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2005年1月17日 (月)

推理犯罪探偵小説を読む

いろいろ心配事やわずらわしいことがあり、気を紛らわすためいわゆる探偵ものを読みつづけた。アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」。真犯人の動機が少し弱いというか理解できない部分がある。

天藤真「大誘拐」。殺人もなく非常に爽快なエンターテインメントピカレスクだが、やはりその動機には心服し得ない。ネタバレをおそれずに言えば、巨大山林地主対国家。爽快とは言え、振り回された警察その他多くの関係者が可哀想ではないか。

それに探偵ものではないが、刑務所を4度にもわたって脱獄した囚人を題材にした吉村昭「破獄」。土曜日、日曜日が氷雨模様だったため、家に篭もって読んだ。実話に基づく小説だけあって、作り物にはない納得力があった。

続けて、宮部みゆき「理由」を読み返した。非常によくできたものだが、これも真犯人の動機が少し弱いように思った。ネタバレになるので、あまり書かないが、ルポルタージュという形式のため、死んでしまった真犯人にインタビューするわけには行かないという制約があり、殺人をするまでに追い詰められる真犯人の感情的、心理的な状況の描写がまったくない。おそらく「理由」というタイトルは、「動機」と読み替えてもいいのだろうが、死人に口なしの状態ではどうしようもない。各自解釈せよということか。真犯人は、殺人までやらなくても、そこから逃げるだけでもよかったのではないのか?逃げて、生活を立て直し、新たな家族を作ることもできたのではないのだろうかと思うので、少々説得力不足だと感じたわけだ。

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