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2011年11月22日 (火)

グレゴリー・ソコロフのショパン

R0011704 先日は、簡単にソコロフのベートーヴェンの「ディアベリ変奏曲」の録音について触れたが、その後、ショパンの「ピアノソナタ第2番」「練習曲集作品25」(1985年)、「前奏曲集」(1990年)の録音を聴いた。

グリゴリー・ソコロフ、ナイーブ・レーベル全録音(10CD)

すでにこの録音は20年ほど以前のもので、ネットでもいろいろな批評が読めるけれども、現代ピアノの表現力の粋とでも言うような凄い演奏と録音だと思う。

ピアノの音色の透明感と多彩さ、ピアニシモからフォルティシモまでのダイナミクスの大きさ、集中力の高さ、全盛期のポリーニやアルゲリッチもかくほどと思われるほどの指捌きの精妙さとスピード感とリズム感、なめらかななレガートと、驚くほどスピード感のあるノン・レガート、深く重厚な和音、それらを駆使した表現力で、評判通り確かに凄いピアニストだ。

フランスのマイナーレーベルというが、このナイーブというレーベルの録音も素晴らしい。それゆえに、ダイナミックの幅の広さと、ピアノの透明感、音色まで味わえるのだということが言えるのだろうが、他の演奏者の録音ではどうなのかが分からないので、少々保留気味となる。

1991年の来日時、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の実演を聴いたのだが、その演奏の細部の記憶は相当薄れてしまっている。ずんぐりと太っていたという容姿と、軽々とこの難曲を弾いていたのは記憶にあるのだが、音楽自体の印象はほとんど残っていない。

ショパンの曲の中で、LP時代からおそらく最も回数を聴いたのがポリーニの「前奏曲集」で、「練習曲集」の後に録音されたものだが、玲瓏としたピアノとルバートなどのテンポの変化の少ない端正な解釈の演奏だった。

それに比べると、ソコロフの演奏は、テンポの伸び縮みを避けず、その点ではロマンチックな解釈なのだが、湿度は低く、センチメンタリズムは排され、冴え冴えとした印象を与える。とは言え、一曲一曲の描き分けは的確で、タッチから音色までそれはそれは多彩な演奏だ。本当に久々に感心しながら聴き惚れている。第16番の目覚ましさなど、これまで聴いたことが無いほど。

「ソナタ」も間然するところが無く、真情と精密さとダイナミックさが兼ね備わっている。練習曲集も、作品10に比べるとそれほど熱心に聴くことの無い作品25だが、冴え冴えとしたテクニックを見せるだけでなく、音楽の魅力も伝える。

このほかにも、バッハ、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、スクリャービン、プロコフィエフ、ラフマニノフと、10枚組の集成だけあり、贅沢なラインナップとなっているので、聴くのが楽しみなのだが、現在ソコロフはこのほかにパリ・ライブのDVD(12/1入手済み)がある程度で、ライヴ録音の音源はナイーブが沢山所有しているにも関わらず、発売を了承していないというもったいないことになっているようだ。

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ソコロフ関連の記事

*島田彩乃さん(ピアニスト)のブログ (気まぐれ日記)

 思えば、コンセルヴァトワール関係を調べていたときに、この方がネットに留学情報を出されていて、そのとき、ソコロフの記事を読み、実演を聴いたことを思い出したのだった。

*高橋多佳子さん(ピアニスト)のブログ(「!」な毎日)

 先日、この人の演奏で、NHKBSのクラシック倶楽部で、ショパンの珍しい連弾曲を聴いた。

*Yoshimi/musicaさんのブログ(気ままな生活)

 ピアノ演奏のCDのブログとして素晴らしい充実度で、時折訪問させてもらっている。

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*Wikipedia (英語)

*Grigory Sokolv - the great Russian pianist - (英語)

*AMC Grigory Sokolov page (英語)

最新のリサイタル予定

Date City Place Time Program
23.11.2011 BERN Kulturcasino 19.30
26.11.2011 PARIS Théatre Champs-Elysées 20.00
02.12.2011 WIEN Konzerthaus 19.30
03.12.2011 Bratislava Music Festival 19.30
09.12.2011 LUXEMBOURG Philharmonie 20.00
12.12.2011 GENOVA Teatro Carlo Felice 21.00
01.02.2012 TORINO Lingotto
10.02.2012 Ludwigshafen 20.00
14.02.2012 Zaragoza
16.02.2012 San Sebastian
Grigory Sokolov
Date
City
Place
Time
23.11.2011
BERN
Kulturcasino
19.30
Program J.S. BACH
Klavierübung Teil II (1733-34):
Concerto nach Italienischem Gusto BWV 971
I (without indication of tempo)
II Andante
III Presto

Ouverture nach Französischer Art BWV 831
(Ouverture)
Courante
Gavotte I. Gavotte II
Passepied I. Passepied II
Sarabande
Bourrée I. Bourrée II
Gigue
Echo

P A U S A

J. BRAHMS
Variations on a Theme by Handel Op. 24. (1861)

Three Intermezzi op. 117 (1892)
Andante moderato
Andante non troppo e con molta espressione
Andante con moto

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