『アダムの呪い』を読んだ
7/5(月)の夕方会社帰りに最寄りの書店の科学書のコーナーに『アダムの呪い』が平積みになっていたので購入した(本体2000円。消費税100円。書籍は内税表示になっていない!)。ちなみに同じ著者の『イヴの7人の娘』は置かれていなかった。早速帰宅の電車待ち時間に読み始めた。
書評や概要紹介などで事前に内容はおおまかに知っていた(よくない読み方だ)ので、サマーレッドというスコットランドの英雄やかのチンギスハーンのY染色体がおそるべき多さで現代の男性に伝わっているという推測にはそれほど驚かなかったが、英雄、侵略、領土拡張のある面での本質というものを思い知らされるエピソードだった。ただ、ある地域の男性に共通のY染色体が伝わっている事実と、その染色体が歴史上のある特定の人物のものであるという想定は、あくまでも仮説にしか過ぎないのではないか。
また、Y染色体追跡後に書かれているこの著者サイクス氏による文明論は簡潔にまとまっているが、それほど目新しい内容はない。狩猟・採集生活から農業・牧畜生活に文明的な進歩が見られたとき、私有制が開始され、財産・権力・地位・名誉をめぐる争いが始まった。そこにY染色体の生存戦略が絡まっていくというもの。そして、それが現代社会の加速度的な急激な変化をもたらし、地球環境を破壊中であり、その流れはとどまりそうもない。しかしその一方でY染色体は次第に活力を失って行っている。男性の精子数が減少、奇形精子の比率が増え、不妊が増加しているという。これがアダムの呪いということだ。
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