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2009年1月23日 (金)

ハイドン クラヴィア協奏曲 ニ長調 Hob.18-11 アルゲリッチの弾き振り

Haydn (1732.03.31-1809.05.31)
Keyboard Concerto in D, Hob.ⅩⅧ-11
   1. Vivace 7:12
   2. Un Poco Adagio 7:51
   3. Rondo All`Ungarese 4:05
Martha Argerich(piano) / London Sinfonietta
(DENON COCO-6117  Licensed by DISCHI RICORDI)

ハイドンと言えば、交響曲(最後の番号が第104番)、弦楽四重奏曲(同様に第83番)など、膨大に作曲した人だが、弦楽三重奏曲29曲ほど、バリトン三重奏曲などは126曲!、ピアノ三重奏曲41曲以上、ピアノソナタ52曲以上、などなども膨大な作品数を残している。

そんな中、比較的少ないのはクラヴィア(チェンバロ)、ヴァイオリンなどの独奏楽器による協奏曲だ。ハイドン自身、ヴィーン少年合唱団の前身にあたる宮廷合唱隊で美しいボーイソプラノを披露(弟のミハイルもそうだったという)した後、変声期で合唱隊を追い出され、その後苦労しながら音楽家とした大成していったという話が伝えられている。その過程で、モーツァルトやベートーヴェンのような独奏楽器の名人だったという伝説は伝わっていないようなので、そのためもあるのだろう。

それでも有名なところでは、チェロ協奏曲、トランペット協奏曲などが知られているが、このCDであのマルタ・アルゲリッチがロンドン・シンフォニエッタを珍しく弾き振りして録音しているのは、いつも参考にさせてもらっている作品表 では、チェンバロ協奏曲ニ長調Hob.XVIII-11(1780頃/1784出版)[3楽章]とされている曲だ。ハイドン48歳頃の作品となる。

今年は、ハイドンが亡くなってから満200年という記念年になり、音盤の世界では、あのアンタル・ドラティの交響曲全集やまとまったオペラ録音が話題になっているが、上記の膨大なバリトントリオやピアノトリオなどの録音はどうなることなのだろうか?一度、生演奏で、このピアノトリオかバリトントリオのうち、高音楽器をフルートに持ち替えて、チェロとピアノとで演奏したものを聴いたことがあるが、ハイドンらしくすんなりと耳に入るわりにはとても知的でさっぱりした音楽が聴けて面白かった記憶がある。交響曲のように連続で聴くとさすがに耳が飽和してしまうだろうが、折に触れて(もったいないが)機会音楽的に一期一会的に聴けるならば、それはたいそう贅沢な経験だろうと思う。

ハイドンのニ長調のクラヴィア協奏曲(おそらく、チェンバロで弾いたものだろう)は、モーツァルトの名作群に比べると非常に影が薄い。この曲の成立事情や初演、その当時の評判など(リーフレットには書かれているかも知れないが)、一般的な知識としてはまったく知らないで聴いている。

ハイドンは、決してクラヴィアの名手ではなかっただろうが、それでも数多く残したピアノソナタを聴いても決して凡百の奏者であったとは考えられない。ハイドンがこのアルゲリッチのように、弾きぶりでこの曲を恐らくエステルハージ宮廷で披露したものだろう。

耳に快く、聴いているときはいい音楽だと感じながら聴くのだが、聴き終わった後には、ととりたてて印象的なメロディがあるわけでもなく、また特別の形式的な工夫もないので、後で思い出そうとしても、思い出せないような音楽ではあるのだが、耳を澄ましているときの心の豊かさは、そう感じられるものではない、というのが、一種ハイドンの魅力の一つではないだろうか?また、機会音楽的な古典派の音楽というもの自体、そのような本質を持っていたのかも知れない。ベートーヴェンにしても、交響曲の第1、2番、同じくピアノ協奏曲の第1,2番など、それ以降の個性的な作品に比してやはり同様の深く記憶に刻みつけられる要素という意味では没個性的なのかも知れないと感じる。その意味で、深化が始ったモーツァルトのヴィーン定住以降の作品群というのは、それが注文仕事、誂え仕事であったにも関らず、多くの作品がそのような古典派のルーチン的な没個性に陥っていないというのは、すごいことだったのだと改めて思う。

ハイドンの曲のことを書こうと思っていたが、ついモーツァルトまで筆が滑ってしまった。それでもハイドンの曲の第2楽章などの少しカデンツァ風の部分や、第3楽章など「ハンガリー的なロンド」であり、後年のシューベルトがよくハンガリー風の曲を書いたように、オーストリア・ハンガリーの音楽の象徴のような音楽になっていて面白い。

なお、併録のベートーヴェンの2番の協奏曲も、アルゲリッチの弾き振りによるもの。

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