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2005年2月 3日 (木)

メンデルスゾーンの誕生日とみずがめ座

最近「中年会社員の観察日記」の中年会社員さんとBLOG間で会話をさせてもらっているが、今日付けで、「今日は何の日? 【2月3日】 「結婚行進曲」の作曲者、メンデルスゾーン誕生(1809~1847)」という記事を読んで思いついた。

誕生日がみずがめ座(実は私もそう)の音楽家がモーツァルト(1/27),シューベルト(1/31),メンデルスゾーン(2/3)と続くとなにやらその共通性を探りたくなってくる。シューベルトが幼児期の神童伝説がないのだけは別だが、いわゆる幼児期から神童の名をほしいままにし、大量の作品を残し、そして夭折した。(西洋占星術自体に興味があるわけではないけれど)

さて、メンデルスゾーンについては、以前このBLOGでもコメントを書いたことがあった。

●2003年8月7日 (木)  フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディについて

ヤフー掲示板の音楽>クラシック>全般に音楽と政治なるトピがある。そこでメンデルスゾーンはユダヤ人か否かという議論になっている。祖父モーゼスはユダヤ人哲学者で、音楽家の伝記の分野では、その著書をW.A.MOZARTが蔵書として所有していたことでも知られている。しかし、メンデルスゾーンがユダヤ系としてもプロテスタントに改宗しているからユダヤ人ではないと主張する人がいる。(この人はどうやら宗教に関心があるらしく宗教系のトピによく投稿している。)要はユダヤ人の定義の問題で、それを宗教的な概念とするか、人種的、民族的な概念として捉えるかで、その主張の是非が変わってくるものだ。

メンデルスゾーンのことを少し調べると、バルトルディという二重姓を後年つけたのは、もうユダヤ教徒ではなくプロテスタントへ改宗したことを世間的に主張するためのものだったらしい。内面的な問題を外部に主張しなくてはならないという苦悩。

彼の音楽が「ユダヤ人」として、ナチ時代のドイツでマイヤベーヤ、マーラーの曲と並んで演奏禁止の憂き目に遭ったのは、よく知られた事実であり、ナチの「ユダヤ人」定義では、やはりカトリックに改宗したマーラーと並んで「立派に」ユダヤ人扱いされていた。宗教は内面的な問題であるが、政治は暴力装置を後ろにちらつかせた外形力によって支配する。その是非を問わずとも、改宗者メンデルスゾーンはユダヤ人として死後も差別され続けた。おそらく、マイヤベーヤとメンデルスゾーンはヴァーグナーと不和だったらしく、ヴァーグナーによる「音楽におけるユダヤ性」という著作で(ヴァーグナーがメンデルスゾーンの死後に匿名で発表した雑誌論文とのこと)非難されていて、ヒトラーがその影響下にあったのではなかろうか?だが「立派な」ユダヤ系のシュトラウス一家の音楽はナチ政権下でも普通に演奏されたというのは権力の恣意性を象徴し、差別というものの本質を表す笑止千万な出来事である。

このような堅苦しい話は置いておいて、メンデルスゾーンの傑作「夏の夜の夢(一般には真夏の夜の夢)」の音楽関連を。

メンデルスゾーンがわずか17の時に、彼以外には到底書けないだろうと言われる妖精的でスケルツァンドな序曲を作曲し、後に戯曲全体用に付随音楽を作曲した。(有名な結婚行進曲はこの中に含まれる。C.デイビス指揮ボストン交響楽団の録音を自分の結婚披露宴に使わせてもらった)。

ところで、この付随音楽付きのシェークスピアの上演を見たいというのがNIFTYのFCLAに参加して発言していた頃からの私の希望で、そのような質問をしたこともあったが、残念ながら回答はなかった。今ならGOOGLEなどで、いくつかのキーワードを入力すれば、入手できるDVDなどの情報は簡単に得られるが。(ただ、肝心のフル・メンデルスゾーン・バージョンは見つかっていない。)

この情報にも出ているが、近年の作品で、著名な女優のミシェル・ファイファー、キャリスタ・フロックハート、ソフィー・マルソーらが妍を競った映画「真夏の夜の夢」がDVDで店頭に置いてあり、手にとったところ、メンデルスゾーンの名前が出ていたので期待して早速購入した(昨年)。ところが、序曲(小澤ボストンとクレジットにあり)が一部用いられているだけで、ヴェルディだとか縁もゆかりもない音楽が多数で、音楽的にはがっかりした。ただ、映画としてはそれなりに面白かった。シェークスピアの多弁で大げさな台詞を相当再現しているようで、舞台設定も近代なのだが、なるほどという感じだった。大多数の役者はその多弁な台詞を見事にこなしていたが、ただ妖精王オベロンの后ティタニアを演じたファイファーは、美しさこそ妖精並みだったがその台詞回しがたどたどしく珠に瑕だった。

なお、余談だが、フルトヴェングラーが戦後非ナチ化裁判によって無罪となり、楽壇に復帰した当時使われた映画館ティタニア・パラストは、このティタニアに由来するのではなかろうか。

また、シェークスピア絡みでいろいろ検索していたら、私の故郷の町にシェークスピア美術館というものが出来ているのを知った。

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コメント

TBありがとうございます。『中年会社員の観察日記』作者です。実は私もみずがめ座です。
自分で誕生日記事を書いていて星座のことは考えていませんでした。

はじめまして。オイラは、Doblog「気ままに行こう」の管理人をしています。「中年会社員の観察日記」さんのBlogから、こちらに来ました。
 望さんの「音楽の茶の間」感激しました。何で今まで見つけられなかったのかと、残念です。情報量の豊富さと、良く整理されてますね。また、内容も素晴らしいですね。オイラの理想的なHPです。
 オイラはBlog初心者で、操作覚えたり、文章書くのも苦手ですが、これから是非、CD購入の参考にさせて頂きます。それとリンク貼らせて頂きました。これからも、遊びに来ます。

記事中リンクいただきありがとうございます。
ワーグナーは作風からしてドイツナショナリズムムを感じさせます。貴族中心主義-市民中心主義の歴史観敵対立が当時あり、前者は反ユダヤ主義等に展開してゆきます。この指導者の中にフランスのゴビノー伯なる人がいてワーグナーも親交があったそうです。一方で、ワーグナーはルードビヒ王に援助される前は共和主義的行動で官憲に追われる身だったと記憶しています。
ユダヤ民族の弾圧については、ヒトラー政権下のニュールンベルグ法にて事細かに規定されたようです。(何代さかのぼってユダヤ人ならユダヤ人と見なす等)。高級将校にもユダヤ系は多数いて、実際にはこの規定に抵触しないよう、家系図を書き換える猶予期間があったそうです。それでも、そうせずに追放された軍人もいたとか。
実際にはニュールンベルグ法を超える激烈な迫害になって行きますが、このあたりの事情は映画『謀議』に描かれます。「バンゼー会議」というヒトラー政権の対ユダヤ最終方針の決定過程を描くものです。
以上、参考情報でした。

sakaiy22さん(勝手に 中年会社員さんなどとお呼びしていたことをお詫びします。)、詳しい情報をありがとうございました。

ユダヤ人への迫害については、最近ヒットした「戦場のピアニスト」という映画でも、ゲットー内で、ドイツ軍の軍人が無造作にユダヤ人を路上で撃ち殺す場面など非常にショックでした。

「裸のサル」によれば、人間は、他のサルとは異なり(最近のボノボやハヌマンラングールの研究ではそれを否定する結果があるようですが)、同属に対して大量虐殺ができる唯一のサルであるというような記述がありますが、何とも厄介な話だと思います。

BLOG名が『中年会社員の観察日記』ですので、「中年会社員」と呼んでいただいても問題ありません。時々そのように自称しますので、気にしないでください。
『戦場のピアニスト』のあのシーンは悲惨ですね。あのシーンでは兵士に質問をしただけで射殺される等、自分の身で考えればなんとも言葉がないです。子供が食べ物を盗みに行って帰り道につかまってしまうシーンも悲しいです。歴史を学んだ者として、シュピルマンが有名なワルシャワ蜂起をゲットーの外から目撃したという点は非常に興味深いものでした。
ちょっとタッチが異なりますが、ロビン・ウィリアムス主演の映画『聖なる嘘つき』もお奨めです。
『中年会社員の観察日記』作者

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