司馬遼太郎「新史太閤記」
ブックオフや新刊書店で文庫をいろいろ購入して読んでいる。面白いのは今まであまり読まなかったエッセイ集や対談集のたぐい。過日も書いたが、それ以降も司馬遼太郎の著作を継続して読んでいる。
8月発売のマガジンハウスのダカーポも司馬遼太郎特集をやっていたのを見かけキオスクで購入、夏に実家に帰省したときに書棚を見たら、あれこんな本も読んだかというようなものも結構あり、その中から「新史太閤記」を持ってきて再読。その後、大坂城冬・夏の陣を描いた「城塞」、越後長岡藩の執政河井継之助を描いた「峠」と読み、「一夜官女」というくだけた歴史物を読み、現在は「関ケ原」を読んでいる。
「新史太閤記」は15年ほど前に読んだはずだが、細部をすっかり忘れていた。既に現代の歴史小説としては古典なのだろうが、通俗的な歴史知識の蒙を啓かれるような新鮮さがある。晩年の朝鮮出兵については意図的にカットされているのは小説作法としては理解できるが、秀吉の負の一面も別の小説として司馬遼太郎の手で読んで見たかった。上り坂の権力は負の面を自然に隠す要素があり爽快だが、停滞期や下り坂のそれに現れる権力者とその周囲の人間模様も興味深いものだから。
エッセイの方は、7月以来、名著とされる「ロシアについて」で北方領土とモンゴルとの関係で蒙を啓かれ、その他結構面白いものがあった。これらについてはおいおい書いていくつもり。
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