カテゴリー「ディスク音楽03 アンサンブル」の96件の記事

2009年2月 8日 (日)

"Alban Berg Quartett" という表記

毎日のように iTunesへの取り込みの記事が続いていて、この人はいったい何をやっているんだろうと思われてしまうほどだが、昨日から今日にかけてはベートーヴェンの弦楽四重奏曲を取り込んだ。一部バリリ四重奏団で、全曲は新旧取り混ぜのアルバン・ベルク四重奏団のもの。

その過程で、面白いことに気が付いた。私にとっても同時代のスーパー四重奏団であり、実演をたった一度だが聞く機会に恵まれたこともあり非常に愛好していて、近年とうとう引退してしまったアルバン・ベルク・カルテットなのだが、CDの表記をよくよく見ると、通常の Quartet 四重奏曲、四重奏団 という綴りではなく、最後に t が重複する、Quartett というものなのだ。 ただし、iTunes の アーティスト入力欄はすべて Quartet となっていた。

日本語版Wikipediaを見ると、さすがにその点をフォローしてあり、t 一つが英語表記、t 二つが ドイツ語表記ということらしい。英語版Wikipdediaでは、見出しは Alban Berg Quartet で本文は、Alban Berg Quartett。ドイツ語版では、Alban Berg Quartett となっていた。

iTunesの曲目情報はも、Gracenote という会社の曲目データベースを使っているらしい。カーナビのCDプレーヤーのmp3録音機能もここを使っているところが多いようだ。入力している人の癖もあるのか、イタリア語の Allegro con brio など 発想記号(用語)が、Allegro Con Brio などと単語ごとに大文字で表示されているのが多くて気になる。iTunesには、CDトラック名を取得と並んで、CDトラック名を送信という機能もあり、まったく間違っているようなものは訂正して送るようにしているが、どの程度反映されるものか? 編集者の善意に頼るWikipedia のような仕組みだが、大丈夫なのだろうか?

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年2月 5日 (木)

ベートーヴェン ヴァイオリン、チェロ、ピアノと管弦楽のための協奏曲 ハ長調 作品56

このどちらかと言えばあまり高く評価されていない通称三重協奏曲だが、通例に漏れず、ヘルベルト・フォン・カラヤンが、当時のソ連の誇るダヴィッド・オイストラフ、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、スヴャトスラフ・リヒテルをベルリンに迎えて1969年5月にベルリン・フィルと録音した究極・至高の豪華録音によって入門した口だ。

LP時代は、日本ではヴィクターレーベルでこの録音のみで発売されていたように記憶するが、手元のEMIの輸入盤は、同じ1969年5月にオイストラフとロストロポーヴィチがUSAのオハイオ州クリーヴランドで、ジョージ・セル指揮のクリーヴランド管弦楽団と録音したブラームスのヴァイオリン、チェロと管弦楽のための協奏曲 イ短調 作品102とカップリングされている。

確かにここで演奏している音楽家たちは、オーケストラを含めて当時の世界のトップクラスの人たちだったわけで、特に前者の「英雄」交響曲作品55に続く作品番号を持つ曲ながら、ベートーヴェンにしては平凡な作品とされていたものが、彼らの演奏によって一段も二段も上の曲に聞こえると評する人もいるようだ。

ところが、天邪鬼というのか、この二曲とも、私の場合あまり楽しめなかった、つまり愛好するまでにはいたらなかった。

三重協奏曲のほうは、最近入手したDecca Piano Masterworks所収の シェリング、シュタルケル、アラウのソロにインバル指揮のニューフィルハーモニア管のバックによる演奏の方が面白く聴けたので、かえって驚いた。

また、二重協奏曲のほうは、以前にも書いたことがあるが、セル、オイストラフという私が特に好きな演奏家の演奏なのだが、録音の強奏でのビリつきのせいもあるのか、やはりあまり楽しめず、同じオイストラフが、チェロにフルニエを迎え、ガリエラ指揮のフィルハーモニア管とステレオ初期の1956年に録音したEMI録音の方を聴いたときに、初めてこの曲に魅了されたようなことがあった。(オイストラフは、セルとの共演でブラームスのヴァイオリン協奏曲も録音している。こちらもその前にクレンペラーとの共演の方が好みだ。)

決定的な名演と誉れの高い演奏・録音であっても、リスナーとの相性のようなものがあるという一例なのかも知れない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月29日 (木)

ベートーヴェン "See, the conqu'ring hero comes"による変奏曲 フルニエ、ケンプ

ベートーヴェン チェロ作品集 フルニエ(Vc) ケンプ(P) 2006年6月18日 (日) には、ピアノとチェロのためのソナタの全集(第1番から第5番まで)のほかに、同じ編成による3つの変奏曲が収録されている。

12 Variations on "See The Conqu'ring Hero Comes", WoO 45

7 Variations on "Bei Männern, Welche Liebe fühlen", WoO 46

12 Variations on "Ein Mädchen oder Weibchen", Op. 66

の3曲だ。ヘンデルとモーツァルトは、ベートーヴェンが特に私淑した作曲家であり、主題として取り上げられたメロディーはどれも名旋律として現代でも愛好されている曲だというのがさすがにベートーヴェンの慧眼というべきか、それとも当時もよほどこれらの旋律が愛好されていたのだろうか?

昨日の『マカベウスのユダ』は、ぼちぼち聴き始めているが、解説パンフレットが英仏独仕様の輸入盤なので、英語で辛うじてオラトリオの歌詞の意味は取れても十分な理解までには至らず、ざっと流し聴きをしている段階だ。

そんなところで、少し脇道にそれて、今日もiTunesに読み込ませたコレクションの、この『マカベウスのユダ』に縁のあるフルニエとケンプによるライヴ録音を聴き始めた。(以前聴いたときにはあまり気がつかなかったが、さすがにライヴだけあり、かすかな会場の雑音、咳などがかすかに聞こえてくる。特に「愛を知る殿方」では結構聴こえた。)

iTunesとソニーの小型イアフォンの相性は、特にチェロソナタでは大変よろしく、チェロの朗朗とした音色とピアノの冴え冴えとした音が絶妙に絡み合い、とても贅沢な音楽を聴かせてくれている。少しこれで耳のリフレッシュをして、また『マカベウスのユダ』に挑戦してみよう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月 8日 (月)

12月の12番はドヴォルザークの弦楽四重奏曲第12番『アメリカ』

1941(昭和16)年の今日、日本とアメリカは交戦状態に入った。映画『トラトラトラ』で描かれた真珠湾攻撃がおこなわれ、1945(昭和20)年8月15日の敗戦に至るまで巨大国United States of America と日本が総力戦で戦った第二次世界大戦の火蓋が切られた日にあたる。こども達に、父(こどもにとっては祖父)は当時幼かったが「大本営発表のラジオニュース」を聞いた記憶があると語ってくれたという話を夕食の時にした。

そして、我が家では、私の母方の祖母の命日にあたる。

さて、12番という番号で直ぐに思い当たるものがなく、ネットで検索したところ、有名曲では、作品12では、シューマンの『幻想小曲集』、第12番ではショスタコーヴィチの交響曲第12番『1917年』、そしてこのドヴォルザークの有名な弦楽四重奏曲の『アメリカ』が見つかった。

シューマンの曲も書きたいところだが、すでにアルゲリッチの録音を入手できたときに喜んで書いてしまっている。

『アメリカ』四重奏曲は、弦楽四重奏曲の入門編としてよく挙げられる非常に親しみやすい曲だが、しばらく向き合って聴いたことがないので、じっくり聴いてみたい。

手持ちのCDは2枚。一枚は既に相当以前に記事にしたスメタナクァルテットのEMI録音(1966年)。もう一枚もカップリングのボロディンの弦楽四重奏曲第2番を記事にしたことのあるCDに収録されているヤナーチェククァルテットのもの(1963年録音)

LP時代には、この短い曲をLPの両面にたっぷりと余裕を持って録音したDENONレーベルの日本でのPCMライヴ(岐阜)盤を愛聴していた。このLPは、カッティングに余裕があったためか、実に生々しい音色で録音されていた。当時絶大な人気のあったスメタナ四重奏団の特別盤として発売されたものだったと思う。1978年の録音だったはずだ。

それに比べてCDの録音はいずれも古いものだ。スメタナ四重奏団は1966年、同じチェコのヤナーチェク四重奏団のは1963年。

                               SmetanaQ       JanacekQ
Allegro ma non troppo  6:55                7:00
Lento                        7:55                8:05
Molto vivace               3:26               3:52
Vivace ma non troppo  5:45               5:49

タインミングを比較すると、ほとんど瓜二つの所要時間で驚いた。いずれもチェコの団体なので、規範的なテンポ感覚があるのかもしれない。

スメタナQのは、この曲を何度も録音しているこの団体としては、相当古い方に属する録音であり、聴きなれたDENON盤とは違うEMI録音だが、自分にとっては親しみやすい。上記にリンクした旧記事では、リマスタリングに対して文句を連ねたが、ここ数ヶ月聴いている廉価なソニー製ステレオイアフォンで聴くと高音の鮮度もそれほど失われているようには聞こえず、四本の弦楽器のアンサンブルを十分楽しめるものになっている。特にヴィオラの活躍がよく聴かれるのがうれしい。ドヴォルザークは、プラハの国民劇場のオーケストラでヴィオラ奏者だったこともあるためか、ヴィオラが主要旋律を歌うことが結構多いようで、それがくっきりと聞き取れる。

ヤナーチェクQの録音は、このCDで初めて聴いたのだが、スメタナQの(十分に表情豊かなのだが)よく整った趣きに比べて、より柔軟であり、またスメタナQに比べて(この演奏が基準になっているので)、少し崩しがあるようにも感じられるが、楽器バランスなどの違い、音色の違い、歌いまわしの違いから、耳慣れたこの曲の別の面も味わえるような感じだ。

19世紀末のUnited States に、チェコのプラハ音楽院の教授職を休職して、ニューヨークの音楽院院長として赴任したドヴォルザークは、ホームシックにかかりながらもここで彼の畢生の名作を作曲したのだから、人生というものは分からない。彼の最もよく聴かれる『新世界』交響曲、傑作チェロ協奏曲、そしてこの『アメリカ』というニックネームのつけられた弦楽四重奏曲はどれもアメリカ滞在中に作曲された。

速筆だったドヴォルザークだが、この充実した傑作がたった15日ほどで完成したというのはモーツァルト並みのスピードだと思う。アイオワ州のスピルヴィルというボヘミアからの移住者たちのコミュニティーを訪れ、郷愁の感情が高まったものか、それともホームシックが癒されたものか、この弦楽四重奏曲には、ノスタルジアとも癒しとも言える感情が満ち溢れているようだ。

しかし、第四楽章だけは、郷愁や望郷というよりも非常に運動性の高いあるものを連想させる音楽になっている。上記のLPを聴いていた頃、ドヴォルザークの伝記を読んでいたところ、彼がボヘミアに居た頃から大の機関車マニアで、ニューヨークでも暇さえあれば操車場の機関車を眺めに行ったというエピソードが書かれてあり、この楽章の快適なリズムと弾むようなメロディーは、機関車での快適な旅の様子を描いたものではなかろうかと思ったことがある。これは以前更新していたホームページにも書いたことがあった。印象とエピソードという間接的な状況証拠とも言えない根拠しかない単なる思い付きだが、疾走する蒸気機関車の「シュシュ・ポポ、シュシュ・ポポ」と快適に刻むリズムがどうしても聞こえてくる。

先日、DENONの2枚組みで、ボドとチェコフィルによるオネゲルの交響曲全集を求めたのだが、その中に以前から一度耳にしてみたいと思っていた交響的運動『機関車パシフィック231』という曲が収録され聞いてみた。重量級の機関車が静止状態から動きだす様子がオーケストラによって克明に描かれてはいたが、疾走する情景は残念ながらないようだった。ドヴォルザークの『アメリカ』の終楽章ほど機関車(鉄道)の疾走感が味わえる音楽はそうはないような気がする。

2008年に一応書いてきた月番号と同じ数字に関係する曲の記事一覧:

11月 ショスタコーヴィチの交響曲第11番『1905年』

10月 マーラーの交響曲第10番

09月  ドヴォルザークの交響曲第9番ホ短調『新世界から』

08月 シューベルトの交響曲第8番(第7番)『未完成』D.759

07月 ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第7番

 プレヴィン/LSOのヴォーン・ウィリアムス『南極交響曲』(交響曲第7番)  

06月 DHM-6,7 J.S.バッハ ロ短調ミサ曲 (6月の6番は

05月 ベートーヴェンの交響曲第5番

04月 ブラームスの交響曲第4番
    カラヤン(77-78),  ヴァント(85),  C.クライバー, ベーム(75)小澤(89) 
    (4月ということで4に因む曲に想いを馳せる)
    ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲第4番

03月 メンデルスゾーン 交響曲第3番『スコットランド』

02月 ニールセン 交響曲第2番『四つの気質』    ラフマニノフ 交響曲第2番 初演満100周年
     

01月 ブラームス交響曲第1番 , ブラームス ピアノ協奏曲第1番 , シベリウス 交響曲第1番

ちなみに、2008年は、誕生年がプッチーニが生誕150年、ルロイ・アンダーソンとメシアンが生誕100年を迎えた。没年では、古いところでは、ジャヌカンが没後450年、リムスキー=コルサコフとサラサーテが没後100年、ヴォーン=ウィリアムスが没後50年、と年初に記念年を書き出したが、これらの作曲家の作品を集中的には聴いてみていないので、落穂拾いではないが、12月に少し聴いてみようと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月28日 (日)

ヨーヨー・マ Soul of the Tango --The music of Astor Piazzolla --

Ma_piazzollaアストル・ピアソラ (1921-1992)
  ヨーヨー・マ (チェロ)、他

 1997年 ブエノス・アイレス、ボストン、ロス・アンジェルス録音





金曜日の夕方から急に秋になったようだ。

我が家では、子どもの反抗期と家族全体の情緒不安定が重なり、結構しんどい精神状態だ。

金曜日の夜は大騒ぎをして過ごした後、イアフォンで音楽を聴き、漫画を読み寝入ってしまった。

土曜日は、比較的平穏に過ぎたが、ドヴォルザークの『新世界より』の記事も中途半端に終わってしまった。

日曜日の午前中は、これまであまり聴けなかったCDをまとめて通して聴き、結構新鮮な楽しみを得られたが、夕方にはまた別のいさかいが起こり、結構しんどい。家庭生活というものは疲れるものだ。

そんな中、これまでほとんど聞いたことのなかったCDを取り出して聴いている。20世紀末に突如クロース・アップされた(ように思う)アルゼンチンタンゴのバンドネオン奏者で作曲家のアストル・ピアソラの音楽を、そのクロース・アップに一役買ったヨーヨー・マが中心になって制作したアルバム。

7曲目は、ホルヘ・カランドレッリとアストロ・ピアソラの合作?の タンゴ・リメンブランシズという曲だが、1997年録音のマのチェロと、1987年録音のピアソラのバンドネオンの(録音上の)共演を聴くことができるものになっている。

その他CM でも有名になった リベル・タンゴなど、暗鬱だが情熱的な現代アルゼンチン・タンゴを何曲も聴くことができる。

いわゆるクラシック系の音楽界にこのピアソラが評価されるようになった背景や理由はよく知らないが、暗鬱な気分の時に暗鬱な曲(だけではないが)を聴くというのは、少し精神的に落ち着くものがある。

|

2008年8月 2日 (土)

ランパルとV=ラクロワによるプーランクのフルート・ソナタ

Rmpal_poulenc プーランク

フルート・ソナタ 

 第1楽章 Allegro malincolico  4:32
 第2楽章 Cantilena  4:00
  第3楽章 Presto giocoso 3:15

ジャン=ピエール・ランパル(fl)
ロベール・ヴェイロン=ラクロワ(p)

ランパルとの共演やERATOへのクラヴサン(ハープシコード、チェンバロ)の録音で著名なロベール・ヴェイロン=ラクロワが、珍しく現代ピアノを弾いているもの。

ランパルの"Famous Flute Music"  というオムニバス盤(ERATO 0630-10204-5, ワーナーWPCS-21067) に収録されている。

プーランクという作曲家は、1899-1963 というのだから、明治生まれの昭和30年代没ということで、ちょうど私の祖父の世代に当たる人だ。

とても洒落た音楽を書いた人だという印象があるがあまり作品に触れたことはない。我が家にはプーランクの作品はこの一枚だけかも知れない。

このCDは、ランパルによる様々な作曲家の演奏を集めたもので、バッハのロ短調BWV1040,ヘンデルのト短調作品1の2、モーツァルトのヘ長調K.13、クルムフォルツ(1742-1790、モーツァルトと同時代の古典派のハープ奏者、作曲家らしい)のフルートとハープのためのソナタ ヘ長調、ドビュッシーのシランクス、そしてこのプーランク、最後にフォーレの子守歌作品16をラスキーヌのハープによる伴奏で吹いている。

バッハの作品は、ランパルとラクロワによるERATOのCDに含まれているものと同じだが、ヘンデルのものは有名なヴァイオリンソナタ作品1の中に含まれるもの(ヘンデルの真作とされているもので、元はブロックフレーテ、つまりリコーダー用だという。ラクロワは、グリュミオーによるヘンデルのヴァイオリンソナタ集でもクラヴサンを弾いている)。モーツァルトは相当幼年時代の作品。クルムフォルツの作品もーツァルトと同じで、フルートが従、ハープが主のソナタだが、この演奏ではフルートが主のようにも聴こえてしまう。名手リリー・ラスキーヌとは言え、ランパルの存在感だろうか。

プーランクのソナタは、近代、現代の作品で、エスプリの効いた面白い作品になっている。ラクロワがピアニストで起用されたのは、やはりそれだけランパルの信頼が強かったからだろうか。慣れないピアノだと思うが、無難にこなしているようだ。ランパルもバロックや古典もいいが、ドビュッシーやこのプーランクなどは独壇場だ。

梅雨明け直後は鳴き声が聴こえなかったが、前の森からは、今年も油蝉の合唱が盛大に聞こえ始めた。そんな中、フルートとチェンバロ、ハープの涼しげな音色は清涼剤になってくれる。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年7月31日 (木)

ベニー・グッドマンとブダペストQ、シゲティ、バルトーク、トスカニーニ

Goodman_bartok_szigeti_toscanini 昨夜は、職場の暑気払いで少々ビールの量が過ぎて、帰宅後、ヘルベルト・ケーゲルの『展覧会の絵』を聴き、相当ユニークな演奏だと思いながらうたた寝をしてしまい、目が覚めたら夜中の1時半で、結局ブログ記事も、いただいたコメントへの返事も書けずに終わってしまった。

今日は久しぶりに、音楽を聴き、ブログを読み、書いていられる。

帰途、その道を通るときには必ず立ち寄るブックオフがあり、そこのクラシック音楽のCDの品揃いはあまりよくないのだが、たまにあれっという珍盤があり、今日もそこで、表題の演奏者たちによる珍しいヒストリカル録音のCDが廉価で入手できた。

モーツァルトのクラリネット五重奏曲 1938年録音 グッドマンのクラリネット ブダペスト弦楽四重奏団(ヨーゼフ・ロイスマン、アレクサンダー・シュナイダー、ボリス・クロイト、ミッシャ・シュナイダー)によるもの。ブダペストQは、ノイエ・ザッハリヒカイトの影響か、非常にすっきりした解釈。グッドマンは崩すこともなく巧い。

2曲目は、バルトークがグッドマンに献呈したあの「コントラスツ」を、その当人グッドマンと、ヨーゼフ・シゲティ、ベーラ・バルトークが演奏したもの。1940年録音。比較的マイルドな解釈。

そして、3曲目は、トスカニーニとNBC響が アール・ワイルド Earl Wild というピアニストと珍しく?ガーシュインのラプソディー・イン・ブルーを演奏したもの。クラリネットパートにグッドマンが参加という形なのだろうか。1942年のライブ録音。このコンビによる強烈なスフォルツァンド(アクセント)のついた演奏なのだが、比較的に残響が多めに取られているため、音の鮮度はあまりないが、結構聞きやすい音楽になっている。演奏としてのメリハリは、これまでいくつか聴いたものの中で随一の録音だ。

CEDAR CD48047 という型番のCDで、すべて英語表記なので、おそらくUSA製だと思うが、いずれも聴き応えのある録音だった。

追記:検索をすると、ナクソスのミュージックライブラリでは、第1曲目を聴くことができるようだ。同じく2曲目も「バルトーク・アト・ザ・ピアノ」という組み物の中で聴ける。また、第3曲目もNMLには入っていないようだが、ネット上ではPDとして聴けるようだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月 9日 (水)

病の回復を願い ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第15番を聴く

Beethoven_lat_sq第3楽章に「病い癒えたる者の神への感謝の歌」が含まれるため、今晩はこのCDを取り出して聴いている。

先日も記事にしたアルバン・ベルク・クァルテットの1970年代後半から1980年代初めに掛けてのベートーヴェン弦楽四重奏曲全集の後期第12番から第16番が収録されている。

この深遠、孤高でユニークな作品群の中では、第14番にどういう縁か長らく親しんではいるが、恥ずかしながら、他の番号は、単一楽章『大フーガ』を除いて、曲を暗記するほど聴きこんではいない。

自分のホームページ(最近まったく更新していない)のベートーヴェンのページに作品年代表を多少の誤差はあるがまとめてみたことがある。 (今回も無理やりエクセルファイルをワードに貼り付けてHTMLを生成させたものを貼り付けてみたが、膨大なコードになってしまった。)

伯母の手術が本日成功したとの知らせをさきほど実家から受け、その回復を願い、この曲を聴いている。霊験あらたかなという神秘的な効果は求めてはいないが、下記の作品表にもあるように、一時期まったくスランプ状態になり、浮浪者のような姿でヴィーンをうろついていた作曲家が、また創作力を復活させ、それまでの形式と内容の黄金バランスを崩してまで、融通無碍な境地を展開したこの後期の弦楽四重奏曲とピアノソナタ群は、音楽家の晩年の達成という点では比類のないものだと、素人ながら思う。


作品年表

 

 

 

 

 

 

 

 

年代

年齢

出来事

交響曲

協奏曲

弦楽四重奏曲

室内楽、アンサンブル

ピアノソナタなど

その他

1770年

0

誕生12/16

 

 

 

 

 

 

1771年

1

 

 

 

 

 

 

 

1772年

2

 

 

 

 

 

 

 

1773年

3

祖父ルートヴィヒ没12/24

 

 

 

 

 

 

1774年

4

 

 

 

 

 

 

 

1775年

5

祖母マリア・ヨゼファ没9/30

 

 

 

 

 

 

1776年

6

 

 

 

 

 

 

 

1777年

7

 

 

 

 

 

 

 

1778年

8

 

 

 

 

 

 

 

1779年

9

 

 

 

 

 

 

 

1780年

10

 

 

 

 

 

 

 

1781年

11

 

 

 

 

 

 

 

1782年

12

 

 

 

 

 

 

 

1783年

13

 

 

 

 

 

3つのソナタ「選帝侯ソナタ」

 

1784年

14

 

 

 

 

 

 

 

1785年

15

 

 

 

 

 

 

 

1786年

16

 

 

 

 

 

 

 

1787年

17

ヴィーン訪問 4/7、母マリア・マグダレーナ没7/17

 

 

 

 

 

 

1788年

18

 

 

 

 

 

 

 

1789年

19

 

 

 

 

 

 

 

1790年

20

 

 

 

 

 

 

 

1791年

21

モーツァルト没12/5

 

 

 

 

 

 

1792年

22

留学のためヴィーン到着11/10、父ヨハン没12/18

 

 

 

弦楽三重奏曲第1番

 

 

1793年

23

 

 

ピアノ協奏曲第2番Op.19

 

 

 

 

1794年

24

 

 

 

 

 

 

 

1795年

25

 

 

ピアノ協奏曲第1番Op.15

 

ピアノ三重奏曲第1番から第3番

1番から第3番

 

1796年

26

 

 

 

 

ピアノ五重奏曲Op.16、Vcソナタ第1~2番

20番、第19番

 

1797年

27

 

 

 

 

ピアノ三重奏曲第4番「街の歌」

4番、第6番

 

1798年

28

 

 

ロマンス第2番

 

Vnソナタ第1~3番、弦楽三重奏曲第2~4番

5、7、8「悲愴」、9番

 

1799年

29

 

 

 

 

 

10番

 

1800年

30

 

1番Op.21

 

1番から第6番

七重奏曲,Vnソナタ第4、5番「春」

11番

バレエ「プロメテウスの創造物」

1801年

31

 

 

ピアノ協奏曲第3番

 

 

12、13、14「月光」、15番「田園」

 

1802年

32

ハイリゲンシュタットの遺書10/6

2番Op.36

ロマンス第1番

 

バイオリンソナタ第6~8番

16、17「テンペスト」、18番、「プロメテウス」変奏曲

 

1803年

33

ヴァン・スヴィーテン男爵没3/29

 

 

 

バイオリンソナタ第9番「クロイツェル」

 

「オリーヴ山上のキリスト」Op.85

1804年

34

ナポレオン皇帝即位5/18

3番Op.55「英雄」

Vn,Vc&Pf三重協奏曲

 

 

21「ヴァルトシュタイン」、22番

 

1805年

35

ナポレオンヴィーン入城11/14

 

 

 

 

23番「熱情」

歌劇「レオノーレ(フィデリオ)」

1806年

36

ナポレオン ベルリン占領10/27

4番Op.60

ヴァイオリン協奏曲Op.61、ピアノ協奏曲第4番

7番から第9番「ラズモフスキー」

 

 

「コリオラン」序曲

1807年

37

 

 

ピアノ協奏曲ニ長調Op.61

 

 

 

 

1808年

38

 

5番Op.67「(運命)」、第6番Op.68「田園」

 

 

ピアノ三重奏曲第5番「幽霊」、第6番、チェロソナタ第3番

 

合唱幻想曲ハ短調Op.80

1809年

39

ナポレオン軍ヴィーン占領5/13,ハイドン没5/31、仏墺戦闘7/5

 

ピアノ協奏曲第5番Op.73

10番「ハープ」

 

24「テレーゼ」、25番

 

1810年

40

 

 

 

11番「セリオーソ」

 

26番「告別」、エリーゼのために

「エグモント」

1811年

41

 

 

 

 

ピアノ三重奏曲第7番「大公」

 

「アテネの廃墟」「シュテファン王」

1812年

42

「不滅の恋人への手紙」7/6、仏軍モスクワ入城9/14、仏軍冬将軍により撤退開始10/19

7番Op.92、第8番Op.93

 

 

ヴァイオリンソナタ第10番

 

 

1813年

43

ビトリアの戦い(ウェリントンの勝利)6/21、諸国民の戦い10/16

戦争交響曲(ウェリントンの勝利またはビトリアの戦い)Op.91

 

 

 

 

 

1814年

44

ナポレオン退位4/11、「フィデリオ」上演成功5/23、ヴィーン会議9/18

 

 

 

 

27番

 

1815年

45

ナポレオンパリに戻る3/20、ワーテルローの戦い6/18

 

 

 

チェロソナタ第4、5番

 

「命名祝日」序曲、「静かな海と楽しい航海」

1816年

46

発熱性の病気にかかる10/6

 

 

 

 

28番

 

1817年

47

 

 

 

 

 

 

 

1818年

48

 

 

 

 

 

29番「ハンマークラフィーア」

 

1819年

49

 

 

 

 

 

 

 

1820年

50

 

 

 

 

 

30番

 

1821年

51

メッテルニヒ墺宰相に就任5/25、ヴェーバー「魔弾の射手」初演6/18

 

 

 

 

 

 

1822年

52

 

 

 

 

 

31,32番

「献堂式」序曲

1823年

53

 

 

 

 

 

ディアベリ変奏曲

ミサ・ソレムニスOp.123

1824年

54

第九初演 5/7

9番Op.125

 

12番

 

 

 

1825年

55

 

 

 

15番

 

 

 

1826年

56

 

 

 

13、14、16番、「大フーガ」

 

 

 

1827年

57

ベートーヴェン 56歳で没 3/26

 

 

 

 

 

 

 

 

検死の結果死因は肝硬変3/27

 

 

 

 

 

 

 

 

葬儀3/29

 

 

 

 

 

 

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年7月 6日 (日)

7月の7番は ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第7番

Beethoven_mid_sq 7番という番号は、交響曲作家なら(ハイドン、モーツァルトは別にして)ベートーヴェン、シューベルト、ブルックナー、マーラー、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、シベリウスなどが思い浮かぶが、弦楽四重奏曲の著名な作曲家としては、(これまたハイドン、モーツァルトを別にして)、ベートーヴェンのほかは、ショスタコーヴィチくらいだろうか。(シューベルトも相当の数の弦楽四重奏曲を残していたのを忘れていた。第13番が『ロザムンデ』、第14番が『死と乙女』など)

ショスタコーヴィチのは、Brilliant のルビオ・カルテットの全集を購入してはいるのだが、ミチョランマ状態でもあり、昔からずっと愛好してきたこのベートーヴェンのラズモフスキー1番を聴いてみようと考えた。

現在、手元にある音盤としては、アルバン・ベルク・クァルテットの1970年代EMI録音(スタジオ)のみ。LPでは、当時非常に人気のあったスメタナ四重奏団のDENONのヨーロッパPCM録音シリーズのもので、これはエアチェックしたテープでもよく聴いたため、この曲にとっての刷り込みスタンダードとしていまでも、この曲の基準になっている。

その後、CD時代になり、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲では、それまであまり聴いたことがなかった後期に挑戦してみようと、1980年代初期の録音の日本盤の東芝EMIのアルバン・ベルク・クァルテットの4枚組み12,000円で購入。この中では、ズスケ・クァルテット(ベルリン・クァルテット)のエアチェックで親しんだ第14番(全7楽章)を、やはりよく聴いた。この後期の後、長野市にも開店した新星堂で輸入盤を扱っており、同じアルバン・ベルク・クァルテットの中期3枚組みが、何と破格の4000円ちょっとで売っており、あまりの安さに思わずとびついた。当時は円が米ドル、ヨーロッパ通貨に対しても相当高い時代で、輸入盤が破格の値段で入手でき始めた頃だったように思う。(EMI CSA 7 47131 8  Made in W. Germany)

エアチェックの少々貧しいながらも明快な音と、LPの分解能のよい伸びのよい音響で聴けるスメタナ四重奏団のラズモフスキーの1番は、大人の風格で、しなやかな演奏なのだが、覇気よりも余裕を感じさせる演奏だったように記憶している。

それに比べて、1979年に Original sound recording made by EMI Records Ltd. と詳しい録音データが記されていないアルバン・ベルク・クァルテットの方は、各奏者の技量やアンサンブルの精密さ、滑らかさはスメタナ四重奏団とは違うと感じさせるものがあった。(後期の録音は、後年までヴィオラ奏者を務めて数年前惜しまれつつ亡くなったトマス・カクシュカ氏だったが、中期にはその前の奏者のハット・バイエルル氏がクレジットされている。)

吉田秀和氏も『私の好きな曲』で、この弦楽四重奏曲第7番ヘ長調「ラズモフスキー第1番」作品59-1を取り上げられ、詳細に論じられているが、エアチェックのスメタナQ盤で親しんだのは、そのエッセイを読む前で、その影響もないうちに、スコア(弦楽四重奏曲のものは薄くて比較的廉かった)も購入しながら、四つの弦の作り出す深く広い世界を味わうことを得た。

最初は、第1楽章の広々とした雰囲気の勇壮なソナタ楽章を好んだが、次第に、第3楽章のAdagio molto et mesto の、下を向き歯を食いしばりながらひたむきに歩き続けるような孤独な男の戦いを思わせる音楽が耳に染みてきて、毎晩のようにこの曲を聴いたことを思い出す。

弦楽四重奏曲における『エロイカ』的な飛躍の音楽(6番までは作品18のセット)であり、ベートーヴェンらしさが非常によく出た音楽でもあり、多くの名四重奏団によって録音、演奏されている名曲中の名曲であるが、今宵久しぶりに聴きなおして、その音楽の広さ、深さに驚きつつ、感動しているところだ。

このアルバン・ベルク・クァルテットも今年で解散(引退)とのことで、日本でのさよなら公演も行われたとの話を聞くが、1度だけ生で実演を聴いたことのある団体でもあり、その関係もありなかなか感慨深い。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年7月 3日 (木)

ヴィヴァルディ『忠実なる羊飼い』(フルート・ソナタ集作品13 全6曲)

Il_pastor_fido_rampal_lacroix アントニオ・ヴィヴァルディ (1678-1741)
フルート・ソナタ集 作品13 『忠実なる羊飼い』
 Six Sonates pour Flûte et Clavecin "Il Pastor Fido" Op.13

 ジャン=ピエール・ランパル(フルート)、ロベール・ヴェイロン=ラクロワ(チェンバロ=クラヴサン) 〔1968年録音〕 ERATO B15D-39050 (BMG エラート・エスプリ・シリーズ)

よく利用させてもらっているクラシックデータ資料館のVivaldi 作品表では、

11-61 ソナタ ハ長調Op.13-1,RV.54,F.XVI-5,P.S.3-9[ミュゼット/ヴィエール/fl/ob/vn]
11-62 ソナタ ハ長調Op.13-5,RV.55,F.XVI-9,P.S.4-3[ミュゼット/ヴィエール/fl/ob/vn]
11-63 ソナタ ハ長調Op.13-2,RV.56,F.XVI-6,P.S.3-10[ミュゼット/ヴィエール/fl/ob/vn]
11-64 ソナタ ト長調Op.13-3,RV.57,F.XVI-7,P.S.4-1[ミュゼット/ヴィエール/fl/ob/vn]
11-65 ソナタ ト短調Op.13-6,RV.58,F.XVI-10,P.S.4-4[ミュゼット/ヴィエール/fl/ob/vn]
11-66 ソナタ イ長調Op.13-4,RV.59,F.XVI-8,P.S.4-2[ミュゼット/ヴィエール/fl/ob/vn]

とあり、必ずもフルートソナタではなく、ミュゼット、ヴィエール、オーボエ、ヴァイオリンでも代用可能のようだ。また、この作品表には『忠実な羊飼い』という題名も表示されていない。

いろいろ探したら、この曲集を演奏した方のブログを発見した。リコーダー(フラウトトラヴェルソがいわゆるフルートで、ブロックフレーテ=リコーダー)でも演奏が可能のようだ。それらの楽器と通奏低音のためのソナタ集ということらしい。

恐らくNHKFMを愛好されていた方には、このOp.13-2の Preludio は非常に親しいものだろうと思う。朝の6時台に放送されていた(いる?)「バロック音楽の楽しみ」のテーマ曲だったからだ。私も「忠実な羊飼い」という曲名だということは知っていたが、この耳に馴染んだ曲が作品13の2の第一曲だというのは、このCDを入手して初めて知った。

ERATO録音のランパルの音盤には、結構以前から縁があり、あの有名なモーツァルトのフルートとハープ(ラスキーヌ)のための協奏曲も、ポンパドゥール夫人の肖像をあしらったレコードジャケットのLPで持っていたり(CDでも買いなおした)、バッハのソナタ、モーツァルトの協奏曲、ドビュッシーのソナタ集などで結構馴染んでいたが、このバロック復興期の比較的早い時期の録音でも、屈託のない美音で、ヴィヴァルディの多作とは言え多彩な音楽を闊達に奏でている。

ターフェル・ムジークではないが、最高のBGMの一つとして聴けるような曲であり、演奏だと思う。リコーダーでも演奏でき、楽譜も入手可能のようだ。

ただ、いろいろネットをさまよっているうちに、ショッキングな情報も入手した。

このブログによると、どうもこの曲集はヴィヴァルディの真作ではなく、名前を借りて出版されたものらしいのだ。真相はいかに?

追記:懐かしい「バロック音楽の楽しみ」の後継番組のことをnarkejpさんが取り上げていたので、トラックバックさせてもらった。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧