コレルリの合奏協奏曲集作品6全12曲 ピノック/イングリッシュ・コンサート
トレバー・ピノック指揮(チェンバロ)、イングリッシュ・コンサート 1987年、1988年録音
久しぶりのディスク音楽記事。iTunesへのデータ取り込みが毎日の音楽生活の多くを占めていて、ゆっくり鑑賞することがないのが原因。以前は、購入して聴いたばかりのCDの感想を書き留めておこうとか、以前からの愛聴盤の紹介をしようとか、同曲異演の楽しみを語ろうとか言う動機で書くことが多かったが、最近は記録と整理が主目的になっているようで、少し本末転倒気味。
さて、バロック時代の器楽、コンチェルト・グロッソの創始者として名高いアルカンジェロ・コレルリ(1653-1713)のコンチェルティ・グロッシ(複数形は、最後のOがIに変化)作品6、全12曲の録音。
第8番ト短調が、「クリスマス・コンチェルト」として有名だが、作曲者が高名な割りにその他の曲をディスクで聴くのは初めて。非常に廉価で入手できたので、あいも変わらず、iTunesに取り込んで聴き始めた。
演奏は、1980年代のピリオド楽器によるバロック時代の楽曲演奏で大活躍したトレヴァー・ピノックとイングリッシュ・コンサートによるもの。何しろ、小学館のバッハ全集(Archivとの共同企画)の第14巻協奏曲、管弦楽曲のほとんどが彼らの演奏だったのだから、その凄さをおしてしるべしというところだろう。
コレルリの合奏協奏曲は、いわゆるコンチェルティーノ(独奏群ヴァイオリンとチェロ)とリピエーノ(伴奏群)の協奏形式の嚆矢だが、全12曲は様々なスタイルをとっているようだ。
楽章数も、第1番ニ長:7, 第2番ヘ長:4、第3番ハ短:5、第4番ニ長:4、第5番変ロ長:4、第6番ヘ長:5、第7番ニ長:5、第8番ト短(クリスマス協奏曲):6、第9番ヘ長:6(舞曲名のついた組曲風の構成)、第10番ハ長:6(第9と同じ)、第11番変ロ長:6(同前)、第12番ヘ長:5(同前)、というように4楽章から7楽章で、急緩急、緩急緩という順序も一定ではない。
(64トラック、2.1時間)
その意味で、もう少し後世のヴィヴァルディ、ヘンデル、バッハの協奏曲の次第に確立されていった3楽章のスタイルよりも多彩と言えるかも知れない。
まだ一曲一曲楽しんでいる段階だが、楽想的には、演奏スタイルも大きく寄与しているのだと感じるが、古くさいイメージを覚えることなく、むしろ新鮮な面白さを感じることが多い。ただ、必ずしも「個性的」な楽想とばかりとは言えず、単調さも感じることも否めない。それでも、このような音楽を聴くにつれ、音楽王国だったイタリアという「反音楽史」の主張もうなづける。
コレルリより少し後輩のヴィヴァルディが確立した独奏楽器と合奏による独奏協奏曲の成立の方が、協奏という意味では自然に成立するものような気がするのだが、音楽史も、複旋律による対位法から単旋律と和声へと考えようによっては単純化されてきた歴史があるので、必ずしも単純から複雑へという流れが自然というわけではないのかも知れない。Mた、J.S.バッハは、独奏楽器と合奏によるチェンバロ協奏曲を多く作曲しながらい、ブランデンブルク協奏曲では、多彩なコンチェルティーノとリピエーノによる合奏協奏曲の最後の輝きを現出させた。もちろんヘンデルの作品3と作品6も忘れることはできない。
以前取り上げたショーソンのコンセールは、ピアノとヴァイオリンのデュオがコンチェルティーノで弦楽四重奏曲がリピエーノとして書かれているもので、先祖 帰りではないが、この合奏協奏曲の形式を参考にしたものだろう(が演奏効果的にはコンチェルティーノとリピエノーノ対比はあまり明瞭ではない)し、古典派やロマン派の協奏交響曲(モーツァルト、ハイドンなど)、複数楽器のための協奏曲(ブラームスなど)も基本的な基本思考は別なのだろうが、外形 的には独奏群と合奏群の協奏と対立とが構成要素になっている点は共通のようだ。近代で最もこのアイデアを巧く取り入れた有名曲は、バルトークの管弦楽のた めの協奏曲だろうか。
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