« 2012年8月 | トップページ | 2012年10月 »

2012年9月の8件の記事

2012年9月30日 (日)

網野善彦『歴史を考えるヒント』(新潮文庫)

台風17号が近づいている。昨日から暑さがぶり返し、1週間ぶりにクーラーを使ったら、冷蔵庫の中の臭いのような臭いがするようになっていた。連続的に使っているときはいいのだが、使わない期間に雑菌が繁殖(ちょっといやな言い回しだが)してしまったらしい。

網野善彦の『日本の歴史をよみなおす』(ちくま文庫)は、とても刺激的な歴史論だったが、2007年12月23日 (日) 国立科学博物館 花展の 源氏物語絵巻でちょっと触れただけで、独立した記事にしなかったようだ。

先日、昼休みに職場近くの本屋を巡っていたら、新潮文庫の新刊として、タイトルの本が平積みされていたのを見つけた。パラパラと捲ってみると、以前新潮社から大判のペーパーバック新潮選書で出ていたもの。講演をまとめたもので、ちくま文庫と重複する内容もあったが、わかりやすく読みやすいものだった。

以前、網野史学に触れたころ、隆慶一郎の時代小説、伝奇小説をちょうど読み始めた頃だったので、その偶然に驚いたものだったが、今回は特にそのような縁はあまりない。とはいえ、元木泰雄の『保元・平治の乱』を読み始めていたので、網野の「職能民の中の遊女」の記述で、「中世の遊女は和歌を詠み、管弦もできる教養豊かな女性で、やはりいずれかの官司に属しており、身売りされて遊女になった人はいません。・・・ 天皇や高位の貴族、著名な武将の子供を生んだ遊女もたくさんいたのです。」の関係で、白河法皇と祇園女御の子としての平清盛や、源義朝の子の中でも範頼の母、などのことが思い浮かんだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年9月29日 (土)

涼しくなってきたがまだ蝉は鳴いている

我が家の南側のお寺の森は、市の天然記念物に指定されるほどの鬱蒼とした森なのだが、その森は蝉の楽園で、梅雨明けの7月から10月頃まで蝉が鳴く。今朝は朝から晴天で、早起きして窓を開けたら、ミンミンゼミの元気な鳴き声が飛び込んできた。

夕暮れになると、街路樹の頭上からは、熱帯・亜熱帯性のアオマツムシの甲高い鳴き声が聞こえるほどになったのだが、温暖化の蝉はなかなか鳴きやまない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年9月28日 (金)

アイルワースのモナ・リザがまた話題に

2013年9月23日からこの記事のアクセスが増えたので、確認したところ、今年も日テレが「アイルワースのモナリザ」を取り上げたのが分かった。かれこれ何回目だろうか?

2013年9月23日放送 19:00 - 21:54 日本テレビ  見破れ!!トリックハンター

最新!最強!トリック 禁断のタネあかしBEST10

ダ・ヴィンチが描いた“もう1枚のモナ・リザ”最有力候補はスイスのとある地下金庫にある。この作品はアイルワース版モナ・リザと呼ばれている。2004年にモナ・リザ財団によって最新科学でアイルワース版モナ・リザの鑑定が開始された。結果、キャンバスは1455年より前のもので、絵の具は16世紀初期のものと判明した。画材の年代が史実と一致したが、弟子が描いた可能性もある。そこで、2つのモナ・リザの構図の共通点を検証した。結果、構図が一致。さらに画家のクセを最新科学で鑑定する。絵から何億の点で統計をとり画家のクセが現れるコントラストを測定する方法。博士はこの方法でレンブラントの作品で成果を出した。

----------------------

2005年5月 3日 (火) ギャラリーフェイク完結など、「もう一枚のモナ・リザ」「アイルワースのモナ・リザ」「ラファエロの円柱」などについて興味を持ち、何度か記事にしたことがあったが、今日の朝のニュースでまた話題になっていることを知った。

詳しい記事は以下の通りだが、果たしてどのような結論になるのだろうか?

Wikipedia

我々素人でもわかるポイントは、レオナルドがほとんどつかわなかったカンバスに描かれていること、ラファエロの模写に描かれている「両側の円柱」が、ルーヴルの真作には見当たらないが、「アイルワース」にはしっかりと描かれていること、だろうか?

絵に描かれている女性は、確かに謎めいた微笑は無いけれど、艶かしく美しい。

「若かりしモナリザ」の肖像、ダビンチ作品との鑑定結果  2012年09月28日 15:55 発信地:ジュネーブ/スイス
(AFP配信)

【9月28日 AFP】(写真追加)イタリア・ルネサンス期の芸術家レオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci)が描いた世界で最も有名な絵画「モナリザ(Mona Lisa)」──その若かりし姿を描いたとされる肖像画「アイルワースのモナリザ(Isleworth Mona Lisa)」について、スイス・チューリッヒ(Zurich)のモナリザ財団(Mona Lisa Foundation)は27日、ダビンチの作品であるとの鑑定結果を発表した。

「アイルワースのモナリザ」は長らく個人コレクターのヘンリー・ピュリツァー(Henry Pulitzer)氏が所有していたが、同氏の死後40年以上、スイスの銀行の金庫に保管されていた。後の2008年に匿名の国際財団が、ピュリツァー氏の伴侶だった女性の遺産から購入し、モナリザ財団に鑑定を依頼していた。

「アイルワースのモナリザ」と「モナリザ」の顔は驚くほど似ているが、「アイルワース」のほうはモデルの年齢が明らかに若い。また背景の風景は下絵のままで、両脇には柱が描かれている。モナリザ財団によれば、こうした特徴は「未完のモナリザ」として歴史上登場する記述によく似ている上、ダビンチと同じイタリアの巨匠ラファエロ(Raphael)など他の画家が当時描いた「モナリザ」の模写やスケッチの特徴と一致しているという。  

モナリザ財団がジュネーブ(Geneva)で開いた記者会見は、報道陣やテレビカメラでいっぱいになった。鑑定結果を証言するために、同財団によって会場に集められた専門家たちは、「アイルワースのモナリザ」はダビンチが「モナリザ」の10年ほど前に描いた未完の作品だと述べた。

所有者の匿名財団を代表して出席した美術商のデビッド・フェルドマン(David Feldman)氏は推定価格を明かさず、個人に売却するよりも一般公開できる状態のほうがふさわしいとの見解を述べた。

■「謎めいた」表情に欠ける?との疑問も

一方、会見に出席しなかった専門家からは、「アイルワースのモナリザ」がダビンチの作品だとする鑑定結果に疑問を投げ掛ける声も出ている。


その1人、英オックスフォード大学(University of Oxford)の美術史家マーティン・ケンプ(Martin Kemp)氏は、女性の髪やベール、ドレスの透けた重なり、手の骨格など「モナリザ」が持つ細部の緻密な描写が「アイルワースのモナリザ」からは感じられないと指摘。また多くの模写作品同様、ダビンチの「モナリザ」の「謎めいた」表情を捉えていないと述べている。

こうした批判に対し、モナリザ財団側は作品を実際に間近で見てほしいと語っている。同財団は、「アイルワースのモナリザ」の鑑定結果を『Mona Lisa -- Leonardo's Earlier Version(ダビンチが描いた若きモナリザの肖像)』と題した320ページの書籍にまとめ発表している。(c)AFP/Nina Larson

“若き日のモナリザ”ダビンチ作に反論「よくできた複製品」

イタリアの画家レオナルド・ダビンチの代表作「モナリザ」とは別に「若き日のモナリザ」も存在した―。スイスのモナリザ財団は27日、ジュネーブで10歳ほど若いモデルを描いた「モナリザ」を公開、35年に及ぶ調査の結果「ダビンチの作品」と結論付けたと発表した。

 この作品は日本で今年6月まで開かれていた展覧会で、世界で初めて一般公開。この際、財団は「アイルワースのモナリザ」として調査結果を伝えずに展示したが、反響は大きかったという。

 これに対し、ダビンチの専門家として知られる英オックスフォード大のマーティン・ケンプ名誉教授は28日までに米ABCテレビなどに対し「よくできた複製品」との見方を示した。

 パリ・ルーブル美術館に展示している「モナリザ」より一回り大きい「若き日のモナリザ」。未完成品で、仕上げは別人とされるが、科学的な分析や専門家の解析から、ダビンチが描いたとほぼ断定できるという。

 しかし、ケンプ氏は英BBC放送や米CNNテレビ(電子版)に「信頼できる主要な証拠によれば『若き日のモナリザ』が存在すると考える根拠はない」(CNN)などと述べた。

 財団側は「他の説を排除はしない。われわれが集めた資料を提供してもいい」と主張。担当者は「いつの日かルーブル美術館で2枚並べて展示されれば最高だ」としている。(共同) [ 2012年9月28日 23:03 ] 

今回の件では全く触れられることはないようだが、昨年から今年にかけてアイルワース版は来日していて「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想」展で各地を巡回していた。本当にどういう経緯で「アイルワース版」も含まれたのだろうか?

静岡市美術館 2011年福岡市美術館 2011年-2012年東京渋谷Bunkamura 2012年

参考になるページ: 美術史が好き!アイルワース版モナリザ

レオナルド ダ ヴィンチの小部屋

2005年03月29日 『「モナ・リザ」は誤報!?日テレに抗議文』の考察 (以前もリンクさせてもらった記事。1990年発行の書籍に掲載されていることを指摘されている。)

なお、朝日新聞9/28夕刊にも「モナリザ 10年前も微笑 ダビンチ作と確認」(前川浩之)という記事が掲載されていた。「財団は一般公開を目指すという。」と締めくくられていたが、昨年から今年にかけての日本での巡回展は、一般公開ではなかったのだろうか?

ABCNews  Sep 27, 2012 3:58pm Second Mona Lisa Unveiled for First Time in 40 Years

It’s a mystery straight out of the da Vinci code. A famous portrait, hidden away in a Swiss bank vault for 40 years, with the potential to break open a mystery more than 500 years old. A second, earlier version of the Mona Lisa was unveiled to the public today,  a version that experts say they can prove is the work of the master himself.

Known as the Isleworth Mona Lisa, the painting was discovered shortly before World War I by English art collector Hugh Blaker, who purchased it from the noble family to which it had previously belonged. Blaker then moved the painting to his studio in Isleworth, England, giving it its iconic name.

During WWI, the painting was moved to America for safekeeping. The portrait eventually made its way back to Europe, where it was analyzed in Italy before being sent to the Swiss bank vault for safekeeping. Since that time, experts from the non-profit Mona Lisa Foundation have been working to prove or disprove the portrait’s authenticity

“When we do a very elementary mathematical test, we have discovered that all of the elements of the two bodies – the two people, the two sitters – are in exactly the same place,” art historian and foundation member Stanley Feldman told The Associated Press.

“It strikes us that in order for that to be so accurate, so meticulously exact, only the person who did one did the other. … It’s an extraordinary revelation in itself, and we think it’s valid.”

Such similarities aside, the two Mona Lisa’s have many notable differences, the Isleworth version is larger and features columns on either side of the figure, believed to be Lisa del Giocondo. The version that hangs in Paris’ Louve Museum is narrower and features no such columns.

The Isleworth painting was done on canvas, while the Louvre painting, which features a far more detailed background, was done on wood. The woman in the Isleworth version also appears younger than she does in the Louvre, leading to the theory that the portrait might have been painted earlier, consequently featuring a younger del Giocondo.

The foundation’s claims aside, many in the art and scientific community remain unconvinced.

“It’s a perfectly honest, well-made early copy,” Martin Kemp, an Oxford University professor and da Vinci expert, told ABC News today. “Pictures were copied [because] you couldn’t go to the Internet and order a reproduction. So if you wanted something like that ['the Mona Lisa'] and you couldn’t get a hold of a Leonardo, you would order a copy.”

With the debate still raging, it is difficult to reach a definite conclusion about the painting’s authenticity. So, until the foundation releases more evidence, it looks as though experts will be left to speculate about whether the Isleworth Mona Lisa is the work of the Renaissance man himself, or one very gifted Impressionist.

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年9月24日 (月)

記録はやはり石に残すのがいいようだ

2012年9月24日 石英ガラスの内部にCD並み容量のデジタルデータを記録・再生する技術を開発 数億年のデータ保存に耐えるデジタルアーカイブを実現

石と言うのは、語弊があるけれど、非電磁性の石英ガラス(二酸化珪素だけからなるガラス、溶融珪酸、溶融水晶、溶融石英、珪石ガラス、シリカガラスとも言う)だから、いわゆる岩石の構成要素への記録ということらしい。

破壊の恐れはあるにしても、強力な太陽風(太陽嵐)が地球を襲っても、記録は残ることになるのだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年9月23日 (日)

グレン・グールド コンプリート・バッハ・コレクション

Glenn Gould: The Complete Bach Collection

6月20日にHMVでたまたま見つけて、予約注文していたこのボックスセットだが、ようやく9月21日に配達された。

立派な布張りの箱入りで、ハードカバーの上質紙の解説書付(英語と独仏語)。CDとDVDがセット。

CDの方は、半分以上ばら売りで持っていたが、DVDは全く所有しておらず、さらにゴルトベルクのザルツブルクライヴとグールドのレコードデビュー前のCanadian Broadcasting Corporation( CBC カナダ放送) でのゴルトベルクの録音(音質はよくないが)も含まれていたのが購入の決めてだった。

ザルツブルクでのライヴを聴くと、コンサートでのグールドが本当にすごかったことが実感できる。スタジオ録音でのテープ切り貼りのマジックでは無かった。また、デビュー録音とは違う声部を浮き立たせていたりして、グールドの解釈の多様性と、その反面のつかみどころの無さが感じられた。

CBCへの録音は、青柳いづみこ氏のサイトに書いてあった記憶があるが、デビュー録音は、様々な解釈の可能性の中からの、選択だったことが理解できるような演奏だった。

一九五四年にCBCのラジオ放送用に録音した《ゴルトベルク》を聴くと、当時の彼が、バロック音楽です らロマンティックなアプローチで弾いていたことがわかる。  それから一年、伝説の五五年盤《ゴルトベルク》のレコーディングに際してグールドは、トスカニーニのように即物的に弾くことが流行していた五〇年代の趣味に合わせて、自分の演奏を刈り込み、浄化し、我々がよく知る形につくりあげた。  作戦は見事に成功し、グールドは一躍国際舞台に躍り出た。

DVDのモンサンジョンによるゴルトベルクは、最後のゴルトベルクと同じ時期の映像のはずだが、CDジャケットの疲れた表情のグールドとは異なり、生き生きとした表情と、素晴らしい指の魔術を見せてくれる映像で、以前Youtubeで部分的に見たことはあったが、通して視聴して感激を新たにした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年9月19日 (水)

暑い夏を乗り越えての痛風、高尿酸血症その後

2011年12月26日 (月) 5ヶ月継続した食餌療法と健康診断結果 以降、高尿酸血症や痛風については書かなかった。

急激に汗の量が増える初夏から梅雨に掛けて、本当にたまに足の親指付け根部が軽く疼くような気がしたことはあったが、昨年の7月から9月のようなことはなく、何とか無事に過ごせている。

この期間、アルコール類は正月の帰省時と、親戚の告別式での帰省時にほんの少し飲んだだけで、自宅や宴会での飲酒はまったくしなかった。誘因にもなりかねないので、サントリーの「オールフリー」も飲まなかった。

漬物のO157食中毒の報道もあり夏場の食中毒の心配もあるので、キャベツの千切りなど生野菜を食べることは減ったたが、この夏も豊作だった実家の家庭菜園からの贈り物など相変わらず野菜と豆類中心の食事にしている。とはいえ、以前の肉、魚断ちほど厳格にはせずに、家族との回転寿司やラーメン程度は食べるように、少し緩んできてはいる。

牛乳は相変わらず飲んでいるが、不思議なことにそれによる腹の緩さはまったくと言っていいほど起こっていない。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2012年9月18日 (火)

『モーツァルトを「造った」男 ケッヘルと同時代のウィーン』 (講談社現代新書) 小宮正安著

知っているようで知らないケッヘルをテーマにした本で、書評などを読んで以前から気になっていたのだが、ようやく入手して、2日ほどで読み終えた。

面白かった。ところどころ、著者独特の「凡庸」と「天才」への拘りが気になりはしたが、モーツァルト没後のウィーン、まだベートーヴェンやシューベルトが活躍していた頃、そしてブラームスが移り住み始めた頃のウィーンの政治・文化的な時代状況がくっきりと描かれていて、興味深い記述が沢山あった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年9月13日 (木)

葛の花のいい香り

120913080416_2

120913080448

120913080456

120913080507

120913080525

くず【葛】 1 マメ科のつる性多年草。各地の山野に生える。茎は長さ一〇メートル以上になる。全体に白または褐色の荒い毛がある。葉は長い柄を持ち互生し、三個の小葉に分かれる。小葉は長さ一〇~二〇センチメートルの広卵形で先端はとがり、側小葉ではしばしば二~三浅裂する。夏、葉腋から二〇センチメートルぐらいになる花序を出し、初秋にかけて紫色の蝶形花を総状につける。肥大した根から葛粉をつくるほか、干したものを葛根(かっこん)といい、漢名では解熱剤に用いる。蔓で行李(こうり)などを編み、また、繊維にして葛布を織るのに用いる。秋の七草の一つ。くずの葉裏は白みがかっていて葉が風にひるがえると目立つところから、「葛の葉裏(裏風)」「葛の葉の裏見」などと歌によまれた。漢名、葛。くずかずら。まくず。裏見草。。《季・秋》
Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ゥ Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版)ゥ小学館 1988

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年8月 | トップページ | 2012年10月 »