて、むさぼるように聴き、エアチェックをしたものでした。膨大なカセットテープも今は物置で埃をかぶっていますが、私もCDに焼いていつでも聴けるようにしたいと思いました。

フルトヴェングラーもスタジオ録音しか残っていなければまったく評価が違っただろうといわれますが、ベームもライヴでは燃えたようですね。LPで、ベーム/VPOの1975年来日公演のブラームスの1番がありますが、スタジオ録音よりも熱気が感じられます。

天ぬきさんのライヴとスタジオ録音のタイミングはほとんど一致していますので、テンポ感の保持にプロの指揮者の凄さが窺がわれるような気がしました。

投稿: 望 岳人 | 2008年4月15日 (火) 23:37

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