ジョイス ブルームズデイ100周年
ある人々にとっては、6月16日は特別な日である。
アイルランド生まれの小説家 ジェームズ・ジョイスが著した小説「ユリシーズ」が、1904年のこの日のアイルランド国、ダブリン市を舞台にしているからだ。小説の主人公はレオポルド・ブルーム。そのため、この日はブルームズデイと称され、ダブリンはもとより、ジョイス愛好家たちが世界各地でこの虚構にちなむ一日を特別な日として過ごすようだ。特に今年2004年は、その日から数えて満100年になるわけで、リンクを張ったような催しが行なわれる。今朝の朝日新聞の「天声人語」がこのブルームズデイをテーマとしており、そういえばと思った次第。
アイルランドは、仕事で関係ができるまでは遠い国だった。ユナイティッド・キングダムUK)の一地方の紛争の多い北アイルランドとアイルランド共和国との区別、UKと共和国の関係などは、それまでほとんど理解していなかったほどだ。アイルランドが、自分でも知っている「ガリバー旅行記」のスイフトだとか、ジョージ・バーナード・ショーだとかの著名な文学者を輩出したり、USAの大統領だったケネディやレーガンの先祖がアイルランド出身だったり、ショパンで有名なピアノ曲のジャンル「ノクターン」の生みの親がアイルランド出身のフィールドであったり、日本で古くから親しまれている「庭の千草」や「ロンドンデリーの歌」がアイルランド民謡、「怪談」のラフカディオ・ハーンも育ちはアイルランドというような断片的な知識しかなかった。
出張を前に、ネットや書籍(司馬遼太郎の「愛蘭土紀行」は面白かったし、NIFTYフォーラムのアイルランドの部屋では質問や感想の発言をしたりレスをつけたりつけてもらったりした、アイルランド好きが結構いることがわかった)でいろいろ調べたりして、歴史や民族、宗教、音楽などそれなりの知識を蓄えた。そして、出張を2回して、ギネスビールや、アイリッシュウィスキー、パブを味わいはしたが、手が届かないのが、ジェームズ・ジョイスだった。
20世紀のもっとも重要な文学者の一人と評される人の作品を読んでおかねばという義務感から文庫本で「若い芸術家の肖像」「ダブリン市民」を読んでみたが、もうひとつピンと来ない。二度目の出張のおり、ダブリン空港の書店でペーパーバックの「ユリシーズ」を買ってみたが、歯が立たなかったのは言うまでもない。(そのときは、ティンホイッスルとケルズの書の豆本、ケルト美術の歴史がテーマの英書を求めた。フォーラムで教えてもらったミドルトン・ベリーレアなるウィスキーも購入。しかしいまやこれもネット通販で買えてしまう時代!)ジョイス翻訳で著名な柳瀬尚紀氏が新聞でコラムを書いていたり、新書で「ジョイスの謎を解く」を出したので読んでみたりして、ジョイスへの興味は継続中だが、まだ肝心の翻訳を読んでいない。さらに難解とされる「フィネガンズ・ウェイク」なる小説や翻訳の存在もあるんだが。
上記のサイトには英語だが、ユリシーズのチャプターごとのサマリーが載っているので、まずはこれから挑戦してみよう。そういえば、以前、どこかの英文学の講師が第一章の解説をサイトに載せていたのを思い出したが、その後どうなったろう。ググっても引っかからない。
結構詳細な読書日記を見つけた。これ自体結構長いが、大雑把な内容は把握できる(気がする)。筆者の方ありがとう。結構猥雑なのだね。ま、言ってみれば、猥雑さこそ人間性そのものと言えるかも知れないが。
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