名古屋日帰り旅行 (2) 名古屋城と名古屋めし
(1)から続く。
あおなみ線の名古屋駅に13時50分頃到着し、14時発のメーグルに乗車できるかどうかギリギリで、次の14時30分発でいいとは思ったが、朝の散歩時に乗り場を確認しておいたことが功を奏して、駅構内も迷わずに桜通口のバス停にたどりついたところ、14時を少し過ぎてはいたが幸いまだ発車しておらず、乗車できた。ドライバーから一日乗車券500円を購入し、車両の後部座席に少し空きがあったので、座ることもできた。(次男は立っていた。)
「尾張名古屋は城で持つと謳われた」名古屋城だが、先月の名古屋出張の折にも短い時間が取れたので少し見ることができ、次に来るときはゆっくり見物したいと思わせてくれた城だった。この出張の時には、名古屋に少し早めに着けたこともあり、地下鉄で一回の乗換えで行けるということで、名古屋駅から桜通線で久屋大通、そこから名城線に乗り換えて市役所駅で降りて、東門から二の丸を通って天守閣に入ってみたのだが、市役所駅出口からいきなり見えた内堀の石垣の素晴らしさに驚かされ、さらに二の丸、本丸も素晴らしい石垣がよく保存されていて、これまで知る限り江戸城を除いてこれだけ見事な石垣が広範囲に残っている城郭はあまりないように思っていたのだった。
今回はそのときと違って、メーグルバスが停まった正門側から名古屋城内に入った。正門受付でメーグル割引で500円のところ400円に値引きを受けて入場。中学生以下は無料。翌日の名古屋ウィミンズマラソンの出場者らしきアスリート姿の女性がジョギングしていた。
今回は前回見なかった方向から見た天守閣を支える石垣に圧倒される思いだった(下の写真)。
この城の縄張り、普請は、関ヶ原で敗れた旧豊臣恩顧の大名を動員して大坂の陣(1619 - 1620)に先立つ1610年頃行われたということだが、中でもこの名古屋地方出身で、当時肥後熊本城主であり城造りの名人と称された加藤清正が縄張りしたということで(そのためか能楽堂方面に彼の坐像が据えられているらしい)、かくも見事な石垣が造営され、現在も残っているとのことだ。
ただ残念なことに、城内は各所で石垣補修や建物の補修工事が行われていて、有名な「清正石」は、今回は立ち入り禁止区域となっており、見学できなかった。(公式ホームページ情報では、昨年3月までの工事予定だったようだが、一時的なものだろうか?今年の1月に訪れた方のブログによればそのときは見られたようだ。)
(正門側から入り、満開の梅園を過ぎて天守閣を望む)
1945年の名古屋空襲で、この天守閣 とそれに併設されていた本丸御殿も焼失してしまったということで、天守閣は1959年に鉄筋コンクリートで復元されたもの。そのとき、初代の金の鯱(しゃちほこ)も一緒に焼失してしまったのだという。
天守閣内は、地下一階を含めて8階の博物館になっており、その中の解説によると現在の鯱は大阪造幣局で作られた二代目だという。(これが愛知博覧会で展示された。)なお、天守閣も本丸御殿も戦災前に精密な計測が行われており、図面が残され、それが復元に寄与しているのだという。
(天守閣については、英語説明では、dungeon/donjon とあるが、dungeonには塔と並んで地下牢の意味もあるので、微妙な表現)
現在、平成の大工事として本丸御殿が伝統的な工法とオリジナルの木造で復元されつつあり、その工事現場に見学用の通路が設置されていて、初めてヘルメットを被っての見学をさせてもらったが、藤村の『夜明け前』に書かれていたように尾張藩が治めていた木曾や飛騨の山林の材木が今回も使用されているようだ。
(見学用通路から見た復元工事中の本丸御殿大屋根)
本丸御殿復元工事を見学した後、いよいよ天守閣に入った。さすがに人気の観光地だけのことはあり、老若男女が大勢詰め掛けていて込み合っていた。エレベーターもあるが、上り下りがそれぞれ優先になった階段もあり、階段で昇りながら一階ごとの展示をみていった。
一階の展示室は重要文化財に指定されている本丸御殿の襖絵(これは戦災前に城内の倉庫に退避していて多くが無事だったという。ただし障壁画のうちの壁画は建物とともに炎上してしまった。)の近年の復元図が展示されていた。狩野派による美麗繊細な絵画で、御殿が復元になった暁には、そこに飾られるらしい。
(襖絵の一部。麝香猫の親子図。幻のコーヒー「コピ・ルワク」で最近有名になったジャコウネコだが、こんなところにもいたとは!)
最上階の展望台から、名古屋市役所や愛知県庁のユニークな建築を眺めるなど名古屋市内の眺めを堪能したが、16時半になると天守閣は閉館になるということで、やむを得ず外に出た。
名古屋城でゆっくり見物したため、次の予定地の徳川美術館(名古屋城の近隣だと思っていたのだが、結構離れた場所にある)は17時閉館なので、今回は見送ることにした。
来たときに通った道をぶらぶらと正門方面に戻り、初代藩主徳川義直がその実を食した植えたと伝わる600年を経た榧(かや)の大樹のそばを通り、メーグルのバス停に戻るとすでに長蛇の列。ほとんどが名古屋駅方面に戻る人たちらしい。年輩の観光客が多かった。バスを待っていると翌日の名古屋ウィミンズマラソンに出場するらしい長身のヨーロッパ系のアスリートがコーチらしい男性とランニングしながら走り過ぎていった。
メーグルは循環バスだが、名古屋城は駅方面と徳川美術館方面の両方が停車するので、寿司詰めの駅方面には乗らず、我が家は徳川美術館方面に乗ることにしたところ、さすがにこの時間にそちら方面に乗る人は少なく、悠々座ることができた(ただし、シートの間隔はせまいが)。
メーグルバスで、徳川美術館、栄や伏見など都心部、繁華街などを経て、また名古屋城に戻り、陶磁器のノリタケやトヨタの博物館を経て、約1時間ほどかけて名古屋駅前に戻ってきた。午前中に晴れ上がり、暖かさを感じさせるほどの好天になったのだが、さすがに日が落ちると吹く風はまだ冷たくなった。
事前に調べておいた名古屋めしが勢ぞろいした名古屋丸八食堂が、メーグルのパンフレットにも掲載されており、加えてメーグルバスの1日券提示で会計が10%引きとなるという値引きの中でも最も気前のよいサービスであることに後押しされ、ここで食べることにした。すでにお昼で味噌カツは食べていたので、ひつまぶしと名古屋コーチンが目当て。
バス停から歩いて5分ほどのルーセント・タワーという高層ビルの地下がレストラン街になっていて、その中に名古屋メシの有名店を一同に集めた丸八食堂という店があった。大衆食堂風に作ってはあるが、内部は家族連れでも寛げる感じの店だった。
炭火焼きの名古屋コーチンを卵でとじた親子丼。炭火焼きの香ばしさがたまらない。
憧れのひつまぶし。名古屋メシの王様だろうか。鰻丼のひつまぶしアレンジ風は我が家でも定番だが、さすがに炭火焼のウナギは旨い。
三河地鶏の手羽先。大ぶりで美味しい。
名古屋メシは我が家の味覚には合うようだ。
現在我が家では禁酒を続けているのでアルコール類はなしだが、ゆっくり1時間ほど食事を楽しんで、名古屋駅に戻った。
子ども達が名鉄の名古屋駅を観たいというので、そちらに回り、そこからJR名古屋駅に併設されている高島屋デパートのデパ地下の食料品売り場でお土産を見て回ったのだが、店内にちょうどフードコンシェルジェという案内の女性が座っているカウンターがあったので妻が名古屋名物の洋菓子を相談したところ、二店ほど紹介されたが、そのうち名古屋の有名洋菓子店のレーニエの「中津川モンブラン」と「カスティラード・ザビエル」を購入して、帰路についた。
早起きと遅い帰宅で、長い一日だったが、中身の濃い一日でもあった。
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