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2008年12月12日 (金)

フィギュアスケート グランプリファイナル ショートプログラム 浅田僅差の2位

韓国 高陽市で今日開催されたフィギュアスケートのグランプリファイナルの第1日目、ショートプログラムでは、今シーズンのグランプリシリーズの上位6名の男女が参加して演技が行われた。

男子は、日本の小塚崇彦(こづかたかひこ)選手が、エースの高橋、復活した織田が出場できない穴を大きく埋めて、ショートプログラムをほぼノーミスで滑り、第1位で明日のフリースケーティングを迎えることになった。今シーズンは、アメリカンカップで1位、フランスカップで2位と昨年から大幅にステップアップして、世界の第一線の選手にランクインしている。この選手も、愛知県の出身とのことで、男女ともに愛知県が生んだフィギュアスケートの一流選手の数は特筆される。

さて、注目の女王対決、浅田真央とキム・ヨナのショートプログラムの演技では、素人目にはわかりにくい点数で、最終滑走のキム・ヨナがトップに立ち、僅差で浅田が2位になった。

最近ショートを苦手としてきた浅田だが、この夜の演技は、ほぼノーミス(三回転、三回転が少し回転不足だったらしい)で、ノーミスの演技者だけが持つ観客が思わず息を呑むような集中した演技を見せ、最後はライヴァルのキム・ヨナの母国開催とは言え、観客からは思わずため息が漏れるほどの素晴らしい出来だった。少し気になったのは、スパイラル・シークエンスに移動するときに片足を上げる際に少しぎごちなさが感じられた程度。ジャンプは三本とも上出来で、ステップはキム・ヨナを凌駕していたと思う。『月の光』の音楽とコスチュームの淡い紫色と水色の中間色、そしてスケーティングが相俟って見事なものだったと思う。

キム・ヨナの演技は、最初の三回転三回転は素晴らしく、これはまたも完璧な演技で浅田を大幅にリードしてしまうかと思ったが、さすがのキム・ヨナも母国開催でのプレッシャーがあったものか、次のルッツ(?)が一回転になってしまい、その後もそのミスを引きずった雰囲気で、シークエンスなどもいつもの安定感がそがれていたように感じた。それでも終盤の多彩な高速スピンの威力は素晴らしく、サン・サーンスの不気味な『死の舞踏』を用いてゴシックホラー的な黒い衣装を身にまとったキム・ヨナのスケートもやはりすばらしかった。

ただ、採点の基準は非常に細かく、素人には分からないミスや加点要素もあるのだと思うが、明らかな一回転ジャンプというミスのあったキム・ヨナが、ほぼ完璧な浅田をわずか0.5点程度でも上回ったのは解せないところだった。二人とも65点台という高得点だが、キムは芸術点で上回ってわずかにリードしたというところだったようだ。芸術点は、非常に主観的な要素の強いもので、細部の洗練さや技の切れなどの積み上げ的な部分ではキム・ヨナがわずかに上回るだろうが、全体的な印象という面では、ほぼ完璧な演技を見せてプログラム全体を滑りきった浅田の方に加点があってもよいのではないかと思う。まあ、ここは難しいところで、細部の積み上げの部分をおろそかにすると、全体の印象だけで点数が決まってしまうという大雑把な採点にもなるだろうから。

ただ、ISUの公式スコアを見ると芸術点と呼ばれるProgram Component Scoreを構成する5つの要素すべてで、キムが浅田を少しだけ上回っているというのは、解せない。

中野友加里は自己ベストの62.08点で3位。ロマンチックなショスタコーヴィチの『ロマンス』が印象に残った。直前の練習では素晴らしいジャンプを決めていた安藤美姫だったが、一番滑走ということもあり緊張したのかスピードが少し不足するような印象で、ジャンプで転倒してしまうなど55.44点で5位と出遅れた。イタリアのコストナー、カナダのロシェットは、集中力に欠けたのか振るわなかった。

明日のフリーでは、小塚の快挙、浅田とキム・ヨナの頂上対決が楽しみだ。

追記:2008/12/13 14:23 

今回の採点については、日韓のナショナリズム絡みでも相当問題視されるなどスポーツ界を越えた問題になっているようで、偏向採点かどうか調べているところ、2008年12月13日 新採点システムの落とし穴?コンビネーションジャンプにかかるGOEの不思議(blog EVERGREEN) という専門的で冷静な記事を見つけた。

これはこの採点システムについてときおり指摘されていたように思うがが、難しい技に挑戦して不完全になるよりも、より低いレベルの技を確実に決めた方が得点が高くなるということ非常に詳しく説明した記事で大変参考になった。

器械体操競技、新体操や飛び込み、シンクロナイズドスイミングなども技術の高さと正確さ、美しさが採点要素になっている点でこのフィギュアスケートと共通性があるが、今回の浅田の不完全だとは言え3回転3回転と、キムのスッポヌケの1回転ルッツでこのような得点の矛盾が生じるのは、それらの競技との比較でも不合理すぎるように思える。

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コメント

 キム・ヨナは嫌いではないですが、こういう採点をされると嫌いになりそうです。真央ちゃんだって今シーズンは相当芸術点が出て良いと思うのですが、認められていないようです。だって、あの柔らかい動きはキム・ヨナにはないです。
 キム・ヨナのコーチ、ブライアン・オーサーが真央ちゃんやミキティの演技にこれまでしょっちゅうケチをつけてきたそうですが、(つまり審判団に、)そういうのが影響しているんでしょう。でも最終的には正々堂々と戦ったほうが勝つと信じています。神様は絶対に見ていらっしゃると思います。

投稿: コッチョ | 2008年12月12日 (金) 23:56

コッチョさん、コメントありがとうございます。

プログラム・コンポーネントの採点で、一つでも浅田がキムを上回っていれば少しは納得できたのかも知れませんが、これはないよという感じですね。浅田選手も演技終了後の満足した笑顔に比べてインタビューでの表情が冴えなかったのは、この得点に対する不満の表れではないかと思いました。コーチの審判へのアピールというのも戦略的にあるものなんですね。まさに一筋縄ではいかない世界ですね。

フリーでの滑走順はショートの得点の低い順だと思いますので、最終滑走の一つ前の浅田選手の方が有利かも知れないとも想像します。いい演技で、国際大会初のトリプルアクセル二回を決めてもらいたいですね。

得点方式や採点結果への不満はこの競技ではいつも付きまといますが、浅田、キムとも万全の状態での対決はなかなか見られないものだと思いますので、フリーの演技が楽しみです。

投稿: 望 岳人 | 2008年12月13日 (土) 00:18

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