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2012年4月 5日 (木)

尿酸の排出は腸からも。それが低下? (痛風の原因が新たに確認?)

「ABCG2遺伝子が変異し、尿酸の排泄機能が低下した場合は、腸管からの尿酸排泄機能が低下することが分かった。腸管などからの尿酸排泄が減少することで引き起こされる高尿酸血症として、新たな病型分類である「腎外排泄低下型」の概念を提唱している。」(医療介護CBニュース)

というのが今回研究の要旨のようだ。その意味で読売新聞の記事だけが少しニュアンスが異なるなと思ったが、英文のNature Communications で論文を確認して、Figure4の模式図を見ると、あながち読売新聞の解説も間違いではないようだ。同じような記事でも、力点の置き方で印象が異なるものだ。

新タイプの診断が容易にできて、そのタイプ特有の対症・対因療法が提示されるなど、痛風持ちに明るいニュースであればいいのだが。

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=56805

痛風の発症、腸管の排出機能低下も影響  

痛風の原因となる高尿酸血症の約3割は、腸管(小腸)の排出機能が低下して引き起こされることを東京大、東京薬科大などの研究チームが突き止めた。

腎臓にばかり目を向けてきた従来の考えに見直しを迫るもので、新しい治療薬の開発に道を開く成果という。

英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに4日掲載される。

チームは患者644人の尿を調べ、痛風原因遺伝子として知られる「ABCG2」が高尿酸血症に大きく関与していることを確認した。同じ遺伝子を操作して症状を再現したマウスで詳しく調べた結果、こうした症状のマウスでは、腎臓から尿酸を排出できても、腸管から便への排出機能が半分以下に減少、尿も含めた排出量全体として約2割減ってしまうことがわかった。

高尿酸血症は現在、腎臓の尿酸排出能力が低下する「排泄(はいせつ)低下型」と、体内で尿酸を多く作り過ぎる「産生過剰型」に分類されており、その混合型も多い。

今回の結果で、産生過剰型の多くは尿酸を作り過ぎるわけではなく、腸管の機能低下が原因と考えられるという。 (2012年4月4日 読売新聞)

http://www.47news.jp/CN/201204/CN2012040301002296.html

痛風、腸からの尿酸排出も重要 新たな仕組みと見解発表

激しい関節痛を起こす痛風の発症は、原因物質の尿酸を尿から出す機能だけでなく、腸から排出する機能が低下することも一因との新見解を、東京薬科大や防衛医大などのチームが3日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。

痛風は、尿酸が体内で作られすぎたり、体外にうまく排出されなくなったりして、血液中の尿酸の濃度が高くなる「高尿酸血症」が続くと発症する。これまで、排出は腎臓だけが調整していると考えられてきた。

チームの市田公美東京薬科大教授は「原因遺伝子を対象にする新しい治療法の開発につながる可能性がある」と話している。 2012/04/04 00:00   【共同通信】

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120404/k10014195551000.html

痛風の発症 腸の働きが影響か

4月4日 5時30分

関節が激しく痛む痛風は、腎臓が尿酸と呼ばれる物質を排出できなくなるなどして起きるとされてきましたが、腸の働きが大きく影響しているとする研究結果を東京薬科大学などのグループがまとめました。新たな予防法や薬の開発につながる可能性があるとみられています。

痛風は、尿酸と呼ばれる物質が体内にたまり、関節に激しい痛みを引き起こす病気で、患者は全国で80万人に上ると推定されています。東京薬科大学と防衛医科大学校、それに東京大学のグループは、これまでに特定した尿酸を体から排出するたんぱく質が、全身でどのような役割を果たしているか調べました。マウスの実験で、このたんぱく質を作り出す遺伝子の働きをなくしたところ、尿酸を排出する機能は腎臓では変わらなかった一方で、小腸や大腸で大きく低下することを確かめたとしています。

痛風の原因となる尿酸は、ほとんどが腎臓と腸によって体の外に排出されますが、腸では1つの遺伝子の働きをなくしただけで尿酸の排出量が低下し、体内にたまったことから研究グループでは痛風の発症には腸の働きが大きく影響していると結論づけています。

研究に当たった東京薬科大学の市田公美教授は「痛風に腸が深く関わるということは、これまで考えられていなかった。新たな予防法や薬の開発につながる可能性がある」と話しています。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012040400007

高尿酸血症に第3タイプ=小腸での排せつ機能低下-東京薬科大など

関節に激痛が走る痛風を引き起こす高尿酸血症はこれまで、腎臓からの尿酸排せつ機能が低下するタイプと体内で尿酸が過剰に生産されるタイプが知られているが、小腸など腸管からの排せつ機能が低下する第3のタイプがあることが分かった。

東京薬科大や防衛医科大、東京大などの研究チームが3日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。

大阪府高槻市のみどりケ丘病院と東京慈恵会医科大付属病院の男性患者約640人を対象として、尿酸を尿や便に排出するたんぱく質「ABCG2」を作る遺伝子を調べた成果。新タイプは「腎外(腸管)排せつ低下型」と名付けられ、患者の体質に合わせた治療薬や予防法の開発につながると期待される。(2012/04/04-00:16) 時事通信

http://news.cabrain.net/article/newsId/36964.html;jsessionid=CE3A2F4660806ECDCF22626913238107

高尿酸血症を引き起こす新たな原因を発見

医療介護CBニュース 4月4日(水)0時0分配信

東京薬科大の市田公美教授や防衛医科大の松尾洋孝講師、東大医学部附属病院の高田龍平助教らの研究グループは、生活習慣病の一つである高尿酸血症について、尿酸の排泄に働く「尿酸トランスポーターABCG2遺伝子」の変異による腸管からの尿酸排泄機能の低下が発症の主要な原因の一つとなっていることを発見し、3日付(日本時間4日)の英科学雑誌「Nature Communications」(オンライン版)で発表した。

同グループによると、従来は腎臓のみが尿酸の排泄を制御し、血清尿酸値に強く影響を与えていると考えられていた。腸管からの尿酸排泄の重要性が示されたことで、新たな視点からの予防や、治療薬の開発につながることが期待されるという。

今回の研究で同グループは、ABCG2遺伝子の尿酸排泄機能の低下が高尿酸血症を引き起こすメカニズムを検討。みどりヶ丘病院(大阪府高槻市)、東京慈恵会医科大附属病院(東京都港区)の高尿酸血症患者644人を対象とした遺伝子解析と、遺伝子改変動物を用いた解析を行った。その結果、ABCG2遺伝子が変異し、尿酸の排泄機能が低下した場合は、腸管からの尿酸排泄機能が低下することが分かった。 同グループは今回の発見を踏まえ、腸管などからの尿酸排泄が減少することで引き起こされる高尿酸血症として、新たな病型分類である「腎外排泄低下型」の概念を提唱している。

痛風関連記事:

2004年6月18日 (金) テレビ

2011年7月26日 (火) 尿酸値とメタボ

2011年8月17日 (水) 痛風の痛みはきつい

2011年9月27日 (火)
最近肉や魚をほとんど食べないのでマクロビオティックに近い食事になってきている

2011年10月17日 (月) 痛風のその後

2011年12月26日 (月) 5ヶ月継続した食餌療法と健康診断結果

追記:2012/04/22

高尿酸血症と腸管排出について 医師の方が書いたブログ記事を発見した。

尿酸排泄促進剤は、
日本では痛風治療のボス的な先生方のお奨めもあって、
非常に多く処方されていますが、
アメリカでは薬自体が使用されていないように、
世界的にはあまり使われている薬ではありません。

つまり、

高尿酸血症であれば、
その原因が何であれ、
治療薬としては尿酸合成阻害剤を使用する方が、
世界的には一般的な治療なのです。

という気になる指摘があった。私が以前処方されたのは、排泄促進剤だった。

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コメント

なるほど、興味深いです。尿酸の排出経路は、腎臓から尿へと腸管から便への両方があって、腸の健康も大事だ、ということでしょうか。日頃運動不足で便秘がちな人は、気をつけなければいけないのですね。

投稿: narkejp | 2012年4月 6日 (金) 06:22

narkejpさん、コメントどうもです。

尿酸はこれまで考えられていた腎臓からだけでなく腸からも排出されているということが分かったようです。

その詳しいメカニズムはわかりませんが、「尿酸の排泄に働く尿酸トランスポーターABCG2遺伝子」の変異」とのことですので、遺伝的な疾患なのかも知れません。そうなると、診断はついても、治療は結構難しいのでは? 水分を多めに摂取して尿から尿酸を排出しやすくするだけでは十分ではないのでは? という心配も出てくるようです。

投稿: 望 岳人 | 2012年4月 6日 (金) 21:16

腸管の細胞はかなり交代が早いようですので、分裂するもとになる何種類かの細胞があり、その役割がかなり決まっているのではないかと思います。そして、尿酸の排泄に働く尿酸トランスポーターABCG2遺伝子が活性化している細胞が、なんらかの原因で分裂交代できなくなり、尿酸の排泄能力が低下してしまう、という考えではどうでしょうか。もともとの遺伝子異常だと、赤ちゃんの頃から痛風症状がでそうですので。
便秘状態では、腸管の内部は悪玉菌が増殖し、悪性物質を産生するでしょうから、分裂増殖する元の細胞がやられてしまうことはありうると思います。

投稿: narkejp | 2012年4月 7日 (土) 06:28

narkejpさん、引き続きコメント恐縮です。

腸管は栄養吸収、水分吸収機能がほとんどという先入観がありましたので、血中の尿酸の排出が行われていたということが驚きでした。

遺伝子の変異が生まれつきなのか、それとも後天的な食物・便秘・悪玉菌の増殖など腸内環境の悪化等の外部要因によるものなのかどうか、今回の論文をgoogle翻訳にかけてみましたが、ABCG2遺伝子の変異が高尿酸血症の要因ということは判明していたが、それが腸からの尿酸排出を阻害していることが今回初めて分かったということまでで、その要因までの言及はないようでした。

その関連で、このサイト
https://243sageru.com/toranomaki/condition/4/index.html

 が見つかりました。
これによると、日本人の痛風患者の8割!にこの遺伝子変異による排泄機能低下がみられるとのことです:
尿酸トランスポーター異常(ABCG2遺伝子変異):2009年、東大の研究グループが世界で初めて痛風の主要病因遺伝子である尿酸排泄トランスポーターABCG2遺伝子を発見した。日本人の痛風患者の8割に、尿酸排泄に関わるトランスポーターABCG2遺伝子の変異による尿酸排泄機能低下がみられ、さらに患者の1割は、尿酸排泄機能が4分の1以下しかなく、痛風発症のリスクが26倍高まる変異パターンをもっていることが報告された。(Matsuo H. et al. Sci Transl Med. 1: 5-11, 2009)

narkejpさんのおっしゃる通り、高尿酸血症、痛風が最近では20代の若者にも拡大しているとは言え、幼児や10代にはほとんど見られないようなのは、後天的な変異がその特定の遺伝子に生じていると考える方が合理的ですね。

膨大な数の腸内細菌叢が人間の腸内に共生しており、それらの死滅によって尿酸の原因である核酸も腸内に排泄されているはずですが、それらとの関係があるのではないかとも思ったりもします。

投稿: 望 岳人 | 2012年4月 7日 (土) 07:47

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