ズッコケ三人組
今子どもが「ズッコケ三人組」シリーズに熱中している。
このズッコケシリーズと「怪傑ゾロリシリーズ」が子供達に大人気で、その出版社児童書のポプラ社がこのところ急に元気になっているようだ。コミックブンブンなる子ども向けの漫画雑誌を発刊し、この2種類のシリーズもアニメ化されこの春からテレビ放送されている。また、NHKも数年前放送したズッコケの実写版を少年ドラマシリーズとして再放送し始めた。
ズッコケシリーズ自体は約20年ほど前から那須正幹という児童作家が書き始めたもので、児童文学界のメインでは当初異端視されていたらしい。何でも挿絵が漫画的で、内容も通俗的だということで、この本を書架に置かない、「お堅い」公立図書館や学校があったらしい。しかし、小学生の子どもたちを中心に人気を広げ、いまやシリーズも50巻の大台に近づいている。(作者自身が50巻を目標にしているらしい)。
原作の児童書は、男の子三人組が主人公なので、男の子読者が多いようだ。かつて少年だった父親である私も結構はまり、ペーパーバックが近所の中古書店に売っているので(というのもシリーズ数が多すぎて定価では買えない)、時折買い求めていっしょに読んでいる。
小学校舞台の学園物は当然として、題材が豊富なのがこのシリーズの特徴で、タイムスリップもの、冒険もの、推理もの、怪奇もの、実業もの(株式会社を設立する!)、結婚・離婚問題などなど。時には、作者の手抜き的なものも感じることがあるが、どれもそれなりの水準で書かれている。
買い求めたものや子どもが図書館で借りてきたものをあわせると既に20巻以上読んだと思う。昨日は「ハワイへ行く」という巻を読んだ。始まりは、いつものとおり完全にマンネルというかパターン化しているが、ハワイの日系人移民から情報を提供してもらい、それなりに「勉強になる」知識とストーリー的な面白さが得られるできになっている。
未来に向かう子供達に向けて、世の中の仕組み、特に太平洋戦争を初めとして過去の出来事を興味深く紹介してくれるのは得がたい児童書だと思う。
ただ、少し不満を言えば(まだ知らないだけかも知れないが)、作者の出身地の大きな歴史的な事件である、米軍による原爆投下とその影響については題材の端々には出てくるが、メインテーマにはなっていないようだ。また、エンターテイメント性が強いためか、子どもたちや人間の「悪」についてぼやかしているのも不満といえば不満だ。それにシリーズものの通弊として、少々マニュアル本化しているのではなかろうか?(「ギャラリー・フェイク」や「美味しんぼ」というコミックシリーズと似た感じがする)
それでも、まだ読んだことがない大人には一読をお奨めしたい本ではある。
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