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2005年6月13日 (月)

恐竜博2005 ようやく観覧

P6110196これまで発見されたティラノサウルス・レックス(なぜレックスで形容するのだろうか?レックスのつかないティラノサウルスも存在するのかもしれない)の化石の中で、最大で、最も完全(骨格の90%以上が発見)な「スー」の愛称で知られる化石標本の「レプリカ」の来日について以前このBLOGで書いたが、先週の土曜日6月11日にようやく観覧できた。(なお、当日、入場者50万人が出たと新聞記事で知った。何時頃だったのだろうか。ニアミスというやつだ。) チケットを入手していたので、これまでに2度ほど行こうという話になっていたが、直前になっての予定変更が重なり、3度目の正直だった。

金曜日に梅雨入りして2日目だったが、土曜日は何とか一日雨には遭わずに済んだので、入場者40分待ちはそれほど苦にならなかった。なお、天候のせいなのか、既に見たい人はほとんど見てしまったのか、入場券を求める列は5分程度だったようだ。チケットなしで訪れても合計45分程度で入場できることになる。(その後別のブログを読むと午後2時頃の行列はもっと長くなっていたようだが。) 

入場列の途中には、野口英世博士の銅像があったのを見かけた。普段はこの界隈を訪れてもわざわざ木立の中を散策することはないので、こういう機会でなければなかなか見られない。行列には昼食(上野の森美術館への上り口に新しくできたちょっと洒落た中華料理屋に入ったのだが、あとで確認したところ過門香という店で結構有名なところらしい。少々場違いだったかも)後の12時40分頃から並び始め、1時20分頃には科学博物館に入館、そこから、また特別展の行列に並ぶことになり、約10分で地下の特別展示室へ。

スーは、巨大だった。

しかし、恐竜博というとどうしても苦労とともに感激も大きかった2002年の幕張での恐竜博と比べてしまう。上野ではゴールデンウィーク頃の1時間待ちがBLOGでも話題になっていたが、幕張では巨大な体育館のような展示場の中、数百人の行列の人いきれで蒸し暑い中でたっぷり2時間は待たされた。子ども達も幼かったので、次男などは抱っこしているうちに寝入ってしまい、腕が棒のようになってしまったのを思い出す。ここまで待ち時間が長かったのは、上野と違って場内に一度に入れる入場者数を制限していたためらしい。そのためか入場した後はそれほど込み合いもせず、巨大なセイスモサウルスのセイモ君を初めとした巨大恐竜のオンパレードをゆっくり楽しめた。展示場所が広かったため、ディスプレーにも工夫が凝らされていて、見ごたえがあった。ここで初めて、中国で発掘された羽毛恐竜というものの存在を知った。

ところで、今回の恐竜博のテーマである「恐竜から鳥類へ」の学説も必ずしも確立されたものではないようだ。まだ矛盾(パラドクス)が指摘されているという説明がパネルに書かれていた。つまり羽毛恐竜の出現時期が以外に早いらしい。つまり、鱗をまとった恐竜から羽毛恐竜へ進化(環境適応)し、羽毛恐竜が鳥に進化(環境適応)したという単純な図式ではないのだという。

スーは雄か雌か。これも未決着らしいが、最近米国の大学で提唱された骨格による雌雄判別によりいずれ確定されるだろう。その貴重なスーの肋骨の実物が一本だけ展示されていた。スーを所有するシカゴのフィールド博物館としては基本的には門外不出であり、今回の実物の貸し出しは異例のことらしい。

このスー、発見者のスーザンさんの愛称からつけられた名前だが、所有権は裁判で争われた結果、土地の所有者のものに帰したとパネル展示に書かれていた。数億円の価値のある骨格なので、無理からぬ話ではあるが、世知辛い。大体、土地の所有者と言ってもアメリカン・ネイティブから騙し取った土地ではないか!?

恐竜博の観覧はほんの1時間で済んでしまった。

その他展示で印象に残ったもの。日本にも福井県から石川県にかけての地層(これは中国大陸とつながっていた部分らしい)からジュラ紀のアロサウルスや白亜紀のティラノサウルスの仲間の化石(ほんの一部)が見つかっているのだという。しかし、これがそうなのか?というほど小さい歯の化石が2点展示されているだけだった。見つかった地層からそのような推定が可能なのだろうが、せめてもう少し状態のよいものが出ないものだろうか?

糞の化石もあった。ティラノサウルスのものと推定されているらしい。始祖鳥は非常に小型だった。

(なお、ずっと後世のナウマンゾウの化石は日本各地で発見されているが、我が父も河川での水石収集のおりに、石とは違う模様の物体を発見し、恐らくナウマンゾウの歯の化石だろうと見当をつけ、野尻湖のナウマンゾウ博物館で鑑定してもらったところ、まさしく歯の化石で、地方紙で紹介されたことがある。現在はその博物館の倉庫に眠っているはずだ。)

出口でやっていた、T-REXの爪のレプリカ作りに子ども達が挑戦し、お定まりのミュージアムショップで買い物をした後、一休み。

前回ニホンオオカミ目当てでカハクに来た時には妻は都立美術館のミュシャ展の方に行っていたため新館は初めてということで、子ども達が喜んでガイド役を務めた。ニホンオオカミ、ゼロ戦、恐竜化石、種の多様性、人類への進化などなど。今回は閉館時間ギリギリまで居たが、まだまだ展示も見切れない。途中で屋上のハーブ園に行ってみたが、それぞれのハーブが元気に生育しており見事だった。地下の恐竜博の特別展のちょうど裏側では、カハクの管理している古代生物の展示が狭いスペースなりにある(ここでは、T-REXもスーに比べては小さいながら雄姿を披露している)。恐竜博の補遺としては是非見るべきものが多いが、ここはあまり込んではいなかった。(まだ新館が完全公開される前には、このジュラ紀、白亜紀の古代生物化石の展示数はもっと多かったと思うのだが)。

なお、ゼロ戦の「ラウバル」との誤記のあった説明プレートは、「ラバウル」と訂正されていた。 以前にカハクへそのことを指摘したメールを出して、それには返信がなかったが、それなりの効果があったのだろう。

恐竜博は、この後名古屋ほか西日本へ年末まで巡回するようだ。

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コメント

古めかしい本館は現在改修工事中だが、天文関係の記事を書いていて、そのせいであのフーコーの振り子が見られないのだと気が付いた。

日本古生物学会
http://ammo.kueps.kyoto-u.ac.jp/palaeont/

日本ではもっぱら 理学部地学教室に属するようだ。

子どもの質問で「恐竜学者になるにはどうすればいいの?」というのをよく見かけるが、日本の蛸壺型の講座制度では難しいらしい。

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