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2008年10月14日 (火)

事件ファイル #17 喋りすぎる男 ~リスト パガニーニ大練習曲「ラ・カンパネラ」

事件ファイル #17 喋(しゃべ)りすぎる男 ~リスト パガニーニ大練習曲「ラ・カンパネラ」2008年10月12日(日)放送  

依頼人 大下貞夫 (鈴木浩介) 職業 アナウンサー

筧利夫,  黒川芽以,  鈴木浩介, 【演奏】ピアニスト…小山実稚恵, 【VTR出演】音楽家…中川賢一(桐朋学園大学), 【語り】阪脩

過去記事で、リストの『ラ・カンパネラ』が収録されたCDについて書いたのは三件ほどだったと思うが、どの記事の時か、例の無料楽譜ダンウロードサイトのIMSLPで、"La Campanella"をダウンロードしてPCの画面に表示して楽譜を追おうとしたのだが、普通に演奏されている『ラ・カンパネラ』と異なるようで、CDの音楽に合わせて追えないので、不思議に思い調べたところ、現在の最終版の以前の稿だと書かれていた。

2006年6月 6日 (火) フジ子・ヘミング 「奇蹟のカンパネラ」

2006年11月12日 (日) ジョルジ・シフラのリスト ピアノ曲集

2007年9月17日 (月) ガヴリーロフのバラキレフ『イスラメイ』

今回の番組では、何と現在の最終版が第3稿であり、若いときの超絶技巧オンパレードの即興演奏的な第1稿、それに手を入れた(というか全面的に改稿した)第2稿(フラット系)、そして、後年になって第2稿を同名異音によって移調し(シャープ系)、高い嬰ニ音を響かせる現在の形にした第3稿最終版と三つの版があることが、非常にマニアックにも紹介され、あまつさえ、日本有数のヴィルトゥオーゾ(ザ?)である小山実稚恵女史により、全稿の演奏(全曲ではないが)を楽しめるという、非常に贅沢な内容の番組だった。

アナウンサーとしてのしゃべりの超絶技巧を持つスポーツアナウンサー(古舘伊知郎を思わせる)が、上司からしばらく実況放送を休むようにと言われてショックを受け、ベテランスポーツアナウンサーが実況前にリストの『ラ・カンパネラ』を聴いているという話を聞き、探偵事務所に復帰するためのヒントではないかとその謎解きを依頼に現われた。

史上初のピアノ独奏のみのリサイタルを始め、(また、暗譜演奏でも先陣を切ったと言われる)大人気ピアニストのリストが、当初の超絶技巧のオンパレード(アナウンサーとしての技術は凄いが、しゃべりの内容が伝わらず、ただうるさいのとパラレル)を反省し、音楽の内容が聴き手に伝わるように作曲、つまり作曲家として認められるように努力し(第2稿)、さらにさりげなく超絶技巧を聴き手を感動させるため用いた作品を楽譜に残す(第3稿)という過程を、小山女史の実演を交えて探偵が依頼者に解説し、それにより、アナウンサーも自己中なしゃべりの技巧のオンパレードから、超絶技巧を交えながらも、ただ饒舌に留まらない、話の間や内容が伝わるアナウンスができるように意識を変革できたというストーリーだった。

先日、アッカルドとデュトワによる原曲のパガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番を聴いたが、ヴァイオリンによる『鐘』の響きの模倣よりも、グランドピアノの高音の連打による鐘の音の方が確かに聞き応えがある。

小山実稚恵女史は、とにかく凄かった。嬰ニ音を鳴らしながらテーマを弾く、ニオクターブの跳躍、トリルとオクターブの連打などなど、この『ラ・カンパネラ』の技巧的要求は凄いものがあるが、ピアノを十分鳴らしながら、大変嫋やかな女性らしい優美な『ラ・カンパネラ』を奏でていた。

フジ子・ヘミングのゆったりとしたユニークな『ラ・カンパネラ』も面白いし、シフラの曲芸的なものも、ガブリーロフの余裕のある演奏も面白い(残念ながらキーシンのプロムスでの演奏はピアノが鳴りきっていなかった)が、このような模範的で衒いのない演奏で聴く『ラ・カンパネラ』も面白かった。

パガニーニは、このほかにもいくつかの主題を後世の作曲家に提供しているが、ヴァイオリンの超絶技巧だけでなく、メロディーメーカーとしての冴えもあったのだろう。

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今回はリストの「ラ・カンパネラ」が取り上げられましたが、いつも出てくる野本先生は、「監修」として名前はあったが、登場しませんでした。また、最後の曲の演奏の所は、それぞれ一部でしたが、「第1稿」「第2稿」「第3稿」の全てを聴くことが出来るというサービスになっていました。これは来週からまたまた暫くの間、新作の放送が無いためなのでしょうかねぇ???(途中の解説の所でも、それぞれを聴くことが出来ますけど...)今回のカノンさんは髪が少し伸びて、大人っぽい雰囲気でした。が、いつものように、色々と楽しいカノンさ... [続きを読む]

受信: 2008年10月15日 (水) 12:01

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