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2010年2月19日 (金)

シャーロック・ホームズ 外典1 How Watson Learned the Trick

ドイル自身が、ホームズもののパスティーシュを書いたことがあったという。これはその内の最も短いものの一つということだ。短いので試訳をしてみた。ご笑読を賜りたし。

How Watson Learned the Trick 1924年(リンク先:WIKIPEDIA ワトスンの推理法修行)

ワトソンはどのようにして秘訣を教わったか? (試訳:望 岳人)

Watson had been watching his companion intently ever since he had sat down to the breakfast table. Holmes happened to look up and catch his eye.
ワトソンは、彼のお相手役が朝食のテーブルについてからずっと彼の方を熱心に注視して いた。ホームズはふと目を上げ、そのことに気付いた。


"Well, Watson, what are you thinking about?" he asked.
「おや、ワトソン、君は何を考えているんだい?」ホームズは尋ねた。

"About you."
「君のことさ」

"Me?"
「僕のこと?」

"Yes, Holmes. I was thinking how superficial are these tricks of yours, and how wonderful it is that the public should continue to show interest in them."
「そうさ、ホームズ。僕が考えていたのは、君の秘訣が何とも表面的なもので、 一般の人たちがあいも変らずその秘訣に興味を示しているのは何とも驚くべきことか、ということだよ。」


"I quite agree," said Holmes. "In fact, I have a recollection that I have myself made a similar remark."
「まったくその通りだよ」とホームズ。「実際、僕の記憶では、僕自身が同じ見 解を示しているはずだがね。」


"Your methods," said Watson severely, "are really easily acquired."
「君の方法は」とワトソンは厳しい声で言った。「実に容易に習得できる。」

"No doubt," Holmes answered with a smile. "Perhaps you will yourself give an example of this method of reasoning."
「確かにそうだよ」ホームズは微笑みながら答えた。「ひょっとしたら、君は自分で推理の方法の具体例を見せてくれるんだろうね。」

"With pleasure," said Watson. "I am able to say that you were greatly preoccupied when you got up this morning."
「喜んで」とワトソン。「僕は、君が今朝起床した時に、何かにひどく心を奪わ れていたと言い張ることができるよ。」

"Excellent!" said Holmes. "How could you possibly know that?"
「素晴らしい!」とホームズ。「よくもそんなことが分かったね。

"Because you are usually a very tidy man and yet you have forgotten to shave."
「君はいつもとても几帳面なのに、まだ髭剃りを忘れているじゃないか。」

"Dear me! How very clever!" said Holmes. "I had no idea, Watson, that you were so apt a pupil. Has your eagle eye detected anything more?"
「おやおや!なんて抜け目がないんだい。」とホームズ。「ワトソン、僕は君が そんなに利口な生徒だとは知らなかったよ。君の鷹の目は、もっとほかのことも 見破ったかい?」

"Yes, Holmes. You have a client named Barlow, and you have not been successful with his case."
「その通りだよ、ホームズ。君はバーロウという名前の人物から依頼を受けてい る。そしてその事件はこれまでのところ上手くいっていない。」

"Dear me, how could you know that?"
「おやまあ、そんなことをどうやって知ったんだい?」

"I saw the name outside his envelope. When you opened it you gave a groan and thrust it into your pocket with a frown on your face."
「封書の表書きにその名前が見えたのさ。それを開封したとき、君はうめき声を 漏らし、ポケットに押し込んだね。君の顔は不機嫌そうだった。」

"Admirable! You are indeed observant. Any other points?"
「何と素晴らしい!なるほど君は本当に目ざといよ。そのほかに何かあるかい?」

"I fear, Holmes, that you have taken to financial speculation."
「僕はね、ホームズ。君が投機にふけっているんではないかと危ぶんでいるんだ。」

"How could you tell that, Watson?"
「どうやってそれが分かったんだい、ワトソン」

"You opened the paper, turned to the financial page, and gave a loud exclamation of interest."
「君は新聞を開いて、金融面をめくり、さも重要なことだというように、僕の耳 にも聞こえるほどの嘆き声をあげたんだよ。」

"Well, that is very clever of you, Watson. Any more?"
「なるほど、君はかしこい、ワトソン。まだほかには?」

"Yes, Holmes, you have put on your black coat, instead of your dressing gown, which proves that your are expecting some important visitor at once."
「あるさ、ホームズ。君は黒いコートを着ているね。部屋着ではなくてね。この ことは、誰か重要な人物がすぐにでも訪ねて来るのを君が待ち構えていることを 証明するのさ。」

"Anything more?"
「まだほかにあるかい?」

"I have no doubt that I could find other points, Holmes, but I only give you these few, in order to show you that there are other people in the world who can be as clever as you."
「当然ほかにも重要な点を見つけたよ。でも僕がここまでの指摘で君に示そうと したのは、君と同じくらい賢い人が世の中にはいるということなのさ。」


"And some not so clever," said Holmes. "I admit that they are few, but I am afraid, my dear Watson, that I must count you among them."
「そして、それほど賢くない人もいるということをね。」とホームズ。「それほ ど賢くない人がほとんどいないということを僕は認めるよ。でも僕が心配するの はね、ワトソン君。君がその内の一人だと言わざるを得ないことなのさ。」

"What do you mean, Holmes?"
「どういう意味だい、ホームズ」

"Well, my dear fellow, I fear your deductions have not been so happy as I should have wished."
「それはね、君。君の推理が僕が期待したほど適切ではないように思うからさ。」

"You mean that I was mistaken."
「僕が間違ったと言うんだね。」

"Just a little that way, I fear. Let us take the points in their order: I did not shave because I have sent my razor to be sharpened. I put on my coat because I have, worse luck, an early meeting with my dentist. His name is Barlow, and the letter was to confirm the appointment. The cricket page is beside the financial one, and I turned to it to find if Surrey was holding its own against Kent. But go on, Watson, go on! It 's a very superficial trick, and no doubt you will soon acquire it."

「思うに、ちょっとそのようだね。要点を順番に整理してみよう。僕は髭をそら なかった。それは髭剃りを研ぎに出していたからさ。僕はコートを着た。残念 だったけど、早い時間に歯医者に予約を入れてあるのさ。歯医者の名前がバーロ ウなんだ。あの手紙は予約を確認するためのものだった。クリケットのページは 金融面の隣にあるね。そこを開いてサリーがケントを上回っているかをみようと したのさ。でもね、続けようよ、ワトソン君。このままね。こんなのはまったく 取るに足らない秘訣なのさ。きっとすぐに君も習得できるだろうよ。」

Text:
http://www.sherlockian.net/acd/stories.html

http://www.sherlockian.net/acd/thetrick.html

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