山梨へバスハイク
夏休み最後の日曜日、次男のバスハイクの付き添いで、長男と一緒に山梨県の富士山麓へバスハイクに行って来た。御殿場までは東名も空いていたが、インターでおりて山中湖方面に向う道路は渋滞していた。
巨大なFANUCの黄色い工場の脇を過ぎ、予定より30分ほど遅れて、忍野(おしの)村の忍野八海(おしのはっかい)に着いた。富士の伏流水が長い年月をかけて湧き出しているものらしい。ちょうど静岡の三島の伏流水群、有名な柿田川と南北に対称なものだろう。海とは言っても小規模な池で、その底から湧き水が湧き出している。非常に透明な池にはニジマスが放し飼いにされている。中には水深10メートルにも及ぶ円筒形のものもある。富士の雪解け水に手をつけてみましょう、と勧める流し台で手をつけると30秒もすれば手が痺れてしまうほどの冷たさだ。観光客が大勢押しかけてきており、最も水深の深い池の周囲には土産物屋が軒を連ね、興趣を削ぐようになっているのは、いかにも観光地だ。
この忍野の湧き水を利用しているのが、山梨県の水産センターらしく、淡水魚の養殖の研究をしているらしい。忍野八海からは、車で10分そこそこ。そこに淡水魚水族館が併設されており、見物した。今年の春に同様の淡水魚水族館である相模川のふれあい科学館に行って来たのでついそれと比較してしまうのだが、相模川の場合、上流、中流、下流と源流から海までが総合的に展示できており、そこに見ごたえがあったが、山梨は海無し県ということもあり、そのような展示にはなっておらず、少々散漫な印象を受けた。珍しい魚としては、チョウザメが飼われており、富士五湖でも観光と生態系の保護との間で問題になっているブラックバスやオオクチバスも展示されているのが興味深かった。懐かしいカジカにも対面できた。水族館の周囲は遊具などのある公園になっており、釣りもできるようで、家族連れで訪れれば一日過ごせる場所だ。
次に向ったのは鳴沢(なるさわ)の氷穴(ひょうけつ)。途中、富士急ハイランドの横を過ぎることもあり、道路は結構渋滞しており、時間がかかった。鳴沢の氷穴は、富士山麓の青木ヶ原の樹海の中にある。富士の溶岩流のガスの抜け出た穴らしいが、大人が入れるほどの大きさの穴が地底に続いている。(富士の樹海にはこの氷穴と、富岳風穴の有名な洞穴のほかにも未発見のものがあるようで、以前雑誌やテレビでcavingの記事を見聞きしたことがあった)。階段や青竹の手すりと照明灯で辛うじて内部を巡れるようになっており、ここでも観光客が多かった。小規模な地底探険だ。氷穴というだけあり、内部の温度は0度ほどだという。氷が多く残っていた。江戸時代には、夏場にここで取れた氷を「殿様に献上した」こともあるという。(相当大きい氷を夜間など比較的涼しい時間帯に運搬しなければ溶けてしまうだろうから、献上するにしても苦労がおおかっただろう)
車で数分のところに富岳(ふがく)の風穴(ふうけつ)があり、こちらはまさに青木ヶ原のど真ん中。東海遊歩道が通じている。遊歩道があるなら膨大な原生林の中を歩くのも面白そうだ。風穴は、氷穴ほど垂直方向に潜らず、横穴が続いている。明治初年に発見されたもので、まだ冷蔵設備がない時代には、蚕の繭や、種子などの保存倉庫としても実際に使われていたという。当時の状態が保存(再現)されていた。こちらも内部には氷(地下水が凍ったものだろうか)が多く残り、外気温が30度近くあるので、鳥肌が立ち、頭痛がするほど寒かった。
富士山の姿は、曇り気味だったこともあり、車窓から一瞬影が見えただけだったが、巨大だった。15年以上も前、スバルライン経由で登山したが、子どもがもう少し成長したら一緒に登ってみたいものだ。
予定よりも帰路の出発が遅れたので、東名の大渋滞時間帯にちょうどはまってしまい、帰宅は予定よりも2時間ほど遅くなってしまった。
自然の奇跡に直接触れた一日だったと言えるだろうか。
« 夏休み後半に訪れたミュージアム | トップページ | 最近買ったCD »
「自然・環境・生物・宇宙」カテゴリの記事
- 謹んで新年のお慶びを申し上げます(2017.01.01)
- ジョージ・R・R・マーティン「氷と炎の歌」シリーズ(2015.09.25)
- 丸山コーヒーと中秋の名月(2015.09.27)
- 紅梅が開花していた。ソチ五輪間近。(2014.01.31)
- 遺伝にとって画期的な研究のように感じた(2013.12.04)
「生活・レジャー」カテゴリの記事
- 謹んで新年のお慶びを申し上げます(2017.01.01)
- 第5回音楽大学オーケストラフェスティバル 第2日 ミューザ川崎(2014.11.26)
「ミュージアム」カテゴリの記事
- 数年ぶりのよこはま動物園ズーラシア(2013.09.22)
- 堀辰雄が聴いたフォーレの「レクィエム」(1938年リヨン録音)(2013.09.12)
- 春の鎌倉ハイキング(2013.09.14)
- 奈良美智展 横浜美術館(2012.07.30)
- スクロールと絵巻物 ボストン美術館 里帰り展(東京国立博物館)(2012.05.06)
こんにちは。氷室については、予てから興味を持っていました。リンクを拝見しましたが、結構深くて長い事が条件のようですね。標高はどれ位か確認出来ませんでしたが、外気温30度位ならば低いのでしょう。
暑ければ暑い、寒ければ頭痛いで、なかなか上手くいきません。音は響きませんでしたか?
アルプスでは、レマン湖畔エヴィアンの近くの鍾乳洞の地面が凍っていた覚えがあります。欧州ではあまり氷室について聞かないのは、普通の地下が一桁台の気温を保つ事が出来るからでしょうか。
投稿: pfaelzerwein | 2005年8月29日 (月) 17:08
pfaelzerweinさん、こんにちは。
氷穴、風穴は、発見された年代が比較的近年なので、京の朝廷の伝統行事に関係のある氷室とは直接関係がないようですね。ただ、江戸時代、真夏に江戸まで氷を運ぶことは可能だったようです。まして、甲府ならば問題なかったことでしょう。http://www.zo88.com/icecave/iceice2.html
氷穴、風穴の標高はおよそ1000mです。
http://www.zo88.com/icecave/icecave.html
富士山の伏流水(地下水)の影響もあり、温度が低いのかも知れません。
反響については現地では意識していなかったのですが、ビデオカメラを持参して撮影したのを再生して確認してみたところ、音は響きませんでした。洞窟の壁の岩石(玄武岩?)に吸音性があるとのコメントが書かれていましたので、そのためでしょうか。
投稿: 望 岳人 | 2005年8月30日 (火) 09:00