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2005年3月29日 (火)

映画「ヴェニスに死す」

以前の映画「バリー・リンドン」の記事関連で、リンドン女伯爵を演じた気品のある美女マリサ・ベレンソン(ベレンスン)が、あの映画「ヴェニスに死す」で主人公の音楽家アッシェンバッハ(グスタフ・マーラーをモデルにしたと言われている)の夫人を演じていることを知り、確認してみようと思っていたが、この映画のビデオはなかなか見たい気分にならなかった(これまで何回か見たけれどどうも不満が残る経験をしたからかも知れない)。ようやく重い腰を上げてこの映画のビデオを見た。ところで、アッシェンバッハがマーラーをモデルとするならば、その夫人は、あのアルマ・マーラーだ。昨夜は、前半を見ただけだが、アッシェンバッハ夫人の実物は現れず、ヴェネツィアのホテルの部屋に上半身のポートレート写真として飾られているだけだった。幼い娘の写真も飾られていた。

まだ、今回は最後まで見ていないが、名画だという評判が高いこの映画に、いくつかの点で不満を覚えたために、見直すのを躊躇したのが分かった。

1971年の時点でマーラーの5番のアダージェットを使用したのは、少々先駆的ではあるが(もっとも、戦前からこのアダージェットはSPレコードでも愛好され、ワルター/VPOの演奏が人気があったらしい)、演奏の質があまり高くない。イタリア人指揮者がローマの聖チェチーリア音楽院管弦楽団を指揮したもの。(ところで、イタリアには他のヨーロッパ諸国に比して、著名なオーケストラ団体がないのはどうしてなのだろうか?常設オーケストラでは放送局関係があるようだが、著名オペラ劇場のオケがドイツのように独立してオーケストラ曲を演奏することがあまりないようだ。その中では、このオーケストラは比較的録音も多い。)イタリア映画ゆえに、イタリアの楽団を使ったのだろうが。なお、映画の開始時のクレジットに この楽団とともにALTO で某と出てくるが、このアルトは女声のアルトのことか、それともヴィオラのことか。今のところ判明していない。

質と言えば、メリー・ウィドーワルツなどをサロン風に演奏しているリドのホテルのピアノ三重奏があまりにも拙い。特にヴァイオリンはもう少しどうにかならなかったものか?場末のホテルではなく超一流のホテルが舞台なのだから。

また、映像的には、(DVDはワイドスクリーンで収録されているようだが)ビデオはテレビ画面に合わせたサイズなので広がり感や奥行き感に乏しいのと、色彩に透明感が不足していて、鑑賞しずらい。カメラワークの問題だろうか?どうにも古めかしい。

今回鑑賞したところ、美少年タジオは、女流指揮者の西村某氏を思い出させた。

(続く)

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コメント

望 岳人さん、この続きを楽しみにしています。この映画は私の数少ない映画館体験ですから。逆に繰り返し見ていないと云うことで、結論が出てから是非もう一度その視点でコメントさせて下さい。

映画とは関係ないところで、イタリアの管弦楽活動について。活動はしていても伝統的にオペラに莫大なお金が落ちて、こちらに回ってこないので盛り上がらない。英国やフランスとはバランスが違いますね。深みのある問いです。

コメントありがとうございます。

名画、傑作と言われるこの作品ですが、なぜかMy Favourite の仲間に入りません。今回は、ベレンソンに注目の鑑賞なのですが、音楽関係は少々粗探し的にメモを取りながら見ています。同時になぜこれまで自分の琴線に触れなかったのかを探るための鑑賞です。まだ時間がかかりそうです。

ヨーロッパ各国の音楽活動の違いについて、興味を持っています。特にオーケストラという組織の比較は面白いですね。

こんにちは。先日ノイマイヤーのバレエで「ヴェニスに死す」に接したので、映画のことも色々と思い出していたところです。ヴィスコンティ映画は私も最初に見た時は、映像も音楽も全然好きになれませんでした。ところが二度目に観た時、なんともいえず感動してしまい、その後は何度も繰り返し見ています。うまく説明できませんが、映画の不完全さ、演奏の稚拙さが、主人公の脆さ、人間の危うさをえぐりだしているというか、、、。記事の続きを楽しみにしています。TB&リンクさせていただきました。

フンメルさん はじめまして。コメント&TBありがとうございます。"Wein, Weib und Gesang"の pfaelzerweinさんのBLOGのリンクでときどき貴BLOGを拝見させていただいておりました。マンの原作が、この映画以外にブリテンによりオペラ化されていたのは知識としては知っておりましたが、バレエ化されているというのは知りませんでした。バッハの「捧げ物」とヴァーグナーというのも面白い取り合わせですね。

映画はまだ3分の2程度残っていますが、再度冒頭から見直すつもりです。

先日久しぶりにDVD店をのぞいたら、廉価盤のDVDの中に「ヴェニスに死す」がありました。シネスコープサイズで収録されているとのことで、定価1500円で買いました。面白いのは音声が英語とポルトガル語で、字幕が日本語以外に中国語、韓国語など相当多くの言葉で入っていることです。さわりを見ましたが、ビデオの荒れてくすんだ色彩とは違い安定した透明な色彩をみることが出来ました。この黄金週間中にでも見直してみようと思います。

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ハンブルクバレエの「ベニスに死す」を観てきた。題名の通りトーマス・マンの小説を基にしたジョン・ノイマイヤー振り付けによるバレエ。副題は「ノイマイヤーの死の舞踏(Ein Totentanz von John Neumeier)」。 バックに流れる曲は、ヴィスコンティの映画から連想されるマーラーのアダージョットではない。基本となる音楽は、意外にもバッハの「音楽の捧げもの(Das Musikalische Opfer BWV1079)」、そしてワーグナーである。 一幕目で奥にフルートを吹くフリード... [続きを読む]

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