武満徹の誕生日
今日10月8日は 作曲家武満徹の誕生日だという。1930年生まれなので、今年が生誕75年になる。
武満といえば、その世界的出世作「ノヴェンバー・ステップス」があまりにも有名で、このCDはその初演指揮者小澤征爾(バーンスタインのもとでニューヨークフィルハーモニックの副指揮者を務めていた折に小澤征爾とそのニューヨークフィルにより初演)が、N響事件後、初めて海外のオケの常任に就任したカナダのトロント交響楽団を指揮したもの。琵琶は鶴田錦史、尺八横山勝也という初演以来の二人のソリスト。ステップスとは階段、つまり邦楽の段を示すのだという。「霜月の段」とでも訳せようか?(「11月の階梯」という訳はどこかで読んだことがある)
録音は1967年12月8日 トロントのマッシーホール。
この曲のほかに、2:アステリズム ピアノと管弦楽のための (ピアノ:高橋悠治!)、3:グリーン、4:弦楽のためのレクイエム、5:地平線のドーリア つまり、武満の初期のオーケストラ作品が収録されている。このうち、弦楽のためのレクイエムは、ストラヴィンスキーが来日のおりに激賞したことでも知られているようだ。
子どもたちにノヴェンバー・ステップスを聞かせたら、予想通り「幽霊が出そう」という反応がかえってきた。尺八や琵琶にはそのような不気味な超自然的な印象をもたらす要素があるのだろうか?
人は生まれながらに(物心つくと)蛇を怖がるとか、いわゆる先祖たちの感情反応が遺伝子の中に本能のように残るという説があるようだが、これなどはどうなのだろうか?もちろん西洋人に同じような反応を期待することは難しいだろうが、これらの日本伝統の独奏楽器とフルオーケストラの対峙がこの曲の生命を長からしめているのだろう。
月並みながら東洋と西洋の対峙と融合ということ考えさせられる曲だ。(なお、この楽器の編成、管楽器と発弦楽器とオーケストラのための協奏交響曲的なもので有名なのは、モーツァルトによる「フルートとハープのための協奏曲」がある。編成上のヒントになったものだろうか?)
この曲は、小澤以外に、岩城宏之、若杉弘などの演奏を(FM放送で)聞いたことがあるが、小澤の演奏は初演者のものであり作曲者直伝ということもあり、迷いのない演奏だ。その後、例のサイトウキネンなどとも新録音を入れているが、まさに昇り竜の時代の小澤の演奏としてその価値は薄れるものではないと思う。
p.s. yurikamome122さんのblogに11月にちなんでこの演奏が取り上げられていたのを読み、TBをお送りした。
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TB、コメントいただき感謝です。私もこの演奏は、洗練と言う点では後年やほかの演奏に譲るところもあると思いますが、やはり初演時の熱気と勢いが感じるこの録音は、この曲が発表されたときの新鮮さが聴かれるようで、私にとっては魅力です。
しかし、尺八も琵琶も真っ白な感性の子供に「幽霊」を連想されるとは、可哀想な楽器です(笑)。
投稿: yurikamome122 | 2005年11月30日 (水) 07:24