以前音質的に不満だった音源を聴きなおしてみて(3) 管弦楽, 協奏曲(TELARC)編
mp3 192kbps でリッピングした音源を、廉価DAPとイアフォンで聴きなおしている。
録音がいいという評判ながら、以前使っていたオーディオセットでも、ポータブルCDでも、PCからのiTunes経由のリスニングでも、ピントが甘くて好みではないと思っていたレーベルがTELARCだった。好みではないと言いながらこのテラーク・レーベル創立25周年のリストなど何枚かは入手して手元にある。
こちらは、前2回の EMIレーベル録音の強奏部の音割れというような目立った瑕釁(瑕瑾)があるわけではないが、これまで聴いてきた印象では、細部の解像度が甘くて、音像に実在感がなく音楽に迫真性が感じられないところがあった。いわゆる隔靴掻痒の録音の印象が強かった。
そこで、今回管弦楽曲、協奏曲をDAPに入れて聴きなおしてみた。
- ベートーヴェン 交響曲第5番 小澤征爾/ボストン響
- ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番 R.ゼルキン, 小澤征爾/ボストン響
- ベートーヴェン 交響曲第5番、第7番 ドホナーニ/クリーヴランド管
- ムソルグスキー 展覧会の絵、はげ山の一夜 マゼール/クリーヴランド管
- R.シュトラウス 交響詩「ツァラトストラはこう語った」 プレヴィン/ヴィーン・フィル
- プロコフィエフ 「ピーターと狼」、ブリテン「パーセルの主題による変奏曲とフーガ」、ブリテン「グロリアーナ~洗練された舞曲」 プレヴィン/ロイヤル・フィル
- ヴォーン・ウィリアムズ 交響曲第5番、タリスの主題による幻想曲 プレヴィン/ロイヤル・フィル
- The Stokowski Sound, Transcriptions for Orchestra by Leopold Stokowski カンゼル/シンシナチ・ポップス・オーケストラ
今回聴きなおして印象ががらっと変わったのが、1,2,3,4,5の録音だった。
1は、PCで聴きなおしても印象が変わらないので、これはDAPの影響が大なのだろう。ホームページ時代から聴いていて、不満を書いていた1,2だが、DAPでは、1はスマートさは変わらないが、オーケストラをよく鳴るホールで遠くから聴いている印象だったのが、楽器に実在感が加わり、より迫真性、切実性を感じられるように変わった。ボストン響のホルンの音色と巧みさには参った。第1楽章の第2主題を導くホルンなど、素晴らしい。
2は、オーケストラが遠慮がちな印象は変わらないが、細部までよく聞き取れるようになったので、指揮者とオケの音楽を感じることができるようになった。ルドルフ・ゼルキンのピアノの音色も美しく、第2楽章は静かな祈りの音楽だった。
3は、このブログでも相当否定的な印象を書いてしまった。こちらも全体のなめらかでスムーズな印象は変わらないが、細部が聞き取れることで、コンピューターミュージックのような印象は相当減り、指揮者とオーケストラが懸命にその音楽を奏でていることが感じられるような気がした。
4は、なんと展覧会の絵全曲がワントラックに収められるということで、通り一遍で聴いてしまうような録音だと思っていたが、結構細部まで聴けることで、マゼールらしい面白いバランスなどを実感できた。
5は茫漠としたなめらかな演奏だという印象は覆され、ヴィーンフィルが細部まで実に丁寧に演奏して音楽を作り出しているのが感じられた。
6が最初に入手したTELARC盤で輸入盤の日本語解説付きだった。なめらかな品のいい音はするのだが、ダイナミックレンジが広すぎて、ピアニシモとフォルテシモの差が大き過ぎ、またプレヴィンのナレーションの音量が小さくてそれに合わせると、フォルテシモが大きくなりすぎるというアンバランスなものだった。ただホルンによる狼の主題など迫力満点だった。今回聴きなおしてみると、ナレーションの小ささは特に気にならず、各楽器の音も美しい。
7は、以前初めて聴く曲ということでこのブログの記事にしたことがあったが、今回聴く交響曲第5番は、オーケストラの響きが美しく、陶然とするほどだった。どうやらテラーク録音はこのリスニング環境に合っているようだ。元々精緻に録音されていたものが、紆余曲折を経てようやく、手元に届いた感じだ。
8は、浅田真央選手がオリンピックでフリーの演技に使ったラフマニノフの前奏曲「鐘」のオーケストラ編曲(そのものの音源ではないが、おそらくこのストコフスキー編曲だろう)が収録されているものであり、ディズニーのファンタジアで使われた編曲(バッハのトッカータとフーガ、ムソルグスキー はげ山の一夜、そして公開はされなかった ドビュッシーの月の光)などが収録されている。ディズニー映画ほどの迫力は無く、オーケストラの演奏や音そのものに少し粗があるのが分かるけれど、それなりの音質で聴けるので楽しめる。
TELARC録音は、確かにすぐれた録音が多いようだ。ただ、ワンポイントマイクでホールトーンを上手くとらえたと称されるように、マルチマイクのように各楽器の実在感が聴けないことにもつながり、これまでの印象はピンボケ感が強かったが、今回聴きなおして、マルチにも負けない迫力を聴けたのは収穫だった。
これらは、実にオーディオがその録音の印象を大きく左右する例でもあり、いまさら言うのもおかしいが、自戒したいものだと思った。
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