カテゴリー「ディスク音楽03 アンサンブル」の87件の記事

2008年7月 3日 (木)

ヴィヴァルディ『忠実なる羊飼い』(フルート・ソナタ集作品13 全6曲)

アントニオ・ヴィヴァルディ (1678-1741)
フルート・ソナタ集 作品13 『忠実なる羊飼い』
 Six Sonates pour Flûte et Clavecin "Il Pastor Fido" Op.13

 ジャン=ピエール・ランパル(フルート)、ロベール・ヴェイロン=ラクロワ(チェンバロ=クラヴサン) 〔1968年録音〕 ERATO B15D-39050 (BMG エラート・エスプリ・シリーズ)

よく利用させてもらっているクラシックデータ資料館のVivaldi 作品表では、

11-61 ソナタ ハ長調Op.13-1,RV.54,F.XVI-5,P.S.3-9[ミュゼット/ヴィエール/fl/ob/vn]
11-62 ソナタ ハ長調Op.13-5,RV.55,F.XVI-9,P.S.4-3[ミュゼット/ヴィエール/fl/ob/vn]
11-63 ソナタ ハ長調Op.13-2,RV.56,F.XVI-6,P.S.3-10[ミュゼット/ヴィエール/fl/ob/vn]
11-64 ソナタ ト長調Op.13-3,RV.57,F.XVI-7,P.S.4-1[ミュゼット/ヴィエール/fl/ob/vn]
11-65 ソナタ ト短調Op.13-6,RV.58,F.XVI-10,P.S.4-4[ミュゼット/ヴィエール/fl/ob/vn]
11-66 ソナタ イ長調Op.13-4,RV.59,F.XVI-8,P.S.4-2[ミュゼット/ヴィエール/fl/ob/vn]

とあり、必ずもフルートソナタではなく、ミュゼット、ヴィエール、オーボエ、ヴァイオリンでも代用可能のようだ。また、この作品表には『忠実な羊飼い』という題名も表示されていない。

いろいろ探したら、この曲集を演奏した方のブログを発見した。リコーダー(フラウトトラヴェルソがいわゆるフルートで、ブロックフレーテ=リコーダー)でも演奏が可能のようだ。それらの楽器と通奏低音のためのソナタ集ということらしい。

恐らくNHKFMを愛好されていた方には、このOp.13-2の Preludio は非常に親しいものだろうと思う。朝の6時台に放送されていた(いる?)「バロック音楽の楽しみ」のテーマ曲だったからだ。私も「忠実な羊飼い」という曲名だということは知っていたが、この耳に馴染んだ曲が作品13の2の第一曲だというのは、このCDを入手して初めて知った。

ERATO録音のランパルの音盤には、結構以前から縁があり、あの有名なモーツァルトのフルートとハープ(ラスキーヌ)のための協奏曲も、ポンパドゥール夫人の肖像をあしらったレコードジャケットのLPで持っていたり(CDでも買いなおした)、バッハのソナタ、モーツァルトの協奏曲、ドビュッシーのソナタ集などで結構馴染んでいたが、このバロック復興期の比較的早い時期の録音でも、屈託のない美音で、ヴィヴァルディの多作とは言え多彩な音楽を闊達に奏でている。

ターフェル・ムジークではないが、最高のBGMの一つとして聴けるような曲であり、演奏だと思う。リコーダーでも演奏でき、楽譜も入手可能のようだ。

ただ、いろいろネットをさまよっているうちに、ショッキングな情報も入手した。

このブログによると、どうもこの曲集はヴィヴァルディの真作ではなく、名前を借りて出版されたものらしいのだ。真相はいかに?

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2008年6月30日 (月)

DHM50-6,7 J.S.バッハ ロ短調ミサ曲 

トーマス・ヘンゲルブロック  Thomas Hengelbrock 指揮
 フライブルク・バロック管弦楽団 Freiburger Barockorchester
  バルタザール・ノイマン合唱団 Balthasar -Neumann-Chor
   HMVの紹介ページによれば、〔1996年10月録音〕 原盤:05472773802

6月の最終日、これまで何度も寝入りばなには聴いていてその美しさに陶然としながら寝入った(寝付きだけはいいのだが、3時から4時に目覚めてしまうのが悩みのタネ)この録音にしっかり向き合って聴いてみることにした。(「6月の6番は」)

もちろん比較の対象は、相当以前確か1990年代に購入して、何度も聴いた2006年10月 6日 (金) J.S.バッハ ミサ曲 ロ短調 ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラによる演奏。

このヘンゲルブロックという指揮者やフライブルク・バロック管弦楽団、バルタザール・ノイマン合唱団という名前は、Wein, Weib und Gesang(pfaelzerweinさん)のブログで見かけ、ドイツの比較的ローカルな演奏団体なのかな、などと井の中の蛙式の不遜なことを思っていたのが恥ずかしくなるような優れた演奏団体のようだ。

ブリュッヘンのバッハも非常に真摯なものであり、18世紀オーケストラの技量やソリストたち(アルトのカウンターテナーが少し異質だが)は優れた演奏なのだが、このヘンゲルブロックたちの演奏の醸し出す音響の柔和さ、品格の高さ、そして全曲にわたるまとまりのよさは、またブリュッヘンたちの演奏にない多くの魅力を教えてくれるものだと感じた。

このDHM50には、ヘンゲルブロックとバルタザール・ノイマン合唱団は、このロ短調ミサと、DISC1のドゥランテ、アストルガ、ペルゴレージの宗教曲だけの収録(フライブルク・バロック・オーケストラは他にも数枚の録音が収められているが)のようだが、十分その真価を顕してしいるように思う。

コーラス、オーケストラにしてもいわゆる巧さをヘンゲルブロック盤には強く感じないのだが、響きが非常に心地よく、聴きながら集中力が高まっていくような錯覚に襲われるような気もしないではない。

ちなみに、エクセル表でブリュッヘン盤とヘンゲルブロック盤のパンフレット表示のタイミングを並べてみた。全体的に大きな差はないと言えるが、一貫して躍動的な要素が感じられるブリュッヘンに比べて、ヘンゲルブロックは柔と剛の切り替えが鮮やかで、遅い部分はいわゆる「ロマンティック」なほどであるが、速い部分は新古典主義的なキビキビとした引き締まった音楽になっているように聴こえる。これで全体の統一感がそがれないというのも不思議ではある。

  ブリュッヘン ヘンゲルブロック
Kyrie
Kyrie eleison 8:53 11:32
Christe eleison 5:08 4:46
Kyrie eleison 3:50 4:17
  17:51 20:35
Gloria
Gloria in excelsis Deo 1:40 1:37
Et in terra pax 4:56 4:38
Laudamus te 4:23 4:13
Gratias agimus tibi 1:40 3:11
Domine Deus 5:44 5:24
Qui tollis peccata mundi 2:59 3:12
Qui sedes ad dexteram Patris 4:32 5:11
Quoniam tu solus sanctus 4:13 4:37
Cum Sancto Spiritu 3:51 3:36
  33:58 35:39
Credo
Credo in unum Deum 2:00 1:45
Patrem omnipotentem 1:44 1:48
Et in unum Dominum 4:28 4:29
Et incarnatus est 3:05 3:04
Crucifixus 2:58 3:48
Et resurrexit 3:41 3:34
Et in Spiritum Sanctum 5:06 5:02
Confiteor unum baptisma 3:02 3:42
Et expecto resurrectionem 3:36 1:58
  29:40 29:10
Sanctus
Sanctus 4:11 5:17
Osanna in excelsis 2:23 2:20
Benedictus 3:59 4:28
Osanna in excelsis 2:20 2:22
  12:53 14:27
Agnus Dei
Agnus Dei 5:06 5:41
Dona nobis pacem 2:57 3:30
  8:03 9:11
  1:42:25 1:49:02

追記:2008/07/01 現在、FireFox3でこのブログを作成し、表示を確認しているのだが、Internet Explorer 6.0で昨日作ったこの記事を確認したところ、テキストの部分と表の部分の間が非常に大きく開いてしまっていた。そこで、一端IE6.0を立ち上げて、そこでエクセル表の貼り付けを行ったところ、表の体裁(文字の中央揃えなど)は少し崩れたが、Firefox3でみてもIE6.0で見ても同じように見えるようになった。やはり、エクセルとIE, Firefoxでは少し相性の違いがあるようだ。

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2008年6月14日 (土)

ドイツ・ハルモニア・ムンディ50周年記念 50枚セットを買ってしまった

DHM と略すらしいが、SONY/BMG傘下に入ったこともあるのか、50周年記念で膨大な録音が超廉価で発売された。

初回があっと言う間に完売したという話題をいくつかのブログ記事で拝見していて残念に思っていたが、再発売が決定したという話を聞き、またもや久々に禁を破って6/10の早朝HMVに注文を入れたところ、6/13の午後には佐川急便で38*38*22という巨大なダンボールに入って届けられた。中にはクッション類はまったくなく、同時注文の2枚のCDと一緒にラップでくるまれて、それがその大きなダンボール箱の底面に軽く接着された状態で届いた。環境への負荷低減のため発泡スチロールのクッション材の使用を減らすためかと想像したが、底面の補強という点では心配の残る梱包形態だった。ただ、中のCDにはまったく異状なく、傷や凹みもなかった。英語版の表記を写すと "Deutsche Harmonia Mundi 50th Anniversary Edition"  50CDs FROM THE LEGENDARY BAROQUE AND ANCIENT MUSC LABEL とある。HMVの紹介ページはこれ

これまで ハルモニア・ムンディの名前は知ってはいたが、音盤としてはLPもCDも一枚ももっていなかった。これまで聴きたいと思っても聞けずにいたマショーやビーバー、フレスコバルディなどの作品も聞けるし、バッハの曲でもソロ・チェロ組曲やロ短調ミサ、モンテヴェルディの『ヴェスペレ』などの手持ちの音盤の同曲異演盤も聞けるのでと思い、購入に踏みきった。

何から聞いてみようか迷ったが、 【モンテヴェルディ:『聖母マリアの夕べの祈り』(全曲) コンラート・ユングヘーネル(指揮&リュート) カントゥス・ケルン コンチェルト・パラティーノ】は、ガーディナーの録音で何度も聞いている曲なので、聴き比べてみようと聴き始めたところ、ガーディナーの録音が華麗で少し饒舌過ぎると聴こえるほど、まろやかで滑らかな美しさの演奏が聴けて驚いた。DHM自体、その筋では十分有名なレーベルで、私が知らないだけなのだが、このような演奏、録音を聴いてみると、「(当然のことながら)まだまだ世の中は広いものだ」と、陳腐な感想が生まれてきた。

膨大な音盤を蒐集して、未聴状態で放置することをチョモランマにひっかけてミチョランマと言うらしい(座布団数枚もの!)が、この50枚組みのCDは、多彩なラインナップということもあり、多分ミチョランマ登録されることはない!と、自分で決意する次第だ。



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2008年6月12日 (木)

モーツァルト クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581 を聴く

◎レオポルト・ウラッハ Leopold Wlach と ヴィーン・コンツェルトハウス四重奏団(カンパー、ティッツェ、ヴァイス、クヴァルダ)  9:41/8:32/8:02/10:16  〔1951年録音、ヴィーン、コンツェルトハウス、モーツァルトザール〕 MVCW-19020 ウェストミンスター復刻第1期CD

◎アルフレート・プリンツ Alfred Prinz と ヴィーン室内合奏団 (ヘッツェル、メッツル、シュトレンク、スコチッチ) 9:31/6:30/7:34/9:39 〔1979/9/23-25, ヴィーン・ポリフムニア・スタジオ〕DENON 20CO-2841 (Ariola-Eurodisc原盤)

朝方は風を伴う強い雨で、出勤時に相当濡れてしまった。我が家の雨漏りは結構大きい工事をしてもらったのだが、昨夜来の雨で、また始まってしまった。まだ家の中が片付かない。

このところベートーヴェンのピアノ・ソナタを集中して聴いていたが、急にモーツァルトのクラリネットと弦楽四重奏のための五重奏曲を聴きたくなった。

このところずっと聴いていなかった曲だ。

LP時代は、DGのカール・ライスターのクラリネットとベルリンフィルのメンバーによるベルリン・ゾリステンによる演奏をスコアを眺めながら幾度となく聴いたものだった。このクラリネット五重奏曲は、クラリネットの音の魅力もあり、普通の弦楽四重奏曲や弦楽五重奏曲よりも、「入り」易いようだ。(フルート四重奏曲、オーボエ四重奏曲も同様)、木管楽器がメロディーを担うことにより、色彩的な多様さが生まれて、それが比較的初心者にも分かりやすいのかも知れない。私の知り合いのクラシックをその頃聴き始めたという人も、この曲が大好きだと言っていた。

モーツァルト1789年(フランス革命の年)の『コシ・ファン・トゥッテ』の年に作曲された曲で、既に晩年様式である透明な感覚をまとい始めてはいるが、彼岸的な親しみにくさはなく、むしろモーツァルトの室内楽の中では最も聞きやすいものではないかと思う。

最初に音盤で聞いたのは、上記LPだが、その後、プリンツによるCDを入手し、これまた長く聴いた。ウラッハによる名盤は、ウェストミンスター原盤が見つかったとかで、それまでとは格段に音質が向上したという謳い文句で発売されたもの。確かにウラッハのクラリネットのキーを開け閉めするカチカチという音まではっきり聞き取れる。1950年代のヴィーンは、バリリやこのコンツェルトハウスなど、戦後すぐとは言え、充実した音楽活動が始まっていたようだ。そこに目をつけたウェストミンスターレーベルも大したものだとと思う。

ウラッハ、コンツェルトハウスの演奏は、少し表情過多かと思うし、モノーラルということで、楽器の分離が少し苦しいが、少々退廃的な感じさえうかがわせ、今では得られないヴィーン情緒・スタイル一杯の演奏で、アンサンブルとしての一体感や様式感の見事さは素晴らしく、やはり一度は聴いておくべきなのかも知れない。ただ、(私としての現代である1970年代の演奏の)プリンツたちのよりくどさがない演奏に共感を覚える。セルではないが、「新鮮なアスパラガスをチョコレートで味付けする必要はない」からだ。

その点で言えば、ベルリン・ゾリステンの演奏は、巧いが少しドライだったと記憶する。

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2008年5月 6日 (火)

名曲探偵アマデウス 事件ファイル#5 シューベルトの弦楽四重奏曲『死とおとめ』

日曜日の深夜11時半から放送のものをビデオ録画しておいて5月5日の月曜日に鑑賞した。

5月4日の日曜日は、ちょうど「藤子F不二夫」特集をやっていて、その大ファンの長男が是非行きたいといっていた杉並アニメーションミュージアムを見学に行ってきた。中央線の荻窪駅で下車し、北口を出て、青梅街道に沿って西へ約1.5kmほど歩いて、荻窪警察署の信号を左に折れると杉並会館という区立の会館があり、その3階にこのミュージアムがある。入場料は無料。http://www.sam.or.jp/ 展示品を見たり、アフレコを体験したり、トレースで絵を描いたり、DVD室で好きなアニメを見たり、映写室で藤子F不二夫の作品(チン・プイ)を見たりして半日ほど楽しめた。

翌5月5日は、天気もよくなく、一日家で過ごし、子ども達は休み中の宿題を全部終わらせたが、ちょうどお昼ごろ、事件ファイル#5を楽しんだ。

題材は、『死とおとめ』の第1楽章と第2楽章。第1楽章では、わずかの小節数の間に、何と6回も転調をしているということがこの音楽の特徴として指摘されていた。また、有名な歌曲『死と乙女』の冒頭の葬送行進曲的な音楽をテーマにした変奏曲だが、短調の部分から急に長調に転調するときの「属9の和音」?の使い方の素晴らしさが指摘されていた。通常、短調から長調に転調するときに使われるこの和音は、フォルテやアクセントなどで強調されるのだが、シューベルトは、ここでデクレッシェンドの後に大変ひっそりと奏でるように指定してあるということが、玉川大学の准教授(先日の悲愴でも登場)が語っていた。

この曲を書き始めた頃のシューベルトは、不治の病梅毒に自分が冒されたことを意識しており、体調も悪かった。絶望的な気分で作曲を始めたが、次第に死と正面から向き合い、それを受け入れるようになっていったというようなストーリーだった。

この曲は、これまで非常に不吉な音楽として捉えていたのだが、今回のような「前向き」の捉え方ができるというのはこじつけとも思えず、参考になった。

女性三人、男性一人(チェロ)の古典四重奏団という団体が演奏を担当したが、なかなか巧い演奏だった。

ディスクでは、非常にスケールの大きいように聴こえてしまい苦手だったアルバン・ベルク四重奏団のものと、「シューベルティアーデ」のセットで、往古の名盤のブッシュ四重奏団のものを持っているがこれまであまり熱心に聴いていなかった。少し前向きに聴いてみよう。

5月6日(火)連休最終日は、久しぶりの好天に恵まれ、湿度も非常に低く爽やかな初夏の一日だった。大山詣でをしてきて、リフレッシュでき、体調は非常に快調だ。

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2008年5月 3日 (土)

リヒテル、ボロディン四重奏団の『ます』五重奏曲

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シューベルト
ピアノ五重奏曲 イ長調 作品114 D.667 「鱒」(ます)

スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)
ボロディン弦楽四重奏団員
 ミハイル・コペルマン(ヴァイオリン)
  ドミトリー・シェバーリン(ヴィオラ)
 ワレンチン・ベルリンスキー(チェロ)
ゲオルク・ヘルトナーゲル(コントラバス)

13:27/8:28/4:24/7:38/9:55
〔1980年6月18日、オーストリア、シュロス・ホーエネムス〕

熱狂の日(La Folle Journée au JAPON)というフランス生まれの音楽祭が日本でも開催されるようになってこれで4回目(4年目)らしい。ベートーヴェン、モーツァルト、「民族のハーモニー」についで、今回はシューベルトとのこと。今年は実家にも帰省しないので、行こうと思えば聴きに行けるのだが、どうも出不精なので足が向かない。訳の分からないチケットの入手が一番面倒だ。チケット前売りや当日券の有る無しに思い悩むのは精神衛生上、私にとってはよくない。

それでも、シューベルトが注目されるということで、この曲を。新緑の季節は、ちょうどこの五重奏曲にふさわしいということもあるが、今日の憲法記念日は昨日からの雨が残っている。朝8時ごろ、ようやく空が明るくなり始めた。

さて、以前からエアチェックで親しんできたこのリヒテルとボロディン四重奏団という超ド級のイメージのある演奏の録音が、シリーズものの超廉価で入手できたので、聴いてみた。

河島みどり『リヒテルと私』にも登場したが、このボロディン四重奏団は、リヒテルが主宰したフランスのツール音楽祭でも常連メンバーで、いわゆるリヒテルファミリーの一員だったとのこと。ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の全曲録音で知られたクァルテットなので、リヒテルとのアンサンブルは超ド級というイメージがして派手で大味な演奏の記憶があったのだが、聴きなおしてみると意外にも気心が知れた同士の親密な演奏が楽しめた。

相変わらずシューベルトにおけるリヒテルのピアノの音色は輝かしく美しい。

なお、楽譜を確認したわけではないがリヒテルはフィナーレのリピートを行っているようで、タイミングが非常に長くなっている。

リヒテル盤 13:27/8:28/4:24/7:38/9:55
ホルショフスキー盤 9:21/7:43/4:05/8:16/6:44
ブレンデル盤 13:25/7:05/3:54/7:42/6:10

 

参考記事:

2006年3月16日 (木) ホルショフスキー、ブダペストQの鱒五重奏曲
 

2008年1月16日 (水) シューベルト ピアノ五重奏曲『ます』 ブレンデル、クリーヴランド弦楽四重奏団員

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2008年5月 2日 (金)

ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第4番 ルビオ・クァルテット

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ショスタコーヴィチ

 弦楽四重奏曲 第4番 ニ長調 作品83(1943年)

  ルビオ・クァルテット

  〔2002年4-9月、ベルギー、Mullemの教会での録音〕

  1.Overture (moderato con moto)    8:03
  2.Recitative & Romance (adagio)   10:53
     3.Waltz (allegro)                          5:59
     4.Theme & variations (adagio)      10:47   

 

まだ、ホームページを更新していた2003年に購入したもの。それ以来積んどく状態が続き、まだ全曲を聴いていない。バルシャイの交響曲全集も寝入りばなの睡眠導入でようやく全曲聴いたのだが、全部が全部きちんと音楽に向き合って聴いていない。ショスタコーヴィチの生誕100周年の2006年にも聴こうと思いつつ結局聴かず仕舞いだった。

今回4月の4番という自己流の企画で、これまで未聴だったり、まともに記事を書いていない音盤を聴きなおしており、先日カラヤンのブラームス交響曲第4番から三回連続で結構重い内容の音楽を聴いてきたので、この辺で少し気分転換をしようと思い、いくつか棚から取り出して来たうち、これを聴いてみようと思った次第。

ただ、聴くと言っても、まったく耳なじみのない曲ではあるし、楽曲解説もこのCDに付いている英文のものしかないので、把握という点ではひどく心もとない。バルトークの場合は、結構聴いて理解したいという動機付けがなぜかあったのだが、ショスタコーヴィチにはあまりそのようなものがない。ただ、交響曲が、公衆に向けての作曲家のメッセージであるとしたら、弦楽四重奏曲は、個人的な心情の吐露であるとも言われるが、ショスタコーヴィチのような立場の作曲家の場合、それが許されたのだろうか?シンフォニーとクァルテットをちょうど同じ数、15曲残したこの作曲家の場合、ソ連の歴史と絡めて時系列的に追って行く聴き方で、何かを聴けるかも知れないとは思うし、看過できない存在ではある。

というふうに書いてきたが、いつの間にか5月に入ってしまった。ハイティンク指揮の交響曲第5番、第9番をゲットして聴いたところ、なるほど指揮者、オーケストラによって同じ曲でも聴きやすさが違うなと思い、またショスタコーヴィチへの興味が湧いてきた。まったくこの曲については触れていないが、この辺でアップしよう。

 

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2008年4月 7日 (月)

4月ということで4に因む曲に想いを馳せる

交響曲で第4番といえば、私が一番に思い出すのは、マーラーの交響曲第4番だ。ただ、この曲は、以前にまとめ記事を書いたことがあるので、また改めて記事にはしにくい。

このような一桁番台の交響曲では、ハイドン、モーツァルトはあまり思い浮かぶことなく、ベートーヴェン以降の交響曲が寡作の時代になってからがどうしても主役になってしまう。もちろんベートーヴェンではカルロス・クライバーの雄渾な第4を思い出し、シューベルトの『悲劇的』、メンデルスゾーンの『イタリア』、シューマンの第4番と来て、ブルックナーの第4番『ロマーンティシュ』はベーム/VPOのLPとブラームスの第4番ではセルとクリーヴランド管のLPを懐かしく思い出す。その後、ドヴォルザークの第4は未聴。チャイコフスキーの第4はよく耳にした曲だし、セルやムラヴィンスキー、小澤のCDもあるが、記事にするにはもう一つ。シベリウスも第4以降は未踏峰。プロコフィエフは未聴。ショスタコーヴィチの第4も難解だ。ニールセンの第4番は、例の『不滅』だ。

視野を広げると、協奏曲、室内楽なども視界に入ってくる。

弦楽四重奏曲は、それ自体、4に関係があるわけだし。

これもハイドン、モーツァルトは多作過ぎて、4番の曲は初期の作品になってしまうので、4番と言っても直ぐに思い浮かばない。ベートーヴェンの4番はハ短調作品18の4で、初期の作品18の6曲セットに含まれるが。現代に近くなり、バルトークの第4番は、難曲だが傑作だと思う。この曲が第4番として思い浮かぶ最も好きな曲かも知れない。これも以前まとめて聴き比べしたことがあった。ショスタコーヴィチも弦楽四重奏曲を15曲残しており、1949年に作曲されたのが、第4番ニ短調になるようだ。

チェロソナタでは、ベートーヴェンの第4番があがるが、あまり馴染んでいない。

協奏曲では、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲、ベートーヴェンのピアノ協奏曲がある。バッハのブランデンブルク協奏曲もはずせないし、チェンバロ協奏曲もある。4番ではないが、4台のチェンバロのための協奏曲などというものもある。

ソロでは、ショパンには、ワルツ、ポロネーズ、ノクターン、スケルツォ、バラード、マズルカなどに、第4番がある。バッハの平均律クラヴィーア曲集にも、チェロ組曲にも、パルティータにも、イギリス組曲、フランス組曲にも、インヴェンションとシフォニアにも、4番がある。

オペラの番号制のアリアにも4番はあるわけだし、そのほか声楽曲でも「四つの最後の歌」(R.シュトラウス)などというものもある。

ポピュラーな曲集では、ハンガリー舞曲やスラヴ舞曲にも4番がある。

そのほかは、今はあまり思い浮かばないが、4月という、日本的に言えば新年度の始まりの時、春の盛りというような陽光きらめく雰囲気の数字でもあるので、何かそのような曲を選んでみたいような思いがしている。

今日はあれこれ思っただけで、具体的な曲は聞かなかったので、明日以降聴いていきたい。



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2008年2月23日 (土)

ドヴォルザーク スラヴ舞曲作品46の2 ホ短調

先日、西崎崇子とイェネ・ヤンドーのデュオCDで、ドヴォルザークのスラヴ舞曲をクライスラーが編曲したものを聴いたが、曲目リストをよく見ると「スラヴ舞曲第1番ト短調」と書かれていた。何かの間違いではないかと、クーベリック指揮バイエルン放送響のオーケストラ版の全曲のCDと、ベロフ&コラールによるオリジナルの連弾用の全曲CDを取り出して来て確認したら、くだんの曲は両方とも 「作品46の2 ホ短調 アレグレット・スケルツァンド」となっていた。

こういうときは、頼りになるクラシック・データ資料館の作品表にあたってみると、クライスラーはドヴォルザークのスラヴ舞曲から3曲編曲しており、また演奏のしやすさのためか、移調も行っているようだ。それについては、西崎・ヤンドーの元記事にも訂正を入れておいたが、簡単にまとめると次の通り。

原曲                                         クライスラー編曲
スラヴ舞曲第2番ホ短調 Op.46-2  スラヴ舞曲第1番ト短調(移調)
スラヴ舞曲第10番ホ短調Op.72-2  スラヴ舞曲第2番ホ短調
スラヴ舞曲第16番変イ長調Op.72-8 スラヴ舞曲第3番ト長調(移調)

同じOp.46-2 でも、ベロフとコラールの連弾は、ナマの素材という感じで少々粗っぽい音楽に聞こえる。彼らのデュオだけでなく、どうも連弾のピアノというのは、ソロピアノに比べて響きの透明性やアンサンブルの精緻さのようなものはあまり聴けないように感じるのだがどういうものだろうか。それでも耳が慣れてくると音楽の骨格がよく見えるようでそれなりに楽しめる。ただ、実際にはこの程度の連弾を弾きこなせるチカラがあれば、アンサンブルをするのが楽しいだろうとは思う。(所要時間 3:53)

一方、ドヴォルザークがオーケストラ用に編曲した方は、クーベリックとバイエルン放送響の黄金コンビのもので、非常に丁寧な(少々丁寧すぎる)演奏が特徴のもので、同じ曲でも流麗さや繊細さが際立ち、中間部のリズミカルな部分でも別の曲を聴いているような感じがするほどだ。華麗なオーケストレーションというわけではないが、オーケストラの表現能力の幅広さというものを感じさせてくれる。また、こういう演奏を聴くとドヴォルザークのオリジナルの作品(ピアノ連弾)の音型(トリルの多用など)も必ずしもピアノの演奏だけを前提にしたものではなく、オーケストレーションを前提にしたものだと想像されてくる。(所要時間 4:42)

最後に、改めてクライスラー編曲でOp46-2を聴いた。こちらは、ホ短調から3度上に移調しているのはそれほど気にならないが、アレグレット・スケルツァンドというよりもずっとノスタルジックで優雅な演奏になっているのは、演奏者の解釈なのか編曲者の指定なのだろうか?また中間部で、転調が微妙な部分が現れるが、これも編曲者の指定なのか、演奏者の音程的なミスのようなものなのか。また時間的にも相当原曲を縮めている。結構いろいろ考えさせられる録音ではある。(2:43)

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2008年2月15日 (金)

ショーソン『コンセール』 アモワイヤル、ロジェ、他

Chausson_franck_amoyal エルネスト・ショーソン(1855-1899)
  コンセール(ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための)ニ長調 作品21 〔4楽章形式〕

 併録 フランク ヴァイオリン・ソナタ〔1994年2月録音〕

  ピエール・アモワイヤル(vn), パスカル・ロジェ(p), イザイ弦楽四重奏団〔1994年5月録音〕

ショーソンといえば、ヴァイオリンとオーケストラのための『詩曲』(Poèm)作品25で知られる作曲家だが、不思議な縁でこの人の「交響曲 変ロ長調 作品20」を先日江藤俊哉氏関係で書いた東北大学の交響楽団をチェコの名指揮者ズデニェック・コシュラー氏が指揮したコンサートでナマで聴いたことがある。予習をするにも身近に音源も楽譜もなかったので、まったくの初演を聴くようなぶっつけ本番の体験だったため、曖昧模糊とした記憶しか残っていないのだが。

傑作『詩曲』は、ヴァイオリンのアンソロジーCDにいくつか収録されているかと思って探したら、ウチにはハイフェッツの1952年録音のものしかないようだ。

ショーソンは、サン=サーンスのフランス国民音楽協会に参加し、主に器楽曲を作曲したらしい。このコンセールという曲は、そのまま綴ると Concert であり、コンサート、コンチェルトとなるが、大変珍しい編成で、ピアノ五重奏曲+独奏ヴァイオリンというのか、ヴァイオリンとピアノ独奏のソロと弦楽四重奏のリピエーノでの合奏協奏曲的なもののようにも思えるが、他にこのような珍しい編成の曲はあまりないように思う。ショーソンの曲の中では比較的有名なものらしい。

ヴァイオリン2本とヴィオラ、チェロの弦楽四重奏に同じヴァイオリンが加わるので、ヴァイオリンは合計3本にもなるが、伴奏的な弦楽四重奏は背景を務め、ソロと弦楽合奏との間には協奏曲的な掛け合いはそれほど用いられれないようで、独奏ヴァイオリンと独奏ピアノのデュオがほとんど前面に出ている。その意味で楽器編成としては特殊だが、それほど効果的ではないように(まだ数回聴いただけだが)感じる。

第1楽章 Décidé - Calme - Animé 

第2楽章 Sicilienne

第3楽章 Grave

第4楽章 Trés animé

どの楽章も「どことなくフランス近代音楽だ」という雰囲気を漂わす物憂げで流線型で明快でない楽想に溢れている。その点、フランクにも相通じるところがあるが、フランクの場合には、平明な長調で朗々と歌う部分でカタルシスが得られるのだが、ショーソンの場合は、ニ長調が主調のはずだが、交響曲の印象と同様、どうも曖昧模糊、行きつ戻りつが多いようだ。

その意味では、フォーレの少々晦渋なピアノ五重奏曲などに通じる部分があるようにも思える。

併録のフランクのヴァイオリン・ソナタは、この前のデュメイとピリスに次いで購入したもので別の機会に感想を書いてみたいが、結構楽しめた。

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2008年2月14日 (木)

ハイドン『ひばり』四重奏曲 ベルリン弦楽四重奏団

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ヨーゼフ・ハイドン

弦楽四重奏曲第67番ニ長調Op.64-5「ひばり(Lerchen)」, Hob.III-63 (1790) 

ベルリン弦楽四重奏団(ズスケ四重奏団)

併録 伝ハイドン作 弦楽四重奏曲第17番ヘ長調Op.3-5「セレナード(Serenade)」Hob.III-17〔疑作〕〔※R.ホーフシュテッター作?〕 フィルハーモニア・クァルテット・ベルリン

モーツァルト 弦楽四重奏曲第17番変ロ長調K.458「狩り(La chasse[Jagd])」(1784/1785出版)〔ハイドン・セット第4番〕 パノハ四重奏団

音楽史 初演 カレンダーによれば、昨日2月12日は、1797年には「ハイドンが、神聖ローマ皇帝フランツ2世の29歳の誕生日を記念して皇帝賛歌「神よ、皇帝フランツを護りたまえ」をブルク劇場で初演させる。」、1924年には「ガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」が初演される。」という日だった。

ハイドンの『皇帝』四重奏曲は、2006年10月22日 (日) ハイドン 弦楽四重奏曲『皇帝』『日の出』 東京クヮルテットで一応取り上げているので、同じハイドンの四重奏曲から、『ひばり』を聴いてみた。

このCDは、相当初期のもので、このような別団体によるオムニバス的な編集ものだが、2800円もしたもので、私とCDとの付き合いのうちでは最初期からの友でもある。

『ひばり』は、作品64の5(ホーボーケンⅢの63)という番号を持つ曲で、ここでは、カール・ズスケ主催のズスケ・カルテット(ベルリン弦楽四重奏団)という名団体の演奏が収録されている。ベートーヴェンの四重奏曲の録音でも馴染んだ団体による非常に丁寧な演奏であり、一曲目の西ベルリンの団体の明朗さに比べると、録音のせいもあるのか、いわゆる渋さを感じさせる。そのためか音楽が音響として上滑りせず、実質のあるメッセージを語りかけてくれるような感じの演奏だ。

伝ハイドン(現在は、ホフシュテッター作とされている)の『セレナード』と呼ばれている作品3の5(ホーボーケンⅢの17)は、フィルハーモニア・クァルテット・ベルリンによって演奏されているが、このメンバーには、日本人初のベルリンフィル団員だったヴィオラの土屋邦夫氏がメンバーとして名を連ねている。また、モーツァルトの『狩』の四重奏曲は、パノハ四重奏団によるもので、ベルリン弦楽四重奏団の落ち着いた演奏に比べると、非常に初々しい流動的な表情付けが印象的だ。名四重奏団を沢山生んだプラハの団体だが今はどうしているだろう。

もう20年以上も前に室内楽入門用に購入したもので久しぶりに取り出して聴いてみたが、音も劣化せずにしんみりと聴け、懐かしかった。

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2008年2月13日 (水)

ベートーヴェン ピアノ三重奏曲『大公』『幽霊』アシュケナージ、パールマン、ハレル

Beethoven_pianotrio_ashkenazy_perlm ベートーヴェン

ピアノ三重奏曲 第7番 変ロ長調 作品97『大公』

同 第5番 ニ長調 作品70の1『幽霊』

アシュケナージ(p), パールマン(vn), ハレル(vc)

〔作品97 1982年2月22-24日ニューヨーク、RCAスタジオ ディジタル録音。作品70の1 1979年6月&1984年4月ロンドン、アビーロードスタジオ アナログ録音〕

これまで、デッカレーベル録音のアシュケナージのピアノの音について、結構辛らつに批判を書いてきた。ところが、このEMIレーベルの録音でのアシュケナージの音色は、デッカ録音とは少し様子が違うのに驚いた。相変わらずにじんだような音色ではあるのだが(これがやはり彼のピアノの音色なのだろう)、それほど違和感を感じないのだ。ただ、少し指捌きの点では不安定な部分がところどころあるように聞こえてしまうことがある。

名曲『大公』トリオでは、『海辺のカフカ』関係で、例の百万ドルトリオの古い録音のリマスタリングCDを先年聴いたが、今回はこの「新・名曲の世界82」で気軽に楽しませてもらっている。ルービンシュタイン、ハイフエッツ、フォイアマンという当時のビッグネーム達の張り合いとは異なり、現代のビッグネームたち(往時に比べると少し超絶性や神秘性のヴェールが剥ぎ取られた現代人でもあり、ハレルはソリストとしてはアシュケナージとパールマンよりも少し格下だろう)は、ずっと和やかにベートーヴェンの後期の傑作で対話を繰り広げている。

勿論、この曲には、百万ドルトリオ以外にも、例のカザルス、ティボー、コルトーによる超絶的な名人達のトリオの録音も残されており、今なおその評価が高いので、同じ路線で対抗しても仕方がないというところもあるのだろう。

ベートーヴェンのピアノトリオは、それほど多くの演奏や曲目に接したことがあるわけではなく、これまでに有名な『大公』トリオ以外は、グールドがピアノを務めた『幽霊』程度しか聴いたことがない。それでも『大公』『幽霊』ともアシュケナージ・パールマン・ハレルトリオの演奏は、伸び伸びと健康的で楽天性を感じさせてくれるところに長所があるように感じた。特に、『大公』では時に退屈することのある第3楽章の変奏曲を彼らは丁寧にメリハリをつけて弾いているのが好ましい。

録音は、特に『大公』の方は相当のオンマイクだが、音割れ等はなく、パールマンとハレルの弓と弦の擦れる瞬間の音までが捉えられており、細部まで明瞭で、全体的なバランスにも悪くないように聞こえる。

ところで、録音データで『幽霊』の方が、ミスの編集なのか1979年録音と1984年録音が並べて書かれているのが不思議だ。

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2008年2月 7日 (木)

ヴァイオリン小曲集 西崎&ヤンドー

Violin_miniatures_nishizaki_jando

Viloin Minatures

Naxos 8.550306(Naxos へのリンクで、ここから曲目紹介をコピーさせていただいた)

曲目一覧:

1.F. クライスラー FRITZ KREISLER (1875-1962) 美しきロスマリン Altwiener Tanzweisen No. 3, "Schön Rosmarin"

2. L. ボッケリーニ LUIGI BOCCHERINI (1743-1805) 弦楽五重奏曲 ホ長調 Op. 11 No. 5, G. 275 - 第3楽章 メヌエット (編曲:G. ハドック) String Quartet in E major, Op. 11, No. 5, G. 275: III. Minuetto (arr. G. Haddock) 03:31

3. S. ラフマニノフ SERGEI RACHMANINOV (1873-1943) パガニーニの主題による狂詩曲 Op. 43 - 第18変奏 (編曲:クライスラー) Rhapsody on a Theme of Paganini, Op. 43: Variation 18 (arr. F. Kreisler) 02:58

4. F. クライスラー FRITZ KREISLER (1875-1962) ベートーヴェンの主題によるロンディーノ Rondino on a Theme by Beethoven 02:33

5. Z. フィビヒ ZDENEK FIBICH (1850-1900) (詩曲)Moods, Impressions and Reminiscences, Op. 41: No. 6. Poeme 02:43

6. E. エルガー EDWARD ELGAR (1857-1934) 愛の挨拶 Op. 12 Salut d'amour, Op. 12 03:04

7. F. クライスラー FRITZ KREISLER (1875-1962) 愛の悲しみ Liebesleid 03:28

8. 愛の喜び Liebesfreud 03:35

9. E. グラナドス ENRIQUE GRANADOS (1867-1916) (アンダルーサ 祈り)12 danzas espanolas, Op. 37: No. 5. Andaluza (arr. F. Kreisler) 03:46

10. C. ドビュッシー CLAUDE DEBUSSY (1862-1918) ベルガマスク組曲 - 月の光 Suite bergamasque: III. Clair de lune (arr. A. Roelens) 04:50

11. J. ブラームス JOHANNES BRAHMS (1833-1897) ハンガリー舞曲集 WoO 1 - 第17番 (編曲:F. クライスラー) 21 Hungarian Dances, WoO1: Hungarian Dance No. 17 in F sharp minor (arr. F. Kreisler) 04:05

12. F. シューベルト FRANZ SCHUBERT (1797-1828) 6つの楽興の時 Op. 94/D. 780 - 第3番 ヘ短調 (編曲:クライスラー) 6 Moments musicaux, Op. 94, D. 780: No. 3 in F minor: Allegro moderato (arr. F. Kreisler) 01:56

13. J. マスネ JULES MASSENET (1842-1912) 歌劇「タイス」 - 第2幕 瞑想曲(編曲:M.P. マルシック) Thais, Act II: Meditation (arr. M.P. Marsick) 05:16

14. A. ドヴォルザーク ANTONIN DVORAK (1841-1904) ユーモレスク 変ト長調 Op. 101 No. 7 Humoresque No. 7 in G flat major, Op. 101, B. 187 (arr. F. Kreisler) 03:11

15. P.I. チャイコフスキー PYOTR IL'YICH TCHAIKOVSKY (1840-1893) (ハプサールの想い出) Souvenir de Hapsal, Op. 2: No. 3. Chant sans paroles (arr. T. Nachez) 03:02

16. A. ドヴォルザーク ANTONIN DVORAK (1841-1904) スラヴ舞曲第2番 Op. 46 No. 2 Slavonic Dance No. 2 in E minor, Op. 46, No. 2, B. 170 のクライスラー編曲(ト短調)03:52
(クライスラーの編曲では、ト短調に移調されて、スラヴ舞曲第1番とされる。なお、スラヴ舞曲第10番ホ短調Op.72-2は、クライスラー編曲では第2番ホ短調で、スラヴ舞曲第16番変イ長調Op.72-8は、クライスラー編曲では第3番ト長調となる。)

17. P.I. チャイコフスキー PYOTR IL'YICH TCHAIKOVSKY (1840-1893) 中級程度の12の小品 Op. 40 - 第2番 悲しい歌 ト短調(編曲:T. ナシェ) 12 Morceaux, Op. 40: No.2. Chanson triste (arr. T. Nachez) 02:46

18. F. クライスラー FRITZ KREISLER (1875-1962) ウィーン奇想曲 Op. 2 Caprice viennois, Op. 2 04:40

西崎崇子 - Takako Nishizaki (ヴァイオリン)イェネ・ヤンドー - Jeno Jando (ピアノ)

ナクソス社長夫人である西崎崇子(にしざき たかこ)のヴァイオリンと ナクソスの重要なピアノレパートリーを任されているハンガリー出身のイェネ・ヤンドーによるヴァイオリンの小曲集。 いちいち曲目を打ち込むのは面倒だと思って、ナクソスのサイトで検索したら、これほどの小品集に対してこれほどの詳細な曲目リストがついていたので、驚いて引用した次第。(日本語名がないものを若干補足してみた。)

西崎のヴァイオリンとヤンドーのピアノは、ピアノの低音のバランスが少々強くかぶり気味なのと、自然な録音を心がけているとは言え、少々音色的な魅力に乏しいのがちょっとした難点だが、どの曲も素直にストレートに弾かれており、リラックスできる演奏になっているように感じる。

2月6日の関東地方は、午後から雪交じりの小雨になり、非常に寒い一日だった。入試シーズンでもあり、我が家でも長男が挑戦して、何とか志望の学校に入れることになった。非常に手のかかる世話を教員の皆さんにお願いすることになるのだが、本人の資質が萎縮することなく伸びていって欲しいと思う。

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2008年1月31日 (木)

オイストラフ&オボーリンの『クロイツェル』『春』

Oistrakh_beethoven_5_9_2 ベートーヴェン(1770-1827)

ヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調 作品47『クロイツェル』
 11:43/15:26/7:00

ヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 作品24『春』
 10:13/6:06/1:19/7:00

ダヴィッド・オイストラフ(Vn), レフ・オボーリン(p)  〔1962〕

そろそろ春の暖かさが恋しくなってきた。「春」を題材やテーマにした音楽は数多いが、このベートーヴェンの「春」は、作曲者本人があずかり知らぬものらしい。しかし、この第5番ヘ長調(田園と同じ調性)の全体に流れる暖かい情緒は、「春」という季節とそう遠くはないのかも知れない。

そこで、フィリップスのAn Excellence of Classic Music シリーズからの分売ものではあるが、古くから名盤と知られたダヴィッド・オイストラフとレフ・オボーリンによる少々古い時代の録音を取り上げてみた。

私の盤歴では、パールマンとアシュケナージによるデッカ録音LPの「春」と「クロイツェル」をまず聴き、その後、シェリングとヘブラーのベートヴェンのソナタ全集のLP(父が購入)で聴き、CDになってからクレーメルとアルゲリッチ(このコンビの「春」の生演奏を長野の県民文化会館という大きなスペースで隔靴掻痒なイメージだが聞いたことがあった)のCDを購入した。また、「クロイツェル」では、シゲティとバルトークによる歴史的な録音もCDとして求めて、以前記事にしたことがある。

また実演歴では、上記の超一流とは別に、長野の丸子町(現在の上田市)のかわいらしいホールで、男性のヴァイオリニストと女性のピアニストのデュオによる一日で全10曲をマラソンコンサートで演奏するというのにつきあったことがある。いろんな意味で大変な聞き物だった。

さて、ベートーヴェン時代のヴァイオリンとピアノのソナタの書法が、現代のグランドピアノの大音量を前提にしていたのかは議論の多いところで、どうしてもピアノのバランスが大きめになってしまう。モーツァルトの時代までは、ヴァイオリンのオブリガートが付いたピアノソナタという書法が主で、必ずしもヴァイオリン主体のヴァイオリンソナタではなかったというが、ベートーヴェン時代はちょうどその過渡期だったのかもしれない。後のブラームスやフランクによる素晴らしいヴァイオリンソナタを聴くとバランス面ではほとんど不満がないが、特にベートーヴェンでは、どうしてもピアノの音量がポイントだと思う。

この点、オイストラフとオボーリンのコンビは、初期のステレオ録音ということもあるのだろうが、ピアノがでしゃばりすぎることもなく、ヴァイオリンのバランスもよく、相当安心して楽しめるものになっている。特に「春」が、オイストラフの柔和で穏健な表情のヴァイオリンの演奏もあり、楽しめるように思う。「クロイツェル」は彼らの祖国の先輩であるトルストイが、ベートーヴェンの音楽から受けた衝撃への反発のような形でものした小説があるが、それほど激しい絡み合うような演奏ではなく、どちらかといえば「春」寄りの演奏のように聞こえる。

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2008年1月27日 (日)

傷ついたCDの修復に成功した

2006年10月28日 (土) モーツァルトの弦楽四重奏曲 ABQ の記事を書いたが、これは、(最近まったく更新していない)ホームページに載せてある以前から大切にしているCDだ。

☆弦楽四重奏曲集 アルバンベルクQ (TELDEC 72P2-2803/6) 4枚組み 1976年から1978年録音

第14番 ト長調 K.387 (ハイドンセット第1番、通称「春」)
第15番 ニ短調 K.421(417b) (同第2番)
第16番 変ホ長調 K.428(421b)(同第3番)
第17番 変ロ長調 K.458(同第4番、通称「狩り」)
第18番 イ長調 K.464 (同第5番)  
第1楽章終盤と第2楽章初めがCDの擦り傷のため再生できず。
第19番 ハ長調 K.465(同第6番、通称「不協和音」)
第20番 ニ長調 K.499(通称「ホフマイスター」)
第21番 ニ長調 K.575(プロシャ王第1番)
第22番 変ロ長調 K.589 (プロシャ王第2番)
第23番 ヘ長調 K.590 (プロシャ王第3番)

もう数年前だが