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2008年9月20日 (土)

松岡圭祐『ミッキーマウスの憂鬱』(新潮文庫 ま-34-1) \438

一昨年、昨年とディズニーリゾートで結構楽しんできた。その折、アメリカのディズニー本社と日本のオリエンタルランドとの綱引き、埋立地と漁業権利権というビジネス上のシビアな話や、ディズニーランドには蚊がいない、VIP用の秘密クラブの存在、地下トンネルなどなどの都市伝説的な話が耳に入ってきて、この日本最大、世界有数のテーマパークについて、いろいろな意味で興味を持っていた。

先日、通勤電車の新潮文庫の中吊り広告で、この『ミッキーマウスの憂鬱』が文庫本としての新刊発売を目に留め、先日帰宅時に本屋で新刊(初版平成20年9月1日発行)で購入してきた。それまでこの作家の本を読んだことはなかった。全部で268ページなのと、文体が軽妙で会話体が多いので、あっけなく読み終えてしまった。

帯の惹句「バックステージへようこそ」「史上初!ディズニーランド 青春小説!」「読めば、ディズニーランドが100倍楽しくなる!さあ、あなたも登場人物たちと一緒に、夢と魔法の国の裏舞台で働こう。」そのものの内容で、ちょうど今、ディズニーランドのアルバイト(キャストと呼ぶ)の募集広告も列車内に大きく張り出されているので、なんだか大きなキャンペーンの一環かと疑ってしまうほどのタイミングだ。(ただ、初出は平成17年3月に新潮社刊行ということ。その時にも話題にはなったのだろうか?)

華やかな表舞台の裏舞台を見せるという覗き見的な欲望を満たし、適度にサスペンス要素を絡め、爽やかで勧善懲悪的なハッピーエンドなので、もし自分が若いフリーターで、これを読めばディズニーランドの裏方で働きたくなるだろうなと、思ったほど。その意味ではよくできた小説かもしれない。

ただ、少しネタバレ的な難点を言えば、重要なアイテムの防水性が問題だ。豪雨にさらされるような屋外に置かれていれば、たとえ水に漬かることがなくても、内部には相当水がしみこみ、その「物」は使い物にならなくなってしまっているのではなかろうか? ネットでこの点を検索してみたが、疑問を呈しているものは見つかっていない。私の深読みのしすぎなのだろうか?

とはいえ、「夢と魔法の国、笑顔と清潔な国」が人間の力でどのように支えられているのかということを認識することは悪いことではない。

著作権問題にしてもこの世界で最も有名なミッキー・マウスというキャラクターのコピーライトを延長するために、50年、75年と延長するようにグローバルスタンダードと称して騒動を起こしていることや、ブッシュ大統領の弟がディズニーワールドのあるフロリダ州の知事であることなど、また小泉時代の日本がアメリカの家来として振舞っていたことなど、結構辛らつな批評も小説中で書かれており、その辺りの方がストーリーよりも面白かったりもした。

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