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2005年3月11日 (金)

愛知万博について

先日書いた愛知万博の展示についてのニュースが段々目に入るようになってきた。

その中で、子ども達が楽しみにしているのは、恐竜ロボット、そしてブログ記事で知ったライデン博物館のニホンオオカミ、ニホンアシカ、ニホンカワウソの剥製。

まだ愛知万博は開幕直前なのにあまり盛り上がりを見せていないようだが、それでも段々話題になってきているようだ。(ビッグイベントといえば長野オリンピックの時は、長野にいたのだが、直前までどうなることかと思って気に病んでいた。ただこちらは競技会で日本選手が期待以上の活躍、清水、岡崎、里谷、船木、原田、岡部、斎藤、西谷、植松らのメダリスト誕生で、湧きに湧いたから、最後の盛り上がりはすごかった。博覧会ではそのような現象は期待できない)

ところで、1970年大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」で、当時はベトナム戦争や公害問題の真っ只中だったとは言え、比較的楽天的な進歩観を当時の人々が抱いていた象徴だろう。今回の「愛・地球博」というのは、「あいち」の駄洒落だと思うが、非常にあいまいだ。地球博とななにか?あまりにも巨大過ぎて焦点がぼけやしまいか。元々相対的な地位低下に嘆いていた中京地方(そういえば、古代でも都が置かれたことがないのに京とは、こはいかに?)が、オリンピック誘致にも敗れ、次善の策として誘致したものだったように聞いている。本気度はどの程度なのか?ちなみにテーマは「自然の叡智」だそうだ。

http://expo2005.ameblo.jp/entry-d35947da3e0fbfc25e82e3f285fdcbb7.html

http://www.jlp.net/letter/050215e.html

先日のこの万博を紹介するテレビ番組で、「となりのトトロ」というアニメ映画の舞台となった昭和30年代の武蔵野の村落に建てられた半洋風建築の草壁家の借家を実物大で再現したものが紹介されていた。燃料が薪のかまど、風呂も実際に使えるようだ。ジブリ美術館の運営(館長である宮崎駿監督の子息がここでも館長を務めるようだ)らしく予約制だという。この映画が人間と自然がまだまだうまく折り合っていた(共生)時代を描いているからここに誘致されたのだろうと思うが、後ろ向き、回顧趣味(retro志向)が強すぎないか。現代人の多くは、もはやあのような生活に戻りたくても戻れない。個人的には無用なノスタルジーを掻き立てられるようであまり愉快ではなかった。

その番組で紹介された日本館の仮設テント(pavilion)は、巨大なピーナツのような竹細工だという(が、耐火性の面ではどうなのだろう?高熱を加えて曲げた竹は、火には弱いのではなかろうか?)。会期中だけ保てばいい仮設テントとしては、それなりに環境負荷が少ないのだろうか。その他、リニアモーター駆動の列車が会場を走るという。実用化としては、上海のリニアモーター列車についで2番目になるのだろうか。ただ、速度は早くなく100km/h程度らしい。

人類が、人類によって引き起こされた部分もある地球環境の変動に逆らって、「人類が暮らしやすい環境」を維持するためには、最新鋭の科学・技術を活用するほかはないと思う。目先の問題としては温暖化ガスによる地球温暖化だが、中国を含む発展途上国の人々の生活レベルの向上(衣食住、教育、健康など)意欲は激しいものがあり、それによる温暖化ガスの排出、新たな汚染、資源枯渇が引き起こされるだろうが、先進国は自分が辿った道ゆえ、勝手にそれを押さえつける権限など毛頭ない。科学・技術の発展がどの方向に向うのかは、その学問的・経済的な自律性ゆえに見当がつかないが、少なくとも人類規模の発展・繁栄のためには、生活レベル向上に伴う費用(金銭的なものだけではなく環境的なものも含めて)を何とかまかなうようにできなくてはならない。そのようなコンセプトをこの万博は示すべきではなかったか。それともルソー張りに「自然に帰れ」と叫ぶか?

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